有価証券報告書-第18期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 9:19
【資料】
PDFをみる
【項目】
86項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性のある主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項につきましては、情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、以下の記載は当社グループの事業又は当社株式への投資に関するリスクを完全に網羅しているものではありませんので、ご注意ください。
なお、記載事項のうち将来に関する事項は、本報告書提出日現在(2015年6月26日現在)において当社が判断し
たものであります。
(1)事業内容について
① 事業内容と特定売上品目への依存について
当社グループの第18期(2014年4月1日から2015年3月31日まで)の売上高におきまして、主たる事業であるペイロール事業の売上高が100%であり、現状のように特定の事業への依存度が高い場合には、事業を多角化することでより安定した経営を行っていく方針をとることも考えられます。しかし当社グループの事業の特徴のひとつでもありますペイロール事業は、顧客との継続的な受託業務であり顧客社数の増加に伴い売上高に対する同事業の比率が高くなる傾向にあります。今後は第二の柱となるべき事業を育成していく方針でありますが、事業の多角化及び収益の安定化が計画通りに進捗しない場合におきましては依然としてペイロール事業への依存度が高い状態が継続することになります。そのため、同事業の成長が鈍化した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② コンピュータシステムについて
当社グループの業務はコンピュータシステム・IT機器の使用を前提として成立しております。使用するコンピュータシステムは、データの集約化及び定期的なバックアップにより災害等によるシステムダウンに対する対策を講じておりますが、大規模な天災や火災、コンピュータウイルス、長時間の電力供給の停止、通信障害等の事由によりコンピュータシステムにおける重大なトラブルが生じた場合や社会的インフラ障害が長期間に及ぶ場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 個人情報漏洩について
当社グループの主たる事業であるペイロール事業においては、顧客企業からの給与支給に関する情報をはじめ多数の個人情報を扱っております。さらに顧客企業や提携先企業において機密保持を希望する情報なども個人情報に含まれるものと考えております。
当社グループでは、個人情報の管理について、各部門において厳格な管理に基づき個人情報の保護その取り扱いについて十分に留意しており、これまで個人情報の漏洩による問題は発生しておりません。また、当社は、2006年1月に財団法人日本情報処理開発協会(現 一般財団法人日本情報経済社会推進協会)が認定する「プライバシーマーク」を取得しております。しかし、個人情報漏洩のリスクは無くなるものではなく、もし顧客企業の従業員の個人情報が漏洩した場合、当該顧客企業、顧客企業の従業員への補償費用が発生することや、信用力の低下により既存の顧客企業及び将来の顧客企業との取引が減少することが想定され、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ アライアンスパートナーの拡充と業務拡大について
現在、社会保険労務士法人、BPO(Business Process Outsourcing)事業を営んでいる他のアウトソーサー
等との相互受託により、互いの得意とする事業分野を最大限に活かした業務の分業を行い、効率的な事業活動を
行う方針であります。何らかの影響により、当社グループとアライアンスパートナーとの関係が継続できない状況になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 災害によるリスクについて
大規模な災害等により、郵便、宅配便等の通常の輸送手段が停止し、顧客への納品が出来なくなった場合、当
社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ業務はコンピュータシステム、プリンタ等のOA機器に依存する事を前提として成り立っており、天災による停電が発生した場合には業務に重大な支障が発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)組織上の問題について
① 将来的な人材の確保について
当社グループが事業拡大に伴う業務量の増加に対応し、かつ現在提供しているサービスの精度を維持し続けるためには、優秀な人材を確保すること及び継続的な社員教育により業務の精度を維持し続けることが経営上の重要な課題と考えております。今後の事業拡大に伴い、積極的に優秀な人材を採用し、社員教育を継続的に徹底していく方針ですが、当社グループの求める人材が十分に確保できなかった場合、社員教育を十分に行うことが出来なかった場合には、現在提供しているサービスの品質低下を招くことが想定され、業務の拡大に影響を及ぼす可能性があります。
② 小規模組織であることについて
当社グループは2015年3月末現在、取締役3名、監査役3名、従業員55名(パート社員を除く)と組織が小さく、内部管理体制も組織規模に応じたものとなっております。今後、事業の拡大に伴い、適切かつ十分な人的・組織的対応ができない場合、既存の人材の社外流出、病気等における長期休暇が生じた場合、当社グループの業務遂行に支障が発生する可能性や、当社グループの提供しているサービスの精度が低下する恐れがあります。当社グループでは事業の拡大に伴う増員を行うとともに、組織的に従業員同士の業務ノウハウの共有及び内部管理体制の一層の充実を進めていきます。
(3)外部環境・市場の動向について
① 競合他社の動向について
当社グループが提供するサービスは、高額な設備投資が不要であり、許認可や届出等が必要な業界ではなく規制等が少ない等の理由から、参入障壁が高いとは言えない事業であります。ある程度の資本力を持った他企業が新規に参入してきた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループにおきましては、大量のデータを正確かつ低コストで処理するために、専用のコンピュータシステムを構築し、ノウハウを蓄積してきており、現段階においては他社に対して優位性を有していると考えております。しかし、上記のような新規参入や価格競争の激化により、将来の事業展開やサービス面における競争力に影響を与える可能性があります。
② 税制、社会保険制度(健康保険、厚生年金保険、介護保険)の制度変更について
税制・社会保険制度等の大幅な変更があり、当社グループで使用している給与計算システムにおいて対応が出来ない場合、又はシステムの変更等に莫大な設備投資が必要な場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 総需要の低下について
将来的に総労働人口の減少により給与受給者が減少し、当社グループが行う給与計算業務の受託量が減少した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 中国での事業環境について
当社は2014年3月期において、日本でのアウトソーシングサービスの事務作業量拡大への対応及び中国のマーケット開拓を目的として中国山東省青島市に子会社を設立いたしました。今後、中国での事業展開が進んだ場合、人民元切り上げや人件費上昇によるコスト上昇、中国の法律や税制等の改定及びマーケット開拓の遅れにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4)業績の推移について
① 業績の変動について
直近の連結会計年度及び事業年度の業績は「第1企業の概況 1主要な経営指標等の推移 (1)連結経営指標等」及び「第1企業の概況 1主要な経営指標等の推移 (2)提出会社の経営指標等」に記載の通りであり、今後につきましても業績が大きく変動する可能性があります。
② 業績の季節変動について
当社グループの主たる事業であるペイロール事業は、顧客企業の月々の給与計算に付随して住民税改定、年末
調整及び賞与計算等の業務を行います。そのなかでも10月から1月に行う年末調整業務の影響により、当社グル
ープは下半期に売上高が偏重する傾向にあります。
この傾向は、急激に変化することはないと想定されますが、現行税制の改正及び年俸制が普及し、賞与支給慣
習が変更になるなど顧客企業の給与支給環境が変わる場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度における当社グループのペイロール事業の四半期会計期間及び通期の売上高の割合は、次のとおりであります。
第18期(2015年3月期)
第1四半期
会計期間
第2四半期
会計期間
第3四半期
会計期間
第4四半期
会計期間
ペイロール事業売上高(千円)145,047114,771327,033191,265
通期割合(%)18.614.842.024.6

③ 将来においての収益の減少、又は純損失の計上の可能性について
当社グループは、当期において純利益を計上をしておりますが、将来収益性を上げる、又は純損失を回避できることを保証することはできません。売上高に大幅な減少がない場合でも設備投資及び人的投資等により、収益減少の可能性があります。しかし、当社グループの主たる事業であるペイロール事業は、一度顧客を獲得すると、何らかの理由による委託解除が発生しない限り毎月定常的に売上高が発生することが想定できますので、突然の大幅な売上高減に伴う収益の減少の可能性は低いと考えられます。
(5)関連当事者について
① 特定人物への依存状態について
当社設立時の代表取締役社長であり、現在は親会社であるキャリアバンク株式会社及び同一の親会社を持つ会
社である株式会社セールスアウトソーシングの代表取締役である佐藤良雄氏は、当社設立以前より行政書士事務所(現在の行政書士法人)及び複数の労働保険事務組合の代表者を兼務しております。
現在、佐藤良雄氏が関与している主な組織及びその一部と当社グループとの取引関係並びに佐藤良雄氏の当該組織における地位は下図のとおりであります。佐藤良雄氏が各組織への関与を止めた場合は、各組織との関係が希薄化し情報交流が途絶えるなど、今後の当社グループの経営に影響が及ぶ可能性があります。
なお、2015年3月31日現在の関係図は下記のとおりです。
0102010_001.png
(注)1.労働保険事務組合労務事務指導協会、労働保険事務組合北海道社会労働保険協会は、労働保険事務組合
であります。労働保険事務組合とは厚生労働大臣の認可を受けて、企業及び事業主からの労働保険料の徴収
及び徴収した労働保険料の国庫への納付を行うとともに、同事業主に対し労働保険事務の代行及び指導を行う団体のことをいいます。
2.SATO行政書士法人は、官公庁へ提出する書類の作成を行う行政書士法人であります。
3.株式会社エス・ジー・シーは経営コンサルティングを行っております。
② 関連当事者との取引について
当連結会計年度(2014年4月1日から2015年3月31日まで)における、当社グループと当社グループの属する企業グループとの関連当事者取引は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 関連当事者情報」に記載のとおりであります。なお、「関連当事者の開示に関する会計基準」(企業会計基準第11号)による開示の対象となる取引以外を含む親会社及び同一の親会社を持つ会社との取引については以下のとおりであります。
イ.連結財務諸表提出会社の親会社及び主要株主(会社等の場合に限る。)等
種類会社等の名称又は氏名所在地資本金又は出資金
(千円)
事業の内容又は職業議決権等の所有(被所有)割合
(%)
関連当事者との関係取引の内容取引金額
(千円)
科目期末残高
(千円)
親会社キャリアバンク株式会社札幌市中央区242,557人材派遣
人材紹介
再就職支援
(被所有)
直接 51.5
(注)2
給与計算業務の受託・人材派遣の受入・人材の紹介等
役員の兼任
給与計算による売上13,882売掛金1,006
人材派遣19,434買掛金1,473
未払金14
人材紹介2,982--
研修費用87--
その他20--

(注)1.取引金額には消費税等は含まれておりません。なお、期末残高には消費税等が含まれております。
2.期末日における議決権等の被所有割合を表示しております。
3.上記取引におきましては、全て適正価格で取引を行っております。
ロ.連結財務諸表提出会社と同一の親会社をもつ会社等及び連結財務諸表提出会社のその他の関係会社の子会社等
種類会社等の名称又は氏名所在地資本金又は出資金
(千円)
事業の内容又は職業議決権等の所有(被所有)割合
(%)
関連当事者との関係取引の内容取引金額
(千円)
科目期末残高
(千円)
同一の親会社を持つ会社株式会社セールスアウトソーシング東京都新宿区97,000人材派遣-給与計算業務の受託給与計算による売上812売掛金51

(注)1.取引金額には消費税等は含まれておりません。なお、期末残高には消費税等が含まれております。
2.上記取引におきましては、適正価格で取引を行っております。
③ 親会社からの独立性について
キャリアバンク株式会社は、2015年3月31日現在、当社の発行済株式総数の51.5%を所有しておりますが、当
社グループの経営、意思決定につきましては親会社であるキャリアバンク株式会社より完全に独立しております。そのため、当該株式所有関係があることにより同社が当社グループとの現在の取引関係を継続する旨の確約をしていることを保証するものではありません。現時点では、同社から給与計算業務を受託し、また派遣社員の受入、人材の紹介等を行っており、総売上高にしめる同社への売上高比率は当連結会計年度においては 1.8%となっております。さらには所有株式の売却などにより同社の出資比率が低下し資本的な関係が希薄となった場合、当社グループの事業に何らかの影響が生じる可能性があります。
④ キャリアバンク株式会社のグループ会社管理について
キャリアバンク株式会社は、連結経営管理の観点から「関係会社管理規程」を定め運用しておりますが、その
目的はグループ各社の独自性と自立性を維持しつつ、グループ全体の企業価値の最大化を図ることにあります。
当社グループも同規程の適用を受けており、当社取締役会において決議された事項等を報告しておりますが、取締役会決議事項の事前承認等は求められておらず、当社が独自に事業運営を行っております。
当社の取締役会を構成する取締役には、キャリアバンク株式会社の取締役及び従業員に該当する者はおりませ
ん。
(6)その他について
新株予約権について
当社は、2013年6月25日開催の定時株主総会において、役員及び従業員等に対し業績向上へのインセンティブを高める目的としてストック・オプションの付与を決議し、2014年5月30日に新株予約権を付与しております。当社では、取締役、監査役及び従業員の士気向上、優秀な人材の確保のために今後もストック・オプション制度を継続する方針であります。したがいまして新株予約権の行使が行われた場合、当該株式の1株当たりの株式価値が希薄化し、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。