四半期報告書-第6期第1四半期(平成27年4月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/08/07 15:10
【資料】
PDFをみる
【項目】
32項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
なお、当第1四半期連結累計期間より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「四半期純損失」を「親会社株主に帰属する四半期純損失」としております。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるグローバル経済は、ユーロ圏ではギリシャの債務問題リスクが残っているものの実質経済や消費活動への影響は限定的にとどまっており、米国の景気は堅調に推移を続け景気回復が底堅いものとなっています。一方、中国では株価の下落や景気の減速が鮮明となり新興国の景気についても不透明な見通しとなっています。また、国内経済についても、経済指標は改善しているものの、消費の力強い回復には至っていない不安定な状態となっています。
このような事業環境の下、当社グループはパイオニアグループのホームAV事業、電話機およびヘッドホン関連事業の統合により、両社のブランド力や優れた技術開発力などの経営資源を互いに有効活用するため、事業単位をAV事業、OEM事業および電話機・ヘッドホン等モバイルオーディオや音楽配信事業等の新ジャンルを統括するデジタルライフ事業の3事業に組織再編を行い、統合効果の実現と新たな価値の創出『 VALUE CREATION 』を目指した取組を本格的に開始いたしました。
当第1四半期連結累計期間より実質稼働を開始したデジタルライフ事業におきましては、長年培ってきた音響技術とシーメンス補聴器の「匠」の技術の融合により快適な装着感で音楽を楽しめる、オンキヨーブランドカスタムインイヤーモニター「IE-C1/C2/C3」を新たに発売するとともに、熟練マイスターが組み立てるパイオニアブランドヘッドホンの究極のフラッグシップモデル「SE-MASTER1」等、話題の新製品を市場導入いたしました。また、Gibson Innovations Limited が開発したアクティブノイズキャンセリング機能付きヘッドホン/ フィデリオ「NC1」をはじめとするヘッドホンを含むPhilipsブランド製品の国内販売を開始いたしました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、パイオニアブランドAⅤ製品およびデジタルライフ製品の寄与により売上高は前年同期比5,370百万円増収の12,511百万円となりました。一方、営業損益につきましては、円安ドル高による製品原価の増加や新製品の導入に伴う販売費先行および統合に係る一時的なインフラ整備費用の計上等により、前年同期比848百万円減益の1,607百万円の営業損失となりました。経常損益は、前年同期比714百万円減益の、1,624百万円の経常損失となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損失につきましては、前年同期に投資有価証券売却益等が計上されていたことなどにより、前年同期比1,607百万円減益の1,625百万円となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。
①AV事業
当第1四半期連結累計期間におきましては、主力のAVレシーバー等の新製品が順次市場導入されるタイミングのため、旧製品の最終処分と新製品の導入が展開される中、TX-NR646等話題の新製品の販売が予想を上回り在庫切れになる等国内海外で堅調に推移するオンキヨーブランドAV製品に加え、パイオニアブランドAV製品の売上高への寄与が大きく影響し、売上高は前年同期比3,976百万円増収の8,784百万円となりました。
一方、損益につきましては、円安ドル高による製品原価の上昇要因に加え、旧製品の最終処分と新製品の導入・新規展示費用が先行した事などにより、前年同期比556百万円減益の772百万円のセグメント損失となりました。
②OEM事業
OEM事業における売上高は、車載用スピーカーは堅調に推移しましたが、PC用のマイクロスピーカーの受注が減少したことやセンサーの受注減により前年同期比246百万円減収の2,087百万円となりました。
一方、損益につきましては、中国内工場の集約に伴う生産効率の改善などにより、22百万円増益の204百万円のセグメント損失にとどまりました。
③デジタルライフ事業
デジタルライフ事業における売上高は、堅調な電話機の販売に加えPhilipsブランド製品の寄与により、1,640百万円となりました。
一方、損益につきましては、円安ドル高による製品原価の高騰に加え、Philipsブランド製品の新規市場導入のための販売費の増加等により、167百万円のセグメント損失となりました。

(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、842百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループは、同業他社であるパイオニアグループのホームAV事業並びに電話機事業およびヘッドホン関連事業を統合し、従前より当社が得意とするAVレシーバー分野においてゆるぎない市場占有率を確保いたしました。今後、両社のブランドや優れた技術開発力等の経営資源を互いに有効活用し、より魅力的な製品を市場に送り出すとともに、コスト競争力を向上させ、市場での優位性と経営基盤の強化を図ってまいります。しかしながら、AVレシーバーやHi-Fiオーディオの市場自体は、主要な世界のAV市場の中においては1/4程度に過ぎず、ヘッドホンやブルートゥーススピーカーおよびデジタルオーディオプレーヤー等の市場の方がはるかに大きいばかりか伸長率も高い市場です。当社グループは、パイオニアグループとの事業統合により、ヘッドホン等のモバイルオーディオに関するノウハウを獲得し、さらにGibson Innovations Limited等との協業も深める中で、日本のオーディオメーカー復権を目指し、ヘッドホン、ワイヤレススピーカー、デジタルオーディオプレーヤー等の分野を今後の成長の柱と位置付け、グループの成長に向けてスピード感をもって取組んでまいります。
OEM事業におきましては、車載用スピーカーを中心とした主要製品に経営資源を集中し生産地の適正化と生産効率と品質の向上をより一層進めることにより、収益性の改善を図ってまいります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,322百万円増加し30,400百万円となりました。有利子負債は前連結会計年度末比407百万円減少の8,387百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末比1,698百万円減少の1,787百万円となりました。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは経営理念(ビジョン)として『 VALUE CREATION 』を掲げております。当社は、創業以来、人類の共通語ともいえる音楽の理想的な再生装置の開発を目指してきました。そういった長年のものづくりで培ってきた技術やノウハウに “新しい何かを加えること(+Something NEW)” で、新たな価値提案を行い、驚きと感動を提供していくことを目標とし、下記の「経営方針」の達成に向けて真剣な取り組みを続けてまいります。
① 世界の市場で最高水準の品質と性能を維持し、心の琴線に触れる商品・サービスを提供し続けます。
② 環境との共生、調和をスローガンとし、広く社会から信頼される企業活動を行います。
③ グループ全体で経営効率の向上を図り、利益を創出することで、企業価値の向上に努めます。
(7) 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を改善するための対応策
当社グループには、「第2 事業の状況 1事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりますが、このような状況を早期に解消すべく以下の三つの骨子をもとに対応策を実施することにより、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
① 事業構造改革による固定費及び諸経費の削減
当社グループはこれまでに多岐にわたる固定費の削減を行ってまいりましたが、将来に向けた経営環境の変化に対応するスリムな組織体制を目指し抜本的な構造改革を実現すべく当社および国内連結子会社の従業員の約15%にあたる97名の、平成27年4月30日を退職日とした希望退職制度を実行しており、さらなるコスト改善及び諸経費削減を断行してまいります。
② 財務体質の安定・改善
当社は、平成25年9月、平成26年9月に複数の取引金融機関とシンジケート・ローン契約を締結しており、同ローン契約の財務制限条項のうち、「修正純資産維持」条項に前連結会計年度末で該当しておりましたが、シンジケート・ローンの変更契約を6月25日に締結し、平成27年3月期については当該条項については対象外としております。
平成27年9月にシンジケート・ローンの借り換えを予定しておりますが、当社はメインバンクを中心に主要取引銀行と緊密な関係を維持しており、継続的な支援が得られるよう協議を行っております。また、今後も引続き運転資金の改善を図るべく、在庫レベルの適正化に取組み、製販決定会議の厳格な運用により全社的な在庫低減活動を実施し、当期末の在庫総額を前期末比で30%以上削減することを目標として取組んでまいります。
③ 他社との協業による収益力の改善
・パイオニアAV事業との統合によるシナジー効果
両社事業の重複する機能を統合することにより、AV機器における製品開発費用、生産コスト、物流コスト等の低減を図ることが見込まれるとともに、両社の技術や強みを持ち寄り新規製品の開発を強化してまいります。
・ヘッドホン事業の拡大
Philipsブランド製品の国内販売を開始し、同社の広範な販売網を活用してオンキヨーブランド製品の海外展開を拡大するなど販売体制を強化してまいります。また、Gibson Innovations Limited開発製品の国内販売、パイオニアブランドのヘッドホンの販売拡大も見込まれ、ヘッドホン事業は大きな成長が期待されます。
・Zylux社との資本・業務提携によるOEM生産の拡大
オーディオ機器生産におけるコストの低減、開発費の圧縮を図ることが可能になるとともに、Zylux社顧客への新規提案を共同で行うことでオーディオ完成品のOEM生産を拡大し、当社生産工場の稼働率の向上を図ります。