四半期報告書-第7期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

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2018/08/14 15:05
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文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間(平成30年4月1日~平成30年6月30日)における金融市場は、米トランプ政権が中間選挙を意識し対外強硬姿勢を強める中、貿易戦争への懸念や混迷する欧州の政局などを材料に、株式、債券市場ともに値動きの荒い展開が続きました。
株式市場は、世界景気の拡大や企業収益の成長を背景に、総じて米英などの先進国株を中心に上昇基調を辿りました。一方で、保護主義の高まりによる経済見通しの悪化や資金流出の懸念から一部の新興国通貨が急落し、中国、ブラジルなどの新興国株は軟調に推移しました。国内株式市場は、業績期待などを背景に上昇し、日経平均株価は一時23,000円台を回復しましたが、当第1四半期連結会計期間末にかけては海外要因から22,000円台前半まで下落しました。
債券市場は乱高下の展開となりました。株式市場が上昇基調を辿る中、4月下旬に米10年国債が2014年1月以来の3%台に乗せるなど、長期債利回りは世界的に上昇しました。しかしながら、5月中旬以降は欧州の政局不安や新興国通貨の下落などから安全資産を買う動きが強まり、主要市場の国債利回りは低下しました。当第1四半期連結会計期間末の10年国債利回りは、米国は前年度末比上昇、英独では低下、日本はほぼ横ばいとなりました。投資適格社債の信用スプレッドは拡大し、社債市場は総じて軟調となりました。
商品市場はまちまちの値動きとなりました。米国のイラン核合意離脱を受け、WTI原油価格は5月に70ドルを突破しましたが、その後は協調減産緩和の思惑等から乱高下しました。金融政策のスタンスの違いを受けて米ドルが主要通貨に対して上昇する中、金価格は軟調に推移しました。また、穀物相場は、中国の報復関税への懸念からシカゴ大豆が6月に入って大幅下落する一方、春小麦の作付けの遅れや冬小麦の作柄懸念などから、小麦価格は春先に急騰しました。
当第1四半期連結累計期間の再生可能エネルギーを取り巻く環境については、太陽光発電のFIT価格が18円(税抜)となり、FITスタート時の40円(税抜)から大幅に低下しました。一方では、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にて採択された気候変動抑制に関する「パリ協定」が、欧州連合も含めた110の国及び団体によって批准されたことを受け、再生可能エネルギーを重視する動きが世界的に広がっています。わが国においても「RE100(事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際的なイニシアチブ)」に加盟する企業が増えている他、新しい「エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギーについて「確実な主力電源化」を目指すために、「円滑な大量導入に向けた取組を引き続き積極的に推進していく。」と明記されたことが注目されています。
このような市場環境等のもと、当社の当第1四半期連結累計期間の営業収益は2,043百万円(前年同期間比1,068百万円(109.7%)の増加)、営業費用は1,961百万円(前年同期間比1,024百万円(109.4%)の増加)、経常利益は66百万円(前年同期間比61百万円(1,170.9%)の増加)となりました。法人税等合計は25百万円(前年同期間比0.9百万円(3.7%)の増加)、非支配株主に帰属する四半期純利益は27百万円(前年同期間比5百万円(22.1%)の増加)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は13百万円(前年同期間は42百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。営業収益と営業費用の増加は、主として電力取引関連事業において、電力の販売と仕入れが増加したことによるものです。また、公募の投資信託に係る広告宣伝費の減少や情報端末等の利用見直しによるコスト削減等により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益のいずれもが前年同期間に比べ改善しました。
セグメント毎の業績及び取り組み状況は次のとおりです。
①アセット・マネジメント事業
当事業は、主にアストマックス投信投資顧問株式会社が推進しており、金融商品取引業と商品投資顧問業等を行っております。
当第1四半期連結累計期間においては、日本や米国の国債への連動又は逆連動を目指すファンドへの資金流入などを受けて、運用資産残高合計は5月末時点で前連結会計年度末比85億円増加の4,027億円となり、月末運用資産残高として過去最高額を更新しましたが、その後、スワップ取引を対象としたファンドの満期償還などもあり、6月末時点における運用資産残高合計は前連結会計年度末比14億円増加の約3,955億円となりました。運用資産残高は前年同期間を上回る水準で推移したものの、報酬率が相対的に高い運用資産残高の減少等を受けて運用資産全体の報酬率が前年同期間との比較ではマイナスで推移したことなどから、営業収益のうち、固定報酬の総額は前年同期間比で減少しました。一方、営業収益の総額は、投資助言業務に係る成功報酬がプラス要因となり、前年同期間比で増加しました。
学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドについては、アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社が営業者としてファンド運営業務等を担い、投資金額の積み上げを継続しております。
以上の結果、当事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は、494百万円(前年同期間比20百万円(4.3%)の増加)となり、セグメント利益は59百万円(前年同期間比10百万円(21.3%)の増加)となりました。
当事業では、今後とも拡充した事業基盤を活用し、投資信託の販売会社等との協業を通じて運用資産残高の積み上げに努めるとともに、収益基盤の拡充にも取り組んでまいります。なお、既存主力事業である機関投資家ビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても、一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家の皆様に対して、対面型営業による長期積立型投資信託事業に加え、ファイナンシャル・テクノロジーを活用した長期資産形成に貢献できる事業を展開してまいります。
②ディーリング事業
当事業は、主にアストマックス・トレーディング株式会社(以下、「ASTRA社」という。)が推進し、東京商品取引所(以下、「TOCOM」という。)、CME、ICE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。
前述の市場環境の中、主力である商品市場では、5月に貴金属市場が下落、原油市場が乱高下する展開となり、市場間の値差を利用した裁定取引で収益を確保することができました。しかしながら当第1四半期連結累計期間を通じてみると取引機会は限定的であり収益は伸び悩み状況となりましたが、従来より取り組んでいる経費削減施策等の効果もあり、一定水準のセグメント利益を確保することが出来ました。
以上の結果、当事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は149百万円(前年同期間比4百万円(2.9%)の増加)、セグメント利益は30百万円(前年同期間は21百万円のセグメント損失)となりました。
当事業では、今後も経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い、また収益力の増加を図るため、予定されているTOCOM電力先物等の新規上場及び、中国市場の海外への開放などの好機を的確に捉え、引き続き収益力の回復を目指してまいります。
③再生可能エネルギー関連事業
当事業は主にASTRA社等が推進し、主として再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行っております。
当事業の進捗状況については継続的に開示しておりますが、当第1四半期連結累計期間における同事業の進捗状況は以下のとおりです。
(太陽光発電事業)
1. 鹿児島県霧島市 出力規模:約2.2メガワット
既に開示しておりますとおり、平成28年10月に着工となりました本案件につきましては、当社グループとしての事業リスクを限定するために、SPC(特別目的会社)及び匿名組合契約(ASTRA社を出資者とし、SPCを営業者とする契約)を使った投資スキームを利用しており、平成28年12月16日付にて太陽光発電設備を設置する合同会社に対し出資をしております。稼働開始は、平成30年3月を見込んでおりましたが、工程が変更となり平成31年以降となる見込みです。稼働後はASTRA社による管理・オペレーション業務を行います。
2. 大分県中津市 出力規模:約2.3メガワット
平成29年10月27日付にて合同会社に対し匿名組合出資をしております本案件の稼働開始は、平成30年4月を見込んでおりましたが、天候や造成工事に時間を要した影響で工程が変更となり平成30年8~9月となる予定です。稼働後はASTRA社による管理・オペレーション業務を行います。
太陽光発電事業につきましては、前述のほか、未稼働ID及びセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件取得に取り組んでおります。改正FIT法の施行、競合他社の参入、優良案件の減少等により、環境的には案件確保が容易ではないといえますが、今後におきましても、引き続き太陽光発電設備の未稼働ID及びセカンダリー市場での案件確保に取り組み、譲渡を行うこと等を含め、期間利益の獲得を目指してまいります。また、保有している既存発電設備においても、投資事業ポートフォリオの一部入替や、生産性向上のため増設等を行うことを予定しており、これらを通じた事業採算の向上に取り組んでまいります。
(地熱発電事業等)
ASTRA社では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。
宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」の採択を受け、2メガワット規模の地熱発電の事業化を目指し、平成29年3月に1号調査井、平成29年12月に2号調査井の掘削を完了しております。発電規模を確認するための仮噴気試験につきましては、平成30年2月に1号調査井の自噴を確認し、2号井については平成30年5月に高温熱水の存在を確認いたしました。また、平成30年度調査事業として3号調査井(還元井)の掘削を開始しており、2メガワット以上の開発も視野に入れつつ、引き続き事業化に向けて取り組んでまいります。なお、本件は、九州電力株式会社主宰の電源接続案件募集プロセス(電源接続案件募集プロセスとは、平成27年4月に設立された電力広域的運営推進機関により新たに規定されたルールであり、発電設備等を電力系統に連系するにあたり、系統連系希望者により工事費負担金を共同負担する手続きのこと。)の手続き中です。
開発中の案件は、前連結会計年度に続き発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しております。また、平成30年3月に奈半利ソーラー発電所を譲渡したことや、当社グループ最大規模(約7.8メガワット)の熊本県の発電所が日射量に恵まれなかったため、営業収益は前年同期間比で減少しましたが、平成30年3月に実施した融資の借換により借入コストが減少したこともあり、セグメント利益を確保いたしました。
以上の結果、当事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は163百万円(前年同期間比40百万円(19.9%)の減少)、セグメント利益は17百万円(前年同期間比5百万円(23.4%)の減少)となりました。
④電力取引関連事業
当事業は、小売電気事業者等を対象にシステム及び付帯サービスを提供するアストマックス・エナジー・サービス株式会社(以下、「AES社」という。)と、小売電気事業者であり、日本卸電力取引所の会員でもあるASTRA社による協業により推進しております。
AES社では、電力自由化の先進国である米国において実績のあるEnergy Services Group, LLCの電力・ガス小売事業サポートシステムの日本版を提供するとともに、ASTRA社との協業による需要予測等を含む需給管理業務並びに顧客のための電力調達業務を通じて、小売電気事業者等のニーズに応えるべくきめ細かいサービス及びソリューションの提供に取り組んでおります。
当事業では、顧客の電力調達ニーズ、価格変動リスク及び電力市場の需給状況等を考慮し、電力先渡取引を行っております。また、電力取引における価格変動リスクを可能な限り抑える目的で電力スワップ取引等のデリバティブ取引も行っております。なお、このうち先渡取引については、会計上のデリバティブに該当しないと判断しているため、当第1四半期連結累計期間においては時価評価を行っておりません。
当第1四半期連結累計期間においては、顧客の多様な電力調達ニーズに対応するために取り組んでいた電力の調達及び販売の多様化が評価され、各種電力取引が複数件成立しました。電力取引の増加及び多様化に伴い、リスク管理の重要性が増加していることに鑑み、社内に新たに「電力取引委員会」を立ち上げるなどリスク管理体制の強化を推進しました。
当事業の当第1四半期連結累計期間は、前述のとおり電力取引が増加しているため、営業収益及び営業費用が前年同期間比大幅に増加し、営業収益は1,230百万円(前年同期間比1,079百万円(717.0%)の増加)となりましたが、37百万円のセグメント損失(前年同期間は45百万円のセグメント損失)となりました。
上記、セグメント利益又は損失は当四半期連結財務諸表の経常利益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて3.2%減少し、5,768百万円となりました。これは、現金及び預金が366百万円減少、差入保証金が109百万円減少したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて2.9%増加し、6,292百万円となりました。これは、建設仮勘定が207百万円増加したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて0.1%減少し、12,068百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて7.0%増加し、2,136百万円となりました。これは、自己先物取引差金が236百万円増加したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて0.2%減少し、4,129百万円となりました。これは、固定負債のその他に含まれる預り保証金が17百万円減少したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて2.1%増加し、6,266百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2.4%減少し、5,802百万円となりました。これは、株主配当により利益剰余金が144百万円減少したこと等によるものです。