有価証券報告書-第10期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/30 16:51
【資料】
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【項目】
57項目

対処すべき課題

当社グループは、企業理念である“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”(世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する)の実現に向け、2018年度を最終年度とする第2次中期経営計画を策定し、具体的な取り組みを進めています。
<第2次中期経営計画の位置づけと主な施策>第2次中期経営計画では、収益構造の多様化を確立し、投資の継続と構造改革による持続的成長を実践していきます。当社グループは、企業理念を軸に、オーガニック成長を基本としたトータルヘルスケアの考えのもと、人・技術・製品等を通じた事業機会の拡大に取り組み、世界の人々の健康に貢献する「なくてはならない」企業を目指します。
① コア治療領域フランチャイズの強化
医療関連事業では、コア治療領域と位置付ける中枢神経領域とがん領域におけるフランチャイズの強化を中心に、患者さんの未解決の課題を探求し、その解決策として、さまざまな新しい価値創造の実現を目指します。
・中枢神経領域では、「エビリファイ メンテナ」及び「レキサルティ」の医学的・商業的価値の最大化を加速します。従来より取り組みを続けてきた精神疾患領域の事業基盤を拡大するとともに、アバニア社の買収により強化された神経疾患領域の事業基盤を融合し、未充足な治療ニーズやアドヒアランスの課題に対する包括的な貢献に向け、中枢神経領域全体の戦略を深化させていきます。
・血液がん・固形がん・がんサポーティブケア領域まで幅広く事業を展開するがん領域では、メチル化阻害剤や新規分子標的薬のグローバル研究開発の推進、「ロンサーフ」の米国自社販売基盤の確立や、セルヴィエ社との欧州を中心とした販売提携など、創薬から販売に至るまでのグローバル事業基盤の拡大により、独創的な新薬の創生と製品の医学的価値の最大化に取り組んでいきます。
・バソプレシンV2受容体拮抗剤「サムスカ/ジンアーク」は、従来の水利尿薬としての成長に加え、これまで治療薬のなかった常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)に対する唯一の治療薬として、グローバルでの展開を進めていきます。
・日本国内は、第1次中期経営計画期間中に上市した新製品のさらなる成長に加え、第2次中期経営計画期間中に上市した新製品の早期育成に注力していきます。
・臨床栄養事業はアジアを中心とした海外展開、医療機器事業は治療ソリューションの多様化に注力していきます。
② ニュートラシューティカルズ関連事業の変革・構造改革と成長
・“健康寿命”をテーマとした研究開発の加速や、製品価値訴求型の販促活動に注力し、新製品を育成していきます。
・海外売上の拡大を目指し、アジアでは「ポカリスエット」、米国では「ネイチャーメイド」、欧州ではニュートリション エ サンテ社の栄養・健康食品の事業エリアを拡大していきます。
・長期的視野に立った持続的成長を目指し、製品や海外販路獲得を目的とした戦略的投資や、自社ブランドの積極的な海外展開を実施していきます。
・新製品の育成と海外展開を加速するためバリューチェーンを支える経営資産を見直し、収益構造の改革を目指します。
主な施策の進捗は以下のとおりです。
・ 「エビリファイ メンテナ」は日本・米国・欧州で販売され、グローバルでの売上は大幅に増加しています。米国では2017年7月に双極性障害の効能が追加され、さらなる製品価値の最大化に取り組んでいます。
・ 「レキサルティ」は、米国で統合失調症と大うつ病補助療法の適応症で販売され、売上は大幅に増加しています。引き続き効能追加を目指して、積極的に製品価値向上に取り組みます。
・ 「サムスカ/ジンアーク」は、経口水利尿薬としての医療現場における価値が向上し、さらに世界初の常染色体優性多発性のう胞腎治療薬として日本・欧州で患者さんに貢献しています。また米国では2017年11月に同効能で承認申請を行い、腎臓の難病治療へのさらなる貢献拡大に取り組んでいます。
・ 「ロンサーフ」は、日本・米国・欧州で結腸・直腸がんの治療薬として販売され、売上は順調に増加しています。製品価値を高めるため、効能追加を目的とした胃がんのグローバル臨床試験を実施しております。
・ ニュートラシューティカルズ関連事業は、新規カテゴリー製品の育成と成長領域への積極投資により、海外事業の売上が順調に増加しています。新製品の育成と海外展開を加速させるため、引き続きバリューチェーンを支える経営資産を見直し、安定的な収益構造への改革に取り組みます。