有価証券報告書-第16期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/30 15:00
【資料】
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【項目】
78項目

対処すべき課題

当社が対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
(1)売上の拡大について
現在の当社の主力サービスは、IoTプラットフォームサービスとなっております。IoTプラットフォームサービスにおいては、当該市場の成長や当社の本市場における製品シェアの拡大に伴うライセンス料増加により、安定収入源を拡大させつつあります。しかし一方では、国内外から多数の競合他社が参入しており、競争環境は激化しております。その中でさらにシェアを拡大し国内の販売基盤を強化していくこと及び海外での販売実績を拡大していくことが重要な経営課題となります。今後はこれまで以上に成長分野であるスマートフォン、タブレットを中心とした、IoTプラットフォームサービス、及びリモートマネジメントサービスに注力していく方針であります。
(ア) 国内市場におけるさらなる売上の拡大
国内市場においては、以下のサービスに注力してまいります。
まず、IoTプラットフォームサービスについて、法人向けクラウドデバイス管理ソリューションである「Optimal Biz」は、様々なOSを搭載したネットワークデバイスを、一元的にマネジメントできることをコンセプトとしたサービスになっております。
当社ではさらなる売上シェア拡大を目指し、当社の強みである〈1.豊富な特許群を組み込んだ独自製品・サービスによる優位性の拡大〉、〈2.継続的なプラットフォームへの開発投資によるプラットフォーム強化〉、〈3.販売チャネルの販売力とカバレッジの広さを利用した販売拡大〉、〈4.成長市場でのシェア1位を利用したアライアンス戦略の推進、及び相互シナジーによる価値提供〉、〈5.業界に特化した製品・サービスの展開(特に教育ICT、医療ICT等)〉、〈6.新たに創出される市場・環境変化への製品・サービスの展開(特にMVNO、FVNO、マイナンバー等)〉に注力してまいります。
直近の市場動向として、大企業での導入ニーズが拡大していることから、これまで課題となっている社内の既存業務システムとの連携を強化し、アプリケーション及びコンテンツをセキュアに利用できるサービスの提供を実施し、大企業でのスマートデバイス導入時のMDMとして採用を推進してまいります。
また、年々、企業のモバイルデバイス導入の本格化にともない、単にセキュリティのためにMDMを導入するというのではなく、モバイルを活用した業務の効率化を目的としてアプリケーションやサービス、コンテンツの管理を含めた統合環境が要求されるようになってきております。当社では、MDMからEMMまで様々なニーズに対応できる製品ラインナップを自社開発及びアライアンス戦略により拡充し、市場の変化に対応しつつ、シェア拡大を図ってまいります。さらには、様々なニーズに対応できる製品ラインナップを提供することで、当該サービスのグローバルな展開を推進してまいります。
また、文教市場においても、2020年までに高校生1人に1台タブレット端末を配布するという国の目標に基づき、端末の導入が進んでおります。この市場においても、端末紛失のリスクや学校内外での利用ポリシーの変更など、デバイスマネジメントの必要性が顕在化しております。加えて、端末の操作方法を教えるためのリモートサポート、ネットワーク接続を自動診断・復旧させるためのサポートツールも文教市場において有用であることから、当社のサービスを組み合わせた提案を進めてまいります。尚、本分野において、佐賀県において2014年4月から全県立高校の新入生へ配布されるタブレット端末への導入が開始されております。この実績を基に、文部科学省の「デジタル教科書の位置付けに関する検討会議」等、国の施策の動向を踏まえながら、全国の教育機関や自治体に対しても展開を推進してまいります。
IDC Japan株式会社によると、今後、IoT・ウェアラブル分野は、2018年までに21兆円規模の市場に成長すると予測されており、当社にとっても大きな機会となりうることを期待しております。この市場においても、研究開発を推進し、来るべきIoT・ウェアラブル時代に備え、製品・サービスの提供を実施してまいります。
次に、リモートマネジメントサービスにおいては、法人及び個人向けリモートマネジメントサービスである「Optimal Remote」について、従来から提供している様々なOS同士の画面をリモートで共有し、操作サポートするといった枠を超えて、当社の提唱する、あらゆる人にそのとき必要な体験(知識、ノウハウ、情報、感覚、感動)を遠隔から共有する≪Remote Experience Sharing≫構想を具現化するサービスへと昇華させていきます。
当社ではさらなる売上シェア拡大を目指し、リモートマネジメントサービスでは、成長分野であるスマートフォン、タブレットを中心とした、サービス展開を強化しております。また、従来のリモートマネジメントサービス単体製品の提供形態から、リモートマネジメントサービスを必要とするユーザーの〈ITに不慣れであるユーザー属性〉に適した統合的なサービス提供形態へのシフトを図ってまいります。これにより、単体製品の企業毎への年額ライセンス提供形態から、ユーザー毎への月額ライセンス提供形態へシフトさせ、収益性を向上させてまいります。具体的には、当事業年度からサービスの提供を開始した、「Premium Remote Support Service」、「スマホ安心パック」によりユーザー毎への月額ライセンス提供形態へシフトを進めております。
直近の市場動向として、MVNO市場が広がり始めていることから、MVNO事業社のユーザーの初期設定などを支援し、ユーザーに安心してスマートフォンやタブレットをご利用いただける環境を拡充すべく、「スマホ安心パック」の提供を推進してまいります。
当社ではこの、≪Remote Experience Sharing≫構想を遠隔作業支援サービス「Optimal Second Sight」及び遠隔作業支援専用スマートグラス「Remote Action」を用いて様々な業種、業界に展開しております。また医療分野においては遠隔診療をより身近なサービスとして世の中に普及させるべく、国内初となるスマートフォンやタブレットで遠隔診療を実現する「ポケットドクター」を開発しました。「ポケットドクター」により、今では誰もが持っているスマートフォンを利用し、いつでもどこでも医師や医療機関と遠隔で繋がることができる医療の新たな形を提供してまいります。
以上のように、リモートマネジメントサービスにおいては、競争優位を進めるため、「Optimal Biz」、「Optimal Support」など、当社が提供する他のサービスと連携した統合的なサービスを提供することで、他社との差別化を図りつつ、収益の向上を目指します。
また、リモートマネジメントサービスは世界的にも競合他社が少なく、グローバルにおいてサービスを提供する企業の増加や、個人間のコミュニティの広がりを背景として、当該サービスに対するニーズが世界的に高まってきております。 「Optimal Remote」のグローバル展開はもちろんのこと、個人間でスマートフォンとスマートフォンの画面共有・リモート操作を行うことができる「Optia」もグローバル展開を推進してまいります。
今後、IoT・ウェアラブル時代のリモートテクノロジー戦略として、≪Remote Experience Sharing≫構想を推進してまいります。
最後に、その他サービスについて、法人及び個人向けコンテンツマネジメントサービスである「使い放題シリーズ」は、利用者や目的毎に、月額定額で〈いつでも〉〈どこでも〉〈なんどでも〉コンテンツが使い放題となるサービスを提供します。
「パソコンソフト使い放題」、「ビジネスソフト使い放題」は、主に通信キャリアや端末メーカーを通じてユーザーにサービスの提供を行っており、継続的なコンテンツ拡充を行うことにより、サービス価値を高めていき、売上の拡大を行ってまいります。
また、当社ではさらなる売上拡大を目指し、コンテンツマネジメントサービスでは、成長分野であるスマートフォン、タブレットを中心としたサービス展開を強化しております。特に、「タブレット使い放題・スマホ使い放題(タブホ)」は、個人向けの直接販売(AppStore、Google Playでの販売)を行っており、新たなビジネスモデルの獲得による売上拡大を目指しています。さらに、MVNO事業社、固定・移動キャリア、ISP、携帯販社、量販店を通じてユーザーにサービス提供を行っており、継続的なコンテンツ拡充を行うことにより、サービス価値を高めていき、売上の拡大を行ってまいります。
直近の市場動向として、MVNO市場が広がり始めていることから、当該市場に対してスマートフォン、タブレット向けトータルサービスを提供することにより、ユーザーが安価かつ安心してスマートフォンやタブレットを楽しく活用できる環境の提供を推進してまいります。
本サービスの競争優位の源泉である、雑誌以外のトータルサービスが提供できる点及び準新刊モデル(過去1号前から最大1年間のバックナンバーがフルコンテンツ読み放題となるモデル)により、他社に比して、フルコンテンツの提供比率を高く維持することができ、ユーザー、出版社の双方に便益の高いサービスとなっている点を強みとし、他社との差別化を図りつつ、収益の向上を目指してまいります。加えて、他社では、Webブラウザベースによるビューワーの提供が主流ですが、当社では、OS毎に最適化された自社開発の専用ビューワーを提供することにより、快適に雑誌を閲覧できる環境を実現しております。
今後、ホテルや病院、お店での「タブレット使い放題・スマホ使い放題(タブホ)」の提供を可能とする法人向けの「タブホスポット」など、新たなビジネスモデルを創造し、また、自社開発の専用ビューワーを強化することで、ユーザーに対して新たな価値を提供することを目指してまいります。
(イ)海外市場への展開
アジアでのスマートデバイス市場の急成長を受け、引き続き、特に中国及び東南アジア諸国を重点アプローチ先として、IoTプラットフォームサービス及びリモートマネジメントサービスをパートナー企業とともに通信キャリアや端末メーカーに対し積極的に販売を展開してまいります。すでに中国市場においては、KDDI株式会社の子会社であるDMX Technologies Group Limitedと販売代理店契約を締結し、販売を実施しております。なお、採用実績としては、テレビ出荷数世界第4位(2014年6月11日時点 米国大手市場調査会社ディスプレイサーチ調査結果による)のグローバル複合企業である青島海信通信有限公司(Qingdao Hisense Communications Co Ltd)のシニア向け高級Androidスマートフォン「Hisense E360」を共同開発し、中国国内で販売を開始しております。「Hisense E360」では、リモートマネジメントサービスのスマートフォン同士による画面共有サービス「Optia」を標準搭載し、メイン機能として「心連心」(リモートサポート機能)を提供しております。その他、シンガポールでは、TreeBox Solutions Pte Ltd、docomo Singapore Pte Ltd、タイではCrescere Thailand CO LTD、ベトナムではKDDI VIET NAM CORPORATIONと、中国含む4ヶ国6社へと展開国及び販売パートナー数を拡大しております。
(2)組織体制整備に関する課題
(ア)サービス開始までの期間短縮
高度化するクライアントのニーズに対応するために、当社は企画から開発、検証まで一気通貫でプロダクトを担当するビジネスユニット制を導入しております。引き続き、ビジネスユニット制導入による効果を最大限発揮することにより、サービス開始までの期間短縮に取り組んでまいります。
(イ)フレキシブルな組織体制
当社の成長分野でありますIoTプラットフォームサービスでは、競合他社も多く、ユーザーのニーズも多様化しております。そのニーズに逸早く対応するためには、開発リソースを集中させ短期間で新機能を開発する必要があります。そのためにも、フレキシブルに人員の配置転換を行える体制を構築し、市場シェアをさらに拡大させグローバルで競争できる製品・サービスの開発を行ってまいります。
(ウ)人員の拡充と組織の強化
当社の主要な収入源であるソフトウェアサービスライセンスにおいては、複数の大規模プロジェクトに対応するために開発部門人員の拡充及び開発体制の強化が最重要課題となっております。現在の人員を中心としつつ、優秀なエンジニアを獲得していく他、プロジェクトに合致した技術を有している派遣社員を活用してまいります。また、プロジェクトマネジメント手法の改善等によりさらなる開発体制の強化・改善を図ってまいります。
(3)研究開発部門及び知的財産戦略の強化
当社は、創業以来、研究開発活動並びにこれによってもたらされる知的財産の獲得は、他社との差別化の根幹であると考え、これらに注力してまいりました。その結果、本書提出日現在において出願数430件(内訳:PCT出願数12件、国内出願数274件、海外出願数144件)、登録数156件(内訳:国内登録数116件、海外登録数40件)、また、平成28年3月期中での研究開発による知的財産として出願数117件(内訳:PCT出願数12件、国内出願数68件、海外出願数37件)、登録数36件(内訳:国内登録数35件、海外登録数1件)となり、年間特許出願数は過去最高を更新し、より先進的な研究開発の推進を実現できる1年になりました。
今後も、常に新しい分野において積極的に研究開発を行い、知的財産を構築し、新しい市場の創出とイノベーションの創出を同時に行うことを目的に、研究開発に関わる人員と体制を強化するとともに、これまで以上に海外での特許取得に注力してまいります。
(4)品質保証体制の強化
当社が提供するソフトウェアは、これまでもクライアント先による厳しい受入検査をクリアしてきておりますが、今後はさらに踏み込んだサービス品質の向上を目指してまいります。そのためにも、より一層厳格な品質保証体制とすべく、品質管理ミーティングの定期実施、また、全社会議において全従業員への品質強化の意識付けを行い、サービス品質保証の強化を実現し、ユーザーの満足度を上げることにより、さらなるユーザー獲得に取り組んでまいります。