有価証券報告書-第15期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、社会経済活動の大幅な抑制を受けました。政府の経済対策に下支えされて個人消費を中心に持ち直しはあったものの、引き続き不確実性が高い状況にあります。
生命保険業界においては、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、保険金・給付金請求手続きの簡易取扱い、みなし入院に関する取扱い、保険料の払込猶予期間延長等の特別な取扱いにより、生命保険事業の社会的使命を果たすべく、お客さまに寄り添った対応を行いました。
このような状況の中、当社は、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」という経営理念の下、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社として開業から13年目を迎えました。当事業年度は、新型コロナウイルスの感染症の拡大により生活者の行動様式が変化する中で、オンライン生保としての当社の価値をより多くのお客さまにお届けできるよう努め、前事業年度に引き続き、力強い成長を実現しました。
(契約の状況)
2020年度の新契約業績は過去最高を更新し、新契約の年換算保険料*1は、前事業年度比122.5%の4,197百万円、新契約件数は、前事業年度比124.3%の100,587件、新契約高は、前事業年度比139.8%の575,248百万円となりました。新型コロナウイルス感染症の影響については、当該感染症拡大と2020年4月に発出された緊急事態宣言の影響を受け、生命保険ニーズが高まったことなどにより、新契約業績は一時大きく増加しました。
当事業年度末の保有契約の年換算保険料は、前事業年度末比120.6%の18,713百万円、保有契約高は、前事業年度末比116.7%の2,994,198百万円となりました。保有契約件数は、前事業年度末比120.5%の439,945件となり、保有契約者数は、279,243人となりました。また、当事業年度の解約失効率*2は、6.0%(前事業年度7.0%)となりました。
*1.年換算保険料とは、1回当たりの保険料について保険料の支払い方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額をいいます。当社商品の保険料は全て月払いのみとなっているため、1ヶ月当たりの保険料に12を乗じたものを年換算保険料としております。
*2.解約失効率は、解約・失効の件数を月々の保有契約件数の平均で除した比率を年換算した数値です。
(収支の状況)
当事業年度の保険料等収入は、保有契約の増加に伴う保険料の増加及び修正共同保険式再保険における再保険
収入の増加に伴い、前事業年度比123.3%の20,282百万円となりました。また、資産運用収益は、前事業年度比
127.8%の433百万円となりました。その他経常収益は、73百万円となりました。この結果、当事業年度の経常収益
は、前事業年度比123.4%の20,789百万円となりました。
保険金等支払金は、修正共同保険式再保険における再保険料の増加に伴い、前事業年度比160.5%の6,031百万円
となりました。保険金及び給付金支払額の保険料に対する割合は、前事業年度の18.9%から19.5%に増加しまし
た。責任準備金等繰入額は、前事業年度比124.4%の6,310百万円となりました。責任準備金繰入額の保険料に対す
る割合は、前事業年度の35.1%から36.2%となりました。事業費は、広告宣伝費を中心とした営業費用の投下等に
より、前事業年度比109.4%の10,030百万円となりました。事業費のうち、営業費用は前事業年度比109.2%の6,712
百万円、保険事務費用は前事業年度比120.1%の1,071百万円、システムその他費用は前事業年度比105.4%の2,246
百万円となりました。その他経常費用は、主に海外募集による新株発行の株式交付費の計上及び2019年10月の消
費税引き上げによる影響から、前事業年度比139.0%の1,503百万円となりました。これらにより、当事業年度の経
常費用は前事業年度比124.2%の23,879百万円となりました。
以上の結果、当事業年度の経常利益は、前事業年度のマイナス2,382百万円に対して、マイナス3,089百万円と
なりました。当期純利益は、前事業年度のマイナス2,400百万円に対して、マイナス3,114百万円となりました。
また、生命保険会社の収益性を示す指標のひとつである基礎利益は、事業費が増加したことなどにより、前事
業年度のマイナス2,195百万円に対して、マイナス2,874百万円となりました。内訳は、危険差益3,274百万円、費
差益マイナス6,164百万円、利差益16百万円です。
当社は、継続的な新契約業績の成長を目指すとともに、財務健全性の維持を目的として、2019年度から新契約の一部(以下、出再契約)を対象とした修正共同保険式再保険を行っております。修正共同保険式再保険は、出再契約のリスク及び収支構造の一部を一定期間再保険会社に移転するもので、当該再保険を活用することで、新契約に係る費用の負担が、会計上の資本を急激に減少させる状況を緩和することが可能となります。具体的には、当該再保険では、新契約獲得の初年度に、出再契約に係る新契約費の一部を出再手数料として収受します。そのため、経常収益が増加します。一方、収受した出再手数料は、再保険貸に資産計上された後、一定の期間において再保険収支に基づいて段階的に償却されます。そのため、当該期間において、経常利益及び純利益は減少することとなります。再保険貸の償却が完了し、再保険契約を終了させると、その後の出再契約の利益は当社に帰属することとなります。以上により、当事業年度においては、当該再保険により経常収益は2,778百万円増加(前年同期は2,034百万円増加)、経常利益及び当期純利益は804百万円増加(前年同期は1,526百万円増加)しております。
(財政状態)
当事業年度末の総資産は、54,501百万円(前事業年度末41,144百万円)となりました。主な勘定残高として、高格付けの公社債を中心とする有価証券は、40,007百万円となりました。また、再保険貸2,569百万円のうち、修正共同保険式再保険に係る未償却出再手数料の残高は2,352百万円となりました。
負債は、責任準備金が増加したことから、38,694百万円(前事業年度末31,744百万円)となりました。主な勘定残高は、責任準備金35,801百万円、支払備金837百万円となりました。なお、当社は、2018年度の新契約より、責任準備金の積立方式を5年チルメル式*3から標準責任準備金*4へ移行しております。2018年度期初における5年チルメル式責任準備金と標準責任準備金との差額を、2018年度から2022年度の5事業年度にわたって解消するように積み立てており、当事業年度末時点の差額は498百万円です。
純資産は、当期純損失を計上したものの、海外募集による新株発行を行ったことにより15,806百万円(前事業年度末9,400百万円)となりました。なお、修正共同保険式再保険の活用により、純資産のうち利益剰余金には、未償却出再手数料の残高分を増加させる効果を含んでおり、資本の急激な減少を緩和しております。一方、収受した出再手数料は、再保険貸に資産計上された後、一定の期間において再保険収支に基づいて段階的に償却されます。それに応じて、当該期間において、純資産が減少することとなります。
また、当事業年度末のソルベンシー・マージン比率は、2,647.1%(前事業年度末2,117.1%)となり、充分な支払余力を維持しております。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
*3.5年チルメル式とは、責任準備金の積立方式のひとつで、生命保険の契約当初から5年間は、保険料積立金の積立額を平準純保険料式より小さく積み立てる方式であり、生命保険会社は、その事業特性上、契約獲得費用を含む契約初年度の事業費が多額になる傾向にあることを考慮した積立方式です。また、平準純保険料式とは、保険料払込期間における事業費の想定を毎回一定額(平準)とし、責任準備金を計算する方式です。
*4.標準責任準備金とは、保険会社が設定する保険料水準にかかわらず、監督当局が保険会社の健全性の維持、保険契約者保護の観点から定めた責任準備金の積立水準のことで、平準純保険料式により計算されます。
(商品・サービスなどの取組み)
当事業年度において、当社は「グロース」と「トランスフォーメーション」を目的に、2020年7月に海外市場における募集による新株式発行及び株式売出しを行い、欧州・アジア市場からさらなる成長のための資金として約90億円を調達しました。本海外公募増資により調達した資金を新契約獲得のためのマーケティング費用、システム開発費用、新規事業投資等に活用し、保有契約の拡大や「インターネットの生命保険会社」から「生命保険のインターネット企業」への変革の実現を目指してまいります。
パートナー企業との協業も推進しました。2020年4月には「セブン・フィナンシャルサービスの生命ほけん」を販売開始しました。また、2021年2月には、今夏を目途に「マネーフォワードの生命保険」の販売開始を目指して、株式会社マネーフォワードと業務提携契約を締結しました。
当事業年度は、当社の商品・サービスにおいて、当社が重視しているストレスフリーな顧客体験や、シンプルでわかりやすい商品設計等に対して高い評価をいただきました。商品については、「2021年オリコン顧客満足度®調査」における「医療保険ランキング」で、実際に給付金を受け取ったお客さまから「加入手続き」「商品内容」などの項目について評価され、当社の終身医療保険が総合第1位を獲得しました。サービスについては、J.D.パワー「2021年生命保険契約満足度調査SM」において、ダイレクト型チャネル部門で第1位に選ばれ、「顧客対応」「商品提供」「支払保険料」「手続・書類」の全ての項目で第1位となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に保険料収入の増加により、2,937百万円の収入(前事業年度1,613百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の取得により、10,435百万円の支出(前事業年度2,204百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、主に海外募集による新株式発行を行ったことにより、8,879百万円の収入(前事業年度75百万円の収入)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、3,059百万円(前事業年度末1,677百万円)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
生命保険業においては、該当する情報がないため記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営状況の分析等
当社は、EEV(ヨーロピアン・エンべディッド・バリュー)を当社の企業価値を表す最も重要な指標と位置づけ、経営方針の経営目標に掲げております。当社は、2018年11月の経営方針の策定時に、経営目標として「EEVの早期の1,000億円到達を目指す」ことを掲げておりましたが、2021年3月末の結果において、経営目標の達成が間近となったことを踏まえ、2021年5月に、経営目標を「EEVの早期の2,000億円到達を目指す」ことに変更し、より一層の成長と高い収益力の実現を目指します。なお、経営方針については、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]の(3)中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき課題をご参照ください。
また、EEVの持続的な成長を支える経営指標として、成長性指標・収益性指標・健全性指標を設定しております。各指標の説明、成果及び分析は以下のとおりです。
(EEVについて)
EV(エンベディッド・バリュー)は、「修正純資産」と「保有契約の将来利益現価」を合計した指標であり、当社が用いるEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)は、EV(エンベディッド・バリュー)の種類のひとつです。
「修正純資産」は、期末の純資産に調整額(負債中の内部留保等)を合計して算出します。当年度の純利益がプラスの場合は、修正純資産を増加させる要因となり、マイナスの場合は、修正純資産を減少させる要因となります。「保有契約の将来利益現価」は、現在の保有契約から生じる将来の利益を現在価値に割り引いたもので、新契約を獲得すると、一般的には、保有契約の将来利益現価が増加します。
(EEVを経営指標として定めた理由)
生命保険契約は、一般的に、新規の契約獲得時に多くの費用がかかるものの、収益となる保険料収入を生み出す期間は長期となるため、費用と収益の発生にタイムラグが生じます。そして、現在の法定会計上の損益計算書では、費用を初年度に一括計上する一方で、収益となる保険料収入は長期にわたって計上されます。保有契約に占める新契約の割合が大きい当社は、新規の契約が増加するほど、当年度に計上される費用は増加し、当期の利益は減少する構造となっております。そのため、当社は、生命保険会社の企業価値を評価するためには、法定会計に加えて、将来の利益も含めた長期の収益性を示すEV(エンベディッド・バリュー)も考慮する必要があると考え、経営方針の経営指標として定めております。
(EEV計算結果と変動要因分析)
当事業年度末のEEVは、95,140百万円となりました。修正純資産は18,990百万円、保有契約の将来利益現価は76,149百万円となりました。
(百万円)
また、EEVの変動要因分析は以下のとおりです。
(百万円)
*1.資本の増減による項目
前事業年度末から当事業年度末にかけて、EEVは21,708百万円増加しました。主な要因は、修正EV増加額、保険関係の前提条件の変更、資本調達による増加です。
まず、修正EV増加額につきましては、EEVの変動のうち、「新契約価値」「将来利益現価の割り戻し」「保険関係の前提条件と実績の差異」の合計額を修正EV増加額と定義したもので、当社の期間業績を表す指標と位置付けております。当事業年度は新契約業績が過去最高となったことに加え、営業費用効率が前事業年度比で改善したことなどが、新契約価値の増加に寄与しました。次に、保険関係の前提条件の変更につきましては、主に、保有契約の増大に伴い、営業費用を除く事業費率が改善したことなどにより、事業費の前提の見直しを行っております。最後に、2021年3月末EEVの調整につきましては、2020年7月に実施した海外市場における募集による新株式発行などにより純資産が増加したことによってEEVも増加しました。
(EEVの持続的な成長を支える経営指標)
当社は、成長性指標として保有契約業績及び新契約業績、収益性指標として営業費用を除く事業費率及び営業費用効率、健全性指標としてソルベンシー・マージン比率を設定し、EEVの持続的な成長を支える経営指標としております。各指標の結果分析は以下のとおりです。
成長性指標について、当事業年度末の保有契約業績は、年換算保険料が前事業年度末比120.6%の18,713百万円、件数が前事業年度末比120.5%の439,945件となりました。保有契約業績は、主に新契約業績及び解約失効率により増減します。2020年度の新契約業績は、新型コロナウイルス感染症拡大及び2020年4月の緊急事態宣言の影響を受け、生命保険ニーズが高まったことに加え、当社の経営方針に掲げる重点領域に取組んだことにより、年換算保険料は、前事業年度比122.5%の4,197百万円、件数は前事業年度比124.3%の100,587件で過去最高となりました。また、解約失効率においても、当社の解約失効の改善に向けた取組みに加え、主に新型コロナウイルス感染症拡大によるお客さまの健康不安の増大の影響などを受け、前事業年度の7.0%から6.0%へと改善をしました。なお、解約失効率は、直近において上昇傾向にあることから、今後の動向について注視してまいります。成長性指標については、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況もご参照ください。
収益性指標については、営業費用を除く事業費率(事業費*2のうち、営業費用を除いた事業費を保険料収入で除した割合)と、営業費用効率(営業費用を新契約件数で除した新契約1件当たりの営業費用)を指標としております。当事業年度の営業費用を除く事業費率は、保有契約の増大に伴い保険料収入が増加したことなどにより、19.6%(前事業年度21.6%)と改善しました。営業費用効率は、当事業年度の第4四半期に、成長を加速するため積極的な営業費用の投下を行ったものの、当事業年度の上半期において、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い一時的に生命保険ニーズが高まったことなどにより、前事業年度の7.5万円から6.6万円と改善しました。
健全性指標のソルベンシー・マージン比率は、2,647.1%(前事業年度末2,117.1%)で、充分な水準を確保しております。ソルベンシー・マージン比率についての詳細については、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容のc. ソルベンシー・マージン比率もご参照ください。
*2.当社は事業費を、営業費用、保険事務費用、システム・その他費用の3つに分類しております。営業費用を除く事業費とは、保険事務費用とシステム・その他費用の合計を指します。なお2020年度の営業費用を除く事業費は3,317百万円です。
b. 経常利益等の明細(基礎利益)
(a) 基礎利益
基礎利益とは生命保険業における収益性を示す指標のひとつです。具体的には、保険契約者から収受した保険料等の保険料等収入、資産運用収益及び責任準備金戻入額等その他経常収益等で構成される基礎収益から、保険金等支払金、責任準備金等繰入額、資産運用費用、事業費及びその他経常費用等から構成される基礎費用を控除したものとして計算されます。
基礎利益と経常利益との差及びその内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
注1.当事業年度の基礎利益には、金銭の信託運用益48百万円を含んでおります。
2.前事業年度の基礎利益には、金銭の信託運用益43百万円を含んでおります。
(b) 三利源について
基礎利益は「危険差損益」、「費差損益」及び「利差損益」に分解することも可能であり、これらを三利源と呼んでおります。生命保険料の計算は、予定発生率(死亡率、入院率など)、予定利率、予定事業費率(付加保険料部分)の3つに基づいております。これらの「予定」と実績との差によって生命保険会社の利益(基礎利益)が生じていると考え、それぞれの差分を算出することによって、基礎利益がどのような要因から生じているのかを明らかにするのが利源分析の考え方です。
(注)当社の利源分析は、保険数理上合理的な方法を採用しておりますが、具体的な計算方法は他の保険会社と異なることがあります。当社では保険料の内訳計算等について責任準備金の積立方式を考慮した方式とし、解約・失効による利益(解約失効益)は、費差損益に含めております。
(c) 基礎利益の内訳(三利源)
当事業年度の基礎利益及び三利源の状況は以下のとおりです。前事業年度の2,195百万円のマイナスに対して、2,874百万円のマイナスとなりました。
(単位:百万円)
c. ソルベンシー・マージン比率
(a) ソルベンシー・マージン(支払い余力)の考え方
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株式市場の暴落など、通常の予測の範囲を超えて発生するリスクに対応できる「支払い余力」を有しているかどうかを判断するための経営指標・行政監督上の指標のひとつです。具体的には、純資産などの内部留保と有価証券含み益などの合計(ソルベンシー・マージンの総額=支払い余力)を、定量化した諸リスクの合計額で除して求めます。なお、ソルベンシー・マージン比率が200%以上であれば、行政監督上、健全性についてのひとつの基準を満たしているとされます。
(b) ソルベンシー・マージン比率
当事業年度末のソルベンシー・マージン比率は、2,647.1%となり、支払余力は引き続き高水準を維持しております。
(単位:百万円)
(注) 以上の数値は、保険業法施行規則第86条、第87条及び平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に保険料収入の増加により、2,937百万円の収入(前事業年度1,613百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の取得により、10,435百万円の支出(前事業年度2,204百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、主に海外募集による新株式発行を行ったことにより、8,879百万円の収入(前事業年度75百万円の収入)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、3,059百万円(前事業年度末1,677百万円)となりました。
当社の資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりであります。
当社は、保険料収入を主な資金の源泉としております。また、保険金・給付金の支払いに対応するために必要な一定程度の預貯金を含め、手元流動性を確保したうえで資産運用を行っております。
当事業年度においても、国債など高格付けの円金利資産を中心とした運用を継続しました。なお、適切なリスク管理のもとで株式及び国内外の債券などを対象とした投資信託への投資を通じて資産の多様化を行っております。
成長資本の拡充に向けては、2020年7月に海外市場における募集による新株式発行を行い、資金調達を実施しております。本海外公募増資により調達した資金を新契約獲得のためのマーケティング費用、システム開発費用、新規事業投資等に活用し、保有契約の拡大や「インターネットの生命保険会社」から「生命保険のインターネット企業」への変革の実現を目指してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りや予測について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績はこれらと異なる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表」の「重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針の適用が、その作成において用いられる見積り及び予測により、当社の財務諸表に大きな影響を及ぼします。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表」の「追加情報」に記載しております。
a. 金融商品の時価の算定方法
有価証券は、時価法に基づいて評価しております。時価は、原則として市場価格に基づいて算定しておりますが、市場価格がない場合には将来キャッシュ・フローの現在価値等に基づく合理的な見積りによることとしております。将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、見積り額は変動する可能性があります。
b. 有価証券の減損処理
売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価が取得価額に比べて著しく下落した場合、回復する見込みがあると認められる場合を除き、合理的な基準に基づく減損処理を行うこととしております。今後の金融市場の状況によっては、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。
c. 繰延税金資産及び繰延税金負債
繰延税金資産及び繰延税金負債については、「税効果会計に係る会計基準(平成10年10月30日企業会計審議会)」に基づき、認められる額を計上しております。
d. 貸倒引当金の計上基準
当社は、債権の貸倒れによる損失に備えるため、資産の自己査定基準及び償却・引当基準に則り、債務者の状況に応じ、債権の回収不能時に生じる損失の見積り額について、貸倒引当金を計上することとしております。将来、債務者の財務状況が悪化し支払い能力が低下した場合には、引当金の計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
e. 支払備金の積立方法
保険契約に基づいて支払義務が発生したと認められる保険金等について、事業年度末時点の未払いの金額を見積り、支払備金として積み立てております。今後、見積りに影響する新たな事実の発生や裁判の判例等により、支払備金の計上額が当初の見積り額から変動する可能性があります。
f. 責任準備金の積立方法
保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。当社は責任準備金の見積りに使用される基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく異なる場合、あるいは基礎率を変更する必要がある場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。なお、当事業年度において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響はありません。
責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表」の「重要な会計方針」に記載のとおりです。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、社会経済活動の大幅な抑制を受けました。政府の経済対策に下支えされて個人消費を中心に持ち直しはあったものの、引き続き不確実性が高い状況にあります。
生命保険業界においては、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、保険金・給付金請求手続きの簡易取扱い、みなし入院に関する取扱い、保険料の払込猶予期間延長等の特別な取扱いにより、生命保険事業の社会的使命を果たすべく、お客さまに寄り添った対応を行いました。
このような状況の中、当社は、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」という経営理念の下、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社として開業から13年目を迎えました。当事業年度は、新型コロナウイルスの感染症の拡大により生活者の行動様式が変化する中で、オンライン生保としての当社の価値をより多くのお客さまにお届けできるよう努め、前事業年度に引き続き、力強い成長を実現しました。
(契約の状況)
2020年度の新契約業績は過去最高を更新し、新契約の年換算保険料*1は、前事業年度比122.5%の4,197百万円、新契約件数は、前事業年度比124.3%の100,587件、新契約高は、前事業年度比139.8%の575,248百万円となりました。新型コロナウイルス感染症の影響については、当該感染症拡大と2020年4月に発出された緊急事態宣言の影響を受け、生命保険ニーズが高まったことなどにより、新契約業績は一時大きく増加しました。
当事業年度末の保有契約の年換算保険料は、前事業年度末比120.6%の18,713百万円、保有契約高は、前事業年度末比116.7%の2,994,198百万円となりました。保有契約件数は、前事業年度末比120.5%の439,945件となり、保有契約者数は、279,243人となりました。また、当事業年度の解約失効率*2は、6.0%(前事業年度7.0%)となりました。
*1.年換算保険料とは、1回当たりの保険料について保険料の支払い方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額をいいます。当社商品の保険料は全て月払いのみとなっているため、1ヶ月当たりの保険料に12を乗じたものを年換算保険料としております。
*2.解約失効率は、解約・失効の件数を月々の保有契約件数の平均で除した比率を年換算した数値です。
(収支の状況)
当事業年度の保険料等収入は、保有契約の増加に伴う保険料の増加及び修正共同保険式再保険における再保険
収入の増加に伴い、前事業年度比123.3%の20,282百万円となりました。また、資産運用収益は、前事業年度比
127.8%の433百万円となりました。その他経常収益は、73百万円となりました。この結果、当事業年度の経常収益
は、前事業年度比123.4%の20,789百万円となりました。
保険金等支払金は、修正共同保険式再保険における再保険料の増加に伴い、前事業年度比160.5%の6,031百万円
となりました。保険金及び給付金支払額の保険料に対する割合は、前事業年度の18.9%から19.5%に増加しまし
た。責任準備金等繰入額は、前事業年度比124.4%の6,310百万円となりました。責任準備金繰入額の保険料に対す
る割合は、前事業年度の35.1%から36.2%となりました。事業費は、広告宣伝費を中心とした営業費用の投下等に
より、前事業年度比109.4%の10,030百万円となりました。事業費のうち、営業費用は前事業年度比109.2%の6,712
百万円、保険事務費用は前事業年度比120.1%の1,071百万円、システムその他費用は前事業年度比105.4%の2,246
百万円となりました。その他経常費用は、主に海外募集による新株発行の株式交付費の計上及び2019年10月の消
費税引き上げによる影響から、前事業年度比139.0%の1,503百万円となりました。これらにより、当事業年度の経
常費用は前事業年度比124.2%の23,879百万円となりました。
以上の結果、当事業年度の経常利益は、前事業年度のマイナス2,382百万円に対して、マイナス3,089百万円と
なりました。当期純利益は、前事業年度のマイナス2,400百万円に対して、マイナス3,114百万円となりました。
また、生命保険会社の収益性を示す指標のひとつである基礎利益は、事業費が増加したことなどにより、前事
業年度のマイナス2,195百万円に対して、マイナス2,874百万円となりました。内訳は、危険差益3,274百万円、費
差益マイナス6,164百万円、利差益16百万円です。
当社は、継続的な新契約業績の成長を目指すとともに、財務健全性の維持を目的として、2019年度から新契約の一部(以下、出再契約)を対象とした修正共同保険式再保険を行っております。修正共同保険式再保険は、出再契約のリスク及び収支構造の一部を一定期間再保険会社に移転するもので、当該再保険を活用することで、新契約に係る費用の負担が、会計上の資本を急激に減少させる状況を緩和することが可能となります。具体的には、当該再保険では、新契約獲得の初年度に、出再契約に係る新契約費の一部を出再手数料として収受します。そのため、経常収益が増加します。一方、収受した出再手数料は、再保険貸に資産計上された後、一定の期間において再保険収支に基づいて段階的に償却されます。そのため、当該期間において、経常利益及び純利益は減少することとなります。再保険貸の償却が完了し、再保険契約を終了させると、その後の出再契約の利益は当社に帰属することとなります。以上により、当事業年度においては、当該再保険により経常収益は2,778百万円増加(前年同期は2,034百万円増加)、経常利益及び当期純利益は804百万円増加(前年同期は1,526百万円増加)しております。
(財政状態)
当事業年度末の総資産は、54,501百万円(前事業年度末41,144百万円)となりました。主な勘定残高として、高格付けの公社債を中心とする有価証券は、40,007百万円となりました。また、再保険貸2,569百万円のうち、修正共同保険式再保険に係る未償却出再手数料の残高は2,352百万円となりました。
負債は、責任準備金が増加したことから、38,694百万円(前事業年度末31,744百万円)となりました。主な勘定残高は、責任準備金35,801百万円、支払備金837百万円となりました。なお、当社は、2018年度の新契約より、責任準備金の積立方式を5年チルメル式*3から標準責任準備金*4へ移行しております。2018年度期初における5年チルメル式責任準備金と標準責任準備金との差額を、2018年度から2022年度の5事業年度にわたって解消するように積み立てており、当事業年度末時点の差額は498百万円です。
純資産は、当期純損失を計上したものの、海外募集による新株発行を行ったことにより15,806百万円(前事業年度末9,400百万円)となりました。なお、修正共同保険式再保険の活用により、純資産のうち利益剰余金には、未償却出再手数料の残高分を増加させる効果を含んでおり、資本の急激な減少を緩和しております。一方、収受した出再手数料は、再保険貸に資産計上された後、一定の期間において再保険収支に基づいて段階的に償却されます。それに応じて、当該期間において、純資産が減少することとなります。
また、当事業年度末のソルベンシー・マージン比率は、2,647.1%(前事業年度末2,117.1%)となり、充分な支払余力を維持しております。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
*3.5年チルメル式とは、責任準備金の積立方式のひとつで、生命保険の契約当初から5年間は、保険料積立金の積立額を平準純保険料式より小さく積み立てる方式であり、生命保険会社は、その事業特性上、契約獲得費用を含む契約初年度の事業費が多額になる傾向にあることを考慮した積立方式です。また、平準純保険料式とは、保険料払込期間における事業費の想定を毎回一定額(平準)とし、責任準備金を計算する方式です。
*4.標準責任準備金とは、保険会社が設定する保険料水準にかかわらず、監督当局が保険会社の健全性の維持、保険契約者保護の観点から定めた責任準備金の積立水準のことで、平準純保険料式により計算されます。
(商品・サービスなどの取組み)
当事業年度において、当社は「グロース」と「トランスフォーメーション」を目的に、2020年7月に海外市場における募集による新株式発行及び株式売出しを行い、欧州・アジア市場からさらなる成長のための資金として約90億円を調達しました。本海外公募増資により調達した資金を新契約獲得のためのマーケティング費用、システム開発費用、新規事業投資等に活用し、保有契約の拡大や「インターネットの生命保険会社」から「生命保険のインターネット企業」への変革の実現を目指してまいります。
パートナー企業との協業も推進しました。2020年4月には「セブン・フィナンシャルサービスの生命ほけん」を販売開始しました。また、2021年2月には、今夏を目途に「マネーフォワードの生命保険」の販売開始を目指して、株式会社マネーフォワードと業務提携契約を締結しました。
当事業年度は、当社の商品・サービスにおいて、当社が重視しているストレスフリーな顧客体験や、シンプルでわかりやすい商品設計等に対して高い評価をいただきました。商品については、「2021年オリコン顧客満足度®調査」における「医療保険ランキング」で、実際に給付金を受け取ったお客さまから「加入手続き」「商品内容」などの項目について評価され、当社の終身医療保険が総合第1位を獲得しました。サービスについては、J.D.パワー「2021年生命保険契約満足度調査SM」において、ダイレクト型チャネル部門で第1位に選ばれ、「顧客対応」「商品提供」「支払保険料」「手続・書類」の全ての項目で第1位となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に保険料収入の増加により、2,937百万円の収入(前事業年度1,613百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の取得により、10,435百万円の支出(前事業年度2,204百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、主に海外募集による新株式発行を行ったことにより、8,879百万円の収入(前事業年度75百万円の収入)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、3,059百万円(前事業年度末1,677百万円)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
生命保険業においては、該当する情報がないため記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営状況の分析等
当社は、EEV(ヨーロピアン・エンべディッド・バリュー)を当社の企業価値を表す最も重要な指標と位置づけ、経営方針の経営目標に掲げております。当社は、2018年11月の経営方針の策定時に、経営目標として「EEVの早期の1,000億円到達を目指す」ことを掲げておりましたが、2021年3月末の結果において、経営目標の達成が間近となったことを踏まえ、2021年5月に、経営目標を「EEVの早期の2,000億円到達を目指す」ことに変更し、より一層の成長と高い収益力の実現を目指します。なお、経営方針については、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]の(3)中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき課題をご参照ください。
また、EEVの持続的な成長を支える経営指標として、成長性指標・収益性指標・健全性指標を設定しております。各指標の説明、成果及び分析は以下のとおりです。
(EEVについて)
EV(エンベディッド・バリュー)は、「修正純資産」と「保有契約の将来利益現価」を合計した指標であり、当社が用いるEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)は、EV(エンベディッド・バリュー)の種類のひとつです。
「修正純資産」は、期末の純資産に調整額(負債中の内部留保等)を合計して算出します。当年度の純利益がプラスの場合は、修正純資産を増加させる要因となり、マイナスの場合は、修正純資産を減少させる要因となります。「保有契約の将来利益現価」は、現在の保有契約から生じる将来の利益を現在価値に割り引いたもので、新契約を獲得すると、一般的には、保有契約の将来利益現価が増加します。
(EEVを経営指標として定めた理由)
生命保険契約は、一般的に、新規の契約獲得時に多くの費用がかかるものの、収益となる保険料収入を生み出す期間は長期となるため、費用と収益の発生にタイムラグが生じます。そして、現在の法定会計上の損益計算書では、費用を初年度に一括計上する一方で、収益となる保険料収入は長期にわたって計上されます。保有契約に占める新契約の割合が大きい当社は、新規の契約が増加するほど、当年度に計上される費用は増加し、当期の利益は減少する構造となっております。そのため、当社は、生命保険会社の企業価値を評価するためには、法定会計に加えて、将来の利益も含めた長期の収益性を示すEV(エンベディッド・バリュー)も考慮する必要があると考え、経営方針の経営指標として定めております。
(EEV計算結果と変動要因分析)
当事業年度末のEEVは、95,140百万円となりました。修正純資産は18,990百万円、保有契約の将来利益現価は76,149百万円となりました。
(百万円)
| 2020年3月末 | 2021年3月末 | 増減 | |
| EEV | 73,431 | 95,140 | 21,708 |
| 修正純資産 | 12,553 | 18,990 | 6,437 |
| 保有契約の将来利益現価 | 60,878 | 76,149 | 15,270 |
また、EEVの変動要因分析は以下のとおりです。
(百万円)
| 2020年3月末EEV | 73,431 | |
| 修正EV増加額 | 7,553 | |
| 2020年度の新契約価値 | 5,798 | |
| 将来利益現価の割り戻し | 1,311 | |
| 保険関係の前提条件と実績の差異 | 444 | |
| 保険関係の前提条件の変更 | 3,927 | |
| 経済的前提条件と実績の差異 | 1,162 | |
| 2021年3月末EEVの調整*1 | 9,063 | |
| 2021年3月末EEV | 95,140 |
*1.資本の増減による項目
前事業年度末から当事業年度末にかけて、EEVは21,708百万円増加しました。主な要因は、修正EV増加額、保険関係の前提条件の変更、資本調達による増加です。
まず、修正EV増加額につきましては、EEVの変動のうち、「新契約価値」「将来利益現価の割り戻し」「保険関係の前提条件と実績の差異」の合計額を修正EV増加額と定義したもので、当社の期間業績を表す指標と位置付けております。当事業年度は新契約業績が過去最高となったことに加え、営業費用効率が前事業年度比で改善したことなどが、新契約価値の増加に寄与しました。次に、保険関係の前提条件の変更につきましては、主に、保有契約の増大に伴い、営業費用を除く事業費率が改善したことなどにより、事業費の前提の見直しを行っております。最後に、2021年3月末EEVの調整につきましては、2020年7月に実施した海外市場における募集による新株式発行などにより純資産が増加したことによってEEVも増加しました。
(EEVの持続的な成長を支える経営指標)
当社は、成長性指標として保有契約業績及び新契約業績、収益性指標として営業費用を除く事業費率及び営業費用効率、健全性指標としてソルベンシー・マージン比率を設定し、EEVの持続的な成長を支える経営指標としております。各指標の結果分析は以下のとおりです。
成長性指標について、当事業年度末の保有契約業績は、年換算保険料が前事業年度末比120.6%の18,713百万円、件数が前事業年度末比120.5%の439,945件となりました。保有契約業績は、主に新契約業績及び解約失効率により増減します。2020年度の新契約業績は、新型コロナウイルス感染症拡大及び2020年4月の緊急事態宣言の影響を受け、生命保険ニーズが高まったことに加え、当社の経営方針に掲げる重点領域に取組んだことにより、年換算保険料は、前事業年度比122.5%の4,197百万円、件数は前事業年度比124.3%の100,587件で過去最高となりました。また、解約失効率においても、当社の解約失効の改善に向けた取組みに加え、主に新型コロナウイルス感染症拡大によるお客さまの健康不安の増大の影響などを受け、前事業年度の7.0%から6.0%へと改善をしました。なお、解約失効率は、直近において上昇傾向にあることから、今後の動向について注視してまいります。成長性指標については、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況もご参照ください。
収益性指標については、営業費用を除く事業費率(事業費*2のうち、営業費用を除いた事業費を保険料収入で除した割合)と、営業費用効率(営業費用を新契約件数で除した新契約1件当たりの営業費用)を指標としております。当事業年度の営業費用を除く事業費率は、保有契約の増大に伴い保険料収入が増加したことなどにより、19.6%(前事業年度21.6%)と改善しました。営業費用効率は、当事業年度の第4四半期に、成長を加速するため積極的な営業費用の投下を行ったものの、当事業年度の上半期において、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い一時的に生命保険ニーズが高まったことなどにより、前事業年度の7.5万円から6.6万円と改善しました。
健全性指標のソルベンシー・マージン比率は、2,647.1%(前事業年度末2,117.1%)で、充分な水準を確保しております。ソルベンシー・マージン比率についての詳細については、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容のc. ソルベンシー・マージン比率もご参照ください。
*2.当社は事業費を、営業費用、保険事務費用、システム・その他費用の3つに分類しております。営業費用を除く事業費とは、保険事務費用とシステム・その他費用の合計を指します。なお2020年度の営業費用を除く事業費は3,317百万円です。
b. 経常利益等の明細(基礎利益)
(a) 基礎利益
基礎利益とは生命保険業における収益性を示す指標のひとつです。具体的には、保険契約者から収受した保険料等の保険料等収入、資産運用収益及び責任準備金戻入額等その他経常収益等で構成される基礎収益から、保険金等支払金、責任準備金等繰入額、資産運用費用、事業費及びその他経常費用等から構成される基礎費用を控除したものとして計算されます。
基礎利益と経常利益との差及びその内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
| 前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 基礎利益 A | △2,195 | △2,874 | |
| キャピタル収益 | 16 | 65 | |
| 金銭の信託運用益 | - | 62 | |
| 売買目的有価証券運用益 | - | - | |
| 有価証券売却益 | 16 | 2 | |
| 金融派生商品収益 | - | - | |
| 為替差益 | - | - | |
| その他キャピタル収益 | - | - | |
| キャピタル費用 | 162 | 0 | |
| 金銭の信託運用損 | 12 | - | |
| 売買目的有価証券運用損 | - | - | |
| 有価証券売却損 | 53 | - | |
| 有価証券評価損 | 95 | - | |
| 金融派生商品費用 | - | - | |
| 為替差損 | 0 | 0 | |
| その他キャピタル費用 | - | - | |
| キャピタル損益 B | △145 | 65 | |
| キャピタル損益含み基礎利益 A+B | △2,340 | △2,809 | |
| 臨時収益 | - | - | |
| 再保険収入 | - | - | |
| 危険準備金戻入額 | - | - | |
| その他臨時収益 | - | - | |
| 臨時費用 | 42 | 280 | |
| 再保険料 | - | - | |
| 危険準備金繰入額 | 42 | 280 | |
| 個別貸倒引当金繰入額 | - | - | |
| 特定海外債権引当勘定繰入額 | - | - | |
| 貸付金償却 | - | - | |
| その他臨時費用 | - | - | |
| 臨時損益 C | △42 | △280 | |
| 経常利益 A+B+C | △2,382 | △3,089 | |
注1.当事業年度の基礎利益には、金銭の信託運用益48百万円を含んでおります。
2.前事業年度の基礎利益には、金銭の信託運用益43百万円を含んでおります。
(b) 三利源について
基礎利益は「危険差損益」、「費差損益」及び「利差損益」に分解することも可能であり、これらを三利源と呼んでおります。生命保険料の計算は、予定発生率(死亡率、入院率など)、予定利率、予定事業費率(付加保険料部分)の3つに基づいております。これらの「予定」と実績との差によって生命保険会社の利益(基礎利益)が生じていると考え、それぞれの差分を算出することによって、基礎利益がどのような要因から生じているのかを明らかにするのが利源分析の考え方です。
| 危険差損益 | 想定した保険金・給付金の支払額(予定発生率)と実際に発生した支払額との差 |
| 費差損益 | 想定した事業費(予定事業費率)と実際の事業費支出との差 |
| 利差損益 | 想定した運用収支(予定利率)と実際の運用収支との差 |
(注)当社の利源分析は、保険数理上合理的な方法を採用しておりますが、具体的な計算方法は他の保険会社と異なることがあります。当社では保険料の内訳計算等について責任準備金の積立方式を考慮した方式とし、解約・失効による利益(解約失効益)は、費差損益に含めております。
(c) 基礎利益の内訳(三利源)
当事業年度の基礎利益及び三利源の状況は以下のとおりです。前事業年度の2,195百万円のマイナスに対して、2,874百万円のマイナスとなりました。
(単位:百万円)
| 前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 基礎利益 | △2,195 | △2,874 | |
| 危険差損益 | 2,851 | 3,274 | |
| 費差損益 | △5,064 | △6,164 | |
| 利差損益 | 17 | 16 | |
c. ソルベンシー・マージン比率
(a) ソルベンシー・マージン(支払い余力)の考え方
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株式市場の暴落など、通常の予測の範囲を超えて発生するリスクに対応できる「支払い余力」を有しているかどうかを判断するための経営指標・行政監督上の指標のひとつです。具体的には、純資産などの内部留保と有価証券含み益などの合計(ソルベンシー・マージンの総額=支払い余力)を、定量化した諸リスクの合計額で除して求めます。なお、ソルベンシー・マージン比率が200%以上であれば、行政監督上、健全性についてのひとつの基準を満たしているとされます。
| ソルベンシー・マージン比率 = | ソルベンシー・マージン総額 | × 100(%) |
| リスクの合計額 × 1/2 |
(b) ソルベンシー・マージン比率
当事業年度末のソルベンシー・マージン比率は、2,647.1%となり、支払余力は引き続き高水準を維持しております。
(単位:百万円)
| 項 目 | 前事業年度末 (2020年3月31日) | 当事業年度末 (2021年3月31日) | |
| (A) ソルベンシー・マージン総額 | 19,213 | 28,455 | |
| 資本金等 | 8,898 | 14,846 | |
| 価格変動準備金 | 56 | 76 | |
| 危険準備金 | 1,722 | 2,003 | |
| 一般貸倒引当金 | - | - | |
| (その他有価証券評価差額金(税効果控除前)・繰延ヘッジ損益(税効果控除前))×90% (マイナスの場合100%) | 627 | 1,200 | |
| 土地の含み損益×85% (マイナスの場合100%) | - | - | |
| 全期チルメル式責任準備金相当額超過額 | 7,908 | 10,328 | |
| 持込資本金等 | - | - | |
| 負債性資本調達手段等 | - | - | |
| 控除項目 | - | - | |
| その他 | - | - | |
(B) リスクの合計額![]() | 1,815 | 2,149 | |
| 保険リスク相当額 R1 | 1,142 | 1,113 | |
| 第三分野保険の保険リスク相当額 R8 | 328 | 358 | |
| 予定利率リスク相当額 R2 | 3 | 3 | |
| 最低保証リスク相当額 R7 | - | - | |
| 資産運用リスク相当額 R3 | 930 | 1,440 | |
| 経営管理リスク相当額 R4 | 72 | 87 | |
(C) ソルベンシー・マージン比率![]() | 2,117.1% | 2,647.1% | |
(注) 以上の数値は、保険業法施行規則第86条、第87条及び平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に保険料収入の増加により、2,937百万円の収入(前事業年度1,613百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の取得により、10,435百万円の支出(前事業年度2,204百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、主に海外募集による新株式発行を行ったことにより、8,879百万円の収入(前事業年度75百万円の収入)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、3,059百万円(前事業年度末1,677百万円)となりました。
当社の資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりであります。
当社は、保険料収入を主な資金の源泉としております。また、保険金・給付金の支払いに対応するために必要な一定程度の預貯金を含め、手元流動性を確保したうえで資産運用を行っております。
当事業年度においても、国債など高格付けの円金利資産を中心とした運用を継続しました。なお、適切なリスク管理のもとで株式及び国内外の債券などを対象とした投資信託への投資を通じて資産の多様化を行っております。
成長資本の拡充に向けては、2020年7月に海外市場における募集による新株式発行を行い、資金調達を実施しております。本海外公募増資により調達した資金を新契約獲得のためのマーケティング費用、システム開発費用、新規事業投資等に活用し、保有契約の拡大や「インターネットの生命保険会社」から「生命保険のインターネット企業」への変革の実現を目指してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りや予測について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績はこれらと異なる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表」の「重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針の適用が、その作成において用いられる見積り及び予測により、当社の財務諸表に大きな影響を及ぼします。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表」の「追加情報」に記載しております。
a. 金融商品の時価の算定方法
有価証券は、時価法に基づいて評価しております。時価は、原則として市場価格に基づいて算定しておりますが、市場価格がない場合には将来キャッシュ・フローの現在価値等に基づく合理的な見積りによることとしております。将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、見積り額は変動する可能性があります。
b. 有価証券の減損処理
売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価が取得価額に比べて著しく下落した場合、回復する見込みがあると認められる場合を除き、合理的な基準に基づく減損処理を行うこととしております。今後の金融市場の状況によっては、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。
c. 繰延税金資産及び繰延税金負債
繰延税金資産及び繰延税金負債については、「税効果会計に係る会計基準(平成10年10月30日企業会計審議会)」に基づき、認められる額を計上しております。
d. 貸倒引当金の計上基準
当社は、債権の貸倒れによる損失に備えるため、資産の自己査定基準及び償却・引当基準に則り、債務者の状況に応じ、債権の回収不能時に生じる損失の見積り額について、貸倒引当金を計上することとしております。将来、債務者の財務状況が悪化し支払い能力が低下した場合には、引当金の計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
e. 支払備金の積立方法
保険契約に基づいて支払義務が発生したと認められる保険金等について、事業年度末時点の未払いの金額を見積り、支払備金として積み立てております。今後、見積りに影響する新たな事実の発生や裁判の判例等により、支払備金の計上額が当初の見積り額から変動する可能性があります。
f. 責任準備金の積立方法
保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。当社は責任準備金の見積りに使用される基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく異なる場合、あるいは基礎率を変更する必要がある場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。なお、当事業年度において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響はありません。
責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表」の「重要な会計方針」に記載のとおりです。

