有価証券報告書-第14期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/24 16:12
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは、2021年度を開始年度とする新たな中期経営計画「VISION2023」を2021年5月に策定しました。そして、「VISION2023」を策定するにあたり、企業ビジョン「感動と安心を世界の人々へ」の実現に向けて、以下のとおり経営方針を刷新いたしました。
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(2)目標とする経営指標
当社が「VISION2023」において目指す主な経営指標は以下のとおりです。
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*上記目標数値は、当社が現在入手している情報をもとに、本有価証券報告書提出日現在における当社の判断に基づいて作成されたものであり、また、一定の前提(仮定)の下に作成されています。当社は、上記目標数値の達成を保証するものではなく、実際の結果はこれと大幅に異なる可能性があります。
※1 コア営業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除することにより算出され、主として一時的な要因からなる、その他の収益、その他の費用、為替差損益などを含みません。
※2 親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)= 親会社の所有者に帰属する当期利益 ÷ 期中平均親会社の所有者帰属持分×100
※3 配当性向(連結)= 1株当たり配当額 ÷ 基本的1株当たり当期利益 × 100
※4 親会社所有者帰属持分比率 = 親会社の所有者に帰属する持分 ÷ 資産合計 × 100
※5 有利子負債資本倍率(D/Eレシオ)= 有利子負債 ÷ 親会社の所有者に帰属する持分合計
(3)経営環境・成長戦略
①中期経営計画「VISION2023」について
当社は、「感動と安心を世界の人々へ」という企業ビジョンで掲げている経営理念の実践を通じて、「たくましさ」と「したたかさ」を併せ持ったエクセレント・カンパニーへ飛躍することにより、ステークホルダーの皆様の期待に応える企業となることを目指しています。
昨年新たに策定した中期経営計画「VISION2023」では『変革と成長』を基本戦略とし、既存事業の収益基盤を強化していく「変革」と、新規商材と新規事業の創造による成長事業を拡大していく「成長」を両輪として、サステナビリティ経営の推進とESGの強化に取り組んでいます。そして、最適な事業ポートフォリオへの転換によって持続的な企業価値向上を目指していきます。
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②当連結会計年度(2021年度)の振り返り
中期経営計画「VISION2023」の初年度にあたる2021年度は、一昨年から続く新型コロナウイルス感染症の拡大や、半導体を中心とした部品供給問題、サプライチェーン問題などによる深刻な影響を受けた状態でスタートしました。そのような経営環境のもと、「VISION2023」の重点テーマである「事業ポートフォリオの再定義」や「収益基盤の強化」に向けた各種施策及び経営課題への対応を実施いたしました。具体的な内容は以下の通りです。
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③今後の取り組み
当社は2022年度も引き続き、中期経営計画「VISION2023」で掲げた各種施策を継続推進することにより、最終年度である2023年度の経営目標達成を目指していきます。
そして、当社は今後も企業ビジョンである「感動と安心を世界の人々へ」を実現すべく、社会課題解決に貢献するエクセレント・カンパニーへの飛躍を目指していきます。そのため、当社の持つ強みをさらにブラッシュ・アップしながら、“デザイン思考の経営”をベースに、人材育成、風土構築、財務基盤の強化に取り組み、社会価値を創造することで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。
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また当社は、中期経営計画「VISION2023」で掲げた事業ポートフォリオの再定義による持続的な企業価値向上を強化していきます。
市場の魅力度(売上成長性など)と自社の収益性・資本効率性により、「変革と成長」に向けて事業ポートフォリオを再定義しました。市場の魅力度(成長性)が低いポジションにある事業については、収益構造改革を中心に「変革」を進めていきます。「課題事業」では、戦略見直しによる構造改革、及び撤退・縮小の変革を、「収益基盤事業」では、収益性・資本効率性の向上に向けた変革を実施します。
一方、市場魅力度が高いポジションにある事業については、「成長」に向けて経営リソースの集中を加速していきます。「重点事業」では、市場シェア向上によるさらなる収益性の拡大、「次世代新規事業」では、当社のコアコンピタンスを強化し、テレマティクスサービス事業、IoTプラットフォームサービス事業、次世代光通信デバイス事業といった、将来の成長分野の強化を目指します。
当社はこれらの変革と成長を通して、モビリティ&テレマティクスサービス領域のリーディングカンパニーを目指し、持続的な企業価値向上を目指していきます。
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(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は企業ビジョンとして「感動と安心を世界の人々へ」を掲げています。このビジョン実現のため、当社が持つ製品やサービスごとに市場動向の変化に柔軟かつ迅速性を持って対応すると同時に、事業を通じた持続型社会への貢献を目指し、当社グループが有するコアテクノロジーを生かしたイノベーションによる持続可能(サステナブル)な企業価値向上を図っていきます。
具体的には、当社は前述の経営環境のもと、中期経営計画「VISION2023」で掲げた各種施策を継続推進することにより、最終年度である2023年度の経営目標達成を目指し、持続的な企業価値向上を強化していきます。
上記の成長戦略を進めるにあたり当社が認識している対処すべき課題は以下のとおりです。
①サプライチェーンマネジメント(SCM)の改革について
前期に発生したサプライチェーンの脆弱性を全社の重要リスクとして認識し改革するため、2022年4月1日付でSCM改革担当役員及びSCM改革推進部を設置しました。プロセスの見える化とモニタリングを強化することで、事業計画の確実な推進と、キャッシュ・フローの観点で経営の意思決定の迅速化を図り、サプライチェーンの最適化を目指します。
②SDGsへの貢献について
当社グループは、事業と関連の強い社会課題を抽出・分析し、企業ビジョンとのつながりを考慮しながらマテリアリティ(重要課題)を特定しています。SDGsの全17ゴールのうちの8ゴールを最優先で取り組むべき重要課題として選定し、進捗管理のためKPIsとして、定性・定量的な目標を設定しています。社会課題テーマ(社会、労働、環境、品質、経済、安全、ガバナンス、価値創造)を明確にし、課題解決に向けた製品やサービス、ソリューションを提供することで、持続的な企業価値の向上とSDGs達成への貢献を図っていきます。
(5)環境保全・社会貢献活動に向けた取り組み
当社グループは、2021年8月に新たな環境ビジョンを策定し、地球環境保全に対する基本的な考え方を示すとともに、それに基づく環境基本方針「JKグリーン2025」の中で、「気候変動への対応」「資源の有効活用」「環境保全・管理」「生物多様性の保全」の4項目でそれぞれ目指すべきゴールを設定しました。特に、気候変動への対応については、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、Scope1+2と3でそれぞれCO₂排出量削減の目標を設定しています。
当社グループは、ISO14001認証取得を継続するとともに、その活動を通じて廃棄物や水の使用量削減及び化学物質の適正管理を行っています。また、従業員に対する定期的な環境研修による啓発活動、環境法規制遵守に基づいた飛散性アスベストの除去及び保管しているPCB汚染物も計画的に無害化処理を進め環境リスクの低減を推し進めています。
電機メーカーとして要素技術開発や商品設計に際してアセスメントを行う事によってRoHS(電気・電子機器における特定有害物質の使用規制)やREACH(化学物質の登録・評価・認可・制限・情報伝達に関するEU規則)等製品の有害化学物質管理や各国の法規制に対応しながらバリューチェーン全体におけるスコープ3(購入品の製造、販売した製品の使用、輸送等)のCO2排出量削減及び環境負荷の低減を目指してプラスチック使用量削減と個装箱の小型化による積載効率の向上などにも取り組んでいます。
また、事業活動における地球環境や生物多様性の保全だけでなく、当社の製品・サービスや知見を生かし、聴覚過敏による困難を抱える方のサポートに繋がる製品の開発や除雪車へのドライブレコーダーの導入などを行うとともに、今後の社会を担う次世代の育成やコミュニティに貢献する活動もグローバルで展開しています。具体的には、SDGsへの理解を促すことを目的とした出前授業や、学生の職場見学・就業体験、各拠点でのスポーツイベントへの支援や震災復興支援、寄付活動等を通じて、様々なコミュニティへの貢献に繋がる取り組みを、情勢に鑑みて新型コロナウイルス感染症対策等も講じながら推進しています。