四半期報告書-第15期第3四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/11/14 15:32
【資料】
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【項目】
32項目
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、米国では製造業・非製造業ともに減速感が出始め、中国との貿易摩擦の改善が待たれる状況が継続しており、中国でも引き続きGDP成長率の低下が続き景気の減速基調が続いております。欧州でも中国経済の減速感を受け低成長が継続する見通しです。
当社グループの主力事業であるリチウムイオン二次電池セパレータ事業においては、中国で自動車販売台数が伸び悩み、EVに対する政府補助金制度も終わったことから車載用LiB市場にも停滞感はあるものの欧州自動車メーカー各社は各国で開催されているモーターショーでも積極的にEV新モデルの発表を続け、自動車メーカーのEVに対する注力度が高まり、自動車用電池需要増への期待感は引き続き拡大基調となっております。一方で民生需要では、新規アプリケーションとして蓄電システム市場が活発化し始めている一方で、スマートフォン市場の伸び悩みと米中貿易摩擦の影響を受けた中国製品の北米向け輸出製品需要に回復が見られない状況が続いております。
このような市場環境の中で、当社では地域別販売構成においては中国から韓国への転換を進め、同時にアプリケーションでも需要変動の激しい民生機器から中長期的な採用が見込まれるEV案件や蓄電システムへの移行を進めております。
こうした転換期の中で各顧客の民生案件は6月以来低調なまま推移しておりますが、EV案件の需要は安定的に成長しており販売を伸ばし、当第3四半期連結売上高は、8,824百万円(前年同四半期比40.6%増)となりました。
地域別には、韓国顧客向け売上高において民生案件の回復が遅れる中でEV案件の成長が大きく、5,701百万円(同62.4%増)となりました。中国顧客向け売上高は引き続き債権回収を優先しながらの営業活動となった為、1,292百万円(同26.7%減)となり、日本顧客向け売上高においては安定的に販売を継続しており、1,208百万円(同30.2%増)となりました。また、米国顧客向け販売が安定的に継続しており、620百万円(同723.2%増)となりました。
営業利益に関しては、前年同四半期比で売上高の大幅な増加はあったものの、今後の需要の伸びに備えた設備投資及び人員増は継続しており、前年同四半期比では減価償却費が約6億円の増加、人件費が約12億円の増加、開発費及びサンプル費が34百万円の増加となり、営業損失が3,211百万円(前年同四半期は1,736百万円の営業損失)となりました。
製造の状況に関しては、W-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK)の製造ライン9本は一部の製造ラインにおいて新製品の量産実験生産あるいは新規案件向けサンプル生産等を実施しているものの概ね順調に稼働しており、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)の累計10-11号ラインは量産販売を継続し、本年6月末に据え付けを完了した12号ラインにおいてはすでに顧客のライン承認も取り付け量産準備が完了しました。13号ラインにおいても本年末までに同様の準備を進める予定となっております。
また、自動車用途でコーティング製品の需要が拡大する中で、WSKでは6本のコーティングラインが安定稼働しており、WCPでも4本のコーティングラインの据え付けを完了させました。
営業外費用は為替差損388百万円(前年同四半期は為替差益264百万円)などがあり、結果として、税金等調整前四半期純損失は3,881百万円(前年同四半期は税金等調整前四半期純損失1,559百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は3,204百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失1,353百万円)となりました。
平均為替レートにつきましては、当第3四半期連結累計期間の対1米ドルが前年同四半期比で約0.57円円高の109.05円、対1米ドルが前年同四半期比で71.30ウォンウォン安の1,162.18ウォン、対1,000ウォンでは前年同四半期比で約6.7円円高の93.8円となりました。
当第3四半期連結会計期間末における総資産につきましては53,224百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,727百万円増加しました。主な要因は以下のとおりであります。
(資産)
流動資産につきましては6,160百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,674百万円の減少となりました。これは主として、現金及び預金が4,530百万円減少したことによるものであります。固定資産につきましては47,064百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,402百万円の増加となりました。これは主として、機械装置及び運搬具が5,524百万円増加したことによるものであります。
(負債)
負債につきましては40,803百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,151百万円の増加となりました。流動負債につきましては16,415百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,341百万円の増加となりました。これは主として、未払金の増加2,579百万円や1年内返済予定の長期借入金の増加685百万円によるものであります。固定負債につきましては24,388百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,809百万円の増加となりました。これは主として、長期借入金の増加5,935百万円によるものであります。
(純資産)
純資産につきましては12,420百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,423百万円の減少となりました。これは主として、新株予約権の権利行使等に伴い資本金及び資本準備金がそれぞれ574百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上3,204百万円、為替換算調整勘定の減少3,303百万円によるものであります。
(2) 継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための改善策
当社グループは前連結会計年度において営業損失、経常損失を計上しており、当第3四半期連結累計期間においては、新規EV用途案件の量産を開始したことにより売上が増加基調にある一方で、一昨年来継続している同案件等のサンプル費用及び製造ライン承認のための稼働費用等が増加した結果、営業損失、経常損失を計上しております。また、当連結会計年度において経常損失を計上した場合には、一部の長期借入金にかかる財務制限条項に抵触することとなり、当該財務制限条項が適用された場合には、期限の利益を喪失することとなります。
当社グループは当該状況を解消すべく、先に締結した顧客との長期供給量の合意に基づく新規EV用途案件の出荷拡大や製造ラインの稼働率上昇等によるコスト低減等による来期の黒字化に向け強い意志で取り組んでおります。また資金面では、既存融資残高を有する金融機関とは緊密にコミュニケーションを取りながら引き続き支援を得られる体制を確保するとともに、中期経営計画を着実に遂行していくための資金調達について複数の金融機関等と具体的な協議を進めております。なお、当社の子会社であるWCPは、設備投資資金として11月11日にNoh & Partners株式会社に対し1,150億ウォン(約103億円)の転換社債を発行することを取締役会で決議し、同日に転換社債引受契約を締結しております。
従って、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在するものの、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は915百万円であります。
(4) 従業員数
連結会社の状況
当第3四半期連結累計期間において、当社グループは業容の拡大に伴い、348名人員が増加しております。