訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2014/09/18 15:00
【資料】
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【項目】
80項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。
このいずれかが発生した場合、当社の業績や株価に影響を与える可能性があります。また、これらのなかには外部要因や発生する可能性が高くないと考えられる事項を含んでいる他、投資判断に影響を及ぼすすべてのリスクを網羅するものではないことにご留意ください。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
1.製品及びサービスに瑕疵が発生する可能性について
製品及びサービスを提供する際には、開発過程においてプログラムにバグや欠陥の有無の検査、ユーザーの使用環境を想定した動作確認などの品質チェックを行ない、販売後のトラブルを未然に防ぐ体制をとっております。しかしながら、プログラムの特性上、これらを完全に保証することは難しいものとなっております。
万が一、製品又はサービスにバグや欠陥が発見された場合の対策として、当社ではプログラムの修正対応や、販売時の契約において免責条項の設定などにより損失を限定する体制をとっておりますが、これらの対策はリスクを完全に回避するものではなく、バグや欠陥の種類、発生の状況によっては補償費用が膨らみ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.サイバー攻撃等を受けることにより信頼性を喪失する可能性について
サイバー・セキュリティ事業を営む当社は、当社及び当社製品又はサービスを導入されたユーザーにおいて、当社製品又はサービスの効果の及ぶ範囲内でサイバー攻撃等による機密情報等の改鼠・搾取等をされた場合、当社の技術力を否定されることにより、結果として当社製品又はサービスに対する信頼性を喪失する恐れがあります。このようなことが発生した場合、信頼を回復するまでの間、製品及びサービスの販売が停滞することが考えられ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
3.技術革新又は陳腐化に対応できない可能性について
当社が属するサイバー・セキュリティの分野は、日々発生する新たな脅威や技術革新等による環境変化に伴い、ニーズが変化しやすい特徴があります。このような中、当社は研究開発部門による新技術の開発や研究成果のカンファレンス等での発表、各種メディアへの情報発信などの取り組みにより、当社製品及びサービスの競争力の維持向上に努めております。
しかし、当社が環境変化に対応することができず、当社製品及びサービスの陳腐化又は競合他社の企業努力などの要因により、当社が競争力を維持することができない場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
4.特定事業への依存により市場環境の影響を大きく受ける可能性について
当社が営む事業はサイバー・セキュリティ事業の単一事業であり、ユーザーにおいて経済情勢の不調等によりIT設備投資が抑制されるなど、当該市場環境が冷え込んだ場合、その影響を大きく受け、他の事業分野で挽回するといった対応が取れず、当社の業績に影響を与える可能性があります。
5.知的財産権侵害の可能性について
当社製品及びサービスの競争力維持にあたっては、特許権等による知的財産権の保護が重要となっております。当社は研究開発の結果、有用な技術について積極的に知的財産権の取得をするなど技術の保護に努めております。しかしながら、サイバー・セキュリティ製品には高度かつ複雑なプログラム技術が使用されており、知的財産権においてその権利の範囲を明確に定めることが難しいものとなっております。
このような状況の下、他社において当社の知的財産権に抵触するものがあったとしても、当社の知的財産権侵害の主張が必ずしも認められない可能性があります。また反対に、当社が意図しないところで他社から当社に対して知的財産権侵害の訴えが提起され、その主張が認められてしまう可能性も否定できません。このようなことが起きた場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
6.販売パートナーの経営方針の変更等に影響を受ける可能性について
当社製品の販売は経営戦略上、提携する販売パートナー経由で行なっております。当社は複数の販売パートナーと提携し、また、新たな販売パートナーの開拓を行なうことで当社製品の販売拡大や、特定の販売パートナーに依存することの回避をしております。しかし、これらの中の有力な販売パートナーにおいて、企業再編等により事業の廃止や販売方針の変更などが実施され、当社製品の販売を減少又は停止した場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
7.人材確保と特定の人材へ依存することの事業への影響の可能性について
当社が属するサイバー・セキュリティの分野において、コアとなる技術を持った技術者は世界的に見ても少数となっており、当社代表取締役鵜飼裕司を始めとする役職員が当社の技術力の源泉となっております。一方その反面で、必要とする能力を持つ人材の確保は難しく、当社の重要な経営課題となっております。当社は積極的に人材の確保と育成に努めておりますが、この取り組みが計画通りに行かなかった場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
また、上記のような理由から、当社は事業運営にあたって特定の人材への依存度が高くなることがあり、仮にこれら特定の人材が流出した場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
8.小規模組織における経営管理体制・内部統制について
当社は事業規模に応じた組織体制を志向しており、現在は比較的小規模の体制で事業運営を行なっております。また、当社は現在の人員構成における最適と考えられる経営管理体制及び内部統制を構築していますが、今後、当社の計画以上に事業が成長するなどにより、組織規模の急激な拡大の必要が生じた場合、以下に掲げるリスクが考えられ、経営管理体制・内部統制が有効に機能しない可能性があります。
・必要な人材を確保できない可能性
・新規採用の人員に対する教育が不足する可能性
・業務の多様化に社内業務システムの対応が遅れる可能性
・従業員とマネジメント層の間における報告体制の冗長化
また、当社が小規模組織であるために生じるリスクも考えられます。例えば当社のキャパシティを超えるような大型の開発プロジェクト等が生じた場合、当社は他社との業務提携などの戦略をとることが考えられますが、提携先が確保できない場合や、当社と提携先の間で円滑なプロジェクト遂行が困難になる等により、当該案件への投資資金の損失、失注あるいは利害関係者からの損害賠償請求等、当社の業績に影響を与える可能性があります。
9.情報漏洩リスクについて
当社が営むサイバー・セキュリティ事業では、ユーザーのセキュリティシステムに関する情報や社内で使用する検体用マルウェア等の機密情報を扱う場合があります。これらの取り扱いについて、当社は規程やマニュアル等に則った運用体制の整備や社員への教育を通じて機密情報の外部漏洩を厳しく管理しております。しかしながら、特に当社の関係者が悪意を持って機密情報の漏洩を図った場合など、情報漏洩を完全に防ぐことは困難であります。このようなことが起きた場合、漏洩した機密情報を使用されることによる損害や、当社の信用が失墜するなどにより、当社の業績に影響を与える可能性があります。
10.事業環境の変化について
当社が製品・サービスを提供している標的型攻撃対策を始めとする高度なセキュリティ・サービスの市場は、サイバー・セキュリティに対する脅威の複雑化・多様化を背景に今後拡大していくものと見込んでおりますが、市場の黎明期であるため不確定要素も多く、市場の成長スピードが当社の想定よりも遅れる可能性があります。
また、市場が順調に拡大した場合でも、競合他社の参入や他社から無償又は安価なセキュリティ機能が供給されることにより、当社が市場シェアを伸ばしていくことができない可能性があります。
このような当社を取り巻く事業環境の変化に有効な対抗策を講じる事ができなかった場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
11.法律の制定又は改正により当社の事業に規制がかかる可能性について
現在、当社の事業に対する法的規制はありませんが、将来新たに行なわれる法律の制定や既存の法律の改正により、当社の事業が規制された場合には、その内容によっては対応費用の支出又は経営方針の変更を迫られる可能性があります。例えば、当社は研究開発において、実際のサイバー攻撃等で使用されたプログラム(検体用マルウェア)などを用いる場合があり、この管理取り扱いについて法的規制がかかり、その対応に多額の費用がかかるなどが考えられます。このようなことが起きた場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
12.季節的要因について
当社の売上及び利益計上は、12月から3月に集中する傾向があります。これは、ユーザーである企業や官公庁において、年度末前後における経済状況や事業方針の決定等により、設備投資の動きが活発化する影響によるものと考えております。
平成26年3月期における各四半期会計期間の実績は以下の表に記載のとおりであり、売上計上が12月から翌年3月に集中した結果、第3四半期までの各会計期間においては営業損失、第4四半期会計期間に営業利益が計上されています。
当社は売上計上時期の平準化に努めていますが、12月から3月の経済状況、設備投資の動向が当社の業績に影響を与える可能性があります。
(単位:千円)

平成26年3月期
第1四半期会計期間第2四半期会計期間第3四半期会計期間第4四半期会計期間
売上高66,96892,125105,828395,327
営業利益又は営業損失(△)△52,996△20,745△5,680251,390

(注)上表については、有限責任 あずさ監査法人の四半期レビュー及び監査を受けたものではありません。
13.株式の希薄化について
当社は、取締役及び従業員等に対し、業務に対するモチベーション向上を図り、業績向上に繋がるインセンティブとしてのストック・オプションを付与しております。平成26年7月末現在、ストック・オプションの残高は162,000株であり、発行済株式総数に対する割合は9.5%に相当しております。今後ストック・オプションが行使され、新株が発行された場合、既存株主の1株当たりの利益、純資産、議決権割合が希薄化する可能性があります。
14.調達資金の使途について
株式上場に伴う公募増資による調達資金は、新技術の研究、製品のアップデート及び新製品の開発のための研究開発部門の人件費に充当する予定であります。しかしながら、急速な経営環境の変化等の影響により、想定どおりの投資効果を上げられない場合や、当初計画以外の使途に充当される可能性があります。