有価証券報告書-第11期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/27 11:26
【資料】
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【項目】
75項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
(2) 経営成績の分析
当社の当事業年度の経営成績は順調に推移し、当事業年度の売上高は13,020百万円と前期に比べ3,194百万円(前年同期比32.5%)の増収となりました。
当社の主要市場である戸建住宅分野における断熱材市場におきましては、持ち家の着工が、消費税増税後の低迷から下げ止まりの兆しがみられず、貸家及び分譲住宅の着工も低迷しております。平成26年の総着工戸数は、89.2万戸(前年比9%減)となり、着工床面積もおおむね総戸数と同様の動きを示しております。このような状況のもと、当社は消費税増税後の戸建住宅分野の市場の停滞を、マンション・倉庫・病院等の建築物分野での事業展開で補完してまいりました。全国で建築物の断熱施工に対応するため工務部門を拡充したことにより、従業員数は前事業年度末の415名から450名に増加いたしました。さらに8月にはリフォーム分野における断熱事業にも進出するため、新たにリフォーム事業部を立ち上げ、積極的に営業展開を行っております。
一方、利益面では、売上総利益は、2,856百万円と411百万円(前年同期比16.8%)の増益となりましたが、上半期における原油高の影響で下半期に原料の仕入価格が上昇し、売上総利益率が低下しました。このため、営業利益においては事業規模拡大による固定費やその他の経費の増加の影響を受け、944百万円と11百万円(前年同期比△1.2%)の減益となりました。経常利益は937百万円と11百万円(前年同期比1.3%)の増益、当期純利益は529百万円と17百万円(前年同期比3.4%)の増益となりました。
(3) 財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度における流動資産は7,470百万円となり、前事業年度末より39百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、売上の増加に伴い受取手形が215百万円、売掛金が663百万円、未収入金が192百万円増加したこと、仕入増加に伴う棚卸資産の増加418百万円、固定資産の取得等により現金及び預金の減少1,486百万円によるものであります。
(固定資産)
当事業年度における固定資産は1,667百万円となり、前事業年度末より1,116百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、名古屋営業所開設による建物が231百万円、本社移転及びテクニカルセンター開設による建物附属設備が34百万円、名古屋営業所及び鳥栖営業所開設用の土地が280百万円、大阪営業所及び鳥栖営業所新築のための建設仮勘定が276百万円、施工機械の取得によるリース資産が25百万円、施工体制の強化のための車両運搬具の取得による109百万円、ソフトウェア導入のための無形固定資産が36百万円及び営業拠点増加に伴う差入保証金27百万円が増加したことによるものであります。
(流動負債)
当事業年度における流動負債は3,582百万円となり、前事業年度末より750百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、売上の増加に伴い原料仕入等による買掛金が893百万円増加したことに対し、未払法人税等が122百万円の減少となったことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度における固定負債は26百万円となり、前事業年度より20百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、リース債務が返済により22百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度における純資産は5,529百万円となり、前事業年度より425百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、利益剰余金425百万円の増加となったことよるものであります。
(4) キャッシュ・フローの分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するように努めております。現在の経営方針は以下のとおりであります。
第1に、戸建住宅において当社断熱材の採用棟数を拡大させるために、営業所の開設、施工能力の拡充、価格競争力の強化を進めていきます。
断熱施工の営業は、地域密着で地場工務店、ビルダー等にアプローチすることが基本であるため、手薄な地域へ営業所の開設を進めていきます。施工能力の確保も重要であり、自社工務と併せて認定施工店の施工能力拡充を図ります。自社工務では、工務人員の採用とスキルの向上を進めていきます。認定施工店では、既存の認定施工店の施工能力を増やすとともに新規認定施工店の獲得にも力を入れていきます。価格競争力においては、複数の原料メーカーからの直接購買で大量の原料を調達することで原料コストの引き下げが実現してきており、今後も直接・大量購買による調達でさらなる価格競争力の強化を実現していきます。
第2に、建築物向け断熱施工を今後さらに強化していきます。
建築物向け断熱施工は、当面自社施工中心で対応する方針で、元請けのゼネコン等が要求する品質、工期を遵守できる自社工務人員の増員に努めていきます。また、従来品よりも安価な建築物用断熱原料の早期導入を図り、利益確保にも努めていきます。
第3に、リフォーム向け断熱施工を順次強化していきます。
リフォーム向け断熱施工は、特許出願中であるコンパクトシステム「リフォームカー」を、主にリフォーム事業者に販売してリフォーム市場におけるウレタン断熱の需要を喚起させ、その後引き合いに応じてリフォーム用の原料をリフォーム事業者に販売していく方針です。また、自社でも「リフォームカー」を使用した断熱施工を受注し施工していくことにより、リフォーム市場におけるウレタン断熱のシェアの拡大を図ります。
第4に、優秀な人材の確保と人材開発に取り組んでいきます。
工務向けは、エリアマネージャーが中心になって施工技術の底上げを図ります。営業向けには、OJTを中心としながら、集合研修も組み合わせ、商品知識、営業提案力の向上を図ります。また、社員の所属部署に関係なく「熱絶縁施工技能士」等の資格取得を後押していきます。
第5に、断熱関連の技術・商品開発を推進します。
顧客ニーズに対応するために開発技術部を中心に技術開発を推進し、新原料、新商品の開発にも取り組んでいきます。断熱原料の防火・省エネルギー性能を実証する地域区分・工法区分に応じた第三者認定取得を進める他、原料メーカーと共同で新原料の開発にも積極的に取り組んでまいります。また、住宅関連資材、機器メーカーと共同で、「低炭素住宅」など国の新たな省エネ住宅基準に対応可能な、副資材など新商品の開発や、各種機器など商品の発掘・販売にも取り組んでいきます。