有価証券報告書-第25期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題などにより、減速傾向が続く中、年明け後には新型コロナウイルスの影響が世界規模で急速に広がり、実体経済へも大きく影響を及ぼしつつあります。
わが国経済においても、個人消費は弱含みながらも底堅く推移していましたが、新型コロナウイルスの影響が拡大し、先行きに予断を許さない状況が続くことが見込まれます。
こうした経済を背景に、世界の半導体市場は、データセンター向け需要の回復等に伴い半導体需要の底打ち感が見られたものの、スマートフォン、サーバー市場の低迷などによりメモリー需要が大幅に減少、その他の半導体の需要も在庫調整の影響や新型コロナウイルスの影響を受けるなど、総じて低水準で推移した1年となりました。
このような環境のなかで、当社グループは、「常に豊かな知性と感性を磨き、市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献するとともに、私たちの事業に携わるすべての人々が共に繁栄する」という経営理念のもと、電気機器の小型化・省電力に貢献する電源ICと小回りの効く高品質な半導体ウエハファンドリーの観点から事業に取り組み、収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて、以下の諸施策を推進してまいりました。
・当社東京技術センター、関西技術センター及び米国R&Dセンターにおいて、差別化のできる高付加価値な汎用製品及びターゲット市場として注力する車載機器・産業機器に向け、より特化した特長ある製品を迅速に市場へ投入していくため開発活動を進めてまいりました。
・製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化を進めるとともに、グループ内において製造子会社との協力体制を深め、同業他社に比して競争力のある製造コストと納期対応の実現に取り組みました。
・IoT機器、産業機器、自動車産業など様々な分野の市場要求にマッチした製品をタイムリーに市場に届けていくために、製品開発の迅速化と製品ラインナップの拡大に向けた開発基盤の強化をすることを目的とし、インドアナログ半導体製品開発ファブレスメーカー Cirel Systems Pvt. Ltd.(Kundalahalli, Bangalore, INDIA)と資本提携をいたしました。
・IoT、ウェアラブルデバイス、エナジーハーベストでの市場拡大に向け、熱電製品メーカー MATRIX Industries, Inc.(Menlo Park, Calif. USA)とセンサーのエナジーハーベストリファレンスデザインを含むソリューションの共同開発を目的とし、バッテリーレス及び低電力アプリケーション向けの革新的な製品をラインナップすることを目指し、マーケティング、製品開発の事業協力関係を築くこととしました。
・地域に密着した営業体制を進め、海外販売子会社における営業・技術サポート担当者の充実を図り、顧客の要望や製品企画への迅速な対応と営業基盤のより一層の強化に努めました。
・関西技術センターの解析力を活用するとともに、協力工場との一層の関係強化を進め、産業機器や車載製品等のターゲット市場を意識した品質保証体制と各種認証制度への対応を図りました。
・グループ収益の最大化につなげるため、フェニテックセミコンダクター株式会社とのシナジー効果を高め、共同プロジェクトを推進しました。
・製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、フェニテックセミコンダクター本社工場の第一工場への統合を進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産は278億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億38百万円の減少となりました。主な要因は、インドのCirel Systems Pvt. Ltd.への出資等に伴い投資有価証券が1億73百万円、開発中のソフトウエアへの投資等に伴い無形固定資産のその他が3億37百万円、IFRS適用子会社にIFRS第16号を適用したこと等に伴うリース資産が1億13百万円増加したものの、現金及び預金が17億円減少したためであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は91億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億27百万円の増加となりました。主な要因は、返済により長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が併せて10億21百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が1億56百万円、未払金が4億23百万円増加したほか、コミットメントライン契約の使用により短期借入金が9億98百万円増加したためであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は186億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億66百万円の減少となりました。主な要因は配当金の支払い4億48百万円、自己株式の取得5億91百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は67.1%となり、1株当たり純資産額は1,712円30銭となりました。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は215億円(前年同期比23億95百万円減、10.0%減)となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が147億77百万円(前年同期比21億57百万円減、12.7%減)、アジアが54億60百万円(前年同期比16百万円増、0.3%増)、欧州が7億17百万円(前年同期比1億62百万円減、18.4%減)、北米が5億44百万円(前年同期比92百万円減、14.6%減)となりました。
主な要因として、中国におけるETC向けの製品及び日本におけるドライブレコーダー向けの製品など車載分野は好調に推移しましたが、米中貿易摩擦を起因とした産業機器向けの減少分を補うことができませんでした。また、フェニテックセミコンダクター株式会社鹿児島工場の設備導入の遅延なども影響しております。
(営業利益)
営業利益は6億78百万円(前年同期比8億72百万円減、56.3%減)となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が5億9百万円(前年同期比8億73百万円減、63.2%減)、アジアが1億23百万円(前年同期比10百万円増、9.2%増)、欧州が13百万円(前年同期比38百万円減、74.2%減)、北米が0百万円(前年同期比30百万円減、99.6%減)となりました。
主な要因は売上高の減少並びにフェニテックセミコンダクター株式会社における受注減少による稼働率低下及び前年度の工場統合に伴い減価償却費が増加したことによるものであります。販売費及び一般管理費等の費用削減につとめるも、これらの影響を補うことができませんでした。
(経常利益)
経常利益は6億76百万円(前年同期比11億44百万円減、62.8%減)となりました。
主な要因は営業利益の減少と、前年度は2億16百万円であった為替差益が当年度は37百万円の為替差損となったことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は4億17百万円(前年同期比6億31百万円減、60.2%減)となりました。
主な要因は経常利益の減少と、損害補償損失の発生によるものであります。
新型コロナウイルスの感染拡大による当連結会計年度における事業への影響は限定的ではありました。しかしながら、政府による緊急事態宣言の発令等を受け、当社では、従業員の感染症対策としてテレワークや時差出勤などを徹底して講ずるなど、事業活動にも一定の制約を受けており、引き続き、景気動向に与える影響や当社業績への影響について注視してまいります。
なお、製品別の売上高及びセグメントの業績は以下のとおりであります。
(製品別の売上高) (単位:百万円)
(注)1.製品の内容は次のとおりであります。
VD………………ディテクタ(Voltage Ditector)
VR………………レギュレータ(Voltage Regulator)
DCDC…………DC/DCコンバータ
ディスクリート…トランジスタ、ダイオード、IGBT等
その他……………マルチチップモジュール、各種センサー製品等
(セグメント業績)
(日本)
当連結会計年度は、車載機器分野向けの売上は堅調に推移した一方、産業機器等の分野向けの売上が減少、また、フェニテックセミコンダクター株式会社の工場統合に伴い減価償却費等の費用が増加したことにより、147億77百万円(前年同期比12.7%減)、セグメント利益5億9百万円(前年同期比63.2%減)となりました。
(アジア)
当連結会計年度は、主に産業機器分野向けの売上が減少しましたが、車載分野向けの売上が増
加したことにより、54億60百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益1億23百万円(前年同期比9.2%増)となりました。
(欧州)
当連結会計年度は、主に家電、産業機器分野向けの売上が減少したことにより、7億17百万円
(前年同期比18.4%減)、セグメント利益13百万円(前年同期比74.2%減)となりました。
(北米)
当連結会計年度は、主に産業機器分野向けの売上が減少したことにより、5億44百万円(前年
同期比14.6%減)、セグメント利益0百万円(前年同期比99.6%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により11億44百万円増加した一方、投資活動により15億49百万円、財務活動により11億76百万円減少した結果、当連結会計年度末の残高は91億72百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益5億91百万円、減価償却費13億12百万円、退職給付に係る負債の増加2億41百万円、仕入債務の増加1億27百万円等を要因とする資金の増加に対し、たな卸資産の増加4億12百万円、法人税等の支払額4億98百万円等を要因とする資金の減少を差し引き、11億44百万円の増加(前年同期比15億54百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、フェニテックセミコンダクター株式会社における新規設備の導入等に伴う有形固定資産の取得7億41百万円、開発中のソフトウエアへの投資等に伴う無形固定資産の取得5億16百万円、インドのCirel Systems Pvt. Ltd.への出資等に伴う投資有価証券の取得2億53百万円の支出等により、15億49百万円の減少(前年同期比17億6百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、コミットメントライン契約の使用による短期借入金の純増9億98百万円等による資金の増加に対し、長期借入金の返済10億21百万円、自己株式の取得5億98百万円、配当金の支払額4億47百万円等の支出により、11億76百万円の減少(前年同期比2億48百万円の支出増)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表の作成における見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.たな卸資産
たな卸資産の貸借対照表価額につきましては収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により計上しております。これらは将来の販売単価と受注状況の前提条件に基づき算出されております。将来の市場環境に重要な変動が生じた場合、たな卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
b.退職給付費用及び債務
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、昇給率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)概観
当社グループの経営に影響を与える要因としては、半導体市場の成長率、中国企業の動向、製品品種及び顧客の構成比、原材料費の市況、為替水準等があります。2019年の世界半導体市場は、前半は2018年後半からの調整局面が続きましたが、後半からデータセンター向け需要の回復等に伴い半導体需要の底打ち感が見られたものの、スマートフォン、サーバー市場の低迷などによりメモリー需要が大幅に減少、その他の半導体の需要も在庫調整の影響や新型コロナウイルスの影響を受けるなど、総じて低水準で推移した1年となりました。
当社グループの主力製品であるアナログIC及びディスクリートの市場は従来、安定的に成長する傾向が見られましたが、2019年は米中貿易摩擦の影響等から、それぞれ前年比マイナス5%、マイナス2%程度となった模様です。このような環境下、当社グループの売上高は前年同期比10%減となりましたが、DC/DCコンバータのように堅調であった製品群もあり、技術営業(FAE:フィールドアプリケーションエンジニア)を使った拡販活動の拡大と製品企画やマーケティングに注力しております。
当社グループは用途別にみた市場の成長性や収益性の観点から、車載機器・産業機器・医療機器を重点3分野と位置づけ、製品開発及び顧客開拓を長期的・戦略的に進めてまいりました。近年のガソリン車から電気自動車への移行、自動運転技術の進歩、産業界におけるIoTソリューションの拡大、第5世代移動通信システム(5G)サービスへの移行等の変化は、重点3分野の一層の成長を支えるトレンドであり、そこには、当社が得意とする小型・低消費電力・低ノイズ等の技術を有効に活用できるものと考えておりまます。FAEを使った技術営業で当社の技術を強く発信していくことで、今後も当社グループの安定的な売上増加と利益率の維持向上に寄与するものと考えています。一方で重点分野以外の民生品向けは低調な分野もあるため、これを十分にカバーするだけの売上規模を確保していくことを目指します。
当連結会計年度における当社グループは、こうした状況を背景に、アジア以外の全ての地域で売上が低調となりました。重点分野のうち車載機器分野は好調に推移する一方、産業機器分野については、前年同期比で大きく減少しましたが、いずれも長期的には、成長性の高い分野であることに変わりありません。こうした市場環境を背景に競争力及び収益力の向上に向け、成長市場である産業機器や車載機器向けの設計開発リソースを確保するための資本提携を行っております。また、子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社においては、安定的かつ高効率での生産に向けた設備投資やSiCデバイスなどの新製品開発への投資を進めるなど、積極的な投資を行っております。一方で、こうした投資が、短期的に経費を増加させ、収益押し下げの要因ともなっています。
当社グループは、日本、アジア、欧州、北米の4つを事業セグメントとしております。日本は、当社及びフェニテックセミコンダクター株式会社から構成されており、アジアは、特瑞仕芯电子(上海)有限公司、TOREX (HONG KONG) LIMITED、台湾特瑞仕半導體股份有限公司、TOREX SEMICONDUCTOR(S) PTE LTD、TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDから構成されており、欧州は、TOREX SEMICONDUCTOR EUROPE LIMITED、北米は、TOREX USA Corp.にて構成されております。
2)日本事業
日本事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度において、当社グループの売上高合計(セグメント間売上控除前)の74%を占めています。
当連結会計年度における日本経済は、米中貿易摩擦を起因として輸出が弱く、個人消費は弱含みながらも底堅く推移していましたが、年度末にかけて新型コロナウイルスの影響が拡大し、厳しい状況となりました。
日本事業のうち、当社が生産・販売するアナログ電源ICは、ドライブレコーダーやワイヤレスイヤホン向け製品が好調ではあったものの、産業機器、家電分野向けの売上が低調となりました。日本事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータの採用が増加しております。また、家電分野で培ってきた省電力・小型化の技術を、産業機器、車載機器向けへ高付加価値製品として技術改善とラインナップの拡充を図っていくことが日本事業での成長のキーと認識しております。
一方、ディスクリートを生産・販売するフェニテックセミコンダクター株式会社は、米中貿易摩擦の影響等により、北米・中華圏の売上が減少したものの、後半は市況の変化に敏感に対応し、第4四半期には前年同期比増収に転じました。また同社は、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、同社の本社工場の第一工場への統合工事をすすめ、より効率的な生産体制の確立に向けた設備投資を実施し、生産品目の拡充にも努めております。特にパワーディスクリート製品への要求は多く、より一層の技術力アップにも努めております。
なお、両社は、開発・生産・販売に関わる協業を着実に推進しており、製品開発、原価低減及び品質向上を通じて、業績面でもシナジー効果を発揮していきます。
3)アジア事業
アジア市場は、新興勢力の台頭等により、競合他社との間の価格競争が厳しい地域となっております。
特に中国は、世界最大規模の半導体消費地であるだけでなく、半導体の供給地としても急速に存在感を高めています。中国半導体企業の開発・生産能力は年々向上しており、アナログICやディスクリートにおいても、低価格品を中心に競争激化による利益率低下の要因となってきました。そうした状況に対応するため、当社は技術力と信頼性に磨きをかけるとともに、高付加価値な製品へのシフトを進め、利益率のアップを図ってまいります。
また、売上拡大に向け、米中貿易摩擦による半導体製品輸出入の規制等によるサプライチェーンの変化を注視してまいります
当連結会計年度におけるアジア経済は、米中貿易摩擦の影響により減速傾向が続く中、新型コロナウイルスの影響により、中国を中心として経済活動の大幅な縮小が生じました。
これらの影響を受け、当社グループのアジア事業では、主に産業機器分野向けの売上が減少しましたが、中国におけるETC向けの販売が好調で、増収となりました。
4)欧州事業
当連結会計年度における欧州経済は、英国のEU離脱や世界的な貿易摩擦により、減速傾向が続く中、年度末には新型コロナウイルスの影響が急速に広がり、経済活動が抑制され、影響が出てきております。
これらの影響を受け、当社グループの欧州事業では、主に家電、産業機器分野向けの売上が低調となりました。
欧州事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータやプッシュボタンコントローラ、中耐圧製品など、他社との差別化が図れる製品の拡販活動がキーになると考えています。新型コロナウイルスの状況を注視しながら、産業機器分野への売上増に取り組んでまいります
5)北米事業
当連結会計年度における北米経済は、個人消費は堅調に推移しておりましたが、米中貿易摩擦の影響などにより製造業を中心に弱含みが続き、年度末には新型コロナウイルスの影響が急速に広がり、経済活動が抑制され、影響が出てきております。
これらの影響を受け、当社グループの北米事業では、主に産業機器分野向けの売上が低調となりました。
北米には大手電機・電子メーカーはもちろん、スタートアップのベンチャー企業が数多くあり、新たな事業や製品、サービスなどが生まれています。当社の北米事業では、拡販による売上増を目的とすると同時に、そうした企業等との協業や提携による当社グループの価値の創出を目的とした活動も積極的に取組んでいます。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの資金需要には、大きく分けて運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要の主なものは、アナログIC製品の製造に係る原材料費や外注加工費、製品開発に係る研究開発費並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また、設備資金需要は、主に製造子会社における製造設備等の固定資産の購入によるものであります。
2)財政政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金による充当を基本とし、不足分については金融機関からの借入金により調達しております。また、設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入金を基本とし、金利動向や市場環境などを考慮し、必要に応じて社債など適切な調達手段により資金調達を行っております。
当連結会計年度は、安定した事業活動を行うためコミットメントライン契約を使用し総額10億円の調達を実施したほか、経営環境に変化に即応し、機動的かつ安定した資金の調達を行うため、主要取引先金融機関と総額33億円の当座貸越契約を締結しております。
3)資本政策
当社グループは、半導体業界を取り巻く環境変化を好機と捉えつつ、企業価値の向上を図っていくため、成長戦略投資と株主還元のバランスをとりながら、資本効率の向上に着実につなげていくことを、資本政策の基本的な方針としています。
この基本方針のもと、当社グループの成長を加速するための研究開発・設備投資に対して、積極的に資金を振り向ける所存です。
利益配分につきましては、企業価値の継続的向上を図るとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、戦略的投資による成長力の向上を図りつつ、当社を取り巻く経営環境並びに中長期の連結業績及び株主資本利益率の水準を踏まえて、諸施策を実施していくことといたします。
このような観点から、配当につきましては、業績水準を反映した利益配分として連結配当性向20%以上、安定的かつ継続的な株主還元の拡充として株主資本配当率(DOE)3%程度を当面の目標として実施してまいります。内部留保資金につきましては、研究開発、設備投資、新たな事業分野への投資など、持続的な企業価値向上を実現する目的で活用してまいります。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、資本効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標と位置付けております。当連結会計年度における「自己資本利益率(ROE)」は2.2%(前年同期比4.0ポイント減少)でしたが、業績を向上させることで、ROE二桁を目指してまいります。
e.セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のセグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(2)経営者の視点による経営成績等の状況の関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題などにより、減速傾向が続く中、年明け後には新型コロナウイルスの影響が世界規模で急速に広がり、実体経済へも大きく影響を及ぼしつつあります。
わが国経済においても、個人消費は弱含みながらも底堅く推移していましたが、新型コロナウイルスの影響が拡大し、先行きに予断を許さない状況が続くことが見込まれます。
こうした経済を背景に、世界の半導体市場は、データセンター向け需要の回復等に伴い半導体需要の底打ち感が見られたものの、スマートフォン、サーバー市場の低迷などによりメモリー需要が大幅に減少、その他の半導体の需要も在庫調整の影響や新型コロナウイルスの影響を受けるなど、総じて低水準で推移した1年となりました。
このような環境のなかで、当社グループは、「常に豊かな知性と感性を磨き、市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献するとともに、私たちの事業に携わるすべての人々が共に繁栄する」という経営理念のもと、電気機器の小型化・省電力に貢献する電源ICと小回りの効く高品質な半導体ウエハファンドリーの観点から事業に取り組み、収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて、以下の諸施策を推進してまいりました。
・当社東京技術センター、関西技術センター及び米国R&Dセンターにおいて、差別化のできる高付加価値な汎用製品及びターゲット市場として注力する車載機器・産業機器に向け、より特化した特長ある製品を迅速に市場へ投入していくため開発活動を進めてまいりました。
・製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化を進めるとともに、グループ内において製造子会社との協力体制を深め、同業他社に比して競争力のある製造コストと納期対応の実現に取り組みました。
・IoT機器、産業機器、自動車産業など様々な分野の市場要求にマッチした製品をタイムリーに市場に届けていくために、製品開発の迅速化と製品ラインナップの拡大に向けた開発基盤の強化をすることを目的とし、インドアナログ半導体製品開発ファブレスメーカー Cirel Systems Pvt. Ltd.(Kundalahalli, Bangalore, INDIA)と資本提携をいたしました。
・IoT、ウェアラブルデバイス、エナジーハーベストでの市場拡大に向け、熱電製品メーカー MATRIX Industries, Inc.(Menlo Park, Calif. USA)とセンサーのエナジーハーベストリファレンスデザインを含むソリューションの共同開発を目的とし、バッテリーレス及び低電力アプリケーション向けの革新的な製品をラインナップすることを目指し、マーケティング、製品開発の事業協力関係を築くこととしました。
・地域に密着した営業体制を進め、海外販売子会社における営業・技術サポート担当者の充実を図り、顧客の要望や製品企画への迅速な対応と営業基盤のより一層の強化に努めました。
・関西技術センターの解析力を活用するとともに、協力工場との一層の関係強化を進め、産業機器や車載製品等のターゲット市場を意識した品質保証体制と各種認証制度への対応を図りました。
・グループ収益の最大化につなげるため、フェニテックセミコンダクター株式会社とのシナジー効果を高め、共同プロジェクトを推進しました。
・製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、フェニテックセミコンダクター本社工場の第一工場への統合を進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産は278億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億38百万円の減少となりました。主な要因は、インドのCirel Systems Pvt. Ltd.への出資等に伴い投資有価証券が1億73百万円、開発中のソフトウエアへの投資等に伴い無形固定資産のその他が3億37百万円、IFRS適用子会社にIFRS第16号を適用したこと等に伴うリース資産が1億13百万円増加したものの、現金及び預金が17億円減少したためであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は91億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億27百万円の増加となりました。主な要因は、返済により長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が併せて10億21百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が1億56百万円、未払金が4億23百万円増加したほか、コミットメントライン契約の使用により短期借入金が9億98百万円増加したためであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は186億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億66百万円の減少となりました。主な要因は配当金の支払い4億48百万円、自己株式の取得5億91百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は67.1%となり、1株当たり純資産額は1,712円30銭となりました。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は215億円(前年同期比23億95百万円減、10.0%減)となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が147億77百万円(前年同期比21億57百万円減、12.7%減)、アジアが54億60百万円(前年同期比16百万円増、0.3%増)、欧州が7億17百万円(前年同期比1億62百万円減、18.4%減)、北米が5億44百万円(前年同期比92百万円減、14.6%減)となりました。
主な要因として、中国におけるETC向けの製品及び日本におけるドライブレコーダー向けの製品など車載分野は好調に推移しましたが、米中貿易摩擦を起因とした産業機器向けの減少分を補うことができませんでした。また、フェニテックセミコンダクター株式会社鹿児島工場の設備導入の遅延なども影響しております。
(営業利益)
営業利益は6億78百万円(前年同期比8億72百万円減、56.3%減)となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が5億9百万円(前年同期比8億73百万円減、63.2%減)、アジアが1億23百万円(前年同期比10百万円増、9.2%増)、欧州が13百万円(前年同期比38百万円減、74.2%減)、北米が0百万円(前年同期比30百万円減、99.6%減)となりました。
主な要因は売上高の減少並びにフェニテックセミコンダクター株式会社における受注減少による稼働率低下及び前年度の工場統合に伴い減価償却費が増加したことによるものであります。販売費及び一般管理費等の費用削減につとめるも、これらの影響を補うことができませんでした。
(経常利益)
経常利益は6億76百万円(前年同期比11億44百万円減、62.8%減)となりました。
主な要因は営業利益の減少と、前年度は2億16百万円であった為替差益が当年度は37百万円の為替差損となったことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は4億17百万円(前年同期比6億31百万円減、60.2%減)となりました。
主な要因は経常利益の減少と、損害補償損失の発生によるものであります。
新型コロナウイルスの感染拡大による当連結会計年度における事業への影響は限定的ではありました。しかしながら、政府による緊急事態宣言の発令等を受け、当社では、従業員の感染症対策としてテレワークや時差出勤などを徹底して講ずるなど、事業活動にも一定の制約を受けており、引き続き、景気動向に与える影響や当社業績への影響について注視してまいります。
なお、製品別の売上高及びセグメントの業績は以下のとおりであります。
(製品別の売上高) (単位:百万円)
| 区 分 | 当連結会計年度 | 前年同期比増減額 | 前年同期比増減率 |
| VD | 1,571 | △100 | △6.0% |
| VR | 4,520 | △314 | △6.5% |
| DCDC | 3,161 | 69 | 2.2% |
| ディスクリート | 11,362 | △2,369 | △17.3% |
| その他 | 885 | 319 | 56.4% |
| 合 計 | 21,500 | △2,395 | △10.0% |
(注)1.製品の内容は次のとおりであります。
VD………………ディテクタ(Voltage Ditector)
VR………………レギュレータ(Voltage Regulator)
DCDC…………DC/DCコンバータ
ディスクリート…トランジスタ、ダイオード、IGBT等
その他……………マルチチップモジュール、各種センサー製品等
(セグメント業績)
(日本)
当連結会計年度は、車載機器分野向けの売上は堅調に推移した一方、産業機器等の分野向けの売上が減少、また、フェニテックセミコンダクター株式会社の工場統合に伴い減価償却費等の費用が増加したことにより、147億77百万円(前年同期比12.7%減)、セグメント利益5億9百万円(前年同期比63.2%減)となりました。
(アジア)
当連結会計年度は、主に産業機器分野向けの売上が減少しましたが、車載分野向けの売上が増
加したことにより、54億60百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益1億23百万円(前年同期比9.2%増)となりました。
(欧州)
当連結会計年度は、主に家電、産業機器分野向けの売上が減少したことにより、7億17百万円
(前年同期比18.4%減)、セグメント利益13百万円(前年同期比74.2%減)となりました。
(北米)
当連結会計年度は、主に産業機器分野向けの売上が減少したことにより、5億44百万円(前年
同期比14.6%減)、セグメント利益0百万円(前年同期比99.6%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により11億44百万円増加した一方、投資活動により15億49百万円、財務活動により11億76百万円減少した結果、当連結会計年度末の残高は91億72百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益5億91百万円、減価償却費13億12百万円、退職給付に係る負債の増加2億41百万円、仕入債務の増加1億27百万円等を要因とする資金の増加に対し、たな卸資産の増加4億12百万円、法人税等の支払額4億98百万円等を要因とする資金の減少を差し引き、11億44百万円の増加(前年同期比15億54百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、フェニテックセミコンダクター株式会社における新規設備の導入等に伴う有形固定資産の取得7億41百万円、開発中のソフトウエアへの投資等に伴う無形固定資産の取得5億16百万円、インドのCirel Systems Pvt. Ltd.への出資等に伴う投資有価証券の取得2億53百万円の支出等により、15億49百万円の減少(前年同期比17億6百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、コミットメントライン契約の使用による短期借入金の純増9億98百万円等による資金の増加に対し、長期借入金の返済10億21百万円、自己株式の取得5億98百万円、配当金の支払額4億47百万円等の支出により、11億76百万円の減少(前年同期比2億48百万円の支出増)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 日 本 (千円) | 15,687,669 | 92.2 |
| 合 計 (千円) | 15,687,669 | 92.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| 日本 | 15,709,435 | 108.4 | 3,083,539 | 143.3 |
| アジア | 5,552,814 | 102.9 | 797,272 | 113.1 |
| 欧州 | 751,940 | 89.1 | 211,843 | 119.2 |
| 北米 | 555,656 | 90.2 | 85,877 | 114.8 |
| 合 計 | 22,569,847 | 105.7 | 4,178,532 | 134.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 日 本 (千円) | 14,777,804 | 87.3 |
| ア ジ ア (千円) | 5,460,771 | 100.3 |
| 欧 州 (千円) | 717,806 | 81.6 |
| 北 米 (千円) | 544,573 | 85.4 |
| 合 計 (千円) | 21,500,955 | 90.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| IXYS Corporation | 3,188,650 | 13.3 | 2,038,243 | 9.5 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表の作成における見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.たな卸資産
たな卸資産の貸借対照表価額につきましては収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により計上しております。これらは将来の販売単価と受注状況の前提条件に基づき算出されております。将来の市場環境に重要な変動が生じた場合、たな卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
b.退職給付費用及び債務
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、昇給率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)概観
当社グループの経営に影響を与える要因としては、半導体市場の成長率、中国企業の動向、製品品種及び顧客の構成比、原材料費の市況、為替水準等があります。2019年の世界半導体市場は、前半は2018年後半からの調整局面が続きましたが、後半からデータセンター向け需要の回復等に伴い半導体需要の底打ち感が見られたものの、スマートフォン、サーバー市場の低迷などによりメモリー需要が大幅に減少、その他の半導体の需要も在庫調整の影響や新型コロナウイルスの影響を受けるなど、総じて低水準で推移した1年となりました。
当社グループの主力製品であるアナログIC及びディスクリートの市場は従来、安定的に成長する傾向が見られましたが、2019年は米中貿易摩擦の影響等から、それぞれ前年比マイナス5%、マイナス2%程度となった模様です。このような環境下、当社グループの売上高は前年同期比10%減となりましたが、DC/DCコンバータのように堅調であった製品群もあり、技術営業(FAE:フィールドアプリケーションエンジニア)を使った拡販活動の拡大と製品企画やマーケティングに注力しております。
当社グループは用途別にみた市場の成長性や収益性の観点から、車載機器・産業機器・医療機器を重点3分野と位置づけ、製品開発及び顧客開拓を長期的・戦略的に進めてまいりました。近年のガソリン車から電気自動車への移行、自動運転技術の進歩、産業界におけるIoTソリューションの拡大、第5世代移動通信システム(5G)サービスへの移行等の変化は、重点3分野の一層の成長を支えるトレンドであり、そこには、当社が得意とする小型・低消費電力・低ノイズ等の技術を有効に活用できるものと考えておりまます。FAEを使った技術営業で当社の技術を強く発信していくことで、今後も当社グループの安定的な売上増加と利益率の維持向上に寄与するものと考えています。一方で重点分野以外の民生品向けは低調な分野もあるため、これを十分にカバーするだけの売上規模を確保していくことを目指します。
当連結会計年度における当社グループは、こうした状況を背景に、アジア以外の全ての地域で売上が低調となりました。重点分野のうち車載機器分野は好調に推移する一方、産業機器分野については、前年同期比で大きく減少しましたが、いずれも長期的には、成長性の高い分野であることに変わりありません。こうした市場環境を背景に競争力及び収益力の向上に向け、成長市場である産業機器や車載機器向けの設計開発リソースを確保するための資本提携を行っております。また、子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社においては、安定的かつ高効率での生産に向けた設備投資やSiCデバイスなどの新製品開発への投資を進めるなど、積極的な投資を行っております。一方で、こうした投資が、短期的に経費を増加させ、収益押し下げの要因ともなっています。
当社グループは、日本、アジア、欧州、北米の4つを事業セグメントとしております。日本は、当社及びフェニテックセミコンダクター株式会社から構成されており、アジアは、特瑞仕芯电子(上海)有限公司、TOREX (HONG KONG) LIMITED、台湾特瑞仕半導體股份有限公司、TOREX SEMICONDUCTOR(S) PTE LTD、TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDから構成されており、欧州は、TOREX SEMICONDUCTOR EUROPE LIMITED、北米は、TOREX USA Corp.にて構成されております。
2)日本事業
日本事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度において、当社グループの売上高合計(セグメント間売上控除前)の74%を占めています。
当連結会計年度における日本経済は、米中貿易摩擦を起因として輸出が弱く、個人消費は弱含みながらも底堅く推移していましたが、年度末にかけて新型コロナウイルスの影響が拡大し、厳しい状況となりました。
日本事業のうち、当社が生産・販売するアナログ電源ICは、ドライブレコーダーやワイヤレスイヤホン向け製品が好調ではあったものの、産業機器、家電分野向けの売上が低調となりました。日本事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータの採用が増加しております。また、家電分野で培ってきた省電力・小型化の技術を、産業機器、車載機器向けへ高付加価値製品として技術改善とラインナップの拡充を図っていくことが日本事業での成長のキーと認識しております。
一方、ディスクリートを生産・販売するフェニテックセミコンダクター株式会社は、米中貿易摩擦の影響等により、北米・中華圏の売上が減少したものの、後半は市況の変化に敏感に対応し、第4四半期には前年同期比増収に転じました。また同社は、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、同社の本社工場の第一工場への統合工事をすすめ、より効率的な生産体制の確立に向けた設備投資を実施し、生産品目の拡充にも努めております。特にパワーディスクリート製品への要求は多く、より一層の技術力アップにも努めております。
なお、両社は、開発・生産・販売に関わる協業を着実に推進しており、製品開発、原価低減及び品質向上を通じて、業績面でもシナジー効果を発揮していきます。
3)アジア事業
アジア市場は、新興勢力の台頭等により、競合他社との間の価格競争が厳しい地域となっております。
特に中国は、世界最大規模の半導体消費地であるだけでなく、半導体の供給地としても急速に存在感を高めています。中国半導体企業の開発・生産能力は年々向上しており、アナログICやディスクリートにおいても、低価格品を中心に競争激化による利益率低下の要因となってきました。そうした状況に対応するため、当社は技術力と信頼性に磨きをかけるとともに、高付加価値な製品へのシフトを進め、利益率のアップを図ってまいります。
また、売上拡大に向け、米中貿易摩擦による半導体製品輸出入の規制等によるサプライチェーンの変化を注視してまいります
当連結会計年度におけるアジア経済は、米中貿易摩擦の影響により減速傾向が続く中、新型コロナウイルスの影響により、中国を中心として経済活動の大幅な縮小が生じました。
これらの影響を受け、当社グループのアジア事業では、主に産業機器分野向けの売上が減少しましたが、中国におけるETC向けの販売が好調で、増収となりました。
4)欧州事業
当連結会計年度における欧州経済は、英国のEU離脱や世界的な貿易摩擦により、減速傾向が続く中、年度末には新型コロナウイルスの影響が急速に広がり、経済活動が抑制され、影響が出てきております。
これらの影響を受け、当社グループの欧州事業では、主に家電、産業機器分野向けの売上が低調となりました。
欧州事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータやプッシュボタンコントローラ、中耐圧製品など、他社との差別化が図れる製品の拡販活動がキーになると考えています。新型コロナウイルスの状況を注視しながら、産業機器分野への売上増に取り組んでまいります
5)北米事業
当連結会計年度における北米経済は、個人消費は堅調に推移しておりましたが、米中貿易摩擦の影響などにより製造業を中心に弱含みが続き、年度末には新型コロナウイルスの影響が急速に広がり、経済活動が抑制され、影響が出てきております。
これらの影響を受け、当社グループの北米事業では、主に産業機器分野向けの売上が低調となりました。
北米には大手電機・電子メーカーはもちろん、スタートアップのベンチャー企業が数多くあり、新たな事業や製品、サービスなどが生まれています。当社の北米事業では、拡販による売上増を目的とすると同時に、そうした企業等との協業や提携による当社グループの価値の創出を目的とした活動も積極的に取組んでいます。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの資金需要には、大きく分けて運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要の主なものは、アナログIC製品の製造に係る原材料費や外注加工費、製品開発に係る研究開発費並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また、設備資金需要は、主に製造子会社における製造設備等の固定資産の購入によるものであります。
2)財政政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金による充当を基本とし、不足分については金融機関からの借入金により調達しております。また、設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入金を基本とし、金利動向や市場環境などを考慮し、必要に応じて社債など適切な調達手段により資金調達を行っております。
当連結会計年度は、安定した事業活動を行うためコミットメントライン契約を使用し総額10億円の調達を実施したほか、経営環境に変化に即応し、機動的かつ安定した資金の調達を行うため、主要取引先金融機関と総額33億円の当座貸越契約を締結しております。
3)資本政策
当社グループは、半導体業界を取り巻く環境変化を好機と捉えつつ、企業価値の向上を図っていくため、成長戦略投資と株主還元のバランスをとりながら、資本効率の向上に着実につなげていくことを、資本政策の基本的な方針としています。
この基本方針のもと、当社グループの成長を加速するための研究開発・設備投資に対して、積極的に資金を振り向ける所存です。
利益配分につきましては、企業価値の継続的向上を図るとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、戦略的投資による成長力の向上を図りつつ、当社を取り巻く経営環境並びに中長期の連結業績及び株主資本利益率の水準を踏まえて、諸施策を実施していくことといたします。
このような観点から、配当につきましては、業績水準を反映した利益配分として連結配当性向20%以上、安定的かつ継続的な株主還元の拡充として株主資本配当率(DOE)3%程度を当面の目標として実施してまいります。内部留保資金につきましては、研究開発、設備投資、新たな事業分野への投資など、持続的な企業価値向上を実現する目的で活用してまいります。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、資本効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標と位置付けております。当連結会計年度における「自己資本利益率(ROE)」は2.2%(前年同期比4.0ポイント減少)でしたが、業績を向上させることで、ROE二桁を目指してまいります。
e.セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のセグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(2)経営者の視点による経営成績等の状況の関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。