四半期報告書-第7期第2四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)

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2018/11/14 15:11
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文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間(平成30年4月1日~平成30年9月30日)における金融市場は、貿易戦争や地政学リスクの高まり等に対する懸念が残る中、リスク資産価格が総じて堅調に推移する展開となりました。
株式市場は、景気の安定的な拡大や好調な企業業績等を背景に米国主導で先進国株式が上昇する一方で、資金流出懸念から通貨安が進んだ新興国株が下落する展開となりました。貿易戦争の激化が嫌気され世界的に株価が軟調となる場面もありましたが、9月末にかけ米国の主要株価指数は過去最高値を更新し、欧州株式は財政リスクが懸念されたイタリアなど一部を除いて小幅高となりました。国内株式も9月に入り上げ足を早め、日経平均株価指数は2万4千円台を回復して当第2四半期連結累計期間を終えました。
債券市場は総じて軟調に推移しました。米国及び欧州の中央銀行による金融政策の正常化が進む中、貿易戦争の世界的な拡大懸念等から安全資産として国債が買われる局面もありましたが、9月末にかけては、新興国通貨に対する不安が一服し、投資家のリスク選好が回復したことから、主要国債利回りは上昇(国債価格は低下)基調をたどりました。日銀の金融政策柔軟化を受け、7月下旬以降、日本の長期国債利回りも小幅に上昇しました。社債の信用スプレッドはリスク回避が進んだ5月以降に拡大した後、9月末にかけては縮小に向かい、社債市場は前年度末比概ね横ばいとなりました。
商品市場はまちまちの値動きとなりました。WTI原油価格は、米国のイラン核合意離脱で上昇したほか、産油国による協調減産緩和の合意前後に乱高下しました。8月にかけてはトルコを巡る混乱や貿易摩擦の激化懸念などを材料に下値を探る展開となりましたが、9月末にかけては、米国による対イラン制裁再開に先立ち、輸入国が供給源を他国に変更する動きが見られる中、イラン産原油の供給が減少する懸念から再び上昇基調に転じました。金価格は、米国の金利先高観や安全通貨として米ドルが上昇するなかで、下落基調をたどりました。作柄悪化懸念から期初堅調に推移した大豆及びとうもろこし価格は、豊作見通しや中国の対米報復関税を受け9月末にかけて大幅に反落しました。
当第2四半期連結累計期間の再生可能エネルギーを取り巻く環境については、太陽光発電のFIT価格が18円(税抜)となり、FITスタート時の40円(税抜)から大幅に低下しましたが、平成27年に第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にて採択された気候変動抑制に関する「パリ協定」が、欧州連合も含めた110の国及び団体によって批准されたことを受け、脱炭素社会を目指す動きが世界的に広がりをみせています。わが国においても「RE100(事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ)」に加盟する企業が増えている他、経済産業省資源エネルギー庁の掲げる「第5次エネルギー基本計画(平成30年7月)」では、再生可能エネルギーについて「確実な主力電源化」を目指すために、「円滑な大量導入に向けた取組を引き続き積極的に推進していく。」と明記されたこと及び、「分散型エネルギーシステム」についての多くの記述があったことが注目されています。
このような市場環境等のもと、当社グループの当第2四半期連結累計期間の営業収益は5,220百万円(前年同期間比3,077百万円(143.6%)の増加)、営業費用は5,095百万円(前年同期間比3,034百万円(147.2%)の増加)、営業利益は125百万円(前年同期間比43百万円(53.0%)の増加)、経常利益は111百万円(前年同期間比88百万円(388.5%)の増加)となりました。法人税等合計は47百万円(前年同期間比0百万円(1.5%)の減少)、非支配株主に帰属する四半期純利益は50百万円(前年同期間比8百万円(19.2%)の増加)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は7百万円(前年同期間は67百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。営業収益と営業費用の大幅な増加は、主として電力取引関連事業において、電力の販売と仕入れが増加したことによるものです。また、情報端末の見直しを含む全般的なコスト削減により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益のいずれもが前年同期間に比べ改善しました。
セグメント毎の業績及び取組み状況は次のとおりです。
①アセット・マネジメント事業
当事業は、主にアストマックス投信投資顧問株式会社が推進しており、金融商品取引業と商品投資顧問業等を行っております。
日本や米国の国債への連動又は逆連動を目指すファンドへの資金流入等を受け、5月末時点における運用資産残高合計は月末運用資産残高として過去最高額である4,027億円となりましたが、当第2四半期連結累計期間においては、スワップ取引を対象としたファンドの満期償還や米ドルへの連動を目指すファンドからの資金流出等もあり、9月末時点における運用資産残高合計は前連結会計年度末比199億円減少の約3,742億円となりました。運用資産残高は前年同期間を上回る水準で推移したものの、報酬率が相対的に高い運用資産残高の減少等を受けて運用資産全体の報酬率が前年同期間との比較ではマイナスで推移したこと等から、営業収益のうち、固定報酬の総額は前年同期間比で減少しました。一方、営業収益の総額は、投資信託業務や投資助言業務において成功報酬を得られたことがプラス要因となり、前年同期間比で増加しました。
資本・業務提携契約を締結しているヤフー株式会社と協働で展開している投資家の「長期資産形成」に資する役割を運用会社として積極的に担うことを目標とする公募投資信託や、同様のコンセプトで展開している対面型の公募投資信託についても、運用資産残高を着実に増やしております。
また、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドについては、アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社が営業者としてファンド運営業務等を担い、投資金額の積み上げを継続しております。
以上の結果、当事業における当第2四半期連結累計期間の営業収益は、997百万円(前年同期間比44百万円(4.6%)の増加)となり、セグメント利益は105百万円(前年同期間比2百万円(2.5%)の減少)となりました。
当事業では、今後とも拡充した事業基盤を活用し、投資信託の販売会社等との協業を通じて運用資産残高の積み上げに努めるとともに、収益基盤の拡充にも取り組んでまいります。なお、既存主力事業である機関投資家ビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても、一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家の皆様に対して、対面型営業による長期積立型投資信託事業に加え、ファイナンシャル・テクノロジーを活用した長期資産形成に貢献できる事業を展開してまいります。
②ディーリング事業
当事業は、主にアストマックス・トレーディング株式会社(以下、「ASTRA社」という。)が推進し、東京商品取引所(以下、「TOCOM」という。)、CME、ICE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。
前述の市場環境の中、主力である商品市場では、貴金属市場は下落、原油市場が上昇する展開となる中、市場間の値差を利用した裁定取引で一定の収益を確保することができました。当第2四半期連結累計期間を通じてみると取引機会は限定的であり収益の伸びは限定的でしたが、前連結会計年度以降注力してきた大幅なコスト削減の成果もあり、セグメント黒字を確保することができました。
以上の結果、当事業における当第2四半期連結累計期間の営業収益は256百万円(前年同期間比7百万円(2.9%)の減少)、セグメント利益は20百万円(前年同期間は48百万円のセグメント損失)となりました。
当事業では、今後も経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い、また収益力の増加を図るため、予定されているTOCOM電力先物等の新規上場及び、中国市場の海外への開放などの好機を的確に捉え、引き続き収益力の回復を目指してまいります。
③再生可能エネルギー関連事業
当事業は主にASTRA社等が推進しております。当事業では主として再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行っております。
当事業の進捗状況については継続的に開示しておりますが、当第2四半期連結累計期間における同事業の進捗状況は以下のとおりです。
<太陽光発電事業>1. 鹿児島県霧島市 出力規模:約2.2メガワット
既に開示しておりますとおり、平成28年10月に着工となりました本案件につきましては、当社グループとしての事業リスクを限定するために、SPC(特別目的会社)及び匿名組合契約(ASTRA社を出資者とし、SPCを営業者とする契約)を使った投資スキームを利用しており、平成28年12月16日付にて太陽光発電設備を設置する合同会社に対し出資をしております。稼働開始は、平成30年3月を見込んでおりましたが、工程が変更となり平成31年以降となる見込みです。稼働後はASTRA社による管理・オペレーション業務を行います。
2. 大分県中津市 出力規模:約2.3メガワット
平成29年10月27日付にてSPCに対し匿名組合出資をしております本案件の稼働開始は、平成30年4月を見込んでおりましたが、天候や造成工事に時間を要した影響で工程が変更となり平成30年11月を予定しています。稼働後はASTRA社による管理・オペレーション業務を行います(なお、本件につきましては、26ページ「(重要な後発事象)」をご参照下さい。)。
太陽光発電事業につきましては、前述のほか、未稼働ID及びセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件取得に取り組んでおります。改正FIT法の施行、競合他社の参入、優良案件の減少等により、環境的には案件確保が容易ではないといえますが、今後におきましても、引き続き太陽光発電設備の未稼働ID及びセカンダリー市場での案件確保に取り組み、譲渡を行うこと等を含め、期間利益の獲得を目指してまいります。また、保有している既存発電設備においても、投資事業ポートフォリオの一部入替や、生産性向上のため増設等を行うことを予定しており、これらを通じた事業採算の向上に取り組んでまいります。
<地熱発電事業等>ASTRA社では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。
宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」の採択を受け、2メガワット規模の地熱発電の事業化を目指し、平成29年3月に1号調査井、平成29年12月に2号調査井の掘削を完了しております。発電規模を確認するための仮噴気試験につきましては、平成30年2月に1号調査井の自噴を確認し、2号井については平成30年5月に高温熱水の存在を確認いたしました。また、平成30年度調査事業として3号調査井(還元井)の掘削が完了しており、2メガワット以上の開発も視野に入れつつ、引き続き事業化に向けて取り組んでまいります。なお、本件は、九州電力株式会社主宰の電源接続案件募集プロセス(電源接続案件募集プロセスとは、平成27年4月に設立された電力広域的運営推進機関により新たに規定されたルールであり、発電設備等を電力系統に連系するにあたり、系統連系希望者により工事費負担金を共同負担する手続きのこと。)の手続き中です。
開発中の案件は、前連結会計年度に続き発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しております。平成30年3月に奈半利ソーラー発電所を譲渡したことや、西日本豪雨や台風の頻発により、当社グループ最大規模(約7.8メガワット)の熊本県の発電所が日射量に恵まれなかったため、営業収益は前年同期間比で減少しましたが、平成30年3月に実施した融資の借換により借入コストが減少したことや、当社が受託している発電所の保守見直しによりコストを低減できたこともあり、セグメント利益を確保することができました。
以上の結果、当事業における当第2四半期連結累計期間の営業収益は325百万円(前年同期間比51百万円(13.7%)の減少)、セグメント利益は51百万円(前年同期間比28百万円(125.7%)の増加)となりました。
なお、当社グループのセグメント損益は、経常損益をもって公表(特別損益を含まない)しております。特別利益として計上した奈半利ソーラー発電所の増設分の譲渡益12百万円及び特別損失として計上した農業関連企業への出資(平成27年12月より出資)の評価損18百万円は当事業に帰属するものとなります。
④電力取引関連事業
当事業は、小売電気事業者等を対象にシステム及び付帯サービスを提供するアストマックス・エナジー・サービス株式会社(以下、「AES社」という。)と、小売電気事業者であり、日本卸電力取引所の会員でもあるASTRA社による協業により推進しております。
AES社では、電力自由化の先進国である米国において実績のあるEnergy Services Group, LLCの電力・ガス小売事業サポートシステムの日本版を提供するとともに、ASTRA社との協業による需要予測等を含む需給管理業務並びに顧客のための電力調達業務を通じて、小売電気事業者等のニーズに応えるべくきめ細かいサービス及びソリューションの提供に取り組んでおります。
当事業では、顧客の電力調達ニーズ、価格変動リスク及び電力市場の需給状況等を考慮し、電力先渡取引を行っておりますが、加えて電力取引における価格変動リスクを可能な限り抑える目的でデリバティブ取引である電力スワップ取引にも取り組んでおります。なお、会計上現物取引である上記電力先渡取引については、当第2四半期連結累計期間において時価評価を行っておりません。
当第2四半期連結累計期間においては、顧客の多様な電力調達ニーズに対応するために取り組んでいた電力の調達及び販売の多様化が評価され、各種電力取引が複数件成立しました。電力取引の増加及び多様化に伴い、リスク管理の重要性が増加していることに鑑み、社内に新たに「電力取引委員会」を立ち上げるなどリスク管理体制の強化を推進しました。
当事業の当第2四半期連結累計期間は、前述のとおり電力取引が増加しているため、営業収益及び営業費用が前年同期間比大幅に増加し、営業収益は3,635百万円(前年同期間比3,085百万円(561.6%)の増加)、51百万円のセグメント損失(前年同期間は61百万円のセグメント損失)となりました。
上記、セグメント利益又は損失は四半期連結財務諸表の経常利益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて14.7%減少し、5,079百万円となりました。これは、現金及び預金が495百万円減少、差入保証金が225百万円減少したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて11.3%増加し、6,805百万円となりました。これは、建設仮勘定が687百万円増加したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて1.5%減少し、11,892百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて7.8%減少し、1,841百万円となりました。これは、自己先物取引差金が262百万円減少、1年内返済予定の長期借入金が124百万円減少したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて2.3%増加し、4,233百万円となりました。これは、長期借入金が54百万円増加したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて1.0%減少し、6,074百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2.1%減少し、5,818百万円となりました。これは、株主配当により利益剰余金が144百万円減少したこと等によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、2,948百万円(前年同期間比5.3%減)となりました。
当第2四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増減は、464百万円(前年同期間は157百万円)となりました。
主たる要因は、未払金の増加による収入(280百万円)、差入保証金の減少による収入(178百万円)等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の増減は、△735百万円(前年同期間は△260百万円)となりました。
主たる要因は、有形固定資産の取得による支出(△722百万円)、投資有価証券の取得による支出(△81百万円)等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の増減は、△224百万円(前年同期間は△469百万円)となりました。
主たる要因は、短期借入金の返済による支出(△480百万円)、長期借入金の返済による支出(△204百万円)等によります。