有価証券報告書-第2期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/30 16:14
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事業等のリスク

当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
尚、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの事業内容について
① 商品先物市場・金融市場等の動向について
当社グループの主たる事業であるアセット・マネジメント事業及び自己勘定投資事業の一部であったディーリング事業(平成27年3月期より、再生可能エネルギー関連事業と別れて、独立セグメントとなる予定)は、主に日本の商品先物市場と海外の商品先物市場、並びに金融市場等を運用の対象市場としております。従って、当社グループの業績は、国内外の商品先物市場、金融市場等の市場動向の影響を受けており、その市場動向は、世界的な政治、経済、社会情勢等の影響を受けます。
当社グループのディーリング事業においては、短期売買、裁定取引という手法が大半を占めることから、市場の大局的な上下動によって、事業収益に直接大きな影響を受けるわけではありませんが、アセット・マネジメント事業においては、市場連動型の金融商品の運用も行っていることから、市場環境悪化に伴う契約の解約や、逆に良好な市場環境であるが故に発生する利益確定のための契約の解約が発生することがあり、その結果、運用資産が減少することもあります。この他、仮に、戦争、テロ、疫病、天災、大規模事故等の世界的事件・事故が発生し、商品先物市場または金融市場の閉鎖、取引中断、大幅な取引ルールの変更等の予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、商品先物市場もしくは金融市場の値動きが極端に小さくなるような状態または当社グループと同様または優れた手法でのディーリングを行う新規参入者の増加によって、ディーリング事業収益が低迷する場合や、アセット・マネジメント事業において新規参入者の増加、または既存業者との競合が増すこと等により、受託競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② アセット・マネジメント事業における運用資産残高について
当社グループのアセット・マネジメント事業における収益は、その運用資産残高によって大きく変動します。当社グループでは、安定的な収益拡大のために新たな運用資産の獲得を目指し、運用収益率の向上、新規運用商品の開発及びマーケティングの強化を図っております。しかしながら、市場環境や政治経済情勢の変化、運用成績の悪化、顧客等の投資方針の変更等により、顧客との間の投資顧問契約等が解除され、突然運用資産残高が減少する可能性があります。また、投資信託等の資産運用ビジネスにおいては、良好な運用成績などを背景に基準価額が値上がりした際に、利益確定のための契約の解約を受けて、逆に運用資産が減少することもあります。
③ 優秀なファンドマネージャー、ディーラー等の確保について
当社グループは、アセット・マネジメント事業で顧客資産の運用を指示する者をポートフォリオマネージャーまたはファンドマネージャー(以下総称して、ファンドマネージャー等という。)、その指示を受けて取引執行を行う者をトレーダー、そしてディーリング事業において、自己資産の運用を行う者をディーラー、ディーラー候補で育成過程の者をトレーニーと呼んでおり、当社グループの収益は、ファンドマネージャー等及びディーラーの運用成績の影響を受けます。
当社グループのアセット・マネジメント事業では、平成26年3月末現在7名のファンドマネージャー等が運用を行っています。運用業務の一部においてはファンドマネージャー等の固有の判断・手法に依存する割合が高いものもあり、当該運用業務に従事するファンドマネージャー等が退職した場合、また、グローバルに運用業務を展開できる知見を有するキャリア豊富なファンドマネージャー等が退職した場合、運用業務への影響は大きく、運用業務の一部を取り止めなければならない可能性も含め、業務に大きな支障が出る可能性があります。このような事態を避けるため、個々のファンドマネージャー等のノウハウ等の共有を促進しておりますが、これが計画通り進まないうちに既存のファンドマネージャー等の退職という事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ディーリング事業では、優秀で実績のあるディーラーの退職により収益が減少する可能性があります。そのような事態に備え、若手ディーラーの育成に努めておりますが、既存の収益力のあるディーラーが退職した場合、またはディーラーの育成が順調に進まなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 新規事業(再生可能エネルギー関連事業等)について
当社グループのASTRA社では、平成24年7月25日開催の取締役会にて、再生可能エネルギー事業へ参入することを目的に事業計画の概要と事業化調査を開始することを機関決定の上、平成24年8月1日開催の臨時株主総会において、定款を一部変更し、農林水産物の生産並びに加工・販売に関する事業、再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行うことが可能な体制としました。平成24年7月1日より「再生可能エネルギー全量買取制度」が開始されたことに加え、電力不足対策や環境負荷低減などの社会貢献性の観点からも、本事業への参入は当社グループにとりまして非常に意義のあるものと考えております。既に、当社ホームページ等で開示の通り、当社開発案件として平成26年3月期より太陽光発電設備3サイト(各1.3メガワット相当)で発電が開始されている他、更に複数のサイトで太陽光発電事業が進捗しており、また太陽光発電以外の地熱発電等への取組も候補地の検討段階に入っております。それぞれの案件の事業化に当たっては、関係者との確実な連携を図りながら綿密な調査に基づいて、事業化の是非を検討して進めております。しかしながら、本事業は当社グループにとって新しい分野であるため、ビジネスの進展が必ずしも予定通りに進まない事態の発生や想定していないコストが発生すること等により、当該ビジネスの採算が悪化するおそれがあります。また、事業用地の取得を伴うケースがあることから、固定資産税その他諸費用の変動、不動産に係る欠陥・瑕疵の存在、災害等による不動産価値の毀損、所有権その他不動産の権利関係、有害物質の存在、環境汚染、不動産価値の急激な低下による減損等の新たなリスクを負うことになると共に、第三者に対し損害を及ぼし賠償責任を負うというリスクも存在し、こうした問題が発生した場合には、当社グループに対する信頼の失墜に繋がる可能性があります。その際には、当社グループの経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、新規事業においては、当社グループの自己資金に加えて銀行借入等を利用し、レバレッジをかけた規模にて投資を行うケースもあります。その際には当社グループが拠出した投資額を上回る規模の事業を行うこととなり、事業採算の僅かな悪化が、当社グループの損益に相対的に大きな影響を与えるおそれがあります。さらに、再生可能エネルギーについては、必ずしも諸制度が十分に成熟していない分野であることから、法令や諸規則の改正またはその解釈や運用の変更が行われる可能性もあり、その内容によっては今後の業務展開や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(2) 当社グループを取り巻く法的規制等に関するリスクについて
① 企業買収後の法的規制等について
当社は、平成24年12月28日付で、当社の株主でもある伊藤忠商事株式会社より、投信投資顧問会社であるITCインベストメント・パートナーズ株式会社(以下、IIP社という。)の発行済株式の約99%を取得して子会社化し、平成25年4月1日付で、子会社であるアストマックス投資顧問株式会社と、IIP社を組織統合し、アストマックス投信投資顧問株式会社(以下、ASTAM社という。)に社名変更しました。
ASTAM社は、「商品投資に係る事業の規制に関する法律」に定める商品投資顧問業者として、同法を始めとする各種法令等の遵守に加え、「投資信託及び投資法人に関する法律」に定める投資信託委託会社として公募・私募の投資信託の設定を行っていることから、金融商品取引法を始めとする各種法令及び所属する各種協会の自主規制ルール等を遵守し、投資信託等の運用及び管理を適切に行うことが求められます。また、金融商品取引法に定める金融商品取引業(投資運用業、投資助言・代理業及び第二種金融商品取引業)に加えそれらに付随する業務も営んでおりこれらの金融商品取引業務においても、同様に、金融商品取引法を始めとする各種法令及び金融商品取引法に定める各自主規制機関の自主規制ルール等に関する厳格な遵守体制が求められております。
当社グループとしては、コンプライアンス態勢及び内部管理体制水準の確立・維持に努め、今後も更なる徹底を図るべく継続努力していく所存でありますが、監督当局等から行政上の指導あるいは処分を受けるというような事態が生じた場合には、その内容によっては通常の営業活動が制限されたり、行政処分等を理由として顧客が資産を引き揚げる事態が発生する可能性もあります。また、投資信託の基準価額に大きな誤りがあった場合を始めASTAM社の事務ミス等の過失により投資信託または投資信託の投資者に損害が生じた場合等には、損害賠償責任を負う可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
一方、ASTRA社が営む自己勘定投資事業においては、ディーリング事業は、商品先物取引法等の関係法令を中心に、国内外の主要取引所の諸規則の遵守を求められており、新規事業は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法や電気事業法等の規制を受けることとなります。当社グループとしては、これら事業においても、法令遵守の下に事業を進めていく努力をしておりますが、万一法令違反等が発生した場合には、監督当局等から行政上の指導あるいは処分を受けたり、損害賠償責任を負う可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(3) 当社グループの事業体制について
① 持株会社化について
当社は、平成24年10月1日付で、株式移転によりASTRA社の完全親会社として設立され、即日、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場いたしました。当社は事業会社を通じて事業運営を行うと共に、事業会社の管理業務を受託することにより、事業会社からの業務委託料収入及び配当金収入を主な収益の源泉とする持株会社となりました。この結果、アセット・マネジメント事業と自己勘定投資事業の両事業の管理業務(リスク管理業務を除く)は新設持株会社に集約され、当社グループ全体の管理業務の効率化及び管理コストの削減を図ると共に、両事業におけるファイア・ウォール(業務隔壁)の更なる徹底と各々の事業会社の迅速な意思決定を可能とする体制を構築いたしました。しかしながら、持株会社体制が十分に機能しない場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 企業買収と統合について
当社グループは、平成24年8月1日付でMAI社の発行済全株式を取得し、平成24年10月1日付で新設された当社の100%子会社化すると共に、ASTRA社のアセット・マネジメント事業を吸収分割により統合し、同日付で商号変更を行いアストマックス投資顧問株式会社としました。ASTRA社の旧アセット・マネジメント事業とMAI社の事業は、運用戦略・商品設計、顧客層、及び両社における運用商品の販売会社等がいずれも相互に補完できる関係となっており、両者の統合により事業基盤の拡充とビジネスシナジー効果が期待でき、投資家の皆様の様々なニーズにお応えできる運用業務遂行体制が構築されました。しかしながら、統合後の事業展開が計画通りに進まない場合には、MAI社株式の保有にかかる「のれん」の減損損失を計上することになるリスクがあり、当社グループの経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ コンプライアンスの徹底について
当社は、上場企業として、当社グループ各社を含めたコンプライアンスの徹底を最重要課題の一つとして取り組んでおります。前述のとおり、当社グループが営む業務には、それぞれの営む事業毎に様々な法的規制や業界団体による自主規制ルールがあり、これらをグループ各社が企業として遵守することのみならず、役職員一人一人にモラルが求められていると考えております。当社グループでは、全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を要求するとともに、その旨誓約書を提出させており、加えて継続的な啓蒙活動とチェックを実施することにより、その徹底を図っております。しかしながら、万一役職員による不祥事等が発生した場合は当社グループのイメージが失墜し、当社グループの事業活動及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) その他
① 当社グループコンピュータ・システムについて
当社グループのコンピュータ・システムは、主に以下の分野で使われており、業務上不可欠なインフラとなっております。
・運用プログラム
・投資信託の基準価額算出
・運用サポートシステム
・顧客別運用資産の管理、損益管理、リスク管理
・自己勘定投資業務における取引発注、ポジション管理、損益管理、資金管理、リスク管理
・経理業務、各種データの作成
現状、重要なデータについては外部のデータセンター利用を通じたバックアップ体制を確立するなど、業務上及びセキュリティー上必要とされる水準を備えていると考えておりますが、ハードウェア、ソフトウェアの不具合や人為的ミス、天災、停電、コンピュータウィルス、テロ等によりコンピュータ・システムに障害が発生する可能性はあります。システム障害のレベルによっては、当社グループの事業活動及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 株式の希薄化について
単独株式移転による持株会社設立に関する株式移転計画に係る平成24年8月1日付臨時株主総会による承認を受けて、平成24年10月1日付で設立された当社は、ASTRA社が発行した新株予約権を引き継いでおります。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式総数は150,800株(自己新株予約権による潜在株式37,800株を含む。)であり、これら新株予約権がすべて行使された場合、発行済株式総数である13,111,000株の1.2%にあたります。また、今後新株予約権を発行する可能性もあります。付与された新株予約権及び今後発行される新株予約権の権利行使により発行される新株は、将来的に当社グループ株式価値の希薄化や株式需給への影響をもたらし、当社の株価形成に影響を与える可能性があります。
③ 訴訟の可能性について
当社グループが平成19年6月に旧三井物産フューチャーズ株式会社(当時)の全株式を取得して以来抱えていた6件の被告事案は全件和解が成立しております。しかしながら、旧三井物産フューチャーズ株式会社の顧客等から訴訟を提起される可能性は残されております。この他にも、「(1) 当社グループの事業内容について④新規事業(再生可能エネルギー関連事業等)について」及び「(2) 当社グループを取り巻く法的規制等に関するリスクについて①企業買収後の法的規制等について」に記載された事項に係る訴訟の可能性があります。
この他にも、「(1) 当社グループの事業内容について④ 新規事業について」及び「(2) 当社グループを取り巻く法的規制等に関するリスクについて①企業買収後の法的規制等について」記載の訴訟の可能性がございます。