有価証券報告書-第38期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 15:02
【資料】
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【項目】
89項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
当事業年度における売上高は、112億24百万円(前年同期比15.1%減)となりました。
不動産・建設事業においては、消費増税に伴う駆け込み需要の反動により、新設住宅着工戸数は持家・分譲住宅を中心に平成26年3月以降弱含んでおり、建築棟数等は下期に入り回復基調となっているものの、先行き不透明感による個人消費の消費マインドの冷え込みが根強く回復の足取りは想定よりさらに遅れ、上期における消費税率引き上げ後の反動の長期化が当面続くものと見込まれております。そのような事業環境の中、昨年に引き続き事業用地の厳選化とともに、仕入・着工と販売のバランスを意識し、仕入や販売計画の厳格な管理を行いながら、和歌山県下の和歌山市と岩出市にある展示場による集客を軸に、建物建築販売に注力いたしました。しかしながら消費増税後の反動による受注減等の影響により、当事業年度の不動産・建設事業の売上高は、86億25百万円(前年同期比22.7%減)となりました。
不動産賃貸事業においては、売上高14億63百万円(前年同期比4.7%増)となりました。これは当事業年度においても最適な賃貸資産のポートフォリオ構築のため、機動的な物件の入れ替え等による収益の効率化を図り、適時に修繕、リフォームを行い賃貸物件の商品価値を高め、既存物件の稼働率の維持向上を行った結果であります。
土地有効活用事業においては、前事業年度から開始した事業でありますが、受注及び売上を順調に伸ばし、そのうち主に集合住宅の販売により、売上高5億9百万円(前年同期比342.4%増)となりました。
ホテル事業においては、引き続き経営改善、業務改善等により順調に業績を伸ばし、売上高6億26百万円(前年同期比12.6%増)となりました。
② 売上原価、売上総利益
当事業年度の売上原価は74億63百万円(前年同期比16.9%減)、売上総利益は37億61百万円(前年同期比11.3%減)となりました。不動産・建設事業において、厳選した土地仕入の実施及び建築コスト低減への取組みを行っており、前事業年度と比較して原価率の比較的高い土地の一括販売がなかったこと、ホテル事業においてもコスト削減による原価率の改善もあり、売上高に対する売上総利益率は33.5%(前年同期は32.1%)となりました。
③ 営業利益
当事業年度の営業利益は、販売費及び一般管理費25億87百万円(前年同期比0.2%増)を受け、11億73百万円(前年同期比29.2%減)となり、前事業年度に比べ4億84百万円減少しました。売上高に対する営業利益率は10.5%(前年同期は12.5%)となりました。
④ 経常利益
当事業年度の経常利益は、匿名組合投資利益1億85百万円を含む営業外収益3億58百万円(前年同期比335.9%増)と営業外費用1億67百万円(前年同期比0.2%増)を受け、13億63百万円(前年同期比13.3%減)となり、前事業年度に比べ2億8百万円減少しました。売上高に対する経常利益率は12.1%(前年同期は11.9%)であります。
⑤ 当期純利益
当事業年度における法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、税引前当期純利益の増加に伴い5億22百万円(前年同期比18.9%減)となりました。この結果、当期純利益は9億1百万円(前年同期比12.5%減)となり、前事業年度に比べ1億29百万円減少しました。

(3) 財政状態の分析
① 資産
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ27億81百万円増加し、239億73百万円となりました。
流動資産については、前事業年度末に比べ6億23百万円増加し、96億99百万円となりました。これは主として、現金及び預金の減少6億23百万円、不動産・建設事業、土地有効活用事業での販売用不動産の増加9億25百万円及び未成工事支出金の増加4億56百万円を反映したものであります。
固定資産については、前事業年度末に比べ21億75百万円増加し、142億72百万円となりました。これは主として賃貸用不動産の取得等に伴う有形固定資産の増加21億93百万円を反映したものであります。
② 負債
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ20億68百万円増加し、120億73百万円となりました。
流動負債については、前事業年度末に比べ3億17百万円減少し、35億10百万円となりました。これは主として、1年内返済予定長期借入金の増加4億42百万円、分譲マンションの建設資金借入返済に伴う短期借入金の減少1億43百万円、1年内償還予定の社債の減少1億72百万円及び未払法人税等の減少2億25百万円を反映したものであります。
固定負債については、前事業年度末に比べ23億85百万円増加し、85億62百万円となりました。これは主として販売用不動産及び賃貸用不動産の取得資金の借入に伴う長期借入金の増加27億21百万円及び社債の減少3億68百万円を反映したものであります。
③ 純資産
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ7億13百万円増加し、119億円となりました。主な要因は、剰余金の配当に伴う繰越利益剰余金の減少2億75百万円及び当期純利益9億1百万円であります。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度中におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(5) 経営戦略の現状と見通し
今後の見通しにつきましては、政府の経済対策や日本銀行の金融政策の効果などを背景に引き続き企業業績の改善や雇用情勢の好転が予想され、全体として緩やかな回復基調で推移するものと考えております。一方、景気の先行きは、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動の影響や海外経済の減速懸念などが長引き、依然として不透明な状況が続くと考えております。
不動産市場におきましては、消費増税に伴う駆け込み需要の反動により、新設住宅着工戸数は持家・分譲住宅を中心に平成26年3月以降弱含んでおり、今後もしばらくは同様の傾向が続くものと見込まれております。
このような事業環境の中、当社は中期経営計画に則り、地域に根差した総合不動産会社としての事業基盤をより強固にすべく、既存事業の深耕、マーケットエリア拡大、多角化推進を行い、事業を安定的に拡大させることで着実な成長を図るとともに、事業環境の変化等に順応できる柔軟性のある経営を引き続き維持し、安定的な利益確保に努める所存です。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社経営陣は、商圏の拡大と更なるシェア獲得に加え、各地域の需給バランス及び顧客ニーズを十分認識した上で、事業用地を厳選し市場性を重視した商品を提供することにより、利益向上に努めております。事業用地は地域性が大きく関係することから、地域特性に合わせた事業展開・営業戦略を進めており、長期的な成長に繋がる基盤を築くとともに、事業効率と収益性の向上に取り組んでまいります。また、過去の実績からマーケット及び顧客の特性について把握している既存展開エリアに注力し、これまで培ってきた組織的な営業力を駆使し、地域シェアを維持してまいります。
その実現のため、平成27年3月期から平成29年3月期の3期間は、地域に根ざした総合不動産会社としての事業基盤をより強固なものにすべく、中期経営計画に基づき、既存事業の深耕、マーケットエリア拡大、多角化推進の3つの基本戦略テーマを収益性や資本効率性、安定性などに配慮しつつ推進し、企業としての総合力を高めてまいります。そして、株主の皆様へは安定した配当額を維持しながら、業績や財務状況に応じた利益還元の充実を目指します。
また、経営戦略上、必要な人材の確保と企業業績を向上させる人材育成の更なる強化に努めてまいります。