四半期報告書-第8期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社グループは、創業以来、培ってきたノウハウを活用し、金融事業と総合エネルギー事業を展開しております。
当第1四半期連結累計期間の経営環境は以下のとおりです。
当第1四半期連結累計期間(2019年4月1日~2019年6月30日)におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性、英国のEU離脱問題などの政治情勢、それらに伴う金融資本市場の変動などにより、先行きは不透明な状況にあります。
当第1四半期連結会計期間末の日経平均株価は前期末比0.33%上昇の21,275.92円、ドル円は前期末比2円97銭円高の107.56円となりました。また、原油価格は米国がイランに対する制裁を強めたことを受け4月から上昇基調となりました。米国のWTI原油は一時、年初来高値となる66.60ドルをつけましたが、その後は米中の貿易戦争による景気減速への懸念から下落基調に転じました。金価格は安定的に推移していましたが、米国の年内利下げ観測が強まったことを皮切りに金市場に資金が流入し、約6年ぶりに1,400ドルを超える水準に上昇しました。
再生可能エネルギーを取り巻く環境については、改正FIT法に基づき、2019年度の太陽光発電のFIT価格は14円(税抜)となり、入札制度の対象が出力2,000kW以上の設備から500kW以上の設備に拡大されました。また、未稼働案件に対して運転開始期限設定を義務化する新たな仕組みも定められました。
一方で、既存案件について、当社グループの保有する太陽光発電設備が稼働する九州電力管轄内において、電力需給バランス維持、電力の安定供給の必要性により、出力抑制が発令されました。
FIT価格は制度スタート時の40円(税抜)から大幅に低下しましたが、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」、「RE100(事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ)」など、脱炭素社会を目指す動きは世界的に広がり続けています。
電力市場においては、2016年4月の電力小売全面自由化以降、小売電力事業者の事業者数及び切替件数は、共に、順調に増加しています。一方、電力価格については、天候不順等による価格変動リスクが高まっており、小売電力事業者や発電事業者の経営においても、電力市場価格の「リスク管理」の重要性が認識されており電力取引のヘッジニーズが高まってきています。
なお、当社はアセット・マネジメント事業のさらなる発展のため、2019年4月1日付でASTAM社の株式の一部をヤフー株式会社に追加譲渡いたしました。これにより、当社のASTAM社株式の持株比率は49.9%となり、ASTAM社は当社の持分法適用関連会社となりました。
このような市場環境等のもと、当第1四半期連結累計期間における経営成績は以下のとおりです。
(単位:百万円)
セグメント毎の業績及び取り組み状況は次のとおりです。
なお、セグメント利益又は損失は当第1四半期連結累計期間の経常損失と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
(セグメント別営業収益・セグメント損益) (単位:百万円)
※1 「その他」は、地方創生事業など、現時点で報告セグメントに含まれていない事業を示しています。
※2 「調整額」のマイナスの増加は、ASTAM社株式の一部譲渡に関連し租税公課等が増加する等、全社費用が増加したことによります。
<アセット・マネジメント事業>前述のとおり、2019年4月1日付で、当社はアセット・マネジメント事業を主として営むASTAM社株式の一部をヤフー株式会社に追加譲渡し、当社のASTAM社株式の持株比率は49.9%となり、ASTAM社は当社の持分法適用関連会社となりました。したがって、当第1四半期連結累計期間よりアセット・マネジメント事業の営業収益はアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)の数字を表しております。AFM社においては、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担い、投資金額の順調な積み上げを継続しております。
ASTAM社においては、日本の株式への連動又は逆連動を目指すファンドやスワップ取引を対象としたファンドからの資金流出に加え、公募投資信託「WTI原油先物ファンド(ロング・ポジション/ショート・ポジション/マネー・ポジション)」の満期償還等を受け、運用資産残高合計は6月末時点で前連結会計年度末比295億円減少の約3,878億円となりました。全体として運用資産残高が前年同期間を下回る水準で推移したことに加え、報酬率が相対的に高い運用資産残高の減少等を受けて運用資産全体の報酬率が前年同期に比べ低下しました。
当社の報告セグメントの利益または損失は、経常利益ベースの数値であります。当事業においては、前述のとおりASTAM社が当社の持分法適用関連会社になったことも、セグメント利益が大幅に減少した主な要因です。
以上の結果、当事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は24百万円(前年同期間比469百万円(94.9%)の減少)となり、セグメント利益は3百万円(前年同期間比55百万円(93.8%)の減少)となりました。
ASTAM社では引き続き、投資信託の販売会社等との協業を通じて運用資産残高の積み上げに努めるとともに、収益基盤の拡充にも取り組んでおります。また、ASTAM社は、既存主力事業である機関投資家向けビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家の皆様に向けて、対面型営業による長期積立型投資信託事業に加え、ファイナンシャル・テクノロジーを活用した長期資産形成に貢献できる事業を展開しております。当社は、引き続きASTAM社の企業価値向上を目指し、ASTAM社においてヤフー株式会社と協働して推進する事業にも全力で取り組んでまいります。
<ディーリング事業>当事業は、アストマックス・トレーディング株式会社(以下、「ASTRA社」という。)が推進し、東京商品取引所、CME、ICE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。東京商品取引所の6月末の取組高は約35万枚と前年度末比約1万枚増加しましたが、当第1四半期連結累計期間の日次平均出来高は約7万9千枚と前年同期間比約1万5千枚減少しています。
前述の市場環境の中、原油市場では市場間の値差を利用した裁定取引で一定の収益を確保することができましたが、金、白金の裁定取引では値鞘の拡大が一方的な展開となり、取引の一部で損失が発生しました。ここ数年注力してきた大幅なコスト削減によっても収益の低下が賄いきれず、セグメント損失となりました。
以上の結果、当事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は45百万円(前年同期間比103百万円(69.3%)の減少)、セグメント損失は48百万円(前年同期間は30百万円のセグメント利益)となりました。
当事業では、今後も経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い、取引所の組織や制度変更にも適切に対応し、また収益力の増加を図るため中国先物市場の海外投資家への開放等の取引の好機を的確に捉え、引き続き収益力の回復を目指してまいります。
<再生可能エネルギー関連事業>当事業は主にASTRA社及びアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)が推進しております。再生可能エネルギーを取り巻く環境は冒頭のとおりですが、当事業は、企業理念と行動指針に基づき、エネルギー問題、気候変動問題を中心とした環境への取り組みにより包括的で持続可能な開発目標(SDGs)の実現に貢献したいと考えております。国のエネルギー基本計画に基づき、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指すとともに、再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針であり、以下のとおり、継続的に再生可能エネルギー発電所の開発、取得、維持・運営管理を行っております。
(太陽光発電事業)
当事業では、引き続き、以下の1を開発中であることに加え、以下の2のとおり既に売電を行っている太陽光発電所を取得しました。これより、当事業が従事した完工済みの案件は15箇所、合計28.9メガワットとなり、建設中の案件は2箇所、合計2.5メガワットになります。
改正FIT法の施行、競合他社の参入、優良案件の減少等により、環境的には案件確保は容易ではないと言えますが、今後におきましても、引き続き太陽光発電設備の自社開発に加え、未稼働ID及びセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保に取り組むと共に、保有している既存発電設備についても、譲渡を行うこと等を含めて、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保しながら、事業採算性の向上にも取り組んでまいります。
自社開発・新規取得:
1. 鹿児島県霧島市 出力規模:約2.2メガワット
既に開示しておりますとおり、2016年10月に着工となりました本案件につきましては、当社グループとしての事業リスクを限定するために、SPC(特別目的会社)及び匿名組合契約(ASTRA社を出資者とし、SPCを営業者とする契約)を使った投資スキームを利用しており、2016年12月16日付にて太陽光発電設備を設置する合同会社に対し出資をしております。稼働開始は、2018年3月を見込んでおりましたが、工程が変更となり2019年10月以降となる見込みです。稼働後はASTRA社による管理・オペレーション業務を行います。
セカンダリー市場:
2.埼玉県吉見町 出力規模:約0.9メガワット
2019年5月に既稼働設備
(地熱発電事業等)
当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。
宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」の採択を受け、2メガワット規模の地熱発電の事業化を目指し、2017年3月に1号調査井、2017年12月に2号調査井、2018年9月に3号調査井の掘削を完了し、2019年7月より4号調査井の工事に着手しております。
発電規模を確認するための仮噴気試験につきましては、2018年2月に1号調査井の自噴を確認し、2号井については2018年5月に高温熱水の存在を確認しました。3号調査井は熱水資源の還元ゾーンを調査する目的でしたが、掘削結果を受け、生産ゾーンの調査へと目的を切り替え、仮噴気試験を実施したところ、2019年1月に自噴を確認致しました。今後は、開発規模を2メガワット以上の開発も視野に入れつつ引き続き事業化に向けて取り組んでまいります。
なお、本件は、九州電力株式会社主宰の電源接続案件募集プロセス(2015年4月に設立された電力広域的運営推進機関により新たに規定されたルールであり、発電設備等を電力系統に連系するにあたり、系統連系希望者により工事費負担金を共同負担する手続)の手続中でしたが、2019年7月10日付で、九州電力株式会社より、募集プロセスが完了した旨の発表がありました。
また、既に開示しておりますとおり、今後の事業規模の拡大を目指すことを前提に、最大49%までの範囲にて第三者からの事業参加を想定し、パートナー企業の参画をより容易にすることを目的に、ASTRA社から宮崎県えびの市の地熱事業を新たに設立したえびの地熱社に承継させる新設分割を、2019年5月7日に実施いたしました。
当事業では、前連結会計年度に続き発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しております。4~5月には、九州地方で出力抑制が発令されたものの、保有する太陽光発電設備の増設を前連結会計年度中に行ったことが奏功し、セグメント利益を増加することができました。
以上の結果、当事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は168百万円(前年同期間比4百万円(3.0%)の増加)、セグメント利益は37百万円(前年同期間比19百万円(110.4%)の増加)となりました。
<電力取引関連事業>当事業は、小売電気事業者等を対象にシステム及び付帯サービスを提供するアストマックス・エナジー・サービス株式会社と、小売電気事業者であり、日本卸電力取引所の会員でもあるASTRA社の協業により推進しております。
小売電気自由化が開始された2016年4月から2019年4月までのみなし小売電気事業者から新電力へのスイッチングの累積件数は1,003万件、全体に占める割合は約16.0%となり、1年前に比べ351万件増加しております。一方、販売電力量に占める新電力のシェアは2019年4月迄の12ヶ月平均で14.5%のシェアを占めています。
このような環境の中、当事業では、需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供、電力取引の提供、米国において実績のあるEnergy Services Group, LLCの電力小売事業サポートシステムの日本版の提供を行っております。
また、2018年10月にはASTRA社の経済産業大臣へのガス小売事業者登録が完了し、商品ラインナップの1つとしてガス小売事業を開始するべく準備を行っております。
(電力事業)
当事業の内、業務代行サービス及びシステム販売については、既存顧客へのサービスの提供により収入を確保しながら、引き続き新規取引先を増やすべく、顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っており、当第1四半期連結累計期間には新たに2件の契約を獲得することが出来ました。
電力取引については、顧客の電力調達ニーズ、価格変動リスク及び電力市場の需給状況等を考慮し、電力先渡取引を行うと同時に、電力取引における価格変動リスクを抑える目的でデリバティブ取引である電力スワップ取引にも必要に応じて取り組んでおります。前連結会計年度に続き顧客開拓を続けた結果、新たに6件の新規取引先を獲得し、加えて取引も活発化したことにより、営業収益と営業費用はともに増加しました。会計上現物取引である上記電力先渡取引については、時価評価の対象ではなく、確定損益のみが会計上計上されています。電力取引は年度を越えて長期契約する可能性があり、また、電力価格と取引量には季節性があることから、月次及び四半期の損益変動幅が拡大する可能性があります。
電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性が増加していることに鑑み、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進しております。
(ガス事業)
昨年参入を決定して以降、パートナー候補である複数の企業からお問い合わせをいただいております。現時点におきましても、引き続き事業開始に向け契約候補会社と契約内容及び事業計画の確認を進めております。
以上の結果、当事業の当第1四半期連結累計期間は、前述のとおり、業務代行サービスの顧客増加や電力販売の増加により、営業収益は1,514百万円(前年同期間比284百万円(23.1%)の増加)となりましたが、天候不順により想定よりは取引が伸びず、また、ガス事業の先行投資等もあり、28百万円のセグメント損失(前年同期間は37百万円のセグメント損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて4.2%増加し、6,919百万円となりました。これは、連結子会社であったASTAM社株式の一部譲渡に伴い現金及び預金が521百万円増加したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて1.0%増加し、6,584百万円となりました。これは、前述のASTAM社が持分法適用関連会社になったこと等に伴い投資有価証券が271百万円増加したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて2.6%増加し、13,508百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて5.5%増加し、3,418百万円となりました。これは、短期借入金が771百万円増加したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて0.2%減少し、3,928百万円となりました。これは、長期借入金が9百万円減少したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて2.4%増加し、7,347百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2.8%増加し、6,161百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益獲得等により利益剰余金が421百万円増加したこと等によるものです。
(1)経営成績の分析
当社グループは、創業以来、培ってきたノウハウを活用し、金融事業と総合エネルギー事業を展開しております。
当第1四半期連結累計期間の経営環境は以下のとおりです。
当第1四半期連結累計期間(2019年4月1日~2019年6月30日)におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性、英国のEU離脱問題などの政治情勢、それらに伴う金融資本市場の変動などにより、先行きは不透明な状況にあります。
当第1四半期連結会計期間末の日経平均株価は前期末比0.33%上昇の21,275.92円、ドル円は前期末比2円97銭円高の107.56円となりました。また、原油価格は米国がイランに対する制裁を強めたことを受け4月から上昇基調となりました。米国のWTI原油は一時、年初来高値となる66.60ドルをつけましたが、その後は米中の貿易戦争による景気減速への懸念から下落基調に転じました。金価格は安定的に推移していましたが、米国の年内利下げ観測が強まったことを皮切りに金市場に資金が流入し、約6年ぶりに1,400ドルを超える水準に上昇しました。
再生可能エネルギーを取り巻く環境については、改正FIT法に基づき、2019年度の太陽光発電のFIT価格は14円(税抜)となり、入札制度の対象が出力2,000kW以上の設備から500kW以上の設備に拡大されました。また、未稼働案件に対して運転開始期限設定を義務化する新たな仕組みも定められました。
一方で、既存案件について、当社グループの保有する太陽光発電設備が稼働する九州電力管轄内において、電力需給バランス維持、電力の安定供給の必要性により、出力抑制が発令されました。
FIT価格は制度スタート時の40円(税抜)から大幅に低下しましたが、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」、「RE100(事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ)」など、脱炭素社会を目指す動きは世界的に広がり続けています。
電力市場においては、2016年4月の電力小売全面自由化以降、小売電力事業者の事業者数及び切替件数は、共に、順調に増加しています。一方、電力価格については、天候不順等による価格変動リスクが高まっており、小売電力事業者や発電事業者の経営においても、電力市場価格の「リスク管理」の重要性が認識されており電力取引のヘッジニーズが高まってきています。
なお、当社はアセット・マネジメント事業のさらなる発展のため、2019年4月1日付でASTAM社の株式の一部をヤフー株式会社に追加譲渡いたしました。これにより、当社のASTAM社株式の持株比率は49.9%となり、ASTAM社は当社の持分法適用関連会社となりました。
このような市場環境等のもと、当第1四半期連結累計期間における経営成績は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2019年3月期 第1四半期 連結累計期間 | 2020年3月期 第1四半期 連結累計期間 | 増減 | 増減率(%) | 増減の主要因ほか | |
営業収益 | 2,043 | 1,783 | △259 | △12.7 | ①ASTAM社の非連結化(△469) ②ディーリング事業(△103) ③再生可能エネルギー関連事業(+4) ④電力取引の増加(+284) |
営業費用 | 1,961 | 1,886 | △74 | △3.8 | ①ASTAM社の非連結化 ②電力取引の増加(+284) ③ガス事業の先行投資 |
営業利益又は営業損失(△) | 82 | △103 | △185 | - | |
経常利益又は経常損失(△) | 66 | △84 | △151 | - | ①アセット・マネジメント事業のセグメント損益の増減(△55) ②ディーリング事業のセグメント損益の増減(△79) ③ASTAM社株式の一部譲渡に関連し租税公課等が増加する等、全社費用が増加 |
特別利益 | - | 945 | 945 | - | ASTAM社株式の一部を追加譲渡したこと等による |
税金等調整前 四半期純利益 | 66 | 861 | 794 | 1,198.8 | |
法人税等合計 | 25 | 285 | 259 | 1,021.7 | |
非支配株主に帰属する四半期純利益 | 27 | 9 | △18 | △65.7 | ASTAM社の非連結化 |
親会社株主に帰属する四半期純利益 | 13 | 566 | 553 | 4,210.8 |
セグメント毎の業績及び取り組み状況は次のとおりです。
なお、セグメント利益又は損失は当第1四半期連結累計期間の経常損失と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
(セグメント別営業収益・セグメント損益) (単位:百万円)
2019年3月期 第1四半期 連結累計期間 | 2020年3月期 第1四半期 連結累計期間 | 増減 | 増減率(%) | ||
アセット・マネジメント事業 | 営業収益 | 494 | 24 | △469 | △94.9 |
セグメント損益 | 59 | 3 | △55 | △93.8 | |
ディーリング事業 | 営業収益 | 149 | 45 | △103 | △69.3 |
セグメント損益 | 30 | △48 | △79 | - | |
再生可能エネルギー関連事業 | 営業収益 | 163 | 168 | 4 | 3.0 |
セグメント損益 | 17 | 37 | 19 | 110.4 | |
電力取引関連事業 | 営業収益 | 1,230 | 1,514 | 284 | 23.1 |
セグメント損益 | △37 | △28 | 9 | - | |
その他(※1) | 営業収益 | 9 | 33 | 24 | 268.1 |
セグメント損益 | △2 | △7 | △5 | - | |
調整額(※2) | 営業収益 | △3 | △3 | △0 | - |
セグメント損益 | △1 | △41 | △39 | - | |
四半期連結財務諸表計上額 | 営業収益 | 2,043 | 1,783 | △259 | △12.7 |
セグメント損益 | 66 | △84 | △151 | - |
※1 「その他」は、地方創生事業など、現時点で報告セグメントに含まれていない事業を示しています。
※2 「調整額」のマイナスの増加は、ASTAM社株式の一部譲渡に関連し租税公課等が増加する等、全社費用が増加したことによります。
<アセット・マネジメント事業>前述のとおり、2019年4月1日付で、当社はアセット・マネジメント事業を主として営むASTAM社株式の一部をヤフー株式会社に追加譲渡し、当社のASTAM社株式の持株比率は49.9%となり、ASTAM社は当社の持分法適用関連会社となりました。したがって、当第1四半期連結累計期間よりアセット・マネジメント事業の営業収益はアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)の数字を表しております。AFM社においては、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担い、投資金額の順調な積み上げを継続しております。
ASTAM社においては、日本の株式への連動又は逆連動を目指すファンドやスワップ取引を対象としたファンドからの資金流出に加え、公募投資信託「WTI原油先物ファンド(ロング・ポジション/ショート・ポジション/マネー・ポジション)」の満期償還等を受け、運用資産残高合計は6月末時点で前連結会計年度末比295億円減少の約3,878億円となりました。全体として運用資産残高が前年同期間を下回る水準で推移したことに加え、報酬率が相対的に高い運用資産残高の減少等を受けて運用資産全体の報酬率が前年同期に比べ低下しました。
当社の報告セグメントの利益または損失は、経常利益ベースの数値であります。当事業においては、前述のとおりASTAM社が当社の持分法適用関連会社になったことも、セグメント利益が大幅に減少した主な要因です。
以上の結果、当事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は24百万円(前年同期間比469百万円(94.9%)の減少)となり、セグメント利益は3百万円(前年同期間比55百万円(93.8%)の減少)となりました。
ASTAM社では引き続き、投資信託の販売会社等との協業を通じて運用資産残高の積み上げに努めるとともに、収益基盤の拡充にも取り組んでおります。また、ASTAM社は、既存主力事業である機関投資家向けビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家の皆様に向けて、対面型営業による長期積立型投資信託事業に加え、ファイナンシャル・テクノロジーを活用した長期資産形成に貢献できる事業を展開しております。当社は、引き続きASTAM社の企業価値向上を目指し、ASTAM社においてヤフー株式会社と協働して推進する事業にも全力で取り組んでまいります。
<ディーリング事業>当事業は、アストマックス・トレーディング株式会社(以下、「ASTRA社」という。)が推進し、東京商品取引所、CME、ICE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。東京商品取引所の6月末の取組高は約35万枚と前年度末比約1万枚増加しましたが、当第1四半期連結累計期間の日次平均出来高は約7万9千枚と前年同期間比約1万5千枚減少しています。
前述の市場環境の中、原油市場では市場間の値差を利用した裁定取引で一定の収益を確保することができましたが、金、白金の裁定取引では値鞘の拡大が一方的な展開となり、取引の一部で損失が発生しました。ここ数年注力してきた大幅なコスト削減によっても収益の低下が賄いきれず、セグメント損失となりました。
以上の結果、当事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は45百万円(前年同期間比103百万円(69.3%)の減少)、セグメント損失は48百万円(前年同期間は30百万円のセグメント利益)となりました。
当事業では、今後も経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い、取引所の組織や制度変更にも適切に対応し、また収益力の増加を図るため中国先物市場の海外投資家への開放等の取引の好機を的確に捉え、引き続き収益力の回復を目指してまいります。
<再生可能エネルギー関連事業>当事業は主にASTRA社及びアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)が推進しております。再生可能エネルギーを取り巻く環境は冒頭のとおりですが、当事業は、企業理念と行動指針に基づき、エネルギー問題、気候変動問題を中心とした環境への取り組みにより包括的で持続可能な開発目標(SDGs)の実現に貢献したいと考えております。国のエネルギー基本計画に基づき、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指すとともに、再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針であり、以下のとおり、継続的に再生可能エネルギー発電所の開発、取得、維持・運営管理を行っております。
(太陽光発電事業)
当事業では、引き続き、以下の1を開発中であることに加え、以下の2のとおり既に売電を行っている太陽光発電所を取得しました。これより、当事業が従事した完工済みの案件は15箇所、合計28.9メガワットとなり、建設中の案件は2箇所、合計2.5メガワットになります。
改正FIT法の施行、競合他社の参入、優良案件の減少等により、環境的には案件確保は容易ではないと言えますが、今後におきましても、引き続き太陽光発電設備の自社開発に加え、未稼働ID及びセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保に取り組むと共に、保有している既存発電設備についても、譲渡を行うこと等を含めて、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保しながら、事業採算性の向上にも取り組んでまいります。
自社開発・新規取得:
1. 鹿児島県霧島市 出力規模:約2.2メガワット
既に開示しておりますとおり、2016年10月に着工となりました本案件につきましては、当社グループとしての事業リスクを限定するために、SPC(特別目的会社)及び匿名組合契約(ASTRA社を出資者とし、SPCを営業者とする契約)を使った投資スキームを利用しており、2016年12月16日付にて太陽光発電設備を設置する合同会社に対し出資をしております。稼働開始は、2018年3月を見込んでおりましたが、工程が変更となり2019年10月以降となる見込みです。稼働後はASTRA社による管理・オペレーション業務を行います。
セカンダリー市場:
2.埼玉県吉見町 出力規模:約0.9メガワット
2019年5月に既稼働設備
(地熱発電事業等)
当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。
宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」の採択を受け、2メガワット規模の地熱発電の事業化を目指し、2017年3月に1号調査井、2017年12月に2号調査井、2018年9月に3号調査井の掘削を完了し、2019年7月より4号調査井の工事に着手しております。
発電規模を確認するための仮噴気試験につきましては、2018年2月に1号調査井の自噴を確認し、2号井については2018年5月に高温熱水の存在を確認しました。3号調査井は熱水資源の還元ゾーンを調査する目的でしたが、掘削結果を受け、生産ゾーンの調査へと目的を切り替え、仮噴気試験を実施したところ、2019年1月に自噴を確認致しました。今後は、開発規模を2メガワット以上の開発も視野に入れつつ引き続き事業化に向けて取り組んでまいります。
なお、本件は、九州電力株式会社主宰の電源接続案件募集プロセス(2015年4月に設立された電力広域的運営推進機関により新たに規定されたルールであり、発電設備等を電力系統に連系するにあたり、系統連系希望者により工事費負担金を共同負担する手続)の手続中でしたが、2019年7月10日付で、九州電力株式会社より、募集プロセスが完了した旨の発表がありました。
また、既に開示しておりますとおり、今後の事業規模の拡大を目指すことを前提に、最大49%までの範囲にて第三者からの事業参加を想定し、パートナー企業の参画をより容易にすることを目的に、ASTRA社から宮崎県えびの市の地熱事業を新たに設立したえびの地熱社に承継させる新設分割を、2019年5月7日に実施いたしました。
当事業では、前連結会計年度に続き発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しております。4~5月には、九州地方で出力抑制が発令されたものの、保有する太陽光発電設備の増設を前連結会計年度中に行ったことが奏功し、セグメント利益を増加することができました。
以上の結果、当事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は168百万円(前年同期間比4百万円(3.0%)の増加)、セグメント利益は37百万円(前年同期間比19百万円(110.4%)の増加)となりました。
<電力取引関連事業>当事業は、小売電気事業者等を対象にシステム及び付帯サービスを提供するアストマックス・エナジー・サービス株式会社と、小売電気事業者であり、日本卸電力取引所の会員でもあるASTRA社の協業により推進しております。
小売電気自由化が開始された2016年4月から2019年4月までのみなし小売電気事業者から新電力へのスイッチングの累積件数は1,003万件、全体に占める割合は約16.0%となり、1年前に比べ351万件増加しております。一方、販売電力量に占める新電力のシェアは2019年4月迄の12ヶ月平均で14.5%のシェアを占めています。
このような環境の中、当事業では、需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供、電力取引の提供、米国において実績のあるEnergy Services Group, LLCの電力小売事業サポートシステムの日本版の提供を行っております。
また、2018年10月にはASTRA社の経済産業大臣へのガス小売事業者登録が完了し、商品ラインナップの1つとしてガス小売事業を開始するべく準備を行っております。
(電力事業)
当事業の内、業務代行サービス及びシステム販売については、既存顧客へのサービスの提供により収入を確保しながら、引き続き新規取引先を増やすべく、顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っており、当第1四半期連結累計期間には新たに2件の契約を獲得することが出来ました。
電力取引については、顧客の電力調達ニーズ、価格変動リスク及び電力市場の需給状況等を考慮し、電力先渡取引を行うと同時に、電力取引における価格変動リスクを抑える目的でデリバティブ取引である電力スワップ取引にも必要に応じて取り組んでおります。前連結会計年度に続き顧客開拓を続けた結果、新たに6件の新規取引先を獲得し、加えて取引も活発化したことにより、営業収益と営業費用はともに増加しました。会計上現物取引である上記電力先渡取引については、時価評価の対象ではなく、確定損益のみが会計上計上されています。電力取引は年度を越えて長期契約する可能性があり、また、電力価格と取引量には季節性があることから、月次及び四半期の損益変動幅が拡大する可能性があります。
電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性が増加していることに鑑み、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進しております。
(ガス事業)
昨年参入を決定して以降、パートナー候補である複数の企業からお問い合わせをいただいております。現時点におきましても、引き続き事業開始に向け契約候補会社と契約内容及び事業計画の確認を進めております。
以上の結果、当事業の当第1四半期連結累計期間は、前述のとおり、業務代行サービスの顧客増加や電力販売の増加により、営業収益は1,514百万円(前年同期間比284百万円(23.1%)の増加)となりましたが、天候不順により想定よりは取引が伸びず、また、ガス事業の先行投資等もあり、28百万円のセグメント損失(前年同期間は37百万円のセグメント損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて4.2%増加し、6,919百万円となりました。これは、連結子会社であったASTAM社株式の一部譲渡に伴い現金及び預金が521百万円増加したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて1.0%増加し、6,584百万円となりました。これは、前述のASTAM社が持分法適用関連会社になったこと等に伴い投資有価証券が271百万円増加したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて2.6%増加し、13,508百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて5.5%増加し、3,418百万円となりました。これは、短期借入金が771百万円増加したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて0.2%減少し、3,928百万円となりました。これは、長期借入金が9百万円減少したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて2.4%増加し、7,347百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2.8%増加し、6,161百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益獲得等により利益剰余金が421百万円増加したこと等によるものです。