有価証券報告書-第11期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/27 11:26
【資料】
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【項目】
75項目

事業内容


(1) 当社の事業の具体的内容
当社は、建設業法による建設工事業種区分で熱絶縁工事業に属し、断熱材(建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォーム(注))の施工販売を主な事業としております。
注. 硬質ウレタンフォームとは、NCO(イソシアネート)基を2個以上有するポリイソシアネートとOH(水酸)基を2個以上有するポリオールを、触媒(アミン化合物等)、発泡剤(水、フルオロカーボン等)、整泡剤(シリコーンオイル)などと一緒に混合して、泡化反応と樹脂化反応を同時に行わせて得られる、均一なプラスチック発泡体。小さな泡の集合体で、この中に熱を伝えにくい空気、ガス等が封じ込められています。このために、硬質ウレタンフォームは長期にわたって優れた断熱性能を維持します。
① 戸建住宅向け断熱材の施工販売
戸建住宅分野での受注先は、全国展開のハウスメーカーや地域のハウスビルダー、工務店等です。また、受注機能の強化や代金決済の安定化を目的として大手建材商社の商流を活用しており、建材商社を直接の受注先とする場合もあります。これらの販売先に対し、顧客ニーズに合わせた提案営業を行うことにより、販売する住宅に全棟標準仕様またはオプションとして採用されております。
施工に際して、当社は自社施工部門での直接施工、または認定施工店に対する外注施工をもって対応しております。
認定施工店は、当社が断熱材の施工を外注するにあたり、遵法性、施工能力を有する等当社の定める一定基準を満たし、当社が認定した事業者のことをいいます。平成26年12月末現在の認定施工店は168社です。
自社施工部門は、全国各地区での受注に対して機動的に対応すること、認定施工店の技術指導を目的として、平成23年12月期から本格的に稼働させたものです。平成26年12月末現在、当社は全国に34カ所の工務部門を有しており、自社による施工を行っております。
② 建築物向け断熱材の施工販売
当社は、戸建住宅以外の建造物を「建築物」と定義しております。平成24年12月期から建築物向け断熱材の施工販売を開始しました。受注先は主に総合建設業者(ゼネコン)であり、施工対象はマンションのほか、病院、学校、オフィス、冷凍倉庫などであります。
建築物分野では、ほとんどがコンクリート建造物であり、戸建て住宅の場合とは原料の種類が異なるほかに、吹付け作業に要求される技術や作業環境等に違いがあり、建築物分野における受注に対しては、原則的に自社施工で対応することとしております。
建築物分野に進出した結果、当社が工事に使用する断熱材原料は、下表の3種類となっております。
取り扱い断熱用ウレタン原料
原料種類
(JIS規格区分)
原料仕様名施工対象発泡方法
(注1)
発泡倍率
(注2)
A種3アクアフォーム®木造住宅水発泡(ノンフロン)100倍
A種1アクアフォーム®建築物用
(注3)
コンクリート建造物水発泡(ノンフロン)30倍
B種コンクリート建造物HFC(代替フロン)30倍
アクアフォームNEO木造住宅
コンクリート建造物
HFO(グリーンガス)30倍

(注) 1.平成8年以降、オゾン層を破壊する特定フロンに替えて代替フロンが発泡剤として使用されていましたが、温暖化係数が高いことが問題でした。一方、水発泡方式は、水を含むポリオールとイソシアネートの反応により発生する炭酸ガスを発泡剤として使用するもので、温暖化係数が低く、環境に優しいという長所がある一方で、従来は断熱性能や接着力に悪影響を及ぼすという欠点があり、普及の障害となっていました。アクアフォーム®は、従来の水発泡方式の持っていた欠点を抜本的に改善したものであります。
2.発泡倍率とは、原料と比較して同じ質量の断熱材が何倍の体積となったかを示す値をいいます。
3.当社は、従来、建築物分野では国内ブレンドメーカー仕様による原料だけを使用しておりましたが、平成25年3月からA種1において自社仕様原料の使用を開始しました。今後は、建築物分野においても自社仕様原料の使用を増やす予定です。
③ 商品販売
当社は、以下の商品販売を行っております。
a.施工機械の販売
主に認定施工店に対して、吹付け作業に使用する施工機械・機械部品を販売しております。
b.原料の販売
認定施工店への原料有償支給とは別に、原料のみを施工業者に販売しております。
c.副資材(断熱関連商品)の販売
断熱材工事に併せて使用し、断熱効果及びその他の住居快適性を強化するための遮熱材、透湿・防水材などの関連資材を自社ブランドで販売しております。
主な取り扱い断熱関連商品
商品名用途販売方法
アクエアーシルバー通気層確保用遮熱スペーサー①アクアフォーム®の自社工事又は外注工事と一緒に工事使用分を提供
②受注工事と別に単品で販売
アクアシルバーウォール壁用遮熱・透湿・防水シート
アクアパッキン気密パッキン
アクアスルー棟換気部材

(注)アクエアーシルバー、アクアシルバーウォールは当社の登録商標です。
d.住宅機器・システムの販売
エコ住宅志向の高まりを受けて、当社は平成24年12月期から、換気システム、太陽光発電システム、太陽熱利用システムなどの機器・システムの販売取り扱いを開始し、断熱材の施工販売に留まらない総合的な提案営業を推進しております。

◇断熱施工例
④ リフォーム断熱事業
当社は、平成26年8月より住宅政策において、中古住宅・リフォームが強化されることに対応するため、新しいシステムにて断熱リフォームへの以下の取り組みを開始しました。
(1) 社内専門の事業部(リフォーム事業部)による受注・施工体制の構築
・リフォーム事業部を立ち上げ、専門的な提案を行うとともに施工体制を構築。
・多種多様な現場状況に対応する提案を実施。
(2) 断熱リフォーム用施工システムの開発
・小型化、軽量化した移動可能な発泡機械システムの開発(特許申請中)。
・狭小地、マンション等あらゆる現場に対応するため、持ち運びを可能に。
(3) 断熱リフォーム事業者の開拓
・小規模現場に対応可能な施工協力店を全国で募集。
・断熱専門メーカーとして、省エネ・性能向上リフォームの促進・提案。
(2) 当社の事業の特徴
当社の事業の特徴は、以下の2点です。
① 事業体制
断熱材施工販売について、国内全域を受注可能とする43営業所(平成26年12月末現在)の全国ネットワークを有しております。また、当社仕様による原材料の調達・販売から、断熱設計、遮熱材など関連資材の販売、現場施工までのサービスを一貫して提供する体制を構築しております。
② 施工体制
全国で提携する当社認定施工店と自社施工部門との2つを組み合わせて、迅速かつフレキシブルに対応できる施工体制を構築しております。受注と施工のバランスは当社事業の重要な鍵であり、受注工事を全て顧客の要望通りに施工できる体制作りに注力しております。また、国家資格の熱絶縁施工技能士1級の資格取得など現場スキルの向上や本社技術部門での研究開発の成果を、自社のみならず認定施工店に対する指導に反映させ、施工品質の維持向上を図っています。
(3) 当社の断熱材施工の特徴
当社の主力製品アクアフォーム®(登録商標名)は、グラスウール(注1)等の繊維系断熱材と異なり、住宅等建設現場で施工機械を用いてウレタン原料のポリオール(注2)とイソシアネート(注3)を混合、吹付け、発泡させ、原料が有する自己接着力により接着・凝固し、断熱材としての機能を発揮します。このような現場発泡による断熱施工は、建物の壁、床、屋根裏等に行っており、その特徴は以下のとおりです。
注1.グラスウールとは、短いガラス繊維でできた綿状の断熱材。優れた吸音効果があるため、スピーカー等や
防音室の素材として用いられています。
2.ポリオールとは、水酸基(OH)を2個以上含有する化合物のこと。ポリウレタンの原料となります。
3.イソシアネートとは、−N=C=O という部分構造を持つ化合物のことです。水酸基(OH)を有する化学成分及び水分と化学的な結合をします。ポリウレタンの原料となります。
① 断熱性
アクアフォーム®は、発泡後の硬質ウレタンで密閉された細かな空気の層で断熱することにより、熱伝導率が0.034 W/(m・k) と住宅金融支援機構版の規格のA種3の規準 C区分(熱伝導率0.040~0.035 W/(m・k)) を上回るD区分断熱性能を持ち、経済産業省及び国土交通省の定める「次世代省エネルギー基準」にも対応しています。
(注)W/(m・k)は、熱伝導率の単位(ワット/メートル・ケルビン)であり、数値が少ないほど断熱性能が優れていることを示しています。
② 気密性
原料のイソシアネートは、水を含む原料のポリオールと混ざることにより化学反応を起こし、化学的な結合により吸着する性質を持っています。アクアフォーム®を使った現場発泡吹付けにより断熱材が隙間なく充填され、施工面に吸着し、高い気密性を発揮します。
③ 吸音性
アクアフォーム®は、発泡したウレタンで空気を閉じ込め、連続した気泡を作り断熱を行う構造のため、断熱材が隙間なく充填されることにより、隙間から入り込んでいた外部の騒音や気になる内部の生活音の漏れを防ぐとともに、優れた吸音性を有します。
④ 透湿性
年間を通して湿度が相対的に高いという日本固有の気候に適合するよう、適度な透湿性を保つ機能を有し、木造建築物の結露を防ぎます。
⑤ 難燃性
アクアフォーム®は、約300~400℃で固体の状態で燃焼、炭化するため、火災の際にも熱で溶けて一気に燃え上がる危険はありません。
(4) 事業の系統図は次のとおりであります。