四半期報告書-第9期第3四半期(令和2年4月1日-令和2年12月31日)

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2021/02/12 15:46
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文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社グループのセグメントは、前連結会計年度末まで、「再生可能エネルギー関連事業」、「電力取引関連事業」、「アセット・マネジメント事業」、「ディーリング事業」の4事業に区分しておりましたが、第1四半期連結会計期間より、「電力取引関連事業」から「小売事業」を分け、5事業に区分しております。従いまして、当第3四半期連結累計期間における「電力取引関連事業」及び「小売事業」の経営成績については、前第3四半期連結累計期間における「電力取引関連事業」の経営成績を当該各事業に組み替えて比較しております。
当第3四半期連結累計期間の経営環境は以下のとおりです。
当第3四半期連結累計期間(2020年4月1日~2020年12月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で緊急事態宣言が発出され、経済活動に制約が生じ、雇用・所得環境は悪化しました。その後、Go Toキャンペーンが展開される等、経済社会活動に加わった制約は段階的に解除されました。
一方、株式市場は前期末に大幅に下落したことに対して、主要中央銀行の金融緩和によりマネーが流入したことで、大きな反発が見られ、12月末の日経平均株価は、27,444.17円と前期末比45.1%の増加と大幅に上昇し、大納会としてはバブル経済の最盛期であった1989年(38,915.87円)以来、31年ぶりの高値を付けました。
当第3四半期連結累計期間のセグメント毎の経営環境は以下のとおりです。
原油価格は、前期末に大幅下落した後、4月下旬から6月にかけて徐々に回復し、その後、ブレント原油は40ドル台を中心に安定して推移し、年末にかけては50ドル台での堅調な値動きとなりました。金価格は、不安定な世界情勢から一時2,000ドルを超え、その後、反落したものの高値圏での堅調な推移が続いています。商品市場は、新型コロナウイルス感染症の影響で概して需給バランスが不安定になり、また商品の輸送や貯蔵にも影響が生じていること等もあり、一時的に市場間の価格差が大幅に拡大いたしました。その後、乖離はやや収まったものの不安定な状況が続いています。
再生可能エネルギーを取り巻く環境については、改正FIT法に基づき、2019年度の太陽光発電のFIT価格は14円(税抜)、2020年度は12円(税抜)となり、入札制度の対象も出力500kW以上の設備から250kW以上の設備にまで拡大されました。また、未稼働案件に対して運転開始期限設定を義務化する新たな仕組みも定められました。
既存案件については、当社グループ保有の太陽光発電設備が稼働する九州電力管轄内において、電力需給バランスの維持及び電力安定供給の必要性から、当第3四半期連結累計期間において、熊本県の発電所には合計14回の出力抑制が発令されました。今後は、他の電力管轄内においても出力抑制発令の可能性が想定されます。
FIT価格は、制度スタート時の40円(税抜)から大幅に低下し、前述の様にFIT制度自体についても見直しが行われていますが、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」、「RE100(事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ)」など、世界的に推進されている脱炭素社会を目指す動きは、わが国においても、2050年までに温暖化ガス排出量実質ゼロ、再生可能エネルギーを50~60%を目標とする等、急速に広がりを見せてきています。新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済の不透明感が高まっていますが、再生可能エネルギーの重要性、脱炭素社会を目指す動きは、グローバルに今後一層進むことが見込まれます。
電力市場においては、2016年4月の電力小売全面自由化以降、小売電気事業者の事業者数及び切替件数は、共に順調に増加しています。市場での電力価格については、天候不順や新型コロナウイルス感染症の影響、燃料市場の高騰等によって価格変動リスクが高まっており、12月後半には寒波の到来や発電所の燃料不足等、複数の要因が重なったことで電力需給がひっ迫し、電力価格は数円台から一時50円台まで上昇しました。小売電気事業者や発電事業者の経営においても、電力市場価格の「リスク管理」の重要性が認識されており、電力取引のヘッジニーズは高い状態が続くものと考えます。
なお、当社グループは、後述のとおり小売電気事業者を有するJust Energy Japan株式会社(2020年7月1日付で「アストマックス・エネルギー株式会社」に商号変更。以下、「AE社」という。)を、2020年4月に買収いたしました。今後は、AE社を当社グループにおける小売電気事業のプラットフォームとして活用するとともに、小売電気事業を積極的に展開していく方針です。
また、当社グループは、2020年12月30日付にて開示のとおり、 AI・IoTを活用した生活空間におけるサービスプラットフォーム事業を展開するスタートアップ企業である株式会社Live Smart(以下、「LS社」)の第三者割当増資を引き受け、併せてLS社と業務提携契約を締結いたしました。
電力ビジネスを取り巻く環境は、再生可能エネルギー等の分散型エネルギー源(DER)の普及や消費者の志向の変化による電力の「as a Service」化、kwh 価値(※1)の低下とkw 価値(※2)・⊿kw 価値(※3)の上昇、IoT やブロックチェーン等の技術進歩等によるC to C での電力取引の進展等、今後、小売電気事業を中心に既存のビジネスモデルが大きく変化していくことが想定されており、当社グループとしてもこうした小売電気事業に関連する新たなビジネス展開にいち早く取り組む必要があると考えております。
LS社は、AI・IoTを活用した生活空間におけるサービスプラットフォーム事業にて、B to Cのビジネスモデルの他、ホテル、賃貸住宅等にハードとソフトの両方を提供するB to B to C のビジネスモデルも展開しており、当社グループの小売電気事業とLS社の「生活空間におけるサービスプラットフォーム事業」は親和性が高いと考えており、当社グループとLS社は小売電気事業における新たなビジネスモデルの立案に向けた有力なパートナーシップを構築できるものと考えております。
※1 kwh 価値(キロワットアワー価値):実際に発電された電気(電力量)に関する価値
※2 kw 価値(キロワット価値):発電することが出来る能力(供給力)に関する価値
※3 ⊿kw 価値(デルタキロワット価値):短期間で需給調整できる能力(調整力)に関する価値
このような市場環境等のもと、当第3四半期連結累計期間における経営成績は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2020年3月期
第3四半期
連結累計期間
2021年3月期
第3四半期
連結累計期間
増減増減率(%)増減の主要因ほか
営業収益8,6395,885△2,753△31.9①再生可能エネルギー関連事業(△893)
②電力取引の減少(△2,119)
③アセット・マネジメント事業(+21)
④ディーリング事業(+205)
⑤小売事業(+98)
営業費用8,7115,765△2,945△33.8①再生可能エネルギー関連事業の外注工事費(△934)
②電力仕入の減少(△2,038)
③ディーリング事業の支払手数料(△84)
④子会社買収による小売事業の費用増
営業利益又は
営業損失(△)
△72120192-
経常利益又は
経常損失(△)
△561066-①営業利益(+192)
②売却目的で保有していた太陽光発電設備の売電収入減少(△59)
③売却目的で保有していた太陽光発電設備の減価償却費の減少(+26)
④持分法による投資損失の増加(△79)
特別利益1,014-△1,014-前四半期連結累計期間は子会社株式一部売却による特別利益及び東京商品取引所の株式TOB買取による特別利益を計上
特別損失2214△8△35.7
税金等調整前四半期純利益又は
税金等調整前四半期純損失(△)
935△4△939-
法人税等合計
(※1)
32543△281△86.6
非支配株主に帰属する四半期純利益5127132.6
親会社株主に帰属する四半期純利益又は親会社株主に帰属する四半期純損失(△)605△60△665-

※1「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。
セグメント毎の業績及び取り組み状況は次のとおりとなりました。
電力取引関連事業及びディーリング事業のセグメント利益は前年同期間比増加し、一方、小売事業及びアセット・マネジメント事業のセグメント損失は前年同期間比増加しました。
なお、セグメント損益は第3四半期連結累計期間の経常利益又は経常損失(△)と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
(セグメント別営業収益・セグメント損益) (単位:百万円)
2020年3月期
第3四半期
連結累計期間
2021年3月期
第3四半期
連結累計期間
増減増減率(%)
再生可能エネルギー関連事業営業収益1,436547△888△61.9
セグメント損益6311△51△82.4
電力取引関連事業営業収益6,7444,683△2,060△30.6
セグメント損益61993862.1
小売事業営業収益2101984,390.2
セグメント損益△46△134△88-
アセット・マネジメント事業営業収益75972129.0
セグメント損益△3△81△78-
ディーリング事業営業収益29850420568.9
セグメント損益△22181204-
その他(※1)営業収益9225△67△72.5
セグメント損益△24△1410-
調整額営業収益△11△74△62-
セグメント損益△82△5032-
四半期連結財務諸表計上額営業収益8,6395,885△2,753△31.9
セグメント損益△561066-

※1「その他」は、地方創生事業など、現時点で事業セグメント化されていない事業を示しています。
<1 再生可能エネルギー関連事業>当事業は主にアストマックス・トレーディング株式会社(以下、「ASTRA社」という。)及びアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)が推進しております。再生可能エネルギーを取り巻く環境は上述のとおりですが、当事業は、企業理念と行動指針に基づき、エネルギー問題、気候変動問題を中心とした環境への取り組みにより、世界が「持続可能な開発目標(SDGs)」によって目指していく社会の実現に貢献したいと考えております。わが国のエネルギー基本計画に沿って、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指すとともに、再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針であり、以下のとおり、継続的に再生可能エネルギー発電所の開発、取得、発電及び電気の供給(発電事業)、維持・運営管理(O&M事業)を行っております。
(太陽光発電事業)
当事業が従事した完工済みの案件は合計31.4MWであり、今後着工する案件は以下の①のとおり、1箇所、2.1MWになります。
改正FIT法の施行、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない事業環境ではありますが、当事業では、長年にわたり培ってきた優良案件を見極める力とネットワークの力を活用して、引き続き、太陽光発電設備の自社開発を行ってまいります。また、これらに加え、未稼働ID(FIT認定済みの運転未稼働案件)及びセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保に取り組むと共に、保有している既存発電設備についても、譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保しながら、事業採算性の向上にも取り組んでまいります。
自社開発(建設中):
① 栃木県大田原市 出力規模:約2.1MW 2024年5月完工予定
稼働後はASTRA社が維持・運営管理(O&M事業)を行います。
自社開発(運転開始):
当第3四半期連結累計期間に運転開始した案件はありません。
セカンダリー市場:
新たな案件についても精査を行っております。
ポートフォリオの入替:
当第3四半期連結累計期間でのポートフォリオ入替実績はありません。
維持・運営管理(O&M事業)
ASTRA社では、ASTRA社が開発に携わった案件等17か所、合計31.4MWの太陽光発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っております。
(地熱発電事業等)
当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。
宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」(以下、「助成事業」という。)の採択を受け、2MW規模の地熱発電の事業化を目指して、2016~2018年度に3本の調査井掘削を完了し、1号調査井及び3号調査井については自噴を確認、2号調査井については熱水資源の還元ゾーンとしての十分な能力を確認してまいりました。
この結果を受け、ASTRA社は、事業規模の計画拡大及び、最大49%までの範囲による第三者からの事業参画をより容易にすることを目的として、2019年5月に、新設分割により設立したえびの地熱社に、宮崎県えびの市における地熱開発事業の全てを承継させました。2020年3月には大和エナジー・インフラ株式会社とえびの地熱社との間で、事業損益の10%を分配する匿名組合契約を締結いたしました。なお、匿名組合出資と損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。
その後、えびの地熱社では、2019年度助成事業として掘削した4号調査井についても自噴を確認しており、これまでの調査結果から計画規模を4.8MWに拡大し、発電所建設のための検討を進めております。
本件に関しては、当初計画の2MW分について、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、今後は、拡大後の計画規模に合わせた追加の系統確保や地元調整など、引き続き事業化に向けて取り組んでまいります。なお、既に締結している工事費負担金契約の工期に合わせ、現時点での運転開始は2026年度を想定しております。
再生可能エネルギー関連事業では、九州地方の発電所に対し、発電が好調なものの、前年同期間の実績を上回る出力抑制が発令されたことや、地熱開発を含む発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)が、計画の進捗に伴い増加していることに加え、前期は売却目的で保有していた発電所を合計3か所売却していたことから、若干のセグメント利益にとどまりました。
以上の結果、当事業における当第3四半期連結累計期間の営業収益は547百万円(前年同期間比888百万円(61.9%)の減少)、セグメント利益は11百万円(前年同期間比51百万円(82.4%)の減少)となりました。
<2 電力取引関連事業>当事業は、アストマックス・エナジー・サービス株式会社(以下、「AES社」という。)と日本卸電力取引所の会員であるASTRA社の協業により推進しております。
2016年4月の電力の小売全面自由化以降、600件を超える小売電気事業者が設立され、電力小売の販売シェアを伸ばしています。当事業では、小売電気事業者をサポートするために、需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供、電力取引の提供を行っております。
当事業の内、業務代行については、既存顧客へのサービスの提供により収入を確保しながら、引き続き新規取引先を増やすべく、顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っております。
電力取引については、顧客の電力調達ニーズ、価格変動リスク及び電力市場の需給状況等を考慮し、電力現物先渡取引、デリバティブ取引である電力スワップ取引、電力先物取引に取り組んでおります。電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性が増加していることに鑑み、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進しております。第1四半期連結会計期間に続き当第3四半期連結会計期間も、新型コロナウイルス感染症拡大等による電力需要の減少などの影響で取引量は減少しましたが、12月は天候や発電所の燃料不足等から電力の需給がひっ迫した事を受け、電力市場の値動きが大きくなったことが損益にプラスの影響を与えました。なお、会計上現物取引である上記電力先渡取引は時価評価の対象ではなく、確定損益のみが損益計上されています。 また、電力価格と取引量には季節性があることから、月次及び四半期の損益変動幅が拡大する可能性があります。
なお、 AES社が中心となって行っていた米国ESG社とのシステム販売におけるパートナーシップ契約は5年間に亘る契約期間の満了をもって当第3四半期連結会計期間に終了しております。
以上の結果、前述のとおり、電力販売の減少により、電力取引関連事業の当第3四半期連結累計期間の営業収益は4,683百万円(前年同期間比2,060百万円(30.6%)の減少)となり、セグメント利益は99百万円(前年同期間比38百万円(62.1%)の増加)となりました。
<3 小売事業>ASTRA社は、2016年3月に小売電気事業者、2018年10月にガス小売事業者として経済産業省への登録を完了し、主に電力取引関連事業において電力の卸売販売を手掛けてまいりました。当社グループは、従来からの再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業に加え、今般、小売電気事業分野に本格的に参入することで、日本における電力のサプライチェーン全体に事業領域を広げ、より機能的なサービスの提供と収益機会の開拓を図る方針を決定し、2020年4月に、小売電気事業を展開するJust Energy Japan合同会社(2020年7月1日付で「アストマックス・エネルギー合同会社」に商号変更。)を傘下に有するAE社の全発行済株式を取得し、その後1%譲渡いたしました。当事業は、第1四半期連結会計期間より報告セグメントとして独立いたしました。
また、ASTRA社は2020年9月に株式会社グローバルエンジニアリングと共同で、株式会社デンソー北海道に対して「大型蓄電池(NAS 電池)の無償設置と電力の供給を含むエネルギーマネジメント」(以下、「本事業」という。)を行う契約を当該三社間で締結いたしました。本事業に基づく業務の提供等は、2021年2月からの開始を予定しております。
本事業は、工場の未利用地等にNAS電池を設置し、設備の需要に合わせて充電及び放電をコントロールすることにより、電力需要逼迫時の電力供給負荷を低減することでデマンドレスポンスを実現し、また通常使用する電気料金を削減するほか、非常用電源として BCP対策等にも活用することを目的としております。
競争の激しい特高・高圧市場で電力顧客を確保すること等を目的として、蓄電池の無償設置を絡めたビジネスモデルを習得し、電力供給契約を獲得していきたいと考えております。
(電力小売)
第1四半期連結会計期間は買収したAE社を当社傘下で運営する為の移行期間と位置づけ、システム移管と営業戦略構築に専念した為、顧客数は買収時から大きな変化なく推移しました。第2、第3四半期連結会計期間においては、7月より商号変更と共に新たな料金プランをリリースし新規顧客獲得への活動を開始しましたが、新料金プランのエリア展開及び販売チャンネルが限定的であったこともあり、顧客数の増加は限定的なものとなりました。今後は、AE社ホームページ刷新、積極的な当社事業の周知及び販売チャンネルの拡大を行うことで一層の顧客数増加に注力してまいります。
(ガス小売)
当事業では、引き続き事業の開始に向けて、パートナー候補である複数の企業と交渉を行っております。第4四半期連結会計期間からはAE社を取次店のひとつとして、AE社の既存の電力顧客に対し、ガスのセット販売キャンペーンを行い、ガス小売としての顧客数増加にも注力してまいります。また、その他の代理店・取次店候補企業との契約締結に向けて、取り組んでまいります。
以上の結果、小売事業の当第3四半期連結累計期間は、コスト先行となり、営業収益は101百万円(前年同期間比98百万円(4,390.2%)の増加)となり、134百万円のセグメント損失(前年同期間は46百万円のセグメント損失)となりました。
<4 アセット・マネジメント事業>アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)においては、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担い、投資金額の順調な積み上げを継続しており、前期末より新たなファンドの運用業務も受託しております。大学発ベンチャーキャピタルファンドについては全体として順調な運用が続いており、新ファンドも当第3四半期連結会計期間においても、着実に運用資産を増加させてきております。
アストマックス投信投資顧問株式会社(以下、「ASTAM社」という。)においては、スワップ取引を対象としたファンドからの資金流出や外貨建債券を対象とした外国債券を対象としたファンドの満期償還等を受け、運用資産残高合計は6月末時点で前連結会計年度末比117億円減少の約2,986億円となりました。7月以降は、先進国の株式や債券を対象としたファンドや米ドルへの連動を目指すファンドへの資金流入等から運用資産残高は増加し、9月末時点の運用資産残高は前連結会計年度末比103億円増加の約3,207億円となりました。その後も米ドルへの連動を目指すファンドや米国の株式への連動を目指すファンドへの資金流入等から運用資産残高の増加基調は継続し、12月末時点の運用資産残高は前連結会計年度末比336億円増加の約3,440億円となりました。ただし、全体として運用資産残高が前年同期間を下回る水準で推移したことに加え、報酬率が相対的に高い運用資産残高の減少等を受けて運用資産全体の報酬率が前年同期に比べ低下したことから、ASTAM社の営業収益の総額は、前年同期間比で減少しました。
以上の結果、当事業における当第3四半期連結累計期間の営業収益は97百万円(前年同期間比21百万円(29.0%)の増加、持分法適用関連会社のASTAM社の営業収益は含まず)となり、81百万円のセグメント損失(前年同期間は3百万円のセグメント損失)となりました。
ASTAM社では、低金利が継続している現状の金融市場環境において、各機関投資家の資産運用ニーズをより的確に捉えることが従来にも増して重要であり、こうしたニーズを十分に把握した上で、内外の外部運用機関との協働も含め、機関投資家の運用成果に貢献しうるファンド組成をタイムリーに行っていくことに注力しております。同時に投資信託の販売会社等との協業も強化することによって運用資産残高の積み上げに努め、収益基盤の拡充にも取り組んでいます。また、ASTAM社ではこれまでの主力事業である機関投資家向けビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家の皆様に向けて、対面型営業による長期積立型投資信託事業の展開を加速しております。個人投資家向けビジネスについては、ヤフー株式会社及びヤフー株式会社が所属するZホールディングス株式会社グループと協働し、ファイナンシャル・テクノロジーを用いた長期資産形成への貢献を目指しております。
なお、ASTAM社は、3月に「Pay Pay アセットマネジメント株式会社」への商号変更を予定しており、これを契機に、新商号の下で更なる発展を遂げ、企業価値の向上を実現できる様、引き続き当社としても事業運営に参画してまいります。
<5 ディーリング事業>当事業は、ASTRA社が推進し、OSE、TOCOM、CME、ICE、INE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。
冒頭の市場環境の中、第1四半期連結会計期間に原油市場で市場間や限月間の価格差が開き裁定取引の機会が増加しました。その後は、価格差は落ち着いてきたものの、引き続き裁定取引で継続的に安定した利益をあげることができました。貴金属の裁定取引では、第1四半期連結会計期間に続いて市場間の値差が不安定になり、基準となる理論値からの乖離が続いたため、リスクを抑えて取引を行い、その後、取引手法と資金、リスクをコントロールしながら安定して利益を上げることができました。
以上の結果、当事業における当第3四半期連結累計期間の営業収益は504百万円(前年同期間比205百万円(68.9%)の増加)、セグメント利益は181百万円(前年同期間は22百万円のセグメント損失)となりました。
当事業では、今後も引き続き経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い引き続き収益力の強化を目指してまいります。
<6 その他(地方創生ほか)>当事業は報告セグメントとして独立しておりませんが、事業の状況について説明いたします。
当事業は北海道長万部町で実施されている「長万部地方創生事業」において、「町と東京理科大学の連携による再生可能エネルギーを活用した先進的アグリビジネス事業」の確立を目指し2017年11月に設立された長万部アグリ株式会社(以下、「アグリ社」という。)が主に推進しております。当社グループはアグリ社の設立当初より出資しておりましたが、2018年6月にアグリ社の第三者割当増資を引き受け、アグリ社は当社の子会社となりました。
アグリ社では、サンゴ及び焼成したホタテ貝殻のアルカリ培地を利用した新しい農法でミニトマトを生産・出荷しており、2020年2月にはアグリ社のミニトマト「ENRICH MINI TOMATO(エンリッチミニトマト)」が、一般財団法人格付けジャパン研究機構が主催する格付け認証により、ミニトマト部門における「糖度」「リコピン含有量」「GABA含有量」の総合評価において、「データプレミアムNo1」の認証を取得する等、一定の成果が出てきております。
新型コロナウイルス感染症の拡大下においては、百貨店・ホテル・観光関連施設・飲食店等の既存のお客様への販売を軸とした事業展開が難しい局面を迎えることとなりました。アグリ社では、ご愛顧頂いてきたお客様への販売についても引き続き努力する一方で、継続的に商品販売の機会を確保することを目的として、Eコマースプラットフォームを活用した販路の拡大にも取り組んでおります。2020年8月には「長万部アグリYahoo!店」を開店いたしましたが、FacebookやInstagramを利用した情報発信も利用して、「免疫機能」維持に必要な「ストレス抑制」作用があるといわれる「GABA」を豊富に含む「ENRICH MINI TOMATO(エンリッチミニトマト)」及びトマトジュースの周知活動を行っております。ご購入頂いたお客様からは、高い評価を頂いており、これらの評価を販売増加に結び付けることができるよう今後も努めてまいります。
(2)財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて12.4%減少し、5,113百万円となりました。これは、主に短期借入金の返済等に伴い現金及び預金が984百万円減少したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて1.1%減少し、7,598百万円となりました。これは、主に持分法による投資損失及び投資有価証券の回収等に伴い投資有価証券が109百万円減少したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて6.0%減少し、12,718百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて35.1%減少し、2,369百万円となりました。これは、主に短期借入金が945百万円減少したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて6.6%増加し、4,451百万円となりました。これは、主に長期預り金の増加に伴い固定負債のその他が463百万円増加したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて12.9%減少し、6,820百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3.5%増加し、5,897百万円となりました。これは、主に非支配株主持分が302百万円増加したこと等によるものです。