有価証券報告書-第38期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 15:02
【資料】
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【項目】
89項目

対処すべき課題

今後のわが国経済は、政府の経済対策や日本銀行の金融政策の効果などを背景に引き続き企業業績の改善や雇用情勢の好転が予想され、全体として緩やかな回復基調で推移するものと考えております。一方、景気の先行きは、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動の影響や海外経済の減速懸念などにより、依然として不透明な状況が続くと考えております。
不動産市場におきましては、消費増税に伴う駆け込み需要の反動により、新設住宅着工戸数は持家・分譲住宅を中心に平成26年3月以降弱含んでおり、今後もしばらくは同様の傾向が続くものと見込まれております。
当社はこのような事業環境の中、中期経営計画に則り、地域に根差した総合不動産会社としての事業基盤をより強固にすべく、既存事業の深耕、マーケットエリア拡大、多角化推進を行い、事業を安定的に拡大させることで着実な成長を図るとともに、事業環境の変化等に順応できる柔軟性のある経営を引き続き維持し、安定的な利益確保に努める所存でございます。
また、引き続き更なる事業の再構築等を推進していく必要もあり、以下の点を主要な課題として認識するとともに、今後の着実な成長及び企業価値の向上に努める所存でございます。
(1) 少子高齢化
晩婚率、生涯結婚率や少子高齢化による人口構造の変化は、購入年代層などに大きな影響を与えるものと思われます。当社においては、高齢者対応住宅や小規模住宅などのプラン設定を増加するなどの対応を図り、福祉住環境コーディネーターも設置して対応しております。また、地域戦略などにおいても、需要層が高く、市場規模の大きな地域への拡大と深耕を行い、市場シェアの拡大を目指してまいります。
(2) コスト削減
当社は、ここ数年間、競合他社との激しい商品の底値競争を展開しており、今後もより一層拍車がかかることは確実視されております。それに対応すべく当社としては、常日頃からコスト削減を推進しており、具体的には、外注広告の内製化、部材費、外注費の洗い直し、一般経費の削減等を検討、推進しております。
(3) 不動産・建設事業の更なる効率化
当社の建設本部では、施工を協力業者に分離発注し、「品質・工程・原価・安全」の4つの項目を管理することに人的資源を集中し、効率的な発注を行うことにより、低価格・良質な商品をお客様に提供することを目指しております。15回にわたる社内検査が実施される工程管理体制において、各担当者が、受注から引渡しまでの全ての工程を熟知し、綿密な計画を立て、管理することが最も重要となります。そのため、セミナー、技術講習会や各種資格の取得を会社としても推奨することにより、各担当者のレベルアップを図っております。今後も良質な住宅をより低価格で、より多くのお客様に提供し続けるために、更に効率的な施工販売を追求してまいります。
(4) 内部管理体制の強化
当社事業の継続的な発展のためには、コーポレート・ガバナンス機能の強化は重要な課題であり、財務報告の信頼性を確保するため、内部統制システムの適切な運用が重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスに関しては、現在も適切に運用しているものと考え、ステークホルダーに対して経営の適正性や健全性を確保しつつも、更に効率化された組織体制の構築に向けて内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
(5) 財務管理の強化
当社は、事業用地、資産の取得資金を主として金融機関からの借り入れによって賄ってきたため、負債における有利子負債の占める割合が高く、金利動向に大きな影響を受ける財務構造となっております。今後の事業拡大及び競争力強化のためには、在庫管理と財務管理の更なる整備と徹底が必要であると認識しております。
今後も、仕入・着工と販売のバランスを意識し、厳格な管理による在庫コントロールをさらに徹底し、合わせて厳密な財務管理による早期の投下資本の回収と安定的な収益性の確保に努めてまいります。
(6) 事業地域の拡大
当社は、地域密着型の店舗展開を行い、情報収集に注力しております。また、顧客満足度を徹底的に追求することで紹介率の向上を図っております。
今後、市場性や市場規模などを深慮し、事業地域の拡大を検討し、引き続き地域密着型の事業展開を行うことで、知名度の向上と市場シェアの拡大を推進してまいります。
(7) コンプライアンス体制の強化
当社は、法令、定款及び社内規程等の遵守は勿論のこと、日々の業務を適正かつ確実に遂行し、クリーンで誠実な姿勢を企業行動の基本として、お客様の信頼を得ると同時に事故やトラブルを未然に防止する取り組みを強化してまいります。
今後、更なる事業拡大と企業価値の向上に向けて、引き続き日常業務における関連法令の遵守を徹底するとともに、リスク・コンプライアンス委員会の定期的開催、各種取引の健全性の確保、情報の共有化、再発防止策の策定などを行い、また、社内啓蒙活動を実施し、厳正な管理による企業の社会的責任(CSR)を重視した透明性のある管理体制の構築を図ってまいります。
(8) 人材の確保と育成
上記の課題を克服するためには、優秀な人材を継続的に確保し、育成することが最も重要な課題として認識しております。社員研修・教育の充実を図り、組織を構成する一人ひとりの業務に対するレベルアップを図るとともに、コンプライアンスを徹底し、当社の経営理念及び企業行動憲章を理解した責任ある社員の育成を図ってまいります。