有価証券報告書-第10期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)

【提出】
2021/05/28 15:05
【資料】
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【項目】
158項目

対処すべき課題

当社グループは2019年度をスタートとする3か年の中期経営計画を策定していましたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う急速な経営環境の変化を踏まえて経営計画を見直すこととし、新たに「TSI Innovation Program 2024」(TIP24)として2021年4月に公表致しました。
当社グループは、新型コロナウイルスを始めとするお客様の意識及びライフスタイルの変化、更にはデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展等に伴う社会環境の変化に対して積極的に対応し、自社の独創性をもってお客様と社会に新たな価値を提供するべく抜本的な変革を進めてまいります。
(1) 短期的課題〜再構築
① 経営統合
当社グループは、2014年に2つの基幹子会社(㈱東京スタイル(旧)及び㈱サンエー・インターナショナル(旧))を6社に分割することにより、各事業毎に最適な資源配分と迅速な意思決定を行うべくその自主性を尊重しながらグループを運営してまいりました。
しかし、急速な電子商取引(EC)の広がりにより、各事業会社におけるECに関する知見や成功例をグループ内で直ちに共有し、グループ一丸となって対応する必要が出てきました。また、各事業会社が有する本部機能が重複する状態となっていることによる販売管理費の圧縮も課題となっていました。
そこで、各事業会社の再統合を行うことで、グループとしての事業モデルの変革を図ることとしました。経営統合の第1弾は2021年3月1日付で実施しましたが、今後も準備が整い次第、順次他の事業子会社も㈱TSIに統合することで更なる集約を図っていきます。
② 収益構造改革
新たな経営環境下においても確実に利益を確保するため、組織構造における機能の重複を排除しよりシンプルなものにすることにより、損益分岐点の引下げを進めます。
また、粗利益率を改善するため、生産サイクル及び在庫管理の抜本的な見直しによる在庫の圧縮を徹底するとともに、極力正価販売に努めセールに頼らない事業構造へと転換してまいります。
③ 事業スピードの向上
子会社を統合し事業スピードを向上させるべく、EC、マーケティング、システムなどの機能を集約することにより、各事業における知見や成功例を共有し速やかにグループ内に展開できる体制を整備します。
④ 成長事業投資
厳しい経営環境下においても高い収益性をあげている優良ブランドや高い成長を継続しているEC事業については、引き続き積極的且つ効果的に投資することにより、その成長を加速させます。
特に、ECについてはこれまでにない大規模な広告投資を行い新規顧客の開拓を図るとともに、他社サイトを利用しているお客様に対する自社サイトの認知度向上並びにサイト来訪者に対する商品購入者の割合(CVR)の向上を図るなど、全方位的にその強化を図ります。また、スポーツアパレルやストリートブランドなどの好調な事業についてはECは勿論のこと、国内出店や海外展開などを進めることによって成長スピードを加速させます。
⑤ 基幹ブランドにおける商品企画力強化
ナチュラルビューティーベーシックやナノ・ユニバースなどの売上高の大きい基幹ブランドにおいては、人材面の充実による商品企画力の強化を図ることにより、これまで以上にお客様の感性に訴える魅力的なデザイン創出を促進します。
(2) 中長期的課題〜創生と飛躍
① 経営と業務におけるデジタルトランスフォーメーション
当社の基幹システムにおいて、世界的に普及しているERPパッケージであるSAPを導入することにより、経営に必要な情報を適切なタイミングで入手し、スピーディーに経営に反映させる仕組みを構築します。
また、デザイン-企画-調達-生産の各工程をシステムで連携させることでCADデータや縫製、加工指示データを各段階で共有するとともに、自社工場を活用することで生産の高度化と高速化を図ります。
更に、システム上にてECと店舗における在庫管理の一元化を図ることで、在庫の分散で発生する販売機会損失を防ぐ取り組みを進めます。
② マーチャンダイジングの転換
これまでの売上重視のブランドマネジメントから、定価販売と無駄のない需給バランスを意識した商品供給への転換を図ることで、ブランド資産と収益力の拡大へと舵を切ってまいります。
また、商品の製造販売計画も粗利益改善に着目した見直しを行い、需要予測の精度を向上させることで「売れる分だけを仕入れる」取り組みを徹底します。
さらに店舗販売員が直接SNSを活用してコーディネートをお客様に提案し、或いはECのお客様にスマートフォンを用いて接客するなど、店頭を起点としたECマーケティングにも取り組んでまいります。
③ 経営資源のECへの集約
成長著しいECにおける売上拡大を図るため、ECサイトの集客力の強化並びに購買率(CVR)の向上などの新規顧客の獲得を最重要KPI(Key Performance Indicator)として、資金と人材を集中的に投下してまいります。
また、店舗とECを一体運営し、在庫情報を始め顧客の購買履歴や購買行動等の情報を一元管理し効率的に運営するユニファイドコマースの拡大を図ります。
④ グローバル戦略
米国、ヨーロッパ、中国、韓国のそれぞれのエリアについて、これまでの日本発ブランドの海外販売というコンセプトに縛られず、M&A等の手法を最大限活用して現地発のブランド、商品、あるいはマーケティング手法を当該エリア内で発展させるとともに、エリアをまたいだ展開を進めることで、グローバルな視点で事業の拡大と深化を図ってまいります。