四半期報告書-第6期第2四半期(平成27年7月1日-平成27年9月30日)

【提出】
2015/11/13 15:11
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、第1四半期連結累計期間より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「四半期純損失」を「親会社株主に帰属する四半期純損失」としております。
(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるグローバル経済は、ユーロ圏の経済はおおむね安定しており、米国の景気は堅調な推移を続けています。一方、中国経済の減速が鮮明となったことにより株価が不安定に乱高下する等、市場での動揺が広がっており、今後の世界経済への影響が懸念される状況となっています。国内経済については、経済指標は改善しているものの、力強い消費の回復には至っていない不透明な状況となっています。
このような事業環境の下、当社グループは独自の音に対するこだわりの技術をコアコンピタンスとし、経営理念である『VALUE CREATION』に基づき異業種も含めた他社との提携及び協業関係を通した新たな価値の創造を目指しております。その一環として、パイオニアグループのホームAV事業、電話機およびヘッドホン関連事業の統合により、両社のブランド力や優れた技術開発力などの経営資源を互いに有効活用するため、事業単位をAV事業、OEM事業および電話機・ヘッドホン等モバイルオーディオや音楽配信事業等の新ジャンルを統括するデジタルライフ事業の3事業に組織再編を行いました。また、統合と組織再編に伴うシステム変更やオペレーションの最適化を進める一方、統合効果の早期実現を目指し、設計や生産等の完全統合に向け当初計画を前倒しして実施する取組を積極的にとり進めてまいりました。
新たなセグメントとして活動を開始したデジタルライフ事業におきましては、フィリップスブランド製品の販路の拡大や、オンキヨーブランドカスタムインイヤーモニター「IE-C1/C2/C3」の販売拠点を拡充する一方、年末商戦に向けオンキヨー・パイオニア両ブランドでの市場投入を予定しているハイレゾ音源対応ポータブルデジタルオーディオプレーヤー(DAP)の開発を急ピッチで進めてまいりました。
また、OEM事業では車載用スピーカー、テレビ用スピーカー等従来得意としていた分野における技術やノウハウを応用し、本格的業務用音響機器(PA機器)事業に参入するなど未開拓分野や電子ピアノなどの楽器等の分野へも積極的に事業の展開を進めてまいります。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、パイオニアブランドAⅤ製品およびデジタルライフ製品の寄与により売上高は前年同期比12,321百万円増収の27,795百万円となりました。一方、円安ドル高による製品原価の上昇やユーロの下落による販売の目減りによる売上総利益の減少に加え、新製品の導入に伴う販売費先行および統合に係る一時的なインフラ整備費用の計上とともに、事業統合によるシナジー効果早期実現に向け企画、設計、調達及び生産工場の移管やオペレーションの融合に係る取組による関連費用の増加等により、営業損益につきましては、前年同期比1,360百万円減益の2,526百万円の営業損失となりました。これにともない経常損益につきましても、前年同期比1,245百万円減益の2,688百万円の経常損失となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損失につきましては、前年同期に投資有価証券売却益等が計上されていたことなどにより、前年同期比2,148百万円減益の2,625百万円となりました。
セグメント別の業績は以下の通りです。
①AV事業
当第2四半期連結累計期間におきましては、新製品の市場投入が概ね完了し、オンキヨーブランドのステレオプリメインアンプA-9010、AVレシーバーのフラッグシップモデルTX-NR3030が英国の著名な業界雑誌What Hi-Fiでの最高評価であるファイブスターを獲得したことに加え、パイオニアブランドのAVレシーバーSC-LX59も同誌ファイブスターの評価に輝きました。クリスマス商戦を控えた当第2四半期連結累計期間の売上高はパイオニアブランドAV製品の売上高の寄与等により、前年同期比8,960百万円増収の19,797百万円となりました。
一方、損益につきましては、ユーロが対ドル相場で下落した事に加え円安ドル高による製品原価の上昇により原価率が上昇したため売上総利益が減少したことに加え、オペレーションの最適化を目的としたシステム等の改修費用や統合のシナジー効果を実現するための企画、設計、生産地の見直しを積極的に加速したことによる一時費用の増加等により、前年同期比727百万円減益の1,094百万円のセグメント損失となりました。
②OEM事業
OEM事業における売上高は、車載用スピーカーは堅調に推移しましたが、PC用のマイクロスピーカーの受注が減少したことやセンサーの受注減等により前年同期比203百万円減収の4,433百万円となりました。
また、損益につきましては、センサーやサウンドシステム等の利益率の高い製品の受注が減少したことにより、42百万円減益の208百万円のセグメント損失となりました。
③デジタルライフ事業
デジタルライフ事業における売上高は、堅調な電話機及びヘッドホンの販売に加えフィリップスブランド製品の寄与により、3,564百万円となりました。
一方、損益につきましては、円安ドル高による製品原価の上昇に加え、販売店やユーザーから非常に高い期待を寄せられている、デジタルオーディオプレーヤーの年末商材としての量産に向けた開発費の先行及びフィリップスブランド製品の新規市場導入のための販売費の増加等により、262百万円のセグメント損失となりました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,732百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループは、同業他社であるパイオニアグループのホームAV事業並びに電話機事業およびヘッドホン関連事業を統合し、従前より当社が得意とするAVレシーバー分野においてゆるぎない市場占有率を確保いたしました。今後、両社のブランドや優れた技術開発力等の経営資源を互いに有効活用し、より魅力的な製品を市場に送り出すとともに、コスト競争力を向上させ、市場での優位性と経営基盤の強化を図ってまいります。しかしながら、AVレシーバーやHi-Fiオーディオの市場自体は、主要な世界のAV市場の中においては1/4程度に過ぎず、ヘッドホンやブルートゥーススピーカーおよびデジタルオーディオプレーヤー等の市場の方がはるかに大きいばかりか伸長率も高い市場です。当社グループは、パイオニアグループとの事業統合により、ヘッドホン等のモバイルオーディオに関するノウハウを獲得し、さらにGibson Innovations Limited等との協業も深める中で、日本のオーディオメーカー復権を目指し、ヘッドホン、ワイヤレススピーカー、デジタルオーディオプレーヤー等の分野を今後の成長の柱と位置付け、グループの成長に向けてスピード感をもって取組んでまいります。
OEM事業におきましては、車載用スピーカーを中心とした主要製品に経営資源を集中し生産地の適正化と生産効率と品質の向上をより一層進めることにより、収益性の改善を図ってまいります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,732百万円増加し32,810百万円となりました。有利子負債は前連結会計年度末比657百万円減少の8,137百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末比2,785百万円減少の700百万円となりました。
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に対して824百万円減少の2,200百万円となりました。当累計期間に係る区分ごとの各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同四半期1,922百万円の支出に対して、47百万円の支出となりました。これは主に、税金等調整前四半期純損失の計上、売上債権、棚卸資産及び仕入債務の増加によるものであります。
また、投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同四半期1,486百万円の収入に対し、130百万円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同四半期1,129百万円の収入に対し、733百万円の支出となりました。これは主に短期借入金、長期借入金の返済によるものであります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは経営理念(ビジョン)として『VALUE CREATION』を掲げております。当社は、創業以来、人類の共通語ともいえる音楽の理想的な再生装置の開発を目指してきました。そういった長年のものづくりで培ってきた技術やノウハウに“新しい何かを加えること(+Something NEW)”で、新たな価値提案を行い、驚きと感動を提供していくことを目標とし、下記の「経営方針」の達成に向けて真剣な取組みを続けてまいります。
① 世界の市場で最高水準の品質と性能を維持し、心の琴線に触れる商品・サービスを提供し続けます。
② 環境との共生、調和をスローガンとし、広く社会から信頼される企業活動を行います。
③ グループ全体で経営効率の向上を図り、利益を創出することで、企業価値の向上に努めます。
(7) 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を改善するための対応策
当社グループには、「第2 事業の状況 1事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりますが、このような状況を早期に解消すべく以下の二つの骨子をもとに対応策を実施することにより、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
① 財務体質の安定・改善
事業統合を積極的に進めるうえで発生した一過性の費用計上や海外外注先の生産拠点における混乱等の影響がありましたが、オペレーション及びインフラの安定稼働と生産体制の回復により10月度は計画を上回る販売を達成しています。さらに、パイオニアグループとの事業統合による重複した機能の統合に伴う経費削減に取組んでおりますが、シナジー効果の最大化の為、開発プラットフォームの共通化による設計費の削減、生産工場の集約、部品の共通化と調達の一元化による材料コストダウンの早期実現に向け、企画、設計、生産管理及び工場部門が一丸となった原価低減活動に取組んでおります。引き続き生産の集約を進めることで、工場の操業益の増加が見込まれるとともに、共通設計によるシナジー効果が実現される新製品の生産も今期中に開始予定であることから、今期のクリスマス商戦における収益性は大幅に改善し、当連結会計年度末においては経常利益の計上を見込んでいることから、財務制限条項の抵触可能性は低いと考えています。
なお、当社はメインバンクを中心に主要取引銀行と緊密な関係を維持しております。実際に平成27年9月にシンジケート・ローンの借り換え契約を実行しており、定期的に建設的な協議を継続していることから、主要取引銀行より継続的な支援が得られるものと考えております。また、仮に財務制限条項に抵触することにより期限の利益を喪失した場合でも、一部保有資産を資金化すること等により事業継続のために必要な資金を確保することができると見込んでおります。
② 他社との協業による収益力の改善
・デジタルライフ事業の拡大
フィリップスブランド製品の国内販売を開始し、同社の広範な販売網を活用してオンキヨーブランド製品の海外展開を拡大するなど販売体制を強化してまいります。また、シーメンス補聴器技術とのコラボレーションによるオンキヨーカスタムインイヤーモニターの販売やパイオニアブランドのヘッドホンの販売拡大に加えて、ハイレゾ音源を再生できるデジタルオーディオプレーヤーの発売によるモバイルオーディオ市場への参入による販売拡大等、デジタルライフ事業は大きな成長が期待されます。
・Zylux社との資本・業務提携によるOEM生産の拡大
オーディオ機器生産におけるコストの低減、開発費の圧縮を図ることが可能になるとともに、Zylux社顧客への新規提案を共同で行うことでオーディオ完成品のOEM生産を拡大し、当社生産工場の稼働率の向上を図ります。
・株式会社河合楽器製作所との資本・業務提携による新規市場の開拓
「第4 経理の状況 1.四半期連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、株式会社河合楽器製作所との資本業務提携を通じ、両社グループの技術力、ブランド力を融合し、また相互の経営資源を有効に補完し合うことで、新規カテゴリ製品の共同開発による新規市場の開拓、両社製品の販売拡大、製品や教育サービスにおける付加価値向上を実現するとともに、両社グループのサービス・販売部門等の各拠点の設備を相互利用するなどの事業基盤の有効活用を通じた経営の効率化を目指してまいります。