半期報告書-第13期(2024/04/01-2025/03/31)
文中における将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社グループは、総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において創業以来培ってきたノウハウを活用し事業を展開しております。
当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)における我が国の経済状況は、物価上昇の影響はあるものの、所得・雇用環境の改善などを背景に社会経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調で推移しています。一方、中東地域の緊迫化やウクライナ情勢の長期化、海外の経済・物価動向、日銀の金融政策の動向、円相場の急激な変動など、さまざまな要因による不透明な先行きには、引き続き十分な注視が必要です。
このような中、当社グループは、2021年11月に策定した3.5ヵ年計画の「中期ビジョン2025」の方針に則り、引き続き下記項目への取り組みを重点的に進めてまいりました。
1) 事業構造と経営資源配分の見直しに着手
2) 特別高圧・高圧市場の需要家向けマーケティングの更なる注力
3) 系統用蓄電池の事業化のアレンジメント
4) コア事業向けの資金調達等
当連結会計年度は、「中期ビジョン2025」の最終年度であり、目標に掲げている「総合エネルギー事業会社への変革」に向けて、引き続き上記2)、3)を中心に、グループ一丸となって取り組んでおります。
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中期ビジョン2025:「事業の深化と進化」、「総合エネルギー事業会社への変革」
優先して取り組む事項:
1. 『電力利用の新しい日常』を創造
2. 電気は『つくって、ためて、賢く使う』時代を先取り
3. 蓄電池を活用した事業・ビジネスの拡大
4. 地域電力設立の支援強化(地域脱炭素化の支援)
5. 小売電気事業者様向けマネジメントサービス提供型ビジネスの一層の拡大
2025年3月期における定量的目標:
1. 連結営業収益 :200億円以上
2. 税金等調整前当期純利益:7億円以上
3. 一株当たり純資産額 :500円以上
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当中間連結会計期間における経営成績は以下のとおりです。
当社が展開する5事業全てがセグメント利益となり、全体として営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期間比増加いたしました。
なお、2020年4月に買収した企業は1件の被告事案を抱えており、2021年3月期より本事案に関する引当金を計上しておりましたが、2024年6月に当社グループの勝訴が確定し、21百万円の訴訟損失引当金戻入額を特別利益に計上しております。
(連結経営成績)
※1 「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。
※2 当中間連結会計期間の営業収益における電力取引関連事業に係るヘッジ目的で行う電力先物取引による影響の内容について
は、「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。
セグメント毎の経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。
5事業全てセグメント利益となりましたが、再生可能エネルギー関連事業は、前年度に系統用蓄電池事業開始に伴うアレンジメントフィーとして営業収益289百万円および営業外費用60百万円を計上していたため、当該事業のみ営業収益、セグメント利益共に前年同期間比減少しました。他の4事業は営業収益、セグメント利益共に前年同期間比増加しました。
(セグメント別営業収益・セグメント損益)
※1 当中間連結会計期間の営業収益における電力取引関連事業に係るヘッジ目的で行う電力先物取引による影響の内容については、
「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。
※2 セグメント損益は、当中間連結会計期間の経常損益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。各事業に帰属する特別利益及び特別損失は含んでおりません。
<1 再生可能エネルギー関連事業>当事業は当社及びアストマックスえびの地熱株式会社が推進しており、当事業を通じて、更なる再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与していくとの方針の下、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。本事業を通じて、再生可能エネルギーの導入加速と電力系統の安定化に貢献するとともに、カーボンニュートラルの実現、GXの推進に取り組んでまいります。
(太陽光発電事業)
2024年4月末日に栃木県大田原市内に約2.1MWの太陽光発電所が完工、運転を開始し、当事業が関与した完工済みの案件は合計33.5MWとなりました。
当事業では、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係るノウハウとネットワークに加え、小売事業部門と連携を取りながら潜在顧客の発掘とアプローチを行い、固定価格買取制度に頼らない、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開を中心にマーケティングを行っております。FITモデルから非FITまたはFIPモデルへの転換により、事業採算性の向上に取り組んでおります。
自社開発(建設中):
該当なし。
自社開発(運転開始):
栃木県大田原市 出力規模:約2.1MW 2024年4月完工。当社が維持・運営管理(O&M事業)を行っております。
ポートフォリオの入替:
当中間連結会計期間に入替を実施した案件はありません。
維持・運営管理(O&M事業):
当社が開発に携わった案件等20サイト、合計31.6MWの太陽光発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っております。後述にもあります昨今の自然災害やケーブル盗難の増加に伴う保険料の上昇については、発電事業者様への説明を実施し、適正な価格転嫁の商談を進めております。
なお、当社グループが所有及び管理している栃木県の発電所(あくとソーラーパーク)で2024年2月に発生した電気ケーブルの一部が切断される被害については、2024年8月上旬に復旧工事が完了いたしました。被害発生時から復旧工事完了まで、当該発電所の発電能力は半分程度に低下しておりましたが、本発電所には損害保険を付保しており、発電停止期間の休業補償については現在手続き中です。当中間連結会計期間末において補償金は未受領となっており、受領次第営業外収益として計上する予定です。
当該発電所では、警備会社との契約や警察の巡回強化等の対策に加え、防犯センサー増設等、更なるセキュリティ強化を実施しております。
コーポレートPPA事業:
当社は北海道山越郡長万部町と包括連携協定を締結し、「持続可能な街づくりと脱炭素化・再生可能エネルギー推進を同時実現することを目的とした事業」を協同で推進しており、本案件は2023年3月期末に運転開始済です。
また、当社は株式会社熊谷組とコーポレートPPA事業の協業を開始いたしました。両社が匿名組合出資する合同会社ACEを事業主体とし、発電事業者としてPPA事業を展開いたします。2024年7月に静岡県富士宮市の民間企業とのPPA契約を締結し、運転開始は2025年2月を予定しております。
このほか、当社が匿名組合出資をしております合同会社GreenPowerでは、当中間連結会計期間中に民間企業との間で4件の運転を開始しており、今後も案件受注に向けて取り組んでまいります。
(系統用蓄電池事業)
当社は大和エナジー・インフラ株式会社、芙蓉総合リース株式会社と共同で匿名組合出資する合同会社DAXより、北海道札幌市内にて開発中の系統用蓄電池(定格出力5.0万kW、定格容量10.0万kWh)事業のオペレーターとして、運転開始前は本事業の工程管理及び運用準備業務を、運転開始後は蓄電所の運営、維持・管理、AIを活用した需給調整や市場予測等の機能を活用した電力取引の業務を請け負います。当該系統用蓄電所は2023年度に着工し、工程はスケジュールどおり進捗しており、2025年秋の運転開始を予定しております。
また、当該エリアに加え他のエリアでの展開も検討しており、幾つかの案件について具体的な事業化に向けて取り組みを進めております。
(地熱発電事業)
当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。
宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」(以下、「助成事業」という。)の採択を受け、2MW規模の地熱発電の事業化を目指して、2016年度~2018年度に3本の調査井を掘削、その後計画規模を4~5MWに拡大し、2019年度助成事業として4本目の調査井を掘削いたしました。これら4坑井(生産井2本・還元井1本・貯留層のモニタリング用井戸1本)から、発電事業に必要な能力を有するとした調査結果を得ており、事業化に向けて取り組んでおります。
当初より計画している2MW分については、2019年度に連系契約を完了しておりますが、計画規模拡大後の追加容量については、度重なる制度改正等により手続きが非常に長期化しておりました。
この間、連系時期の不確実性や物価上昇等による建設コストの増加に伴い、並行して送電容量の拡大等見直しを行なった結果、全体の発電容量は5MW未満のままとする一方、送電容量を0.4MW拡大し、合計4.4MWの送電計画といたしました。
今般、追加容量を含めた全4.4MWの連系が確定したため、許認可手続き及び発電設備の工事契約等の準備を速やかに進めて参ります。なお、運転開始時期は、上記のとおり度重なる制度改正や工事契約の納期等が長期化しているため、当初の予定より1年延長して2027年度を想定しております。
当社グループ所有の太陽光発電所が4月に完工し売電を開始したことや、経済的出力制御(オンライン代理制御)による電力販売のマイナス調整負担が前年同期間比減少したこと等で、売電収入は前年同期間比増加しました。しかしながら前年度は系統用蓄電池事業開始に伴うアレンジメントフィーとして営業収益289百万円および営業外費用60百万円を計上していたため、当事業全体では営業収益、セグメント利益共に前年同期間比減少しました。
以上の結果、当事業における当中間連結会計期間の営業収益は396百万円(前年同期間比179百万円(31.2%)の減少)、17百万円のセグメント利益(前年同期間比162百万円(90.2%)の減少)となりました。
<2 電力取引関連事業>当事業は、当社が推進し、①小売電気事業者向け電力取引及び電力小売顧客向け固定価格取引等の提供、②需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供等を行っております。
①については、顧客毎の電力調達及びリスクヘッジニーズに対応し、電力現物先渡取引、デリバティブ取引である電力スワップ取引、電力先物取引に取り組んでおります。②については、既存顧客へ安定したサービスの提供をしながら、引き続き新規取引先を増やすべく、電力取引のリスク管理コンサルティング等の新メニューを加え、顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っております。電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性の高まりを受け、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進し、変動率が高い相場展開の中、リスクを適切に抑制しながら取引を実行しております。
当中間連結会計期間においては、電力卸売価格が上昇する中、小売電気事業者のヘッジニーズの高まり等を受け、取引量が前年同期間比増加したこと等により営業収益、セグメント利益は共に前年同期間比増加いたしました。
なお、当中間連結会計期間のヘッジ目的で行う電力先物取引による営業収益への影響は以下のとおりです。当中間連結会計期間末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引は時価評価の対象ではありませんが、当該取引をヘッジする目的で行う電力先物取引はデリバティブ取引として時価評価の対象となります。電力先物取引のうち、一部取引所では取引所の規定によって3か月以上の期間のポジションは期末が近付いた段階で決済され、より短い期間の新たなポジションに分割されます。これに伴う決済利益12百万円(純額①-1)と、当中間連結会計期間末を越えて限月を迎える電力先物取引の時価評価益42百万円(純額①-2)は、当中間連結会計期間末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引と同一の会計期間に認識されないため、当中間連結会計期間の営業収益を押し上げ、電力取引関連事業のセグメント利益を増加させる要因となっております。
一方、同様の理由で、当中間連結会計期間に受渡しが行われる電力現物先渡取引をヘッジする目的で行われた電力先物取引に係る前連結会計年度に認識された決済損失10百万円(純額②-1)及び時価評価損24百万円(純額②-2)は当中間連結会計期間の営業収益を押し上げ、電力取引関連事業のセグメント利益を増加させる要因となっております。
①と②を総合すると、結果として当中間連結会計期間の営業収益とセグメント利益はそれぞれ合計91百万円(91=12+42+10+24)押し上げられております。
以上の結果、当事業における当中間連結会計期間の営業収益は5,968百万円(前年同期間比2,085百万円(53.7%)の増加)となり、240百万円のセグメント利益(前年同期間比100百万円(71.7%)の増加)となりました。
なお、前連結会計年度まで新機能開発部で行っていた、系統用蓄電池事業で使用するAIアルゴリズムの開発等は当事業にて取り進めております。これは、系統用蓄電所の運転開始後に、電力需給バランスの安定化と電力供給の効率化を図るために必要なもので、需給調整や電力関連市場予測及び入札価格や入札量の最適化等の機能にAIを活用します。系統用蓄電池事業は当社グループの中期ビジョンにおいても優先課題の一つとなっており、再生可能エネルギー関連事業部と連携しながら取り組んでおります。
<3 小売事業>当事業は、当社及びアストマックス・エネルギー株式会社(以下、「AEKK社」という。)が推進し、当社は特別高圧・高圧市場の顧客へ電力販売を行い、AEKK社は個人を中心とする低圧市場の顧客へ電力とガスの販売を行っております。
(電力小売事業)
特別高圧・高圧の電力市場では電力価格の高騰により、2022年秋より実質的な市場連動型料金に変更しております。こうした動きもあり、特別高圧・高圧電力市場では市場連動型料金体系が従来に比べ一般的になり、当社は2022年夏より特別高圧・高圧向け「フリープラン」の営業に注力してまいりました。その結果、同プランの優位性が認知され、撤退する事業者の顧客引受や媒介店からの流入を中心とした新規顧客が大幅に増加し、2023年5月には特別高圧・高圧の顧客数(請求単位)が500件を超える水準となりました。2023年度以降は、2022年度のような最終保障契約からの流入は一巡し、顧客数の増加は鈍化傾向ではありますが、市場価格をベースとした「フリープラン」の競争力は比較的優位な状況を維持できていると判断しております。
2024年4月より開始した容量拠出金制度における負担転嫁を契機として、一部のお客様が他の小売電気事業者に切り替える動きが見られましたが、当社は従来より高圧のお客様に対して個別訪問やオンライン会議等を活用したニーズの把握につとめ、使用電力量の分析やシミュレーション等の情報提供を通じて、当社サービスへの理解促進に努めており、新規顧客の獲得も徐々に進んでおります。結果として2024年9月末の特別高圧・高圧の顧客数(請求単位)は2024年6月末比若干増の561件となっております。今後も一層のサービス向上と顧客獲得を目指してまいります。
なお、特別高圧・高圧の顧客への供給量増加に対応し、その電力仕入に係る資金を安定的かつ機動的に調達することを目的に、新たに4金融機関を加え、コミットメント金額を10億円増額した都市銀行4行を含む8金融機関による総枠30億円のコミットメントライン契約を2024年9月に締結し、27百万円の資金調達費用を一時費用として計上いたしました。
一方、低圧市場の事業環境は、2022年11月以降、みなし小売電気事業者から新電力への切替数が伸び悩む傾向にありますが、当事業では、2023年9月に低圧市場向け電力プランを「フリープラン」に一本化いたしました。これにより一部既存顧客の契約解除もありましたが、一般的な固定単価の電気料金プランに対し、現在の市場環境においては当社のフリープランが比較優位にあるとの判断等から、高圧需要家からの低圧電力契約の引き合いが増加しました。また、販売強化策として、8月よりキャッシュバックキャンペーンを再開しました。さらに販売代理店拡充の一環として、2024年9月30日にポート株式会社と業務提携契約を締結いたしました。当社グループがポート専用の新電気料金プランをリリースし、2社共同で販売強化施策を実施していく予定です。
(ガス小売事業)
AEKK社は株式会社グローバルエンジニアリングのガス小売取次店として電気とガスのセット販売を継続しております。
以上の結果、上期を通じて顧客への電力供給が安定的に行われたことから、当事業における当中間連結会計期間の営業収益は3,502百万円(前年同期間比791百万円(29.2%)の増加)となり、77百万円のセグメント利益(前年同期間比45百万円(139.2%)の増加)となりました。
<4 アセット・マネジメント事業>当事業は、当社とアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)が推進し、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担うほか、2020年3月に運用開始した基金の安定運用のファンド、2022年10月に運用開始した学校法人東京理科大学が支援する再生可能エネルギーファンドの運用業務を行っております。
再生可能エネルギーファンドにおいては、当社グループの「中期ビジョン2025」でも優先課題となっている「地域の地産地消のための再エネ導入」を、産官学連携の力も活用して行うことを目指しております。また、当中間連結会計期間に開始した新たな大学発ベンチャーキャピタルファンドについても、AFM社が支援を行うこととなり、当事業のセグメント利益増加に寄与することとなりました。
AFM社が営業者として運用しているファンドの運用資産は前年同期間比増加しており、当セグメントの営業収益に計上する運用報酬額も前年同期間比増加しております。2024年1月以降安定した利益を確保できる体制となっており、当中間連結会計期間もセグメント黒字を継続しております。
以上の結果、当事業における当中間連結会計期間の営業収益は95百万円(前年同期間比4百万円(4.9%)の増加)となり、セグメント利益は16百万円(前年同期間は6百万円のセグメント損失)となりました。
<5 ディーリング事業>当事業は、当社が推進し、OSE、TOCOM、TFX、CME、ICE、INE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定による裁定取引を主に行っております。
当中間連結会計期間の原油市場は、原油需要伸び悩みへの警戒感、中東情勢などの地政学リスク等を受け、60~80ドル台で推移いたしました。金市場の価格は、毎月史上最高値を更新するなど、引き続き高い水準で推移いたしました。
当中間連結会計期間においては、金やプラチナを中心に国内外取引所の値差が変動しプラスに貢献、収益を確保いたしました。
以上の結果、当事業における当中間連結会計期間の営業収益は324百万円(前年同期間比163百万円(102.4%)の増加)、セグメント利益は138百万円(前年同期間は11百万円のセグメント損失)となりました。
当事業では、今後も経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い引き続き収益力の強化を目指してまいります。
上記、セグメント利益又は損失は当中間連結会計期間の経常利益と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて11.0%増加し、8,638百万円となりました。これは、営業未収入金が716百万円、自己先物取引差金が550百万円増加したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて微増の6,509百万円となりました。これは、機械及び装置の純額が534百万円増加し、建設仮勘定が502百万円減少したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて6.0%増加し、15,150百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて5.3%増加し、4,630百万円となりました。これは、短期社債が700百万円、営業未払金が490百万円増加したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて9.0%増加し、4,282百万円となりました。これは、主に長期借入金が364百万円増加したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて7.1%増加し、8,913百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて4.5%増加し、6,237百万円となりました。これは、利益剰余金が、株主配当により86百万円減少し、親会社株主に帰属する中間純利益により355百万円増加したこと等によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、3,970百万円(前年同期間比7.5%増)となりました。
当中間連結会計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動による資金の増減は、331百万円(前年同期間は△311百万円)となりました。
主たる要因は、主として差入保証金の減少による収入(695百万円)、税金等調整前中間純利益による収入(433百万円)、自己先物取引差金(借方)の増加による支出(△708百万円)等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における投資活動による資金の増減は、△211百万円(前年同期間は29百万円)となりました。
主たる要因は、有形固定資産の取得による支出(△256百万円)等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における財務活動による資金の増減は、183百万円(前年同期間は1,040百万円)となりました。
主たる要因は、長期借入れによる収入(長期借入金の返済による支出との純額は405百万円)等によります。
(1)経営成績の分析
当社グループは、総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において創業以来培ってきたノウハウを活用し事業を展開しております。
当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)における我が国の経済状況は、物価上昇の影響はあるものの、所得・雇用環境の改善などを背景に社会経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調で推移しています。一方、中東地域の緊迫化やウクライナ情勢の長期化、海外の経済・物価動向、日銀の金融政策の動向、円相場の急激な変動など、さまざまな要因による不透明な先行きには、引き続き十分な注視が必要です。
このような中、当社グループは、2021年11月に策定した3.5ヵ年計画の「中期ビジョン2025」の方針に則り、引き続き下記項目への取り組みを重点的に進めてまいりました。
1) 事業構造と経営資源配分の見直しに着手
2) 特別高圧・高圧市場の需要家向けマーケティングの更なる注力
3) 系統用蓄電池の事業化のアレンジメント
4) コア事業向けの資金調達等
当連結会計年度は、「中期ビジョン2025」の最終年度であり、目標に掲げている「総合エネルギー事業会社への変革」に向けて、引き続き上記2)、3)を中心に、グループ一丸となって取り組んでおります。
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中期ビジョン2025:「事業の深化と進化」、「総合エネルギー事業会社への変革」
優先して取り組む事項:
1. 『電力利用の新しい日常』を創造
2. 電気は『つくって、ためて、賢く使う』時代を先取り
3. 蓄電池を活用した事業・ビジネスの拡大
4. 地域電力設立の支援強化(地域脱炭素化の支援)
5. 小売電気事業者様向けマネジメントサービス提供型ビジネスの一層の拡大
2025年3月期における定量的目標:
1. 連結営業収益 :200億円以上
2. 税金等調整前当期純利益:7億円以上
3. 一株当たり純資産額 :500円以上
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当中間連結会計期間における経営成績は以下のとおりです。
当社が展開する5事業全てがセグメント利益となり、全体として営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期間比増加いたしました。
なお、2020年4月に買収した企業は1件の被告事案を抱えており、2021年3月期より本事案に関する引当金を計上しておりましたが、2024年6月に当社グループの勝訴が確定し、21百万円の訴訟損失引当金戻入額を特別利益に計上しております。
(連結経営成績)
(単位:百万円) | 2024年3月期中間連結会計期間 | 2025年3月期 中間連結会計期間 | 増減 | 増減率(%) | 増減の主要因ほか |
営業収益 | 7,257 | 10,152 | 2,894 | 39.9 | ①電力取引関連事業(+2,133)※2 ②再生可能エネルギー関連事業(△198) ③小売事業(+791) ④ディーリング事業(+163) ⑤アセット・マネジメント事業(+4) |
営業費用 | 6,868 | 9,656 | 2,788 | 40.6 | ①電力仕入の増加(+2,691) ②支払手数料の増加(+18) |
営業利益 | 388 | 495 | 106 | 27.4 | |
経常利益 | 276 | 412 | 136 | 49.4 | ①前連結会計年度は持分法による投資損失(+61)を計上 ②前連結会計年度は受取保険金(△29)を計上 |
特別利益 | 18 | 21 | 2 | 13.3 | ①前連結会計年度は国庫補助金(△18)を計上 ②訴訟損失引当金戻入額(+21) |
特別損失 | 18 | - | △18 | △100.0 | ①前連結会計年度は固定資産圧縮損(△18)を計上 |
税金等調整前 中間純利益 | 276 | 433 | 157 | 57.0 | |
法人税等合計(※1) | 46 | 67 | 20 | 45.3 | |
非支配株主に帰属する中間純利益又は 非支配株主に帰属する中間純損失(△) | △5 | 10 | 16 | - | |
親会社株主に帰属する中間純利益 | 235 | 355 | 119 | 50.7 |
※1 「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。
※2 当中間連結会計期間の営業収益における電力取引関連事業に係るヘッジ目的で行う電力先物取引による影響の内容について
は、「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。
セグメント毎の経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。
5事業全てセグメント利益となりましたが、再生可能エネルギー関連事業は、前年度に系統用蓄電池事業開始に伴うアレンジメントフィーとして営業収益289百万円および営業外費用60百万円を計上していたため、当該事業のみ営業収益、セグメント利益共に前年同期間比減少しました。他の4事業は営業収益、セグメント利益共に前年同期間比増加しました。
(セグメント別営業収益・セグメント損益)
(単位:百万円) | 2024年3月期 中間連結会計期間 | 2025年3月期 中間連結会計期間 | 増減 | 増減率(%) | |
再生可能エネルギー 関連事業 | 営業収益 | 575 | 396 | △179 | △31.2 |
セグメント損益 | 180 | 17 | △162 | △90.2 | |
電力取引関連事業(※1) | 営業収益 | 3,883 | 5,968 | 2,085 | 53.7 |
セグメント損益 | 139 | 240 | 100 | 71.7 | |
小売事業 | 営業収益 | 2,710 | 3,502 | 791 | 29.2 |
セグメント損益 | 32 | 77 | 45 | 139.2 | |
アセット・ マネジメント事業 | 営業収益 | 91 | 95 | 4 | 4.9 |
セグメント損益 | △6 | 16 | 22 | - | |
ディーリング事業 | 営業収益 | 160 | 324 | 163 | 102.4 |
セグメント損益 | △11 | 138 | 150 | - | |
調整額 | 営業収益 | △163 | △134 | 28 | - |
セグメント損益 | △59 | △77 | △18 | - | |
中間連結財務諸表計上額 | 営業収益 | 7,257 | 10,152 | 2,894 | 39.9 |
セグメント損益 | 276 | 412 | 136 | 49.4 |
※1 当中間連結会計期間の営業収益における電力取引関連事業に係るヘッジ目的で行う電力先物取引による影響の内容については、
「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。
※2 セグメント損益は、当中間連結会計期間の経常損益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。各事業に帰属する特別利益及び特別損失は含んでおりません。
<1 再生可能エネルギー関連事業>当事業は当社及びアストマックスえびの地熱株式会社が推進しており、当事業を通じて、更なる再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与していくとの方針の下、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。本事業を通じて、再生可能エネルギーの導入加速と電力系統の安定化に貢献するとともに、カーボンニュートラルの実現、GXの推進に取り組んでまいります。
(太陽光発電事業)
2024年4月末日に栃木県大田原市内に約2.1MWの太陽光発電所が完工、運転を開始し、当事業が関与した完工済みの案件は合計33.5MWとなりました。
当事業では、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係るノウハウとネットワークに加え、小売事業部門と連携を取りながら潜在顧客の発掘とアプローチを行い、固定価格買取制度に頼らない、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開を中心にマーケティングを行っております。FITモデルから非FITまたはFIPモデルへの転換により、事業採算性の向上に取り組んでおります。
自社開発(建設中):
該当なし。
自社開発(運転開始):
栃木県大田原市 出力規模:約2.1MW 2024年4月完工。当社が維持・運営管理(O&M事業)を行っております。
ポートフォリオの入替:
当中間連結会計期間に入替を実施した案件はありません。
維持・運営管理(O&M事業):
当社が開発に携わった案件等20サイト、合計31.6MWの太陽光発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っております。後述にもあります昨今の自然災害やケーブル盗難の増加に伴う保険料の上昇については、発電事業者様への説明を実施し、適正な価格転嫁の商談を進めております。
なお、当社グループが所有及び管理している栃木県の発電所(あくとソーラーパーク)で2024年2月に発生した電気ケーブルの一部が切断される被害については、2024年8月上旬に復旧工事が完了いたしました。被害発生時から復旧工事完了まで、当該発電所の発電能力は半分程度に低下しておりましたが、本発電所には損害保険を付保しており、発電停止期間の休業補償については現在手続き中です。当中間連結会計期間末において補償金は未受領となっており、受領次第営業外収益として計上する予定です。
当該発電所では、警備会社との契約や警察の巡回強化等の対策に加え、防犯センサー増設等、更なるセキュリティ強化を実施しております。
コーポレートPPA事業:
当社は北海道山越郡長万部町と包括連携協定を締結し、「持続可能な街づくりと脱炭素化・再生可能エネルギー推進を同時実現することを目的とした事業」を協同で推進しており、本案件は2023年3月期末に運転開始済です。
また、当社は株式会社熊谷組とコーポレートPPA事業の協業を開始いたしました。両社が匿名組合出資する合同会社ACEを事業主体とし、発電事業者としてPPA事業を展開いたします。2024年7月に静岡県富士宮市の民間企業とのPPA契約を締結し、運転開始は2025年2月を予定しております。
このほか、当社が匿名組合出資をしております合同会社GreenPowerでは、当中間連結会計期間中に民間企業との間で4件の運転を開始しており、今後も案件受注に向けて取り組んでまいります。
(系統用蓄電池事業)
当社は大和エナジー・インフラ株式会社、芙蓉総合リース株式会社と共同で匿名組合出資する合同会社DAXより、北海道札幌市内にて開発中の系統用蓄電池(定格出力5.0万kW、定格容量10.0万kWh)事業のオペレーターとして、運転開始前は本事業の工程管理及び運用準備業務を、運転開始後は蓄電所の運営、維持・管理、AIを活用した需給調整や市場予測等の機能を活用した電力取引の業務を請け負います。当該系統用蓄電所は2023年度に着工し、工程はスケジュールどおり進捗しており、2025年秋の運転開始を予定しております。
また、当該エリアに加え他のエリアでの展開も検討しており、幾つかの案件について具体的な事業化に向けて取り組みを進めております。
(地熱発電事業)
当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。
宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」(以下、「助成事業」という。)の採択を受け、2MW規模の地熱発電の事業化を目指して、2016年度~2018年度に3本の調査井を掘削、その後計画規模を4~5MWに拡大し、2019年度助成事業として4本目の調査井を掘削いたしました。これら4坑井(生産井2本・還元井1本・貯留層のモニタリング用井戸1本)から、発電事業に必要な能力を有するとした調査結果を得ており、事業化に向けて取り組んでおります。
当初より計画している2MW分については、2019年度に連系契約を完了しておりますが、計画規模拡大後の追加容量については、度重なる制度改正等により手続きが非常に長期化しておりました。
この間、連系時期の不確実性や物価上昇等による建設コストの増加に伴い、並行して送電容量の拡大等見直しを行なった結果、全体の発電容量は5MW未満のままとする一方、送電容量を0.4MW拡大し、合計4.4MWの送電計画といたしました。
今般、追加容量を含めた全4.4MWの連系が確定したため、許認可手続き及び発電設備の工事契約等の準備を速やかに進めて参ります。なお、運転開始時期は、上記のとおり度重なる制度改正や工事契約の納期等が長期化しているため、当初の予定より1年延長して2027年度を想定しております。
当社グループ所有の太陽光発電所が4月に完工し売電を開始したことや、経済的出力制御(オンライン代理制御)による電力販売のマイナス調整負担が前年同期間比減少したこと等で、売電収入は前年同期間比増加しました。しかしながら前年度は系統用蓄電池事業開始に伴うアレンジメントフィーとして営業収益289百万円および営業外費用60百万円を計上していたため、当事業全体では営業収益、セグメント利益共に前年同期間比減少しました。
以上の結果、当事業における当中間連結会計期間の営業収益は396百万円(前年同期間比179百万円(31.2%)の減少)、17百万円のセグメント利益(前年同期間比162百万円(90.2%)の減少)となりました。
<2 電力取引関連事業>当事業は、当社が推進し、①小売電気事業者向け電力取引及び電力小売顧客向け固定価格取引等の提供、②需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供等を行っております。
①については、顧客毎の電力調達及びリスクヘッジニーズに対応し、電力現物先渡取引、デリバティブ取引である電力スワップ取引、電力先物取引に取り組んでおります。②については、既存顧客へ安定したサービスの提供をしながら、引き続き新規取引先を増やすべく、電力取引のリスク管理コンサルティング等の新メニューを加え、顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っております。電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性の高まりを受け、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進し、変動率が高い相場展開の中、リスクを適切に抑制しながら取引を実行しております。
当中間連結会計期間においては、電力卸売価格が上昇する中、小売電気事業者のヘッジニーズの高まり等を受け、取引量が前年同期間比増加したこと等により営業収益、セグメント利益は共に前年同期間比増加いたしました。
なお、当中間連結会計期間のヘッジ目的で行う電力先物取引による営業収益への影響は以下のとおりです。当中間連結会計期間末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引は時価評価の対象ではありませんが、当該取引をヘッジする目的で行う電力先物取引はデリバティブ取引として時価評価の対象となります。電力先物取引のうち、一部取引所では取引所の規定によって3か月以上の期間のポジションは期末が近付いた段階で決済され、より短い期間の新たなポジションに分割されます。これに伴う決済利益12百万円(純額①-1)と、当中間連結会計期間末を越えて限月を迎える電力先物取引の時価評価益42百万円(純額①-2)は、当中間連結会計期間末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引と同一の会計期間に認識されないため、当中間連結会計期間の営業収益を押し上げ、電力取引関連事業のセグメント利益を増加させる要因となっております。
一方、同様の理由で、当中間連結会計期間に受渡しが行われる電力現物先渡取引をヘッジする目的で行われた電力先物取引に係る前連結会計年度に認識された決済損失10百万円(純額②-1)及び時価評価損24百万円(純額②-2)は当中間連結会計期間の営業収益を押し上げ、電力取引関連事業のセグメント利益を増加させる要因となっております。
①と②を総合すると、結果として当中間連結会計期間の営業収益とセグメント利益はそれぞれ合計91百万円(91=12+42+10+24)押し上げられております。
以上の結果、当事業における当中間連結会計期間の営業収益は5,968百万円(前年同期間比2,085百万円(53.7%)の増加)となり、240百万円のセグメント利益(前年同期間比100百万円(71.7%)の増加)となりました。
なお、前連結会計年度まで新機能開発部で行っていた、系統用蓄電池事業で使用するAIアルゴリズムの開発等は当事業にて取り進めております。これは、系統用蓄電所の運転開始後に、電力需給バランスの安定化と電力供給の効率化を図るために必要なもので、需給調整や電力関連市場予測及び入札価格や入札量の最適化等の機能にAIを活用します。系統用蓄電池事業は当社グループの中期ビジョンにおいても優先課題の一つとなっており、再生可能エネルギー関連事業部と連携しながら取り組んでおります。
<3 小売事業>当事業は、当社及びアストマックス・エネルギー株式会社(以下、「AEKK社」という。)が推進し、当社は特別高圧・高圧市場の顧客へ電力販売を行い、AEKK社は個人を中心とする低圧市場の顧客へ電力とガスの販売を行っております。
(電力小売事業)
特別高圧・高圧の電力市場では電力価格の高騰により、2022年秋より実質的な市場連動型料金に変更しております。こうした動きもあり、特別高圧・高圧電力市場では市場連動型料金体系が従来に比べ一般的になり、当社は2022年夏より特別高圧・高圧向け「フリープラン」の営業に注力してまいりました。その結果、同プランの優位性が認知され、撤退する事業者の顧客引受や媒介店からの流入を中心とした新規顧客が大幅に増加し、2023年5月には特別高圧・高圧の顧客数(請求単位)が500件を超える水準となりました。2023年度以降は、2022年度のような最終保障契約からの流入は一巡し、顧客数の増加は鈍化傾向ではありますが、市場価格をベースとした「フリープラン」の競争力は比較的優位な状況を維持できていると判断しております。
2024年4月より開始した容量拠出金制度における負担転嫁を契機として、一部のお客様が他の小売電気事業者に切り替える動きが見られましたが、当社は従来より高圧のお客様に対して個別訪問やオンライン会議等を活用したニーズの把握につとめ、使用電力量の分析やシミュレーション等の情報提供を通じて、当社サービスへの理解促進に努めており、新規顧客の獲得も徐々に進んでおります。結果として2024年9月末の特別高圧・高圧の顧客数(請求単位)は2024年6月末比若干増の561件となっております。今後も一層のサービス向上と顧客獲得を目指してまいります。
なお、特別高圧・高圧の顧客への供給量増加に対応し、その電力仕入に係る資金を安定的かつ機動的に調達することを目的に、新たに4金融機関を加え、コミットメント金額を10億円増額した都市銀行4行を含む8金融機関による総枠30億円のコミットメントライン契約を2024年9月に締結し、27百万円の資金調達費用を一時費用として計上いたしました。
一方、低圧市場の事業環境は、2022年11月以降、みなし小売電気事業者から新電力への切替数が伸び悩む傾向にありますが、当事業では、2023年9月に低圧市場向け電力プランを「フリープラン」に一本化いたしました。これにより一部既存顧客の契約解除もありましたが、一般的な固定単価の電気料金プランに対し、現在の市場環境においては当社のフリープランが比較優位にあるとの判断等から、高圧需要家からの低圧電力契約の引き合いが増加しました。また、販売強化策として、8月よりキャッシュバックキャンペーンを再開しました。さらに販売代理店拡充の一環として、2024年9月30日にポート株式会社と業務提携契約を締結いたしました。当社グループがポート専用の新電気料金プランをリリースし、2社共同で販売強化施策を実施していく予定です。
(ガス小売事業)
AEKK社は株式会社グローバルエンジニアリングのガス小売取次店として電気とガスのセット販売を継続しております。
以上の結果、上期を通じて顧客への電力供給が安定的に行われたことから、当事業における当中間連結会計期間の営業収益は3,502百万円(前年同期間比791百万円(29.2%)の増加)となり、77百万円のセグメント利益(前年同期間比45百万円(139.2%)の増加)となりました。
<4 アセット・マネジメント事業>当事業は、当社とアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)が推進し、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担うほか、2020年3月に運用開始した基金の安定運用のファンド、2022年10月に運用開始した学校法人東京理科大学が支援する再生可能エネルギーファンドの運用業務を行っております。
再生可能エネルギーファンドにおいては、当社グループの「中期ビジョン2025」でも優先課題となっている「地域の地産地消のための再エネ導入」を、産官学連携の力も活用して行うことを目指しております。また、当中間連結会計期間に開始した新たな大学発ベンチャーキャピタルファンドについても、AFM社が支援を行うこととなり、当事業のセグメント利益増加に寄与することとなりました。
AFM社が営業者として運用しているファンドの運用資産は前年同期間比増加しており、当セグメントの営業収益に計上する運用報酬額も前年同期間比増加しております。2024年1月以降安定した利益を確保できる体制となっており、当中間連結会計期間もセグメント黒字を継続しております。
以上の結果、当事業における当中間連結会計期間の営業収益は95百万円(前年同期間比4百万円(4.9%)の増加)となり、セグメント利益は16百万円(前年同期間は6百万円のセグメント損失)となりました。
<5 ディーリング事業>当事業は、当社が推進し、OSE、TOCOM、TFX、CME、ICE、INE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定による裁定取引を主に行っております。
当中間連結会計期間の原油市場は、原油需要伸び悩みへの警戒感、中東情勢などの地政学リスク等を受け、60~80ドル台で推移いたしました。金市場の価格は、毎月史上最高値を更新するなど、引き続き高い水準で推移いたしました。
当中間連結会計期間においては、金やプラチナを中心に国内外取引所の値差が変動しプラスに貢献、収益を確保いたしました。
以上の結果、当事業における当中間連結会計期間の営業収益は324百万円(前年同期間比163百万円(102.4%)の増加)、セグメント利益は138百万円(前年同期間は11百万円のセグメント損失)となりました。
当事業では、今後も経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い引き続き収益力の強化を目指してまいります。
上記、セグメント利益又は損失は当中間連結会計期間の経常利益と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて11.0%増加し、8,638百万円となりました。これは、営業未収入金が716百万円、自己先物取引差金が550百万円増加したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて微増の6,509百万円となりました。これは、機械及び装置の純額が534百万円増加し、建設仮勘定が502百万円減少したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて6.0%増加し、15,150百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて5.3%増加し、4,630百万円となりました。これは、短期社債が700百万円、営業未払金が490百万円増加したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて9.0%増加し、4,282百万円となりました。これは、主に長期借入金が364百万円増加したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて7.1%増加し、8,913百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて4.5%増加し、6,237百万円となりました。これは、利益剰余金が、株主配当により86百万円減少し、親会社株主に帰属する中間純利益により355百万円増加したこと等によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、3,970百万円(前年同期間比7.5%増)となりました。
当中間連結会計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動による資金の増減は、331百万円(前年同期間は△311百万円)となりました。
主たる要因は、主として差入保証金の減少による収入(695百万円)、税金等調整前中間純利益による収入(433百万円)、自己先物取引差金(借方)の増加による支出(△708百万円)等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における投資活動による資金の増減は、△211百万円(前年同期間は29百万円)となりました。
主たる要因は、有形固定資産の取得による支出(△256百万円)等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における財務活動による資金の増減は、183百万円(前年同期間は1,040百万円)となりました。
主たる要因は、長期借入れによる収入(長期借入金の返済による支出との純額は405百万円)等によります。