四半期報告書-第10期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営成績の分析
2020年4月10日に行われたアストマックス・エネルギー株式会社及びアストマックス・エネルギー合同会社との企業結合について前第3四半期連結累計期間において暫定的な会計処理を行っておりましたが、前第4四半期連結会計期間において確定したため、前第3四半期連結累計期間との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させています。
また、前第4四半期連結会計期間に開始した蓄電池リースに関連する取引は、従来「小売事業」セグメントとして区分しておりましたが、経営管理区分の変更に伴い、第1四半期連結会計期間より「再生可能エネルギー関連事業」セグメントへ区分することに変更しており、当該変更の内容を反映させた組替え後の数値で前年同四半期連結累計期間との比較・分析を行っております。
なお、当社は、2021年11月に、2022年3月期から2025年3月期までを対象期間とする中期ビジョン「事業の深化と進化」を策定いたしました。2022年9月に創業30周年を迎える当社グループは、本中期ビジョンにおける3年半を第2の創業期と捉え、総合エネルギー事業会社への変革を加速化させ、会社の飛躍的な成長を図ってまいります。具体的には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と当社の強みをベースに、当社事業を深化・進化させ、GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた優先的に取り組む事項を達成します。また、2025年3月期における定量的目標として、連結営業収益:200億円以上、税金等調整前当期純利益:7億円以上、1株当たり純資産額:500円以上、の3つを設定いたしました。中期ビジョンの進捗の報告については、決算短信や適時開示等で随時行ってまいります。
当社グループは、創業以来培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業と金融事業を展開しております。
当第3四半期連結累計期間の経営環境は以下のとおりです。
当第3四半期連結累計期間(2021年4月1日~2021年12月31日)における我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症拡大により首都圏や関西圏等を中心に、2度の緊急事態宣言が発出され、その後解除された地域でもまん延防止等重点措置が続く等、一進一退を繰り返してきました。ワクチン接種率が全国的に上昇する中で感染者数が大幅に減少、さらに菅総理(当時)の自民党総裁選への立候補断念を受けて、岸田新総裁及び新内閣への期待が市場で高まり、9月には日経平均株価が終値として31年ぶりの高値となる30,670円をつけました。しかしながら、緊急事態宣言解除や岸田内閣の発足も強材料とはならず、堅調な上昇を続ける米国市場と比べると、力強さに欠ける展開となり、12月末の日経平均株価は28,791.71円と前期末比1.3%の低下となりました。
当第3四半期連結累計期間のセグメントごとの経営環境は以下のとおりです。
再生可能エネルギーを取り巻く環境については、2020年度の事業用太陽光発電のFIT価格は12円(税抜)、2021年度は11円(税抜)となり、250kW以上の設備については入札制度適用区分として定められております。また、再エネ特措法改正関連として、未稼働案件に対して運転開始期限設定を義務化する失効制度、2022年度に導入される市場連動型のFIP(Feed-in Premium)制度、源泉徴収的な外部積立を前提とした廃棄費用積立て制度等が示されました。
既存案件については、当社グループ保有の太陽光発電設備が稼働する九州電力管轄内において、電力需給バランスの維持及び電力安定供給の必要性から出力抑制が発令され、当第3四半期連結累計期間における熊本県の発電所への発令回数は合計22回に及びました。他の電力管轄内においても出力抑制の連絡体制の確認等の状況があり、今後は、出力抑制発令の可能性が想定されます。
FIT価格は制度スタート時の40円(税抜)から大幅に低下しておりますが、前述のようにFIT制度に加え、FIP制度の導入、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」、「RE100(事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ)」「ESG(持続可能な世界の実現のために、企業の長期的成長に重要な環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3つの観点)」等、世界的に推進されている脱炭素社会を目指す動きは急速に広がりを見せてきています。我が国においても、「強靭かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」等、2050年までに温暖化ガス排出量実質ゼロ、再生可能エネルギーを50~60%を目標とした主力電源化が政策目標とされています。新型コロナウイルス感染症の影響により世界経済の不透明感が高まっていますが、再生可能エネルギーの重要性、脱炭素社会を目指す動きは、グローバルに今後一層進むことが見込まれます。
電力市場においては、天候不順や燃料市場の高騰、再エネ電源の増加による既存発電施設の運用コスト増加等によって市場価格の変動リスクが高まっております。2021年1月には、複数の要因が重なったことによる電力需給のひっ迫により、電力スポット価格は一時200円台まで高騰しました。その後春先から夏にかけての電力価格は安定しましたが、世界的な燃料価格の上昇を受け、秋以降は再び高騰し、その後も継続して高い価格になっています。なお、2021年6月にはインバランス料金に2段階の上限価格を導入されることが経済産業省より発表されました。小売電気事業者や発電事業者の経営においても、電力市場価格の「リスク管理」の重要性が認識されており、電力取引のヘッジニーズは高い状態が続くものと考えられます。
商品市場においては、原油価格は、ワクチン普及に伴う経済活動の活発化による需要回復と世界的な金融緩和を受けた物価上昇観測により堅調に推移しています。貴金属価格は昨年度のような新型コロナウイルス感染症の影響による高騰は終わりましたが、金融緩和を受けた根強い投資需要を受けて堅調な推移を続けております。
電力小売業界では多くの小売電気事業者が参入した結果、顧客獲得に向けた価格競争は激化しており、昨年来業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。その中で2020年12月後半から翌年1月にかけて起きた前述の電力スポット価格高騰に続き、2021年10~12月もスポット価格は高水準で推移し、スポット市場からの電力調達を余儀なくされる一部の小売電気事業者へ大きな打撃を与えることとなり、当該事業から撤退する企業や倒産する企業が出始めています。
このような市場環境等の下、当第3四半期連結累計期間における経営成績は以下のとおりです。
(単位:百万円)
※「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。
セグメントごとの経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。
セグメント利益:電力取引関連事業のセグメント利益は、前年同期間比増加しました。
セグメント損失:小売事業及びアセット・マネジメント事業のセグメント損失は、前年同期間比増加しました。
再生可能エネルギー関連事業及びディーリング事業は、セグメント損失となりました。
(セグメント別営業収益・セグメント損益) (単位:百万円)
※1「その他」は、地方創生事業など、現時点で事業セグメント化されていない事業を示しています。
※2 セグメントごとの営業収益及びセグメント損益は、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれた金額となっております。
<1 再生可能エネルギー関連事業>当事業は主に当社及びアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)が推進しております。再生可能エネルギーを取り巻く環境は前述のとおりですが、当社は当事業を通じて、更なる再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針であり、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しています。現時点においては、以下のとおり、継続的に再生可能エネルギー発電所の開発、取得、発電及び電気の供給(発電事業)、維持・運営管理(O&M事業)を行っております。また、PPA(需要家と発電事業者が長期間の電力購入契約(Power Purchase Agreement)を締結することで、初期投資不要で太陽光設備等を導入利用できるもの。)を中心とした自家消費モデルについて、企業や自治体への展開を検討しております。
(太陽光発電事業)
当事業が従事した完工済みの案件は合計31.4MWであり、今後着工する案件は以下の①のとおり、1か所、2.1MWになります。
改正FIT法の施行、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない事業環境ではありますが、当事業では、長年に亘り培ってきた優良案件を見極める力とネットワークの力を活用して、引き続き太陽光発電設備の自社開発を行ってまいります。また、これらに加え未稼働ID(FIT認定済みの運転未稼働案件)及びセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保に取り組むと共に、保有している既存発電設備についても譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保しながら、事業採算性の向上にも取り組んでまいります。
自社開発(建設中):
① 栃木県大田原市 出力規模:約2.1MW 2024年5月完工予定
稼働後は当社が維持・運営管理(O&M事業)を行います。
自社開発(運転開始):
当第3四半期連結累計期間に運転開始した案件はありません。
セカンダリー市場:
新たな案件についても精査を行っております。
ポートフォリオの入替:
当第3四半期連結累計期間に入替を実施した案件はありません。
維持・運営管理(O&M事業):
当社が開発に携わった案件等16か所、合計29.5MWの太陽光発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っております。
(地熱発電事業等)
当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。
宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」(以下、「助成事業」という。)の採択を受け、2MW規模の地熱発電の事業化を目指して、2016~2018年度に3本の調査井掘削を完了し、1号調査井及び3号調査井については自噴を確認、2号調査井については熱水資源の還元ゾーンとしての十分な能力を確認してまいりました。
この結果を受け、当社は、事業規模の計画拡大及び、最大49%までの範囲による第三者からの事業参画をより容易にすることを目的として、2019年5月に、新設分割により設立したえびの地熱社に、宮崎県えびの市における地熱開発事業の全てを承継させました。2020年3月には大和エナジー・インフラ株式会社とえびの地熱社との間で、事業損益の10%を分配する匿名組合契約を締結いたしました。なお、匿名組合出資と損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。
その後、えびの地熱社では、2019年度助成事業として掘削した4号調査井についても自噴を確認しており、これまでの調査結果から計画規模を4.8MWに拡大し、発電所建設のための検討を進めております。また2021年3月には、JFEエンジニアリング株式会社とえびの地熱社との間で、事業損益の10%を分配する匿名組合契約を締結し、第一回匿名組合出資を受けました。なお、損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。
なお、当初計画の2MW分については、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、2026年度の運転開始を予定しております。一方、計画規模拡大後の連系枠については、電源接続案件一括検討プロセス(系統連系希望者の間で、系統容量の増強工事費を共同負担することにより、効率的な系統整備等を図ることを目的とする手続)が、2021年12月に不成立のまま完了となりました。系統利用の在り方については様々な議論が進められており、ルールの見直しを含めた変更の可能性があるため、今後の動向を確認しながら引き続き系統確保に向けて、取り組んでまいります。
再生可能エネルギー関連事業では、前連結会計年度末に保有する発電所を譲渡したことによる売電収入の減少に加え、規模の大きい熊本県の発電所で合計22回(前年同期間比8回増加)の出力抑制が発せられたことにより営業収益は前年同期間比減少しました。また、当事業では地熱開発を含む発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しております。
以上の結果、当事業における当第3四半期連結累計期間の営業収益は480百万円(前年同期間比67百万円(12.4%)の減少)、9百万円のセグメント損失(前年同期間は11百万円のセグメント利益)となりました。
<2 電力取引関連事業>当事業では、小売電気事業者をサポートするために、需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供、電力取引の提供を行っております。
当事業のうち、業務代行サービスについては、既存顧客へ安定したサービスの提供をしながら、引き続き新規取引先を増やすべく、電力取引のリスク管理コンサルティング等新メニューを加え顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っております。
電力取引については、顧客の電力調達及びヘッジニーズに対応し、電力現物先渡取引、デリバティブ取引である電力スワップ取引、電力先物取引に取り組んでおります。電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性が高まっていることに鑑み、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進しております。前連結会計年度は、冬期に電力の需給がひっ迫したことを受け、電力取引は増加しました。当第3四半期連結累計期間においても電力取引ニーズは引き続き堅調であり、例年取引量が少ない春期にも相当量の取引ができたことに加え夏期の取引も増加し、燃料価格の高騰を受けた秋以降の電力取引についてもリスクを抑制しながら利益を計上しております。
なお、会計上、現物取引として分類している電力先渡取引は時価評価の対象ではないことから確定損益のみが損益計上されております。
以上の結果、電力取引関連事業の当第3四半期連結累計期間の営業収益は6,394百万円(前年同期間比1,710百万円(36.5%)の増加)となり、セグメント利益は229百万円(前年同期間比129百万円(130.2%)の増加)となりました。
<3 小売事業>当事業は、主に当社及びアストマックス・エネルギー株式会社(以下「AEKK社」)が推進しております。当社は、当社グループ内における業務効率化を目的として、2021年10月1日付にて、AEKK社を存続会社、アストマックス・エネルギー合同会社(以下、AEGK社)を消滅会社とする、連結子会社間の吸収合併を行いました。AEKK社はAEGK社の行っていた個人を中心とする低圧市場の顧客への電力・ガス販売を継承し、当社は特高・高圧市場の顧客への販売を行っております。
(電力小売事業)
AEKK社では「お客様のライフスタイルに合った電力プランが選べます」のキャッチフレーズの下、従来のブライトプラン、スマートプランに加え、第1四半期連結会計期間に基本料金ゼロプラン、ナイトセイバープランの2つの新プランを発売いたしました。これにより基本プランとして4つのプランのラインナップが揃うことになりました。また、第1四半期連結会計期間に実質再生可能エネルギーによる電力を100%供給する「プラス・グリーン」をリリースし、各基本プランにトッピングできるサービスを開始いたしました。一方、AEKK社の電気ブランドを「アストでんき」とし、その知名度を上げるべくSNSでの配信や検索サイトでのリスティング広告を開始しました。当第3四半期連結累計期間には、節電機器メーカーとの間で節電機器の販売代理店契約を締結し、低圧電力を利用する法人向けに節電機器とアストでんきの電力プランのセット販売を展開できる体制を整えました。競争の激化する電力小売業界において、早期の黒字化を目指し、今後も他社と差別化できるサービスの拡充と知名度の向上に取り組んでまいります。
(ガス小売事業)
当事業では、取次店候補である複数の企業と交渉を行っておりましたが、2021年1月からAEKK社を取次店のひとつとしてAEKK社の既存の電力顧客に対し電気とガスのセット販売キャンペーンを継続しております。また、その他の代理店・取次店候補企業との契約締結に向けて取り組んでまいります。
以上の結果、小売事業の当第3四半期連結累計期間は、コスト先行が継続しており、営業収益は223百万円(前年同期間比122百万円(121.0%)の増加)となり、183百万円のセグメント損失(前年同期間は137百万円のセグメント損失)となりました。
2021年4月に新たに設置した「新機能開発部門」は、当社が推進する総合エネルギー事業の様々な領域において、当部門が中心となって各事業部門との連携を図り、DXの推進や新しいビジネスモデルを組み立てていくことを業務目的としています。AI活用による需給管理や、発電/供給サイドの事業と販売/需要サイドの事業のアグリゲート(集約化)及び、双方のマッチングによる新たなサービスを展開すること等、独自性の高いビジネスフィールドを考えてまいります。
当第3四半期連結累計期間においては、AI等を活用した電力の需要予測や太陽光発電出力予測等の需給管理、リスク管理の高度化に取り組んでおります。また、AI・IoTを活用した生活空間におけるサービスプラットフォーム事業を展開する、株式会社LiveSmartの「LiveSmart for Business」と連携した電力小売関連システムの開発にも着手しております。また、電力需給調整や再エネ価値向上等に資する系統用蓄電池による蓄電事業への展開を検討しております。
<4 アセット・マネジメント事業>アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)においては、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担う他、2020年3月以降、新たなファンドの運用業務も受託しております。
PayPayアセットマネジメント株式会社(以下、「PPAM社」という。)においては、引き続き世界的な株式相場の上昇及び円安ドル高の進行を受け、投資家の間で利益確定目的での解約や、満期償還に伴う資金流出が見られた他、適格機関投資家向けの新規設定私募投信への資金流入が伸び悩みました。また、日経平均株価が高値を付ける局面では、公募の投資信託においても利益確定目的での解約が見られました。2021年12月末時点の運用資産残高合計は前連結会計年度末比約481億円減少の2,651億円となりました。このため、PPAM社の営業収益は前年同期間比減少を続けており、当社の連結決算上は営業外損益として取り込まれる持分法による投資損益はマイナスとなりました。
一方、AFM社が営業者として運用しているファンドは順調に運用資産を増加させており、当セグメントの営業収益に計上する運用報酬額も増加しております。
以上の結果、当事業における当第3四半期連結累計期間の営業収益は110百万円(前年同期間比13百万円(13.5%)の増加、持分法適用関連会社のPPAM社の営業収益は含まず)となり、116百万円のセグメント損失(前年同期間は81百万円のセグメント損失)となりました。
PPAM社では、機関投資家向けビジネス、個人投資家向けビジネス共に、拡大に向けた取り組みがこれまでのところ当初計画より遅れております。しかしながら、機関投資家等の運用成果に貢献すると共に、年金基金等の中長期の投資対象となりうるファンド組成をタイムリーに行っていくことに注力しており、同時に投資信託の販売会社等との協業も強化することによって運用資産残高の積み上げに努め、収益基盤の拡充にも取り組んでいます。また、PPAM社ではこれまでの主力事業である機関投資家向けビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家に向けて、ネット取引に加え対面型営業による長期積立型投資信託事業の展開も進めております。また、個人投資家向けビジネスについては、「PayPayアセットマネジメント株式会社」への社名変更を契機にZホールディングス株式会社グループ(以下、「Zグループ」という。)との協働をさらに推進してまいります。
<5 ディーリング事業>当事業は、当社が推進し、OSE、TOCOM、CME、ICE、INE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。
当第3四半期連結累計期間における原油市場の動きは、一時的にマイナス価格をつける等大きく価格変動した前年同期間に比べ堅調に推移し、裁定取引の機会は減少しました。貴金属の裁定取引においても、前連結会計年度に乖離が多かった市場間の値差は一部を除き理論値からの乖離が減少し、裁定取引の機会も減少しました。市場間の値差が乖離する場面では利益につながる取引を継続したものの、全体としては取引機会の減少の影響が大きくなりました。
以上の結果、当事業における当第3四半期連結累計期間の営業収益は263百万円(前年同期間比241百万円(47.8%)の減少)、27百万円のセグメント損失(前年同期間は181百万円のセグメント利益)となりました。
当事業では、今後も引き続き経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い引き続き収益力の強化を目指してまいります。
<6 その他(地方創生ほか)>当事業は報告セグメントとして独立しておりませんが、事業の状況について説明いたします。
当事業は北海道長万部町の「長万部地方創生事業」において、「町と東京理科大学の連携による再生可能エネルギーを活用した先進的アグリビジネス事業」の確立を目指し2017年11月に設立された長万部アグリ株式会社(以下、「アグリ社」という。)が主に推進しております。当社グループはアグリ社の設立当初より出資しておりましたが、2018年6月にアグリ社の第三者割当増資を引き受け、アグリ社は当社の子会社となりました。
アグリ社では、サンゴ及び焼成したホタテ貝殻のアルカリ培地を利用した新しい農法でミニトマトを生産・出荷しており、2020年2月にはアグリ社のミニトマト「ENRICH MINI TOMATO(エンリッチミニトマト)」が、一般財団法人格付けジャパン研究機構が主催する格付け認証により、ミニトマト部門における「糖度」「リコピン含有量」「GABA含有量」の総合評価において「データプレミアムNo1」の認証を取得する等、一定の成果が出てきております。
新型コロナウイルス感染症の影響下、アグリ社では継続的に商品販売の機会を確保することを目的として、Eコマースプラットフォームを活用した販路拡大も進めております。これまでの「長万部アグリYahoo!店」等に加え2021年5月には「BASE店」を開店、SNS等を利用した情報発信によっても「ENRICH MINI TOMATO(エンリッチミニトマト)」及びトマトジュースの周知活動を行っております。一方、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束する中では、百貨店・ホテル・観光関連施設・飲食店等、既存のお客様への販売も再開した他、都内のイタリアンレストラン等の新規顧客も増加しておりますが、全体としては、ビニールハウスを暖める燃料費の高騰もあり、営業費用が営業収益を上回る状態が継続しております。
上記、セグメント利益又は損失は当該第3四半期連結累計期間の経常利益又は経常損失と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて18.6%増加し、6,379百万円となりました。これは、差入保証金が670百万円、自己先物取引差金が199百万円増加したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて0.5%増加し、6,572百万円となりました。これは、主に長期差入保証金が128百万円増加したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて8.7%増加し、12,955百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて20.4%増加し、2,009百万円となりました。これは、自己先物取引差金が375百万円、営業未払金が330百万円増加したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて20.7%増加し、5,044百万円となりました。これは、主に社債が990百万円増加したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて20.6%増加し、7,054百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2.8%減少し、5,900百万円となりました。これは、主に親会社株主に帰属する四半期純損失により147百万円、株主配当により利益剰余金が38百万円減少したこと等によるものです。
(1)経営成績の分析
2020年4月10日に行われたアストマックス・エネルギー株式会社及びアストマックス・エネルギー合同会社との企業結合について前第3四半期連結累計期間において暫定的な会計処理を行っておりましたが、前第4四半期連結会計期間において確定したため、前第3四半期連結累計期間との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させています。
また、前第4四半期連結会計期間に開始した蓄電池リースに関連する取引は、従来「小売事業」セグメントとして区分しておりましたが、経営管理区分の変更に伴い、第1四半期連結会計期間より「再生可能エネルギー関連事業」セグメントへ区分することに変更しており、当該変更の内容を反映させた組替え後の数値で前年同四半期連結累計期間との比較・分析を行っております。
なお、当社は、2021年11月に、2022年3月期から2025年3月期までを対象期間とする中期ビジョン「事業の深化と進化」を策定いたしました。2022年9月に創業30周年を迎える当社グループは、本中期ビジョンにおける3年半を第2の創業期と捉え、総合エネルギー事業会社への変革を加速化させ、会社の飛躍的な成長を図ってまいります。具体的には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と当社の強みをベースに、当社事業を深化・進化させ、GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた優先的に取り組む事項を達成します。また、2025年3月期における定量的目標として、連結営業収益:200億円以上、税金等調整前当期純利益:7億円以上、1株当たり純資産額:500円以上、の3つを設定いたしました。中期ビジョンの進捗の報告については、決算短信や適時開示等で随時行ってまいります。
当社グループは、創業以来培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業と金融事業を展開しております。
当第3四半期連結累計期間の経営環境は以下のとおりです。
当第3四半期連結累計期間(2021年4月1日~2021年12月31日)における我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症拡大により首都圏や関西圏等を中心に、2度の緊急事態宣言が発出され、その後解除された地域でもまん延防止等重点措置が続く等、一進一退を繰り返してきました。ワクチン接種率が全国的に上昇する中で感染者数が大幅に減少、さらに菅総理(当時)の自民党総裁選への立候補断念を受けて、岸田新総裁及び新内閣への期待が市場で高まり、9月には日経平均株価が終値として31年ぶりの高値となる30,670円をつけました。しかしながら、緊急事態宣言解除や岸田内閣の発足も強材料とはならず、堅調な上昇を続ける米国市場と比べると、力強さに欠ける展開となり、12月末の日経平均株価は28,791.71円と前期末比1.3%の低下となりました。
当第3四半期連結累計期間のセグメントごとの経営環境は以下のとおりです。
再生可能エネルギーを取り巻く環境については、2020年度の事業用太陽光発電のFIT価格は12円(税抜)、2021年度は11円(税抜)となり、250kW以上の設備については入札制度適用区分として定められております。また、再エネ特措法改正関連として、未稼働案件に対して運転開始期限設定を義務化する失効制度、2022年度に導入される市場連動型のFIP(Feed-in Premium)制度、源泉徴収的な外部積立を前提とした廃棄費用積立て制度等が示されました。
既存案件については、当社グループ保有の太陽光発電設備が稼働する九州電力管轄内において、電力需給バランスの維持及び電力安定供給の必要性から出力抑制が発令され、当第3四半期連結累計期間における熊本県の発電所への発令回数は合計22回に及びました。他の電力管轄内においても出力抑制の連絡体制の確認等の状況があり、今後は、出力抑制発令の可能性が想定されます。
FIT価格は制度スタート時の40円(税抜)から大幅に低下しておりますが、前述のようにFIT制度に加え、FIP制度の導入、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」、「RE100(事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ)」「ESG(持続可能な世界の実現のために、企業の長期的成長に重要な環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3つの観点)」等、世界的に推進されている脱炭素社会を目指す動きは急速に広がりを見せてきています。我が国においても、「強靭かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」等、2050年までに温暖化ガス排出量実質ゼロ、再生可能エネルギーを50~60%を目標とした主力電源化が政策目標とされています。新型コロナウイルス感染症の影響により世界経済の不透明感が高まっていますが、再生可能エネルギーの重要性、脱炭素社会を目指す動きは、グローバルに今後一層進むことが見込まれます。
電力市場においては、天候不順や燃料市場の高騰、再エネ電源の増加による既存発電施設の運用コスト増加等によって市場価格の変動リスクが高まっております。2021年1月には、複数の要因が重なったことによる電力需給のひっ迫により、電力スポット価格は一時200円台まで高騰しました。その後春先から夏にかけての電力価格は安定しましたが、世界的な燃料価格の上昇を受け、秋以降は再び高騰し、その後も継続して高い価格になっています。なお、2021年6月にはインバランス料金に2段階の上限価格を導入されることが経済産業省より発表されました。小売電気事業者や発電事業者の経営においても、電力市場価格の「リスク管理」の重要性が認識されており、電力取引のヘッジニーズは高い状態が続くものと考えられます。
商品市場においては、原油価格は、ワクチン普及に伴う経済活動の活発化による需要回復と世界的な金融緩和を受けた物価上昇観測により堅調に推移しています。貴金属価格は昨年度のような新型コロナウイルス感染症の影響による高騰は終わりましたが、金融緩和を受けた根強い投資需要を受けて堅調な推移を続けております。
電力小売業界では多くの小売電気事業者が参入した結果、顧客獲得に向けた価格競争は激化しており、昨年来業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。その中で2020年12月後半から翌年1月にかけて起きた前述の電力スポット価格高騰に続き、2021年10~12月もスポット価格は高水準で推移し、スポット市場からの電力調達を余儀なくされる一部の小売電気事業者へ大きな打撃を与えることとなり、当該事業から撤退する企業や倒産する企業が出始めています。
このような市場環境等の下、当第3四半期連結累計期間における経営成績は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2021年3月期 第3四半期 連結累計期間 | 2022年3月期 第3四半期 連結累計期間 | 増減 | 増減率(%) | 増減の主要因ほか | |
営業収益 | 5,885 | 7,323 | 1,437 | 24.4 | ①再生可能エネルギー関連事業(△101) ②電力取引関連事業(+1,657) ③アセット・マネジメント事業(+13) ④ディーリング事業(△241) ⑤小売事業(+115) |
営業費用 | 5,768 | 7,347 | 1,579 | 27.4 | ①電力仕入の増加(+1,602) |
営業利益又は 営業損失(△) | 117 | △ 23 | △ 141 | - | |
経常利益又は 経常損失(△) | 8 | △ 174 | △ 182 | - | ①営業損失(△141) ②持分法による投資損失の増加(△31) |
特別利益 | - | 21 | 21 | - | |
特別損失 | 14 | 0 | △ 13 | △94.9 | |
税金等調整前 四半期純損失(△) | △ 6 | △ 153 | △ 147 | - | |
法人税等合計(※) | 43 | △ 6 | △ 49 | - | |
非支配株主に帰属する四半期純利益 | 12 | 0 | △ 12 | △99.6 | |
親会社株主に帰属する四半期純損失(△) | △ 62 | △ 147 | △ 85 | - |
※「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。
セグメントごとの経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。
セグメント利益:電力取引関連事業のセグメント利益は、前年同期間比増加しました。
セグメント損失:小売事業及びアセット・マネジメント事業のセグメント損失は、前年同期間比増加しました。
再生可能エネルギー関連事業及びディーリング事業は、セグメント損失となりました。
(セグメント別営業収益・セグメント損益) (単位:百万円)
2021年3月期 第3四半期 連結累計期間 | 2022年3月期 第3四半期 連結累計期間 | 増減 | 増減率(%) | ||
再生可能エネルギー関連事業 | 営業収益 | 547 | 480 | △ 67 | △ 12.4 |
セグメント損益 | 11 | △ 9 | △ 20 | - | |
電力取引関連事業 | 営業収益 | 4,683 | 6,394 | 1,710 | 36.5 |
セグメント損益 | 99 | 229 | 129 | 130.2 | |
小売事業 | 営業収益 | 101 | 223 | 122 | 121.0 |
セグメント損益 | △ 137 | △ 183 | △ 46 | - | |
アセット・マネジメント事業 | 営業収益 | 97 | 110 | 13 | 13.5 |
セグメント損益 | △ 81 | △ 116 | △ 34 | - | |
ディーリング事業 | 営業収益 | 504 | 263 | △ 241 | △ 47.8 |
セグメント損益 | 181 | △ 27 | △ 208 | - | |
その他(※1) | 営業収益 | 25 | 19 | △ 6 | △ 25.2 |
セグメント損益 | △ 14 | △ 12 | 1 | - | |
調整額 | 営業収益 | △ 74 | △ 167 | △ 92 | - |
セグメント損益 | △ 50 | △ 54 | △ 3 | - | |
四半期連結財務諸表計上額 | 営業収益 | 5,885 | 7,323 | 1,437 | 24.4 |
セグメント損益 | 8 | △ 174 | △ 182 | - |
※1「その他」は、地方創生事業など、現時点で事業セグメント化されていない事業を示しています。
※2 セグメントごとの営業収益及びセグメント損益は、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれた金額となっております。
<1 再生可能エネルギー関連事業>当事業は主に当社及びアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)が推進しております。再生可能エネルギーを取り巻く環境は前述のとおりですが、当社は当事業を通じて、更なる再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針であり、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しています。現時点においては、以下のとおり、継続的に再生可能エネルギー発電所の開発、取得、発電及び電気の供給(発電事業)、維持・運営管理(O&M事業)を行っております。また、PPA(需要家と発電事業者が長期間の電力購入契約(Power Purchase Agreement)を締結することで、初期投資不要で太陽光設備等を導入利用できるもの。)を中心とした自家消費モデルについて、企業や自治体への展開を検討しております。
(太陽光発電事業)
当事業が従事した完工済みの案件は合計31.4MWであり、今後着工する案件は以下の①のとおり、1か所、2.1MWになります。
改正FIT法の施行、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない事業環境ではありますが、当事業では、長年に亘り培ってきた優良案件を見極める力とネットワークの力を活用して、引き続き太陽光発電設備の自社開発を行ってまいります。また、これらに加え未稼働ID(FIT認定済みの運転未稼働案件)及びセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保に取り組むと共に、保有している既存発電設備についても譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保しながら、事業採算性の向上にも取り組んでまいります。
自社開発(建設中):
① 栃木県大田原市 出力規模:約2.1MW 2024年5月完工予定
稼働後は当社が維持・運営管理(O&M事業)を行います。
自社開発(運転開始):
当第3四半期連結累計期間に運転開始した案件はありません。
セカンダリー市場:
新たな案件についても精査を行っております。
ポートフォリオの入替:
当第3四半期連結累計期間に入替を実施した案件はありません。
維持・運営管理(O&M事業):
当社が開発に携わった案件等16か所、合計29.5MWの太陽光発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っております。
(地熱発電事業等)
当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。
宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」(以下、「助成事業」という。)の採択を受け、2MW規模の地熱発電の事業化を目指して、2016~2018年度に3本の調査井掘削を完了し、1号調査井及び3号調査井については自噴を確認、2号調査井については熱水資源の還元ゾーンとしての十分な能力を確認してまいりました。
この結果を受け、当社は、事業規模の計画拡大及び、最大49%までの範囲による第三者からの事業参画をより容易にすることを目的として、2019年5月に、新設分割により設立したえびの地熱社に、宮崎県えびの市における地熱開発事業の全てを承継させました。2020年3月には大和エナジー・インフラ株式会社とえびの地熱社との間で、事業損益の10%を分配する匿名組合契約を締結いたしました。なお、匿名組合出資と損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。
その後、えびの地熱社では、2019年度助成事業として掘削した4号調査井についても自噴を確認しており、これまでの調査結果から計画規模を4.8MWに拡大し、発電所建設のための検討を進めております。また2021年3月には、JFEエンジニアリング株式会社とえびの地熱社との間で、事業損益の10%を分配する匿名組合契約を締結し、第一回匿名組合出資を受けました。なお、損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。
なお、当初計画の2MW分については、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、2026年度の運転開始を予定しております。一方、計画規模拡大後の連系枠については、電源接続案件一括検討プロセス(系統連系希望者の間で、系統容量の増強工事費を共同負担することにより、効率的な系統整備等を図ることを目的とする手続)が、2021年12月に不成立のまま完了となりました。系統利用の在り方については様々な議論が進められており、ルールの見直しを含めた変更の可能性があるため、今後の動向を確認しながら引き続き系統確保に向けて、取り組んでまいります。
再生可能エネルギー関連事業では、前連結会計年度末に保有する発電所を譲渡したことによる売電収入の減少に加え、規模の大きい熊本県の発電所で合計22回(前年同期間比8回増加)の出力抑制が発せられたことにより営業収益は前年同期間比減少しました。また、当事業では地熱開発を含む発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しております。
以上の結果、当事業における当第3四半期連結累計期間の営業収益は480百万円(前年同期間比67百万円(12.4%)の減少)、9百万円のセグメント損失(前年同期間は11百万円のセグメント利益)となりました。
<2 電力取引関連事業>当事業では、小売電気事業者をサポートするために、需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供、電力取引の提供を行っております。
当事業のうち、業務代行サービスについては、既存顧客へ安定したサービスの提供をしながら、引き続き新規取引先を増やすべく、電力取引のリスク管理コンサルティング等新メニューを加え顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っております。
電力取引については、顧客の電力調達及びヘッジニーズに対応し、電力現物先渡取引、デリバティブ取引である電力スワップ取引、電力先物取引に取り組んでおります。電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性が高まっていることに鑑み、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進しております。前連結会計年度は、冬期に電力の需給がひっ迫したことを受け、電力取引は増加しました。当第3四半期連結累計期間においても電力取引ニーズは引き続き堅調であり、例年取引量が少ない春期にも相当量の取引ができたことに加え夏期の取引も増加し、燃料価格の高騰を受けた秋以降の電力取引についてもリスクを抑制しながら利益を計上しております。
なお、会計上、現物取引として分類している電力先渡取引は時価評価の対象ではないことから確定損益のみが損益計上されております。
以上の結果、電力取引関連事業の当第3四半期連結累計期間の営業収益は6,394百万円(前年同期間比1,710百万円(36.5%)の増加)となり、セグメント利益は229百万円(前年同期間比129百万円(130.2%)の増加)となりました。
<3 小売事業>当事業は、主に当社及びアストマックス・エネルギー株式会社(以下「AEKK社」)が推進しております。当社は、当社グループ内における業務効率化を目的として、2021年10月1日付にて、AEKK社を存続会社、アストマックス・エネルギー合同会社(以下、AEGK社)を消滅会社とする、連結子会社間の吸収合併を行いました。AEKK社はAEGK社の行っていた個人を中心とする低圧市場の顧客への電力・ガス販売を継承し、当社は特高・高圧市場の顧客への販売を行っております。
(電力小売事業)
AEKK社では「お客様のライフスタイルに合った電力プランが選べます」のキャッチフレーズの下、従来のブライトプラン、スマートプランに加え、第1四半期連結会計期間に基本料金ゼロプラン、ナイトセイバープランの2つの新プランを発売いたしました。これにより基本プランとして4つのプランのラインナップが揃うことになりました。また、第1四半期連結会計期間に実質再生可能エネルギーによる電力を100%供給する「プラス・グリーン」をリリースし、各基本プランにトッピングできるサービスを開始いたしました。一方、AEKK社の電気ブランドを「アストでんき」とし、その知名度を上げるべくSNSでの配信や検索サイトでのリスティング広告を開始しました。当第3四半期連結累計期間には、節電機器メーカーとの間で節電機器の販売代理店契約を締結し、低圧電力を利用する法人向けに節電機器とアストでんきの電力プランのセット販売を展開できる体制を整えました。競争の激化する電力小売業界において、早期の黒字化を目指し、今後も他社と差別化できるサービスの拡充と知名度の向上に取り組んでまいります。
(ガス小売事業)
当事業では、取次店候補である複数の企業と交渉を行っておりましたが、2021年1月からAEKK社を取次店のひとつとしてAEKK社の既存の電力顧客に対し電気とガスのセット販売キャンペーンを継続しております。また、その他の代理店・取次店候補企業との契約締結に向けて取り組んでまいります。
以上の結果、小売事業の当第3四半期連結累計期間は、コスト先行が継続しており、営業収益は223百万円(前年同期間比122百万円(121.0%)の増加)となり、183百万円のセグメント損失(前年同期間は137百万円のセグメント損失)となりました。
2021年4月に新たに設置した「新機能開発部門」は、当社が推進する総合エネルギー事業の様々な領域において、当部門が中心となって各事業部門との連携を図り、DXの推進や新しいビジネスモデルを組み立てていくことを業務目的としています。AI活用による需給管理や、発電/供給サイドの事業と販売/需要サイドの事業のアグリゲート(集約化)及び、双方のマッチングによる新たなサービスを展開すること等、独自性の高いビジネスフィールドを考えてまいります。
当第3四半期連結累計期間においては、AI等を活用した電力の需要予測や太陽光発電出力予測等の需給管理、リスク管理の高度化に取り組んでおります。また、AI・IoTを活用した生活空間におけるサービスプラットフォーム事業を展開する、株式会社LiveSmartの「LiveSmart for Business」と連携した電力小売関連システムの開発にも着手しております。また、電力需給調整や再エネ価値向上等に資する系統用蓄電池による蓄電事業への展開を検討しております。
<4 アセット・マネジメント事業>アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)においては、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担う他、2020年3月以降、新たなファンドの運用業務も受託しております。
PayPayアセットマネジメント株式会社(以下、「PPAM社」という。)においては、引き続き世界的な株式相場の上昇及び円安ドル高の進行を受け、投資家の間で利益確定目的での解約や、満期償還に伴う資金流出が見られた他、適格機関投資家向けの新規設定私募投信への資金流入が伸び悩みました。また、日経平均株価が高値を付ける局面では、公募の投資信託においても利益確定目的での解約が見られました。2021年12月末時点の運用資産残高合計は前連結会計年度末比約481億円減少の2,651億円となりました。このため、PPAM社の営業収益は前年同期間比減少を続けており、当社の連結決算上は営業外損益として取り込まれる持分法による投資損益はマイナスとなりました。
一方、AFM社が営業者として運用しているファンドは順調に運用資産を増加させており、当セグメントの営業収益に計上する運用報酬額も増加しております。
以上の結果、当事業における当第3四半期連結累計期間の営業収益は110百万円(前年同期間比13百万円(13.5%)の増加、持分法適用関連会社のPPAM社の営業収益は含まず)となり、116百万円のセグメント損失(前年同期間は81百万円のセグメント損失)となりました。
PPAM社では、機関投資家向けビジネス、個人投資家向けビジネス共に、拡大に向けた取り組みがこれまでのところ当初計画より遅れております。しかしながら、機関投資家等の運用成果に貢献すると共に、年金基金等の中長期の投資対象となりうるファンド組成をタイムリーに行っていくことに注力しており、同時に投資信託の販売会社等との協業も強化することによって運用資産残高の積み上げに努め、収益基盤の拡充にも取り組んでいます。また、PPAM社ではこれまでの主力事業である機関投資家向けビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家に向けて、ネット取引に加え対面型営業による長期積立型投資信託事業の展開も進めております。また、個人投資家向けビジネスについては、「PayPayアセットマネジメント株式会社」への社名変更を契機にZホールディングス株式会社グループ(以下、「Zグループ」という。)との協働をさらに推進してまいります。
<5 ディーリング事業>当事業は、当社が推進し、OSE、TOCOM、CME、ICE、INE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。
当第3四半期連結累計期間における原油市場の動きは、一時的にマイナス価格をつける等大きく価格変動した前年同期間に比べ堅調に推移し、裁定取引の機会は減少しました。貴金属の裁定取引においても、前連結会計年度に乖離が多かった市場間の値差は一部を除き理論値からの乖離が減少し、裁定取引の機会も減少しました。市場間の値差が乖離する場面では利益につながる取引を継続したものの、全体としては取引機会の減少の影響が大きくなりました。
以上の結果、当事業における当第3四半期連結累計期間の営業収益は263百万円(前年同期間比241百万円(47.8%)の減少)、27百万円のセグメント損失(前年同期間は181百万円のセグメント利益)となりました。
当事業では、今後も引き続き経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い引き続き収益力の強化を目指してまいります。
<6 その他(地方創生ほか)>当事業は報告セグメントとして独立しておりませんが、事業の状況について説明いたします。
当事業は北海道長万部町の「長万部地方創生事業」において、「町と東京理科大学の連携による再生可能エネルギーを活用した先進的アグリビジネス事業」の確立を目指し2017年11月に設立された長万部アグリ株式会社(以下、「アグリ社」という。)が主に推進しております。当社グループはアグリ社の設立当初より出資しておりましたが、2018年6月にアグリ社の第三者割当増資を引き受け、アグリ社は当社の子会社となりました。
アグリ社では、サンゴ及び焼成したホタテ貝殻のアルカリ培地を利用した新しい農法でミニトマトを生産・出荷しており、2020年2月にはアグリ社のミニトマト「ENRICH MINI TOMATO(エンリッチミニトマト)」が、一般財団法人格付けジャパン研究機構が主催する格付け認証により、ミニトマト部門における「糖度」「リコピン含有量」「GABA含有量」の総合評価において「データプレミアムNo1」の認証を取得する等、一定の成果が出てきております。
新型コロナウイルス感染症の影響下、アグリ社では継続的に商品販売の機会を確保することを目的として、Eコマースプラットフォームを活用した販路拡大も進めております。これまでの「長万部アグリYahoo!店」等に加え2021年5月には「BASE店」を開店、SNS等を利用した情報発信によっても「ENRICH MINI TOMATO(エンリッチミニトマト)」及びトマトジュースの周知活動を行っております。一方、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束する中では、百貨店・ホテル・観光関連施設・飲食店等、既存のお客様への販売も再開した他、都内のイタリアンレストラン等の新規顧客も増加しておりますが、全体としては、ビニールハウスを暖める燃料費の高騰もあり、営業費用が営業収益を上回る状態が継続しております。
上記、セグメント利益又は損失は当該第3四半期連結累計期間の経常利益又は経常損失と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて18.6%増加し、6,379百万円となりました。これは、差入保証金が670百万円、自己先物取引差金が199百万円増加したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて0.5%増加し、6,572百万円となりました。これは、主に長期差入保証金が128百万円増加したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて8.7%増加し、12,955百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて20.4%増加し、2,009百万円となりました。これは、自己先物取引差金が375百万円、営業未払金が330百万円増加したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて20.7%増加し、5,044百万円となりました。これは、主に社債が990百万円増加したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて20.6%増加し、7,054百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2.8%減少し、5,900百万円となりました。これは、主に親会社株主に帰属する四半期純損失により147百万円、株主配当により利益剰余金が38百万円減少したこと等によるものです。