有価証券報告書-第30期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済および日本経済は、世界的なインフレや欧米での政策金利の高止まりに加え、地政学リスクや中国経済の先行き懸念などの影響から先行き不透明感が続き、景気が低迷しました。
当社グループが属するエレクトロニクス市場におきましては、AI関連の一部は好調であったものの、長期的な市場の停滞や中国市場の低迷などの影響から、民生機器市場、産業機器市場を中心に幅広い分野で在庫調整と需要の停滞が継続しました。
このような環境のなかで、当社グループは、経営理念にある「市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献する」ため、電気機器の小型化・省電力化に「電源」の観点から取組み、収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて、以下の諸施策を継続的に推進してまいりました。
・製品企画・開発部門において、マーケットインの発想に立脚した、差別化のできる高付加価値な汎用製品、及びターゲット市場として注力する車載機器・産業機器に向け、特長ある製品を迅速に市場へ投入していくため、企画・開発活動を進めました。
・品質向上とコスト削減を両立させるべく、製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化を進めるとともに、協力会社や製造子会社との協力体制を深め、同業他社に比して競争力のある製造コストと安定供給、納期対応の実現を進めました。
・顧客訪問に加え、オンラインも活用しながら、各地域に密着した営業活動を継続し、顧客の要望や製品企画への迅速かつ柔軟な対応と営業基盤の維持に努めました。
・製品需要に対しては、将来的な半導体需要に備え、生産力を確保するべく設備投資を実施し、一方で、原材料価格の高騰に対しては、製品販売価格の値上げを進めました。
・当社グループのビジネスの成長を加速させるとともに、脱炭素社会へ向け低損失なデバイスとして期待されるパワー半導体分野への製品展開を推進するため、専門組織での取り組みを強化しました。
・超低損失と低価格の両立が期待されるβ型酸化ガリウムを使用したパワーデバイスの開発を行う株式会社ノベルクリスタルテクノロジーに対して出資を行っており、早期の製品化に向け、共同研究開発を進めました。
・PANJIT INTERNATIONAL INC社との間で、当社子会社TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTD.について、業務提携を目的として当社が保有する持分の全部または一部を譲渡する旨の基本合意書を締結しました。
・グループ収益の最大化につなげるため、フェニテックセミコンダクター株式会社とのシナジー効果を高め、共同プロジェクトを推進しました。
・フェニテックセミコンダクター株式会社においては、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上に加え、半導体需要の高まりに対応するため、岡山第1工場・鹿児島工場の投資を実施しました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産は336億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ30億28百万円の減少いたしました。減少の主な要因は、受取手形及び売掛金が6億66百万円減少したこと、商品及び製品及び仕掛品が合計で8億14百万円減少したこと、減価償却などで有形固定資産及び無形固定資産が合計で10億35百万円減少したことなどによるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は162億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億24百万円の増加となりました。増加の主な要因は、設備にかかる未払金の支払いなどにより未払金が11億78百万円減少したものの、運転資金として短期借入金が19億円発生したこと等によるものです。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は174億円となり、前連結会計年度末に比べ31億52百万円の減少となりました。減少の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失23億58百万円の計上等があったことによるものであります。
この結果、自己資本比率は51.8%となり、1株当たり純資産額は1,616円67銭となりました。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は239億57百万円(前年同期比7.0%減)となりました。長期的な市況の回復の遅れと在庫調整が続いたこと等が減少の主な要因となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が165億76百万円(前年同期比11.5%減)、アジアが56億15百万円(前年同期比10.3%増)、欧州が12億27百万円(前年同期比15.0%減)、北米が5億38百万円(前年同期比11.7%増)となりました。
(営業利益)
営業損失は6億32百万円(前年同期は営業損失17億78百万円)となりました。損失回復の主な要因は、将来の販売予測の回復により棚卸資産の評価減額が減少し、売上原価の戻し入れが発生したことを主因に、売上原価が30億80百万円減少したことによるものであります。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本がセグメント損失8億62百万円(前年同期はセグメント損失23億20百万円)、アジアがセグメント利益69百万円(前年同期比58.4%減)、欧州がセグメント利益80百万円(前年同期比37.6%減)、北米がセグメント利益1百万円(前年同期はセグメント損失13百万円)となりました。
(経常利益)
経常損失は8億20百万円(前年同期は経常損失24億52百万円)となりました。損失の回復の主な要因は、売上原価の減少などによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純損失は23億58百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失42億97百万円)となりました。損失の回復の主な要因は、経常損失の改善や前年同期と比べて減損損失が減少したことなどによるものです。
当連結会計年度において、減損損失が発生しており、ご心配をおかけしております。
半導体市場は、2021年3月期から2022年3月期にかけ急激に拡大し、当社も当初は急激に売上を伸ばすことができましたが、2022年3月期の途中からは、生産キャパシティを確保することができないがために売上が頭打ちとなってしまいました。この反省と将来拡大する市場予測を基に、当社は安定供給の確保と生産規模の拡大のため、フェニテックセミコンダクターへの大規模な設備投資を決めました。
この設備が当連結会計年度において稼働を開始しましたが、長期的な市況の不振と在庫調整が続くこの受注環境において、固定資産の減損損失の要否を検討した結果、減損損失を計上することとなりました。
なお、将来的に半導体市場が拡大していくことは確実視されております。当社としましては、1日でも早く業績を拡大し、損失の回収とさらなる業績向上に努めて参ります。
なお、製品別の売上高及びセグメントの業績は以下のとおりであります。
(製品別の売上高) (単位:百万円)
(注)1.製品の内容は次のとおりであります。
VD………………ディテクタ(Voltage Ditector)
VR………………レギュレータ(Voltage Regulator)
DCDC…………DC/DCコンバータ
ディスクリート…トランジスタ、ダイオード、IGBT等
その他……………マルチチップモジュール、各種センサー製品等
(セグメント業績)
日本
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器及び一般民生機器向けの売上が減少したことにより、売上高は165億76百万円(前年同期比11.5%減)、セグメント損失は8億62百万円(前年同期はセグメント損失23億20百万円)となりました。
アジア
当連結会計年度における売上高は、主にモジュール製品向けが増加しましたが、PC機器向けの売上が減少したことにより、売上高は56億15百万円(前年同期比10.3%増)、セグメント利益は69百万円(前年同期比58.4%減)となりました。
欧州
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が減少したことにより、売上高は12億27百万円(前年同期比15.0%減)、セグメント利益は80百万円(前年同期比37.6%減)となりました。
北米
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が増加しましたが、AV機器向けの売上が減少したことにより、売上高は5億38百万円(前年同期比11.7%増)、セグメント利益は1百万円(前年同期はセグメント損失13百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し営業活動によるキャッシュ・フローは14億32百万円収入が増加し、投資活動によるキャッシュ・フローは7億96百万円支出が減少し、財務活動によるキャッシュ・フローは22億63百万円収入が減少した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は92億31百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失が19億13百万円あったものの、減価償却費が24億68百万円あったこと、減損損失の計上が11億15百万円あったこと、棚卸資産の増減額が10億29百万円あったことなどにより33億59百万円の収入(前年同期比14億32百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が38億80百万円あったこと等により、37億55百万円の支出(前年同期比7億96百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の一部返済により長期借入金の返済による支出が23億97百万円あったこと、また配当金の支払額が6億21百万円あったものの、追加借入により短期借入金の純増減額及び長期借入れによる収入の合計が39億円あったこと等により、4億42百万円の収入(前年同期比22億63百万円の収入減)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)概観
当社グループの経営に影響を与える要因としては、半導体市場の成長率、各国半導体企業の動向、製品品種及び顧客の構成比、原材料費の市況、為替水準等があります。当連結会計年度の世界半導体市場は、コロナ特需の反動減や中国市場の低迷などの影響から在庫調整と需要の停滞が継続しました。
当社グループの主力製品であるアナログIC及びディスクリートの市場は従来、安定的に成長する傾向が見られますが、2024年においては上記のような需要減速を背景にアナログICは△6.4%、ディスクリートも△6.4%となりました。
当連結会計年度における当社グループはこうした状況を背景に、当社グループの売上高も前年同期比△7.0%と減少いたしました。
アクションとしましては、用途別にみた市場の成長性や収益性の観点から、車載機器・産業機器・医療機器を重点3分野と位置づけ、製品開発及び顧客開拓を長期的・戦略的に進めてまいりました。電気自動車への移行、加速する先端技術の進化に伴う自動運転技術、産業界におけるIoTソリューションの拡大、5Gサービスへの移行等の変化は、重点3分野の一層の成長を支えるトレンドであり、そこには、当社が得意とする小型・低消費電力・低ノイズ等の技術を有効に活用できるものと考えております。ここにFAE(Field Application Engineer)を使った技術営業で当社の技術を強く発信していくことで、今後も当社グループの安定的な売上増加と利益率の維持向上に寄与するものと考えています。
当社グループは、日本、アジア、欧州、北米の4つを事業セグメントとしております。日本は、当社及びフェニテックセミコンダクター株式会社から構成されており、アジアは、特瑞仕芯电子(上海)有限公司、TOREX (HONG KONG) LIMITED、台湾特瑞仕半導體股份有限公司、TOREX SEMICONDUCTOR(S) PTE LTD、TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDから構成されており、欧州は、TOREX SEMICONDUCTOR EUROPE LIMITED、北米は、TOREX USA Corp.にて構成されております。
2)日本事業
日本事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度において、当社グループの売上高合計の69%を占めています。
当連結会計年度における日本経済は、激しい為替相場の変動や物価の高騰、金融政策の動向などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。
日本事業のうち、当社トレックス・セミコンダクター株式会社が生産・販売するアナログ電源ICは、ほとんどの分野で売上が低調となりました。日本事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、低調な中でも、コイル一体型のDC/DCコンバータは健闘しております。また、当社が培ってきた省電力・小型化の技術を、産業機器、車載機器向けへ高付加価値製品として技術改善とラインナップの拡充を図っていくことが日本事業での成長のキーであり、ここに注力して参ります。
ディスクリートを生産・販売するフェニテックセミコンダクター株式会社においても、全ての分野向けの売上が低調となりました。地域別ではアジア市場、特に中華圏の企業がチャイナプラスワン戦略により、ファウンドリを国外に移す流れがあり、同社に受託する案件も増加しています。
このように、両社は開発・生産・販売に関わる協業を着実に推進しており、製品開発、原価低減及び品質向上を通じて、業績面でもシナジー効果を発揮していきます。
3)アジア事業
当連結会計年度におけるアジア経済は、中国において景気は低迷しながらも、半導体市場においては、前年度より回復したものとみられています。この影響により、当社グループのアジア事業では多くの分野で売上が回復しました。
アジア市場は、新興勢力の台頭等により、競合他社との間の価格競争が厳しい地域となっております。特に中国は、世界最大規模の半導体消費地であるだけでなく、半導体の供給地としても急速に存在感を高めています。中国半導体企業の開発・生産能力は年々向上しており、アナログICやディスクリートにおいても、低価格品を中心に競争激化による利益率低下の要因となってきました。また、各種報道でもありますように、世界各国の政府が、国策として半導体産業強化に力を入れており、中国もこれまで以上に国を挙げて半導体生産の国内化を加速させているため、現地企業の状況やサプライチェーンの変化を注視してまいります。
4)欧州事業
当連結会計年度における欧州経済は、インフレが減速し利上げが停止されるような状況にはなりましたが、地政学的リスクは継続するなど、景気回復には至りませんでした。当社グループの欧州事業においては、産業機器分野向けの売上が減少しました。
欧州事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータやプッシュボタンコントローラ、中耐圧製品など、他社との差別化が図られる製品の拡販活動がキーになると考えており、注力市場である産業機器分野への売上回復に取り組んでまいります。
5)北米事業
当連結会計年度における北米経済は、金利が高止まりする中インフレが緩やかに減速、景気は底堅く推移しました。当社グループの北米事業においては、産業機器分野向けなどの売上が増加しました。
北米には大手電機・電子メーカーはもちろん、スタートアップのベンチャー企業が数多くあり、新たな事業や製品、サービスなどが生まれています。当社の北米事業では、拡販による売上増を目的とすると同時に、そうした企業等との協業や提携による当社グループの価値の創出を目的とした活動も積極的に取組んでいます。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、資本効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標と位置付けております。当連結会計年度においては親会社株主に帰属する当期純利益がマイナスとなったため、ROEは△12.4%となりました。引き続き、売上及び各段階利益の最大化に取り組み、ROE二桁を目標としながらも、更に高めていくための体制を構築してまいります。
d.セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のセグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要
当社グループの資金需要には、大きく分けて運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要の主なものは、アナログIC製品の製造に係る原材料費や外注加工費、製品開発に係る研究開発費並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また、設備資金需要は、主に製造子会社における製造設備等の固定資産の購入によるものであります。
b.財政政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金による充当を基本とし、不足分については金融機関からの借入金により調達しております。また、設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入金を基本とし、金利動向や市場環境などを考慮し、必要に応じて社債など適切な調達手段により資金調達を行っております。
c.資本政策
当社グループは、半導体業界を取り巻く環境変化を好機と捉えつつ、企業価値の向上を図っていくため、成長戦略投資と株主還元のバランスをとりながら、資本効率の向上に着実につなげていくことを、資本政策の基本的な方針としています。
この基本方針のもと、当社グループの成長を加速するための設備投資・研究開発に対して、積極的に資金を振り向ける所存です。
利益配分につきましては、企業価値の継続的向上を図るとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、戦略的投資による成長力の向上を図りつつ、当社を取り巻く経営環境並びに中長期の連結業績及び株主資本利益率の水準を踏まえて、諸施策を実施していくことといたします。
このような観点から、配当につきましては、業績水準を反映した利益配分として連結配当性向20%以上、安定的かつ継続的な株主還元の拡充として株主資本配当率(DOE)3%程度を当面の目標として実施してまいります。内部留保資金につきましては、研究開発、設備投資、新たな事業分野への投資など、持続的な企業価値向上を実現する目的で活用してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計上の見積り」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、半導体市場の急激な需要の変化により、与える影響の不確実性が大きく、将来事業計画等見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
a.当社の商品及び製品の評価
当社グループの棚卸資産の連結貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、営業循環過程から外れたと判断された棚卸資産の評価については、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。このうち当社では、一定の在庫年齢を超えた長期滞留品に加えて、過去の販売数量実績等を考慮して策定した将来の販売予測に基づき、翌期以降一定期間に販売できないと見込まれる商品及び製品を営業循環過程から外れた過剰在庫として識別しております。当社が取り扱う商品及び製品の将来の販売可能性は、市場の需要変化などの予測不能な要因によって変動する可能性があり、将来の販売予測は不確実性を伴うため、将来の販売実績が見積りと大きく異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表における商品及び製品の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
b.固定資産の減損
固定資産は、減損の兆候があると認められる場合には、資産、または、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額または使用価値のいずれか高い価額)まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識されます。当社グループは、原則として事業用資産について、会社もしくは工場ごとにグルーピングを行っております。また、減損の兆候がある貸与資産、遊休資産については、個別資産別に減損損失の認識の判定を行っております。
当連結会計年度において、鹿児島工場は半導体市場の長期的な市況の不振と在庫調整が続いたこと等で著しい経営環境の悪化が認められたため減損の兆候があると判断し、減損損失の認識の要否を判定しております。判定の結果、当該事業について見積られた割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を下回ると判断されたため、資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額しました。
当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額の算出に用いた回収可能価額は、正味売却価額により測定しております。建物および土地については、不動産鑑定評価等合理的に算出された評価額に基づき評価し、機械装置およびその他動産については、動産鑑定評価等合理的に算出された評価額に基づき評価しております。
将来の不確実な経済条件の変動により、正味売却価額の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、固定資産の減損損失の認識及び測定が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性
当社及び国内の連結子会社における繰延税金資産は「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第26号)に示される企業の分類を考慮して回収可能性を判断しております。その上で、将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異等の将来解消見込年度のスケジューリング等に基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。
将来の課税所得の見積りは、取締役会等で承認された予算を基礎としており、その主要な仮定は、売上高、売上原価及び経費等の予測であります。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異等のスケジューリングに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済および日本経済は、世界的なインフレや欧米での政策金利の高止まりに加え、地政学リスクや中国経済の先行き懸念などの影響から先行き不透明感が続き、景気が低迷しました。
当社グループが属するエレクトロニクス市場におきましては、AI関連の一部は好調であったものの、長期的な市場の停滞や中国市場の低迷などの影響から、民生機器市場、産業機器市場を中心に幅広い分野で在庫調整と需要の停滞が継続しました。
このような環境のなかで、当社グループは、経営理念にある「市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献する」ため、電気機器の小型化・省電力化に「電源」の観点から取組み、収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて、以下の諸施策を継続的に推進してまいりました。
・製品企画・開発部門において、マーケットインの発想に立脚した、差別化のできる高付加価値な汎用製品、及びターゲット市場として注力する車載機器・産業機器に向け、特長ある製品を迅速に市場へ投入していくため、企画・開発活動を進めました。
・品質向上とコスト削減を両立させるべく、製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化を進めるとともに、協力会社や製造子会社との協力体制を深め、同業他社に比して競争力のある製造コストと安定供給、納期対応の実現を進めました。
・顧客訪問に加え、オンラインも活用しながら、各地域に密着した営業活動を継続し、顧客の要望や製品企画への迅速かつ柔軟な対応と営業基盤の維持に努めました。
・製品需要に対しては、将来的な半導体需要に備え、生産力を確保するべく設備投資を実施し、一方で、原材料価格の高騰に対しては、製品販売価格の値上げを進めました。
・当社グループのビジネスの成長を加速させるとともに、脱炭素社会へ向け低損失なデバイスとして期待されるパワー半導体分野への製品展開を推進するため、専門組織での取り組みを強化しました。
・超低損失と低価格の両立が期待されるβ型酸化ガリウムを使用したパワーデバイスの開発を行う株式会社ノベルクリスタルテクノロジーに対して出資を行っており、早期の製品化に向け、共同研究開発を進めました。
・PANJIT INTERNATIONAL INC社との間で、当社子会社TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTD.について、業務提携を目的として当社が保有する持分の全部または一部を譲渡する旨の基本合意書を締結しました。
・グループ収益の最大化につなげるため、フェニテックセミコンダクター株式会社とのシナジー効果を高め、共同プロジェクトを推進しました。
・フェニテックセミコンダクター株式会社においては、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上に加え、半導体需要の高まりに対応するため、岡山第1工場・鹿児島工場の投資を実施しました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産は336億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ30億28百万円の減少いたしました。減少の主な要因は、受取手形及び売掛金が6億66百万円減少したこと、商品及び製品及び仕掛品が合計で8億14百万円減少したこと、減価償却などで有形固定資産及び無形固定資産が合計で10億35百万円減少したことなどによるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は162億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億24百万円の増加となりました。増加の主な要因は、設備にかかる未払金の支払いなどにより未払金が11億78百万円減少したものの、運転資金として短期借入金が19億円発生したこと等によるものです。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は174億円となり、前連結会計年度末に比べ31億52百万円の減少となりました。減少の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失23億58百万円の計上等があったことによるものであります。
この結果、自己資本比率は51.8%となり、1株当たり純資産額は1,616円67銭となりました。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は239億57百万円(前年同期比7.0%減)となりました。長期的な市況の回復の遅れと在庫調整が続いたこと等が減少の主な要因となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が165億76百万円(前年同期比11.5%減)、アジアが56億15百万円(前年同期比10.3%増)、欧州が12億27百万円(前年同期比15.0%減)、北米が5億38百万円(前年同期比11.7%増)となりました。
(営業利益)
営業損失は6億32百万円(前年同期は営業損失17億78百万円)となりました。損失回復の主な要因は、将来の販売予測の回復により棚卸資産の評価減額が減少し、売上原価の戻し入れが発生したことを主因に、売上原価が30億80百万円減少したことによるものであります。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本がセグメント損失8億62百万円(前年同期はセグメント損失23億20百万円)、アジアがセグメント利益69百万円(前年同期比58.4%減)、欧州がセグメント利益80百万円(前年同期比37.6%減)、北米がセグメント利益1百万円(前年同期はセグメント損失13百万円)となりました。
(経常利益)
経常損失は8億20百万円(前年同期は経常損失24億52百万円)となりました。損失の回復の主な要因は、売上原価の減少などによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純損失は23億58百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失42億97百万円)となりました。損失の回復の主な要因は、経常損失の改善や前年同期と比べて減損損失が減少したことなどによるものです。
当連結会計年度において、減損損失が発生しており、ご心配をおかけしております。
半導体市場は、2021年3月期から2022年3月期にかけ急激に拡大し、当社も当初は急激に売上を伸ばすことができましたが、2022年3月期の途中からは、生産キャパシティを確保することができないがために売上が頭打ちとなってしまいました。この反省と将来拡大する市場予測を基に、当社は安定供給の確保と生産規模の拡大のため、フェニテックセミコンダクターへの大規模な設備投資を決めました。
この設備が当連結会計年度において稼働を開始しましたが、長期的な市況の不振と在庫調整が続くこの受注環境において、固定資産の減損損失の要否を検討した結果、減損損失を計上することとなりました。
なお、将来的に半導体市場が拡大していくことは確実視されております。当社としましては、1日でも早く業績を拡大し、損失の回収とさらなる業績向上に努めて参ります。
なお、製品別の売上高及びセグメントの業績は以下のとおりであります。
(製品別の売上高) (単位:百万円)
| 区 分 | 当連結会計年度 | 前年同期比増減額 | 前年同期比増減率 |
| VD | 1,579 | 123 | 8.5% |
| VR | 4,344 | 525 | 13.8% |
| DCDC | 3,770 | △110 | △2.8% |
| ディスクリート | 13,448 | △1,466 | △9.8% |
| その他 | 814 | △867 | △51.6% |
| 合 計 | 23,957 | △1,794 | △7.0% |
(注)1.製品の内容は次のとおりであります。
VD………………ディテクタ(Voltage Ditector)
VR………………レギュレータ(Voltage Regulator)
DCDC…………DC/DCコンバータ
ディスクリート…トランジスタ、ダイオード、IGBT等
その他……………マルチチップモジュール、各種センサー製品等
(セグメント業績)
日本
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器及び一般民生機器向けの売上が減少したことにより、売上高は165億76百万円(前年同期比11.5%減)、セグメント損失は8億62百万円(前年同期はセグメント損失23億20百万円)となりました。
アジア
当連結会計年度における売上高は、主にモジュール製品向けが増加しましたが、PC機器向けの売上が減少したことにより、売上高は56億15百万円(前年同期比10.3%増)、セグメント利益は69百万円(前年同期比58.4%減)となりました。
欧州
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が減少したことにより、売上高は12億27百万円(前年同期比15.0%減)、セグメント利益は80百万円(前年同期比37.6%減)となりました。
北米
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が増加しましたが、AV機器向けの売上が減少したことにより、売上高は5億38百万円(前年同期比11.7%増)、セグメント利益は1百万円(前年同期はセグメント損失13百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し営業活動によるキャッシュ・フローは14億32百万円収入が増加し、投資活動によるキャッシュ・フローは7億96百万円支出が減少し、財務活動によるキャッシュ・フローは22億63百万円収入が減少した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は92億31百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失が19億13百万円あったものの、減価償却費が24億68百万円あったこと、減損損失の計上が11億15百万円あったこと、棚卸資産の増減額が10億29百万円あったことなどにより33億59百万円の収入(前年同期比14億32百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が38億80百万円あったこと等により、37億55百万円の支出(前年同期比7億96百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の一部返済により長期借入金の返済による支出が23億97百万円あったこと、また配当金の支払額が6億21百万円あったものの、追加借入により短期借入金の純増減額及び長期借入れによる収入の合計が39億円あったこと等により、4億42百万円の収入(前年同期比22億63百万円の収入減)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 日 本 (千円) | 18,737,125 | 105.6 |
| 合 計 (千円) | 18,737,125 | 105.6 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| 日本 | 16,257,700 | 104.3 | 4,340,176 | 93.2 |
| アジア | 5,131,634 | 119.5 | 1,157,302 | 70.5 |
| 欧州 | 886,454 | 127.5 | 510,237 | 59.9 |
| 北米 | 533,435 | 137.7 | 107,244 | 95.8 |
| 合 計 | 22,809,224 | 108.8 | 6,114,960 | 84.2 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 日 本 (千円) | 16,576,788 | 88.5 |
| ア ジ ア (千円) | 5,615,020 | 110.3 |
| 欧 州 (千円) | 1,227,802 | 85.0 |
| 北 米 (千円) | 538,089 | 111.7 |
| 合 計 (千円) | 23,957,700 | 93.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| IXYS Corporation | 4,195,476 | 16.3 | 3,418,543 | 14.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)概観
当社グループの経営に影響を与える要因としては、半導体市場の成長率、各国半導体企業の動向、製品品種及び顧客の構成比、原材料費の市況、為替水準等があります。当連結会計年度の世界半導体市場は、コロナ特需の反動減や中国市場の低迷などの影響から在庫調整と需要の停滞が継続しました。
当社グループの主力製品であるアナログIC及びディスクリートの市場は従来、安定的に成長する傾向が見られますが、2024年においては上記のような需要減速を背景にアナログICは△6.4%、ディスクリートも△6.4%となりました。
当連結会計年度における当社グループはこうした状況を背景に、当社グループの売上高も前年同期比△7.0%と減少いたしました。
アクションとしましては、用途別にみた市場の成長性や収益性の観点から、車載機器・産業機器・医療機器を重点3分野と位置づけ、製品開発及び顧客開拓を長期的・戦略的に進めてまいりました。電気自動車への移行、加速する先端技術の進化に伴う自動運転技術、産業界におけるIoTソリューションの拡大、5Gサービスへの移行等の変化は、重点3分野の一層の成長を支えるトレンドであり、そこには、当社が得意とする小型・低消費電力・低ノイズ等の技術を有効に活用できるものと考えております。ここにFAE(Field Application Engineer)を使った技術営業で当社の技術を強く発信していくことで、今後も当社グループの安定的な売上増加と利益率の維持向上に寄与するものと考えています。
当社グループは、日本、アジア、欧州、北米の4つを事業セグメントとしております。日本は、当社及びフェニテックセミコンダクター株式会社から構成されており、アジアは、特瑞仕芯电子(上海)有限公司、TOREX (HONG KONG) LIMITED、台湾特瑞仕半導體股份有限公司、TOREX SEMICONDUCTOR(S) PTE LTD、TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDから構成されており、欧州は、TOREX SEMICONDUCTOR EUROPE LIMITED、北米は、TOREX USA Corp.にて構成されております。
2)日本事業
日本事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度において、当社グループの売上高合計の69%を占めています。
当連結会計年度における日本経済は、激しい為替相場の変動や物価の高騰、金融政策の動向などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。
日本事業のうち、当社トレックス・セミコンダクター株式会社が生産・販売するアナログ電源ICは、ほとんどの分野で売上が低調となりました。日本事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、低調な中でも、コイル一体型のDC/DCコンバータは健闘しております。また、当社が培ってきた省電力・小型化の技術を、産業機器、車載機器向けへ高付加価値製品として技術改善とラインナップの拡充を図っていくことが日本事業での成長のキーであり、ここに注力して参ります。
ディスクリートを生産・販売するフェニテックセミコンダクター株式会社においても、全ての分野向けの売上が低調となりました。地域別ではアジア市場、特に中華圏の企業がチャイナプラスワン戦略により、ファウンドリを国外に移す流れがあり、同社に受託する案件も増加しています。
このように、両社は開発・生産・販売に関わる協業を着実に推進しており、製品開発、原価低減及び品質向上を通じて、業績面でもシナジー効果を発揮していきます。
3)アジア事業
当連結会計年度におけるアジア経済は、中国において景気は低迷しながらも、半導体市場においては、前年度より回復したものとみられています。この影響により、当社グループのアジア事業では多くの分野で売上が回復しました。
アジア市場は、新興勢力の台頭等により、競合他社との間の価格競争が厳しい地域となっております。特に中国は、世界最大規模の半導体消費地であるだけでなく、半導体の供給地としても急速に存在感を高めています。中国半導体企業の開発・生産能力は年々向上しており、アナログICやディスクリートにおいても、低価格品を中心に競争激化による利益率低下の要因となってきました。また、各種報道でもありますように、世界各国の政府が、国策として半導体産業強化に力を入れており、中国もこれまで以上に国を挙げて半導体生産の国内化を加速させているため、現地企業の状況やサプライチェーンの変化を注視してまいります。
4)欧州事業
当連結会計年度における欧州経済は、インフレが減速し利上げが停止されるような状況にはなりましたが、地政学的リスクは継続するなど、景気回復には至りませんでした。当社グループの欧州事業においては、産業機器分野向けの売上が減少しました。
欧州事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータやプッシュボタンコントローラ、中耐圧製品など、他社との差別化が図られる製品の拡販活動がキーになると考えており、注力市場である産業機器分野への売上回復に取り組んでまいります。
5)北米事業
当連結会計年度における北米経済は、金利が高止まりする中インフレが緩やかに減速、景気は底堅く推移しました。当社グループの北米事業においては、産業機器分野向けなどの売上が増加しました。
北米には大手電機・電子メーカーはもちろん、スタートアップのベンチャー企業が数多くあり、新たな事業や製品、サービスなどが生まれています。当社の北米事業では、拡販による売上増を目的とすると同時に、そうした企業等との協業や提携による当社グループの価値の創出を目的とした活動も積極的に取組んでいます。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、資本効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標と位置付けております。当連結会計年度においては親会社株主に帰属する当期純利益がマイナスとなったため、ROEは△12.4%となりました。引き続き、売上及び各段階利益の最大化に取り組み、ROE二桁を目標としながらも、更に高めていくための体制を構築してまいります。
d.セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のセグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要
当社グループの資金需要には、大きく分けて運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要の主なものは、アナログIC製品の製造に係る原材料費や外注加工費、製品開発に係る研究開発費並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また、設備資金需要は、主に製造子会社における製造設備等の固定資産の購入によるものであります。
b.財政政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金による充当を基本とし、不足分については金融機関からの借入金により調達しております。また、設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入金を基本とし、金利動向や市場環境などを考慮し、必要に応じて社債など適切な調達手段により資金調達を行っております。
c.資本政策
当社グループは、半導体業界を取り巻く環境変化を好機と捉えつつ、企業価値の向上を図っていくため、成長戦略投資と株主還元のバランスをとりながら、資本効率の向上に着実につなげていくことを、資本政策の基本的な方針としています。
この基本方針のもと、当社グループの成長を加速するための設備投資・研究開発に対して、積極的に資金を振り向ける所存です。
利益配分につきましては、企業価値の継続的向上を図るとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、戦略的投資による成長力の向上を図りつつ、当社を取り巻く経営環境並びに中長期の連結業績及び株主資本利益率の水準を踏まえて、諸施策を実施していくことといたします。
このような観点から、配当につきましては、業績水準を反映した利益配分として連結配当性向20%以上、安定的かつ継続的な株主還元の拡充として株主資本配当率(DOE)3%程度を当面の目標として実施してまいります。内部留保資金につきましては、研究開発、設備投資、新たな事業分野への投資など、持続的な企業価値向上を実現する目的で活用してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計上の見積り」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、半導体市場の急激な需要の変化により、与える影響の不確実性が大きく、将来事業計画等見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
a.当社の商品及び製品の評価
当社グループの棚卸資産の連結貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、営業循環過程から外れたと判断された棚卸資産の評価については、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。このうち当社では、一定の在庫年齢を超えた長期滞留品に加えて、過去の販売数量実績等を考慮して策定した将来の販売予測に基づき、翌期以降一定期間に販売できないと見込まれる商品及び製品を営業循環過程から外れた過剰在庫として識別しております。当社が取り扱う商品及び製品の将来の販売可能性は、市場の需要変化などの予測不能な要因によって変動する可能性があり、将来の販売予測は不確実性を伴うため、将来の販売実績が見積りと大きく異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表における商品及び製品の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
b.固定資産の減損
固定資産は、減損の兆候があると認められる場合には、資産、または、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額または使用価値のいずれか高い価額)まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識されます。当社グループは、原則として事業用資産について、会社もしくは工場ごとにグルーピングを行っております。また、減損の兆候がある貸与資産、遊休資産については、個別資産別に減損損失の認識の判定を行っております。
当連結会計年度において、鹿児島工場は半導体市場の長期的な市況の不振と在庫調整が続いたこと等で著しい経営環境の悪化が認められたため減損の兆候があると判断し、減損損失の認識の要否を判定しております。判定の結果、当該事業について見積られた割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を下回ると判断されたため、資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額しました。
当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額の算出に用いた回収可能価額は、正味売却価額により測定しております。建物および土地については、不動産鑑定評価等合理的に算出された評価額に基づき評価し、機械装置およびその他動産については、動産鑑定評価等合理的に算出された評価額に基づき評価しております。
将来の不確実な経済条件の変動により、正味売却価額の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、固定資産の減損損失の認識及び測定が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性
当社及び国内の連結子会社における繰延税金資産は「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第26号)に示される企業の分類を考慮して回収可能性を判断しております。その上で、将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異等の将来解消見込年度のスケジューリング等に基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。
将来の課税所得の見積りは、取締役会等で承認された予算を基礎としており、その主要な仮定は、売上高、売上原価及び経費等の予測であります。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異等のスケジューリングに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。