有価証券報告書-第11期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/29 16:17
【資料】
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【項目】
55項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、企業理念である"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"(世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する)を軸に、トータルヘルスケアの考えのもと、人・技術・製品等を通じた事業機会の拡大に取り組み、世界の人々の健康に貢献する「なくてはならない」企業を目指しています。
(1) 第2次中期経営計画の位置づけと主な施策
主力製品「エビリファイ」の独占販売期間満了を迎えた第2次中期経営計画では、持続的成長を実現するための収益構造の多様化を最優先課題に、医療関連事業のコア治療領域の強化とニュートラシューティカルズ関連事業の構造改革を戦略骨子とし、その達成に取り組みました。
(2) 第2次中期経営計画の総括
2018年度
目標(日本基準)実績(IFRS)達成率
売上収益14,400億円12,920億円90%
研究開発費1,700億円2,161億円127%
営業利益2,000億円1,083億円54%
親会社の所有者に帰属する当期利益1,400億円825億円59%
ROE8~10%4.7%-
(ご参考)研究開発費投資前営業利益
(減損損失控除前)
3,700億円3,244億円
(3,360億円)
87%
(91%)

※日本基準で策定した第2次中期経営計画の目標値を、客観的な方法でIFRS基準に修正することが困難であることから、日本基準の当初目標を採用しています。
売上収益につきましては、グローバル3製品(エビリファイメンテナ、レキサルティ、サムスカ・ジンアーク)が計画以上に伸びたものの、薬価制度の抜本的改革やジェネリック医薬品の使用促進策等、医療関連事業を取り巻く外部環境が当初の想定以上に変化したことから、目標14,400億円(日本基準)に対して、実績12,920億円(IFRS)となり達成率90%となりました。
研究開発費は、先行投資として計画以上に積み増したことから達成率は127%となりました。
営業利益は、医療関連事業の外部環境悪化による売上収益未達の影響及び計画以上の研究開発費を投資したことから54%の達成率となりましたが、事業からの収益力をより適切に反映した研究開発費投資前営業利益では目標値3,700億円(日本基準)に対して、減損損失控除前で91%の達成率でした。
・医療関連事業につきましては、グローバル3製品(エビリファイメンテナ、レキサルティ、サムスカ・ジンアーク)の製品価値最大化に向けた積極的な投資を行い、主要エリアでの上市や適応追加が順調に進捗し、当社グループの成長を牽引する基盤を構築しました。
・精神・神経領域、がん領域の強化に加え、循環器・腎領域を次世代のコア領域として育成しました。
・新たな創薬・治療技術については、他社や外部の研究機関との提携を積極的に推進し、自社研究開発アセットと融合させることで、2030年以降の成長を見据えたイノベーション創出基盤の構築を進めました。
・第2次中期経営計画期間中、薬価制度の抜本的改革やジェネリック医薬品の使用促進策等、医療関連事業を取り巻く外部環境が当初の想定以上に変化し、厳しい状況下でありましたが、グローバル製品群が想定以上に成長するとともに、国内新製品群が堅調に成長し、収益の多様化が達成できました。
・ニュートラシューティカルズ関連事業につきましては、健康寿命の延伸に着目した独創的な新製品の開発・導入、基幹ブランドのグローバル展開の加速、及びバリューチェーンを支える経営資産を見直しました。収益構造を抜本的に改革した結果、売上収益、営業利益ともに当初の計画を達成し、当計画の大きな目標である営業利益率10%超を前倒しで実現しました。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
2018年度を最終年度とした第2次中期経営計画では、日本における薬価制度の抜本的改定や日本・欧州におけるジェネリック医薬品の使用促進策等、計画策定時の前提条件から大きく外部環境が変化し、その影響により、長期収載品や国内新薬を中心に売上収益が目標を下回りました。高齢化社会を迎え世界的に医療費削減が喫緊の課題となっていることから、これら外部環境の変化は今後も継続すると考えられます。一方で、行政にとっては医療費削減の視点から、人々にとっては健康でありたいという願望から、病気にならないための予防対策や運動・休息と合わせて栄養も含むライフプランへの意識が一段と高まっています。
当社グループは、これまでも疾病の診断から治療までを担う「医療関連事業」と、日々の健康の維持・増進をサポートする「ニュートラシューティカルズ関連事業」の2つのコア事業を中心に事業を展開してきました。このような健康への意識の高まりを受け、予防を含むトータルヘルスケアの重要性について認識を新たにしております。これからも長期的な展望の中、著しく変化する事業環境を先取りし、治療を目的とする医療関連事業と、予防をテーマとするニュートラシューティカルズ関連事業の両輪で、世界のトータルヘルスケアに貢献してまいります。
第2次中期経営計画では、「エビリファイ」の独占販売期間満了の影響を新製品の売上収益増で補い、収益構造の多様化を実現しました。また、ニュートラシューティカルズ関連事業の収益力の改革により、同事業セグメントの営業利益率が10%を超えるまでに至りました。当社グループでは引き続き、既存事業の収益力の強化を行うとともに、持続的成長のための投資が重要と考えています。そして長期的な視点で、環境変化を見据えた既存事業の価値最大化と“大塚だから挑戦できる” 新事業(新領域・ソリューション)の構築に取り組んでまいります。
また、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”という企業理念のもと、健康な社会の実現と持続可能な企業価値の創造を目指し、事業と一体化したCSR活動を推進してまいります。
現在、第3次中期経営計画の策定を進めており、2019年5月30日に公表を予定しております。