有価証券報告書-第26期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大で、急激な景気後退に見舞われました。年央以降は先進主要国の大型財政出動と金融緩和策により景気の下落幅は徐々に縮小、期末には感染防止策やワクチンの接種拡大で感染収束に転じる国が出始めるなど、明るい兆しが見えつつありますが、変異ウイルスの流行で感染が再拡大するなど、引き続き、透明感は強く残っております。日本経済も年初来、再度の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で消費は依然低迷し、景気も一進一退を続けており、厳しい状況が続いております。
当社グループが属するエレクトロニクス市場におきましては、年度後半には、新しいライフスタイルへの変化に対する需要増により回復が見られ、半導体市場におきましては、車載半導体を中心に世界的に需給が逼迫するなど、需要は旺盛となっております。
このような環境のなかで、当社グループは、経営理念にある「市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献する」ため、電気機器の小型化・省電力化に「電源」の観点から取組み、収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて、従業員の感染症対策としてテレワークや時差出勤などを徹底して講じつつ、以下の諸施策を継続的に推進してまいりました。
・市場や顧客のニーズを製品開発に的確に反映し、より多くの製品を短期間で開発させるため、従来開発部門の中に設置していた製品企画部門を独立させ、マーケット調査と製品企画の強化を推進してまいりました。
・国内外の開発拠点において、差別化のできる高付加価値な汎用製品及びターゲット市場として注力する車載機器・産業機器に向けた特長ある製品を迅速に市場へ投入していくための開発活動を進めてまいりました。
・生産部門では、生産技術と品質保証を1つの本部へと集約することで、コスト意識を高めながら品質保証体制を強化し、生産計画の効率化を進めました。加えて、協力会社や製造子会社との協力体制を深め、競争力のある製造コスト、品質力の向上、納期対応の実現を進めました。
・各地域に密着した営業活動を推進するため、営業本部を国内営業と海外営業に分けて、迅速かつ柔軟な顧客対応や営業基盤の強化に努めるとともに、顧客ニーズを踏まえたソリューション提案を促進しました。
・近年、様々な視点から注目される省エネ型社会を実現する有効な手段の一つであるパワーエレクトロニクスにおけるビジネスの拡大を目的とし、超低損失と低価格の両立が期待されるβ型酸化ガリウムを使用したパワーデバイスの開発を行う、株式会社ノベルクリスタルテクノロジー(本社:埼玉県狭山市)と資本提携を行いました。
・製品ポートフォリオを強化するため、相互ビジネスの拡大を視野に資本提携しているCirelSystems Pvt Ltd.と、同社の製品をワールドワイドで販売することを合意しました。
・当社において、将来的な更なる事業発展を目指し、効率的なビジネスを支える基幹システムの入れ替えを実施しました。
・グループ収益の最大化につなげるため、フェニテックセミコンダクター株式会社とのシナジー効果を高め、共同プロジェクトを推進しました。
・製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、フェニテックセミコンダクター本社工場の第一工場への統合を進めてまいりました。
・新たに、2021年度を初年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定し、脱炭素社会を目指すこと、グリーントランスフォーメーションの推進を掲げました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産は315億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億65百万円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金が24億55百万円、受取手形及び売掛金が6億9百万円、仕掛品が5億48百万円、ソフトウエアが7億円の増加に対し、ソフトウエアの本稼働に伴い無形固定資産その他が5億82百万円減少したためであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は117億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億47百万円の増加となりました。主な要因は、長期借入金が22億20百万円増加したためであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は197億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億18百万円の増加となりました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益9億33百万円の計上、配当金の支払い3億94百万円、退職給付に係る調整累計額、為替換算調整勘定の変動によるものであります。
この結果、自己資本比率は62.8%となり、1株当たり純資産額は1,808円96銭となりました。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は237億12百万円(前年同期比10.3%増)となりました。全体として、上期は自動車業界の生産休止等の影響を受けたものの、下期は急回復をしたことにより前年増となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が169億62百万円(前年同期比14.8%増)、アジアが55億26百万円(前年同期比1.2%増)、欧州が6億97百万円(前年同期比2.8%減)、北米が5億26百万円(前年同期比3.4%減)となりました。
(営業利益)
営業利益は12億9百万円(前年同期比78.3%増)となりました。全体として、売上増のほか、販管費等の抑制に努め、前年増となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が9億35百万円(前年同期比83.6%増)、アジアが2億19百万円(前年同期比77.7%増)、欧州が43百万円(前年同期は13百万円)、北米が9百万円(前年同期は0百万円)となりました。
(経常利益)
経常利益は12億6百万円(前年同期比78.4%増)となりました。営業利益の増加に伴い、前年増となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は9億33百万円(前年同期比123.6%増)となりました。特別損失の減少により、前年比大幅増となりました。
新型コロナウイルスの感染拡大による当連結会計年度における事業への影響は限定的ではありました。しかしながら、政府による緊急事態宣言の発令等を受け、当社では、従業員の感染症対策としてテレワークや時差出勤などを徹底して講ずるなど、事業活動にも一定の制約を受けており、引き続き、景気動向に与える影響や当社業績への影響について注視してまいります。
なお、製品別の売上高及びセグメントの業績は以下のとおりであります。
(製品別の売上高) (単位:百万円)
(注)1.製品の内容は次のとおりであります。
VD………………ディテクタ(Voltage Ditector)
VR………………レギュレータ(Voltage Regulator)
DCDC…………DC/DCコンバータ
ディスクリート…トランジスタ、ダイオード、IGBT等
その他……………マルチチップモジュール、各種センサー製品等
(セグメント業績)
(日本)
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器、家電分野向けの売上が増加したことにより169億62百万円(前年同期比14.8%増)、セグメント利益は9億35百万円(前年同期比83.6%増)となりました。
(アジア)
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器分野向けの売上が増加したことにより55億26百万円(前年同期比1.2%増)、セグメント利益は2億19百万円(前年同期比77.7%増)となりました。
(欧州)
当連結会計年度における売上高は、主に家電向けの売上が増加しましたが、産業機器分野向けの売上が減少したことにより6億97百万円(前年同期比2.8%減)、セグメント利益は43百万円(前年同期は13百万円)となりました。
(北米)
当連結会計年度における売上高は、主にAV機器向けの売上が増加しましたが、PC機器分野向けの売上が減少したことにより5億26百万円(前年同期比3.4%減)、セグメント利益は9百万円(前年同期は0百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により17億90百万円増加し、投資活動により15億45百万円減少し、財務活動により21億75百万円増加した結果、当連結会計年度末の残高は116億81百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益11億71百万円、減価償却費12億8百万円、仕入債務の増加2億79百万円等を要因とする資金の増加に対し、退職給付に係る資産の増加3億21百万円、退職給付に係る負債の減少3億11百万円、売上債権の増加5億35百万円、たな卸資産の増加4億50百万円等を要因とする資金の減少を差し引き、17億90百万円の増加(前年同期比6億45百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、有形固定資産の取得12億41百万円、無形固定資産の取得2億43百万円等の支出により、15億45百万円の減少(前年同期比4百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、長期借入れによる収入40億円等による資金の増加に対し、長期借入金の返済13億55百万円、配当金の支払額3億94百万円等の支出を差し引き、21億75百万円の増加(前年同期比33億51百万円の収入増)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)概観
当社グループの経営に影響を与える要因としては、半導体市場の成長率、各国半導体企業の動向、製品品種及び顧客の構成比、原材料費の市況、為替水準等があります。2020年の世界半導体市場は、年初は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、大きく落ち込みましたが、ライフスタイルの変化等によるPC関連市場や民生機器関連市場での需要増が、市場に好影響をもたらし、また、秋以降は車載関連市場の回復なども加わり、一部では品不足の状況となりました。
当社グループの主力製品であるアナログIC及びディスクリートの市場は従来、安定的に成長する傾向が見られましたが、2020年は、前年の米中貿易摩擦の反動もあり、アナログICは8%、ディスクリートは3%程度の増加となった模様です。このような環境下、当社グループの売上高は前年同期比10.3%増と好調に推移しました。
当社グループは用途別にみた市場の成長性や収益性の観点から、車載機器・産業機器・医療機器を重点3分野と位置づけ、製品開発及び顧客開拓を長期的・戦略的に進めてまいりました。世界的に取り組みが進む脱炭素に向けた電気自動車への移行、加速する先端技術の進化に伴う自動運転技術、産業界におけるIoTソリューションの拡大、第5世代移動通信システム(5G)サービスへの移行等の変化は、重点3分野の一層の成長を支えるトレンドであり、そこには、当社が得意とする小型・低消費電力・低ノイズ等の技術を有効に活用できるものと考えております。ここにFAEを使った技術営業で当社の技術を強く発信していくことで、今後も当社グループの安定的な売上増加と利益率の維持向上に寄与するものと考えています。一方で、重点分野以外の民生品向けは低調な分野もあるため、これを十分にカバーするだけの売上規模を確保していくことを目指します。
当連結会計年度における当社グループは、こうした状況を背景に、日本と欧州の売上が低調、アジアと北米は好調な結果となりました。重点分野のうち産業機器分野は好調に推移する一方、車載機器分野については、前年同期比で大きく減少しましたが、いずれも長期的には、成長性の高い分野であることに変わりありません。こうした市場環境を背景に競争力及び収益力の向上に向け、成長市場である産業機器や車載機器向けの設計開発リソースを確保するための資本提携を行っております。また、子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社においては、安定的かつ高効率での生産に向けた設備投資やSiCデバイスなどの新製品開発への投資を進めるなど、積極的な投資を行っております。一方で、こうした投資が、短期的に経費を増加させ、収益押し下げの要因ともなっています。
当社グループは、日本、アジア、欧州、北米の4つを事業セグメントとしております。日本は、当社及びフェニテックセミコンダクター株式会社から構成されており、アジアは、特瑞仕芯电子(上海)有限公司、TOREX (HONG KONG) LIMITED、台湾特瑞仕半導體股份有限公司、TOREX SEMICONDUCTOR(S) PTE LTD、TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDから構成されており、欧州は、TOREX SEMICONDUCTOR EUROPE LIMITED、北米は、TOREX USA Corp.にて構成されております。
2)日本事業
日本事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度において、当社グループの売上高合計の72%を占めています。
当連結会計年度における日本経済は、年初来、新型コロナウイルス感染症を起因とした再度の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で消費は依然低迷し、景気も一進一退を続けており、厳しい状況が続いております。
日本事業のうち、当社トレックス・セミコンダクター株式会社が生産・販売するアナログ電源ICは、家電分野向けが好調ではあったものの、車載機器分野向けの売上が低調となりました。日本事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータの採用が増加しております。また、家電分野で培ってきた省電力・小型化の技術を、産業機器、車載機器向けへ高付加価値製品として技術改善とラインナップの拡充を図っていくことが日本事業での成長のキーと認識しております。
一方、ディスクリートを生産・販売するフェニテックセミコンダクター株式会社は、国内で車載機器向けの売上が減少したものの、北米で産業機器向け、中華圏で民生機器向けが増加し、後半には国内の車載機器向けも回復基調に転じ、連結子会社化以後、最高の売上高となりました。また同社は、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、同社の本社工場の第一工場への統合工事をすすめ、より効率的な生産体制の確立に向けた設備投資を実施し、生産品目の拡充にも努めております。特にパワーディスクリート製品への要求は強く、より一層の技術力アップにも努めております。
なお、両社は、開発・生産・販売に関わる協業を着実に推進しており、製品開発、原価低減及び品質向上を通じて、業績面でもシナジー効果を発揮していきます。
3)アジア事業
当連結会計年度におけるアジア経済は、新型コロナウイルス影響を大きく受けましたが、中華圏では、早期の抑え込みが成功し、経済は期を追う毎に勢いを取り戻して行きました。
これらの影響を受け、当社グループのアジア事業では、昨年中国におけるETC向けの販売が好調であった反動から車載機器向けが減少しましたが、産業機器分野向けの売上が増加したことで、増収となりました。
アジア市場は、新興勢力の台頭等により、競合他社との間の価格競争が厳しい地域となっております。特に中国は、世界最大規模の半導体消費地であるだけでなく、半導体の供給地としても急速に存在感を高めています。中国半導体企業の開発・生産能力は年々向上しており、アナログICやディスクリートにおいても、低価格品を中心に競争激化による利益率低下の要因となってきました。そうした状況に対応するため、当社は技術力と信頼性に磨きをかけるとともに、高付加価値な製品へのシフトを進め、利益率のアップを図ってまいります。
また、各種報道でもありますように、中国では、米中貿易摩擦を起因とし、これまで以上に半導体生産の国内化を加速させているため、現地企業の状況やサプライチェーンの変化を注視してまいります。
4)欧州事業
当連結会計年度における欧州経済は、新型コロナウイルスの影響により各国でロックダウンなどの制限措置と緩和を繰り返しており、ピークアウトはしたものの、未だ不透明な状況が続いております。
これらの影響を受け、当社グループの欧州事業では、家電機器向けや医療機器向けなどの売上が増加しましたが、産業機器分野向けの売上が減少し、為替の影響も受け、減収となりました。
欧州事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータやプッシュボタンコントローラ、中耐圧製品など、他社との差別化が図られる製品の拡販活動がキーになると考えています。新型コロナウイルスの状況を注視しながら、産業機器分野への売上回復に取り組んでまいります。
5)北米事業
当連結会計年度における北米経済は、新型コロナウイルスの影響により実体経済が大きく落ち込み、ワクチン接種が進む中で徐々に回復しつつあるものの、未だ不透明な状況が続いております。
これらの影響を受け、当社グループの北米事業では、主にAV機器向けの売上が増加しましたが、PC機器分野向けの売上が低調で、減収となりました。
北米には大手電機・電子メーカーはもちろん、スタートアップのベンチャー企業が数多くあり、新たな事業や製品、サービスなどが生まれています。当社の北米事業では、拡販による売上増を目的とすると同時に、そうした企業等との協業や提携による当社グループの価値の創出を目的とした活動も積極的に取組んでいます。
また、米国においても、米中貿易摩擦を起因とし、半導体生産の国内化を加速させているため、現地企業の状況やサプライチェーンの変化を注視してまいります。
C.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、資本効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標と位置付けております。当連結会計年度における「自己資本利益率(ROE)」は4.9%(前年同期比2.7ポイント増加)でしたが、業績を向上させることで、ROE二桁を目指してまいります。
d.セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のセグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの資金需要には、大きく分けて運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要の主なものは、アナログIC製品の製造に係る原材料費や外注加工費、製品開発に係る研究開発費並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また、設備資金需要は、主に製造子会社における製造設備等の固定資産の購入によるものであります。
2)財政政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金による充当を基本とし、不足分については金融機関からの借入金により調達しております。また、設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入金を基本とし、金利動向や市場環境などを考慮し、必要に応じて社債など適切な調達手段により資金調達を行っております。
当連結会計年度は、安定した事業活動を行うため主要取引金融機関から総額40億円の調達を実施したほか、経営環境の変化に即応し、機動的かつ安定した資金の調達を行うため、主要取引金融機関と総額53億円の当座貸越契約を締結しております。
3)資本政策
当社グループは、半導体業界を取り巻く環境変化を好機と捉えつつ、企業価値の向上を図っていくため、成長戦略投資と株主還元のバランスをとりながら、資本効率の向上に着実につなげていくことを、資本政策の基本的な方針としています。
この基本方針のもと、当社グループの成長を加速するための研究開発・設備投資に対して、積極的に資金を振り向ける所存です。
利益配分につきましては、企業価値の継続的向上を図るとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、戦略的投資による成長力の向上を図りつつ、当社を取り巻く経営環境並びに中長期の連結業績及び株主資本利益率の水準を踏まえて、諸施策を実施していくことといたします。
このような観点から、配当につきましては、業績水準を反映した利益配分として連結配当性向20%以上、安定的かつ継続的な株主還元の拡充として株主資本配当率(DOE)3%程度を当面の目標として実施してまいります。内部留保資金につきましては、研究開発、設備投資、新たな事業分野への投資など、持続的な企業価値向上を実現する目的で活用してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計上の見積り」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
a.当社の商品及び製品の評価
当社グループのたな卸資産の連結貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、営業循環過程から外れたと判断されたたな卸資産の評価については、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。このうち当社の営業循環過程から外れた商品及び製品の対象の識別については、一定の在庫年齢を超えた長期滞留品に加えて、過去の販売数量実績等を考慮して策定した将来の販売予測に基づき実施しております。当社が取り扱う商品及び製品の将来の販売可能性は、市場の需要変化などの予測不能な要因によって変動する可能性があり、将来の販売予測は不確実性を伴うため、将来の販売実績が見積りと大きく異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表における商品及び製品の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
b.固定資産の減損
固定資産は、減損の兆候があると認められる場合には、資産、または、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額または使用価値のいずれか高い価額)まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識されます。当社グループは、原則として事業用資産について、会社もしくは工場ごとにグルーピングを行っておりますが、減損損失の認識の要否を判定した資産、または、資産グループについては割引前将来キャッシュ・フローが有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を超えると判断されたため、減損の認識は不要と判断しております。減損損失の認識の要否判定に用いられる将来キャッシュ・フローの見積りは、事業計画を基礎としており、市場動向を考慮した販売数量予測や最適な生産リソースの配分等を仮定として織り込んでおります。これらの仮定を含む将来予測は不確実性を伴い、将来キャッシュ・フローの見積りに対して、実際に発生したキャッシュ・フローが見積りを大きく下回った場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、固定資産の減損損失の認識及び測定が必要となる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大で、急激な景気後退に見舞われました。年央以降は先進主要国の大型財政出動と金融緩和策により景気の下落幅は徐々に縮小、期末には感染防止策やワクチンの接種拡大で感染収束に転じる国が出始めるなど、明るい兆しが見えつつありますが、変異ウイルスの流行で感染が再拡大するなど、引き続き、透明感は強く残っております。日本経済も年初来、再度の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で消費は依然低迷し、景気も一進一退を続けており、厳しい状況が続いております。
当社グループが属するエレクトロニクス市場におきましては、年度後半には、新しいライフスタイルへの変化に対する需要増により回復が見られ、半導体市場におきましては、車載半導体を中心に世界的に需給が逼迫するなど、需要は旺盛となっております。
このような環境のなかで、当社グループは、経営理念にある「市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献する」ため、電気機器の小型化・省電力化に「電源」の観点から取組み、収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて、従業員の感染症対策としてテレワークや時差出勤などを徹底して講じつつ、以下の諸施策を継続的に推進してまいりました。
・市場や顧客のニーズを製品開発に的確に反映し、より多くの製品を短期間で開発させるため、従来開発部門の中に設置していた製品企画部門を独立させ、マーケット調査と製品企画の強化を推進してまいりました。
・国内外の開発拠点において、差別化のできる高付加価値な汎用製品及びターゲット市場として注力する車載機器・産業機器に向けた特長ある製品を迅速に市場へ投入していくための開発活動を進めてまいりました。
・生産部門では、生産技術と品質保証を1つの本部へと集約することで、コスト意識を高めながら品質保証体制を強化し、生産計画の効率化を進めました。加えて、協力会社や製造子会社との協力体制を深め、競争力のある製造コスト、品質力の向上、納期対応の実現を進めました。
・各地域に密着した営業活動を推進するため、営業本部を国内営業と海外営業に分けて、迅速かつ柔軟な顧客対応や営業基盤の強化に努めるとともに、顧客ニーズを踏まえたソリューション提案を促進しました。
・近年、様々な視点から注目される省エネ型社会を実現する有効な手段の一つであるパワーエレクトロニクスにおけるビジネスの拡大を目的とし、超低損失と低価格の両立が期待されるβ型酸化ガリウムを使用したパワーデバイスの開発を行う、株式会社ノベルクリスタルテクノロジー(本社:埼玉県狭山市)と資本提携を行いました。
・製品ポートフォリオを強化するため、相互ビジネスの拡大を視野に資本提携しているCirelSystems Pvt Ltd.と、同社の製品をワールドワイドで販売することを合意しました。
・当社において、将来的な更なる事業発展を目指し、効率的なビジネスを支える基幹システムの入れ替えを実施しました。
・グループ収益の最大化につなげるため、フェニテックセミコンダクター株式会社とのシナジー効果を高め、共同プロジェクトを推進しました。
・製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、フェニテックセミコンダクター本社工場の第一工場への統合を進めてまいりました。
・新たに、2021年度を初年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定し、脱炭素社会を目指すこと、グリーントランスフォーメーションの推進を掲げました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産は315億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億65百万円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金が24億55百万円、受取手形及び売掛金が6億9百万円、仕掛品が5億48百万円、ソフトウエアが7億円の増加に対し、ソフトウエアの本稼働に伴い無形固定資産その他が5億82百万円減少したためであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は117億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億47百万円の増加となりました。主な要因は、長期借入金が22億20百万円増加したためであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は197億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億18百万円の増加となりました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益9億33百万円の計上、配当金の支払い3億94百万円、退職給付に係る調整累計額、為替換算調整勘定の変動によるものであります。
この結果、自己資本比率は62.8%となり、1株当たり純資産額は1,808円96銭となりました。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は237億12百万円(前年同期比10.3%増)となりました。全体として、上期は自動車業界の生産休止等の影響を受けたものの、下期は急回復をしたことにより前年増となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が169億62百万円(前年同期比14.8%増)、アジアが55億26百万円(前年同期比1.2%増)、欧州が6億97百万円(前年同期比2.8%減)、北米が5億26百万円(前年同期比3.4%減)となりました。
(営業利益)
営業利益は12億9百万円(前年同期比78.3%増)となりました。全体として、売上増のほか、販管費等の抑制に努め、前年増となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が9億35百万円(前年同期比83.6%増)、アジアが2億19百万円(前年同期比77.7%増)、欧州が43百万円(前年同期は13百万円)、北米が9百万円(前年同期は0百万円)となりました。
(経常利益)
経常利益は12億6百万円(前年同期比78.4%増)となりました。営業利益の増加に伴い、前年増となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は9億33百万円(前年同期比123.6%増)となりました。特別損失の減少により、前年比大幅増となりました。
新型コロナウイルスの感染拡大による当連結会計年度における事業への影響は限定的ではありました。しかしながら、政府による緊急事態宣言の発令等を受け、当社では、従業員の感染症対策としてテレワークや時差出勤などを徹底して講ずるなど、事業活動にも一定の制約を受けており、引き続き、景気動向に与える影響や当社業績への影響について注視してまいります。
なお、製品別の売上高及びセグメントの業績は以下のとおりであります。
(製品別の売上高) (単位:百万円)
| 区 分 | 当連結会計年度 | 前年同期比増減額 | 前年同期比増減率 |
| VD | 1,639 | 68 | 4.4% |
| VR | 4,503 | △16 | △0.4% |
| DCDC | 3,024 | △137 | △4.3% |
| ディスクリート | 13,825 | 2,463 | 21.7% |
| その他 | 719 | △165 | △18.7% |
| 合 計 | 23,712 | 2,212 | 10.3% |
(注)1.製品の内容は次のとおりであります。
VD………………ディテクタ(Voltage Ditector)
VR………………レギュレータ(Voltage Regulator)
DCDC…………DC/DCコンバータ
ディスクリート…トランジスタ、ダイオード、IGBT等
その他……………マルチチップモジュール、各種センサー製品等
(セグメント業績)
(日本)
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器、家電分野向けの売上が増加したことにより169億62百万円(前年同期比14.8%増)、セグメント利益は9億35百万円(前年同期比83.6%増)となりました。
(アジア)
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器分野向けの売上が増加したことにより55億26百万円(前年同期比1.2%増)、セグメント利益は2億19百万円(前年同期比77.7%増)となりました。
(欧州)
当連結会計年度における売上高は、主に家電向けの売上が増加しましたが、産業機器分野向けの売上が減少したことにより6億97百万円(前年同期比2.8%減)、セグメント利益は43百万円(前年同期は13百万円)となりました。
(北米)
当連結会計年度における売上高は、主にAV機器向けの売上が増加しましたが、PC機器分野向けの売上が減少したことにより5億26百万円(前年同期比3.4%減)、セグメント利益は9百万円(前年同期は0百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により17億90百万円増加し、投資活動により15億45百万円減少し、財務活動により21億75百万円増加した結果、当連結会計年度末の残高は116億81百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益11億71百万円、減価償却費12億8百万円、仕入債務の増加2億79百万円等を要因とする資金の増加に対し、退職給付に係る資産の増加3億21百万円、退職給付に係る負債の減少3億11百万円、売上債権の増加5億35百万円、たな卸資産の増加4億50百万円等を要因とする資金の減少を差し引き、17億90百万円の増加(前年同期比6億45百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、有形固定資産の取得12億41百万円、無形固定資産の取得2億43百万円等の支出により、15億45百万円の減少(前年同期比4百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、長期借入れによる収入40億円等による資金の増加に対し、長期借入金の返済13億55百万円、配当金の支払額3億94百万円等の支出を差し引き、21億75百万円の増加(前年同期比33億51百万円の収入増)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 日 本 (千円) | 17,110,502 | 109.1 |
| 合 計 (千円) | 17,110,502 | 109.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| 日本 | 19,894,686 | 126.6 | 6,015,603 | 195.1 |
| アジア | 7,223,225 | 130.1 | 2,493,689 | 312.8 |
| 欧州 | 1,013,480 | 134.8 | 527,819 | 249.2 |
| 北米 | 657,090 | 118.3 | 216,921 | 252.6 |
| 合 計 | 28,788,483 | 127.6 | 9,254,034 | 221.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 日 本 (千円) | 16,962,621 | 114.8 |
| ア ジ ア (千円) | 5,526,808 | 101.2 |
| 欧 州 (千円) | 697,504 | 97.2 |
| 北 米 (千円) | 526,046 | 96.6 |
| 合 計 (千円) | 23,712,981 | 110.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| IXYS Corporation | 2,038,243 | 9.5 | 2,556,561 | 10.8 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)概観
当社グループの経営に影響を与える要因としては、半導体市場の成長率、各国半導体企業の動向、製品品種及び顧客の構成比、原材料費の市況、為替水準等があります。2020年の世界半導体市場は、年初は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、大きく落ち込みましたが、ライフスタイルの変化等によるPC関連市場や民生機器関連市場での需要増が、市場に好影響をもたらし、また、秋以降は車載関連市場の回復なども加わり、一部では品不足の状況となりました。
当社グループの主力製品であるアナログIC及びディスクリートの市場は従来、安定的に成長する傾向が見られましたが、2020年は、前年の米中貿易摩擦の反動もあり、アナログICは8%、ディスクリートは3%程度の増加となった模様です。このような環境下、当社グループの売上高は前年同期比10.3%増と好調に推移しました。
当社グループは用途別にみた市場の成長性や収益性の観点から、車載機器・産業機器・医療機器を重点3分野と位置づけ、製品開発及び顧客開拓を長期的・戦略的に進めてまいりました。世界的に取り組みが進む脱炭素に向けた電気自動車への移行、加速する先端技術の進化に伴う自動運転技術、産業界におけるIoTソリューションの拡大、第5世代移動通信システム(5G)サービスへの移行等の変化は、重点3分野の一層の成長を支えるトレンドであり、そこには、当社が得意とする小型・低消費電力・低ノイズ等の技術を有効に活用できるものと考えております。ここにFAEを使った技術営業で当社の技術を強く発信していくことで、今後も当社グループの安定的な売上増加と利益率の維持向上に寄与するものと考えています。一方で、重点分野以外の民生品向けは低調な分野もあるため、これを十分にカバーするだけの売上規模を確保していくことを目指します。
当連結会計年度における当社グループは、こうした状況を背景に、日本と欧州の売上が低調、アジアと北米は好調な結果となりました。重点分野のうち産業機器分野は好調に推移する一方、車載機器分野については、前年同期比で大きく減少しましたが、いずれも長期的には、成長性の高い分野であることに変わりありません。こうした市場環境を背景に競争力及び収益力の向上に向け、成長市場である産業機器や車載機器向けの設計開発リソースを確保するための資本提携を行っております。また、子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社においては、安定的かつ高効率での生産に向けた設備投資やSiCデバイスなどの新製品開発への投資を進めるなど、積極的な投資を行っております。一方で、こうした投資が、短期的に経費を増加させ、収益押し下げの要因ともなっています。
当社グループは、日本、アジア、欧州、北米の4つを事業セグメントとしております。日本は、当社及びフェニテックセミコンダクター株式会社から構成されており、アジアは、特瑞仕芯电子(上海)有限公司、TOREX (HONG KONG) LIMITED、台湾特瑞仕半導體股份有限公司、TOREX SEMICONDUCTOR(S) PTE LTD、TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDから構成されており、欧州は、TOREX SEMICONDUCTOR EUROPE LIMITED、北米は、TOREX USA Corp.にて構成されております。
2)日本事業
日本事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度において、当社グループの売上高合計の72%を占めています。
当連結会計年度における日本経済は、年初来、新型コロナウイルス感染症を起因とした再度の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で消費は依然低迷し、景気も一進一退を続けており、厳しい状況が続いております。
日本事業のうち、当社トレックス・セミコンダクター株式会社が生産・販売するアナログ電源ICは、家電分野向けが好調ではあったものの、車載機器分野向けの売上が低調となりました。日本事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータの採用が増加しております。また、家電分野で培ってきた省電力・小型化の技術を、産業機器、車載機器向けへ高付加価値製品として技術改善とラインナップの拡充を図っていくことが日本事業での成長のキーと認識しております。
一方、ディスクリートを生産・販売するフェニテックセミコンダクター株式会社は、国内で車載機器向けの売上が減少したものの、北米で産業機器向け、中華圏で民生機器向けが増加し、後半には国内の車載機器向けも回復基調に転じ、連結子会社化以後、最高の売上高となりました。また同社は、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、同社の本社工場の第一工場への統合工事をすすめ、より効率的な生産体制の確立に向けた設備投資を実施し、生産品目の拡充にも努めております。特にパワーディスクリート製品への要求は強く、より一層の技術力アップにも努めております。
なお、両社は、開発・生産・販売に関わる協業を着実に推進しており、製品開発、原価低減及び品質向上を通じて、業績面でもシナジー効果を発揮していきます。
3)アジア事業
当連結会計年度におけるアジア経済は、新型コロナウイルス影響を大きく受けましたが、中華圏では、早期の抑え込みが成功し、経済は期を追う毎に勢いを取り戻して行きました。
これらの影響を受け、当社グループのアジア事業では、昨年中国におけるETC向けの販売が好調であった反動から車載機器向けが減少しましたが、産業機器分野向けの売上が増加したことで、増収となりました。
アジア市場は、新興勢力の台頭等により、競合他社との間の価格競争が厳しい地域となっております。特に中国は、世界最大規模の半導体消費地であるだけでなく、半導体の供給地としても急速に存在感を高めています。中国半導体企業の開発・生産能力は年々向上しており、アナログICやディスクリートにおいても、低価格品を中心に競争激化による利益率低下の要因となってきました。そうした状況に対応するため、当社は技術力と信頼性に磨きをかけるとともに、高付加価値な製品へのシフトを進め、利益率のアップを図ってまいります。
また、各種報道でもありますように、中国では、米中貿易摩擦を起因とし、これまで以上に半導体生産の国内化を加速させているため、現地企業の状況やサプライチェーンの変化を注視してまいります。
4)欧州事業
当連結会計年度における欧州経済は、新型コロナウイルスの影響により各国でロックダウンなどの制限措置と緩和を繰り返しており、ピークアウトはしたものの、未だ不透明な状況が続いております。
これらの影響を受け、当社グループの欧州事業では、家電機器向けや医療機器向けなどの売上が増加しましたが、産業機器分野向けの売上が減少し、為替の影響も受け、減収となりました。
欧州事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータやプッシュボタンコントローラ、中耐圧製品など、他社との差別化が図られる製品の拡販活動がキーになると考えています。新型コロナウイルスの状況を注視しながら、産業機器分野への売上回復に取り組んでまいります。
5)北米事業
当連結会計年度における北米経済は、新型コロナウイルスの影響により実体経済が大きく落ち込み、ワクチン接種が進む中で徐々に回復しつつあるものの、未だ不透明な状況が続いております。
これらの影響を受け、当社グループの北米事業では、主にAV機器向けの売上が増加しましたが、PC機器分野向けの売上が低調で、減収となりました。
北米には大手電機・電子メーカーはもちろん、スタートアップのベンチャー企業が数多くあり、新たな事業や製品、サービスなどが生まれています。当社の北米事業では、拡販による売上増を目的とすると同時に、そうした企業等との協業や提携による当社グループの価値の創出を目的とした活動も積極的に取組んでいます。
また、米国においても、米中貿易摩擦を起因とし、半導体生産の国内化を加速させているため、現地企業の状況やサプライチェーンの変化を注視してまいります。
C.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、資本効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標と位置付けております。当連結会計年度における「自己資本利益率(ROE)」は4.9%(前年同期比2.7ポイント増加)でしたが、業績を向上させることで、ROE二桁を目指してまいります。
d.セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のセグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの資金需要には、大きく分けて運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要の主なものは、アナログIC製品の製造に係る原材料費や外注加工費、製品開発に係る研究開発費並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また、設備資金需要は、主に製造子会社における製造設備等の固定資産の購入によるものであります。
2)財政政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金による充当を基本とし、不足分については金融機関からの借入金により調達しております。また、設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入金を基本とし、金利動向や市場環境などを考慮し、必要に応じて社債など適切な調達手段により資金調達を行っております。
当連結会計年度は、安定した事業活動を行うため主要取引金融機関から総額40億円の調達を実施したほか、経営環境の変化に即応し、機動的かつ安定した資金の調達を行うため、主要取引金融機関と総額53億円の当座貸越契約を締結しております。
3)資本政策
当社グループは、半導体業界を取り巻く環境変化を好機と捉えつつ、企業価値の向上を図っていくため、成長戦略投資と株主還元のバランスをとりながら、資本効率の向上に着実につなげていくことを、資本政策の基本的な方針としています。
この基本方針のもと、当社グループの成長を加速するための研究開発・設備投資に対して、積極的に資金を振り向ける所存です。
利益配分につきましては、企業価値の継続的向上を図るとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、戦略的投資による成長力の向上を図りつつ、当社を取り巻く経営環境並びに中長期の連結業績及び株主資本利益率の水準を踏まえて、諸施策を実施していくことといたします。
このような観点から、配当につきましては、業績水準を反映した利益配分として連結配当性向20%以上、安定的かつ継続的な株主還元の拡充として株主資本配当率(DOE)3%程度を当面の目標として実施してまいります。内部留保資金につきましては、研究開発、設備投資、新たな事業分野への投資など、持続的な企業価値向上を実現する目的で活用してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計上の見積り」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
a.当社の商品及び製品の評価
当社グループのたな卸資産の連結貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、営業循環過程から外れたと判断されたたな卸資産の評価については、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。このうち当社の営業循環過程から外れた商品及び製品の対象の識別については、一定の在庫年齢を超えた長期滞留品に加えて、過去の販売数量実績等を考慮して策定した将来の販売予測に基づき実施しております。当社が取り扱う商品及び製品の将来の販売可能性は、市場の需要変化などの予測不能な要因によって変動する可能性があり、将来の販売予測は不確実性を伴うため、将来の販売実績が見積りと大きく異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表における商品及び製品の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
b.固定資産の減損
固定資産は、減損の兆候があると認められる場合には、資産、または、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額または使用価値のいずれか高い価額)まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識されます。当社グループは、原則として事業用資産について、会社もしくは工場ごとにグルーピングを行っておりますが、減損損失の認識の要否を判定した資産、または、資産グループについては割引前将来キャッシュ・フローが有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を超えると判断されたため、減損の認識は不要と判断しております。減損損失の認識の要否判定に用いられる将来キャッシュ・フローの見積りは、事業計画を基礎としており、市場動向を考慮した販売数量予測や最適な生産リソースの配分等を仮定として織り込んでおります。これらの仮定を含む将来予測は不確実性を伴い、将来キャッシュ・フローの見積りに対して、実際に発生したキャッシュ・フローが見積りを大きく下回った場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、固定資産の減損損失の認識及び測定が必要となる可能性があります。