四半期報告書-第12期第2四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
3月後半のまん延防止等重点措置の全面解除以降、新型コロナウィルスの感染者数は減少し、経済活動はコロナ前の状況へと戻りつつあります。しかしながら、国内の人の動きが活発になるなか、7月以降再び感染者数が増加に転じています。経済全体では、ウクライナ危機に端を発するエネルギー・資源価格の高騰や急激な円安、物価の上昇など、不透明な状況が続いています。製薬業界においては、新型コロナウィルス変異株対応ワクチン等の需要が続くなか、新規創薬を目指したM&Aの進展等、コロナ後を見据えた事業の展開も見られています。
再生医療分野では、4月に京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の井上治久教授らにより、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象に、iPS創薬で発見した治療薬候補についての第2相医師主導治験が開始されました。また、同じく4月、大阪大学の妻木範行教授らのチームは、iPS細胞で椎間板の中心部の組織(軟骨様髄核組織)を作製し、ラットに移植して組織の再生に成功したと発表しました。
このような状況のもと、当社グループは体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において研究開発を推進しました。
体性幹細胞再生医薬品分野においては、脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療薬の承認取得に向けそれぞれ治験を実施してきました。脳梗塞急性期では、2022年5月に試験データの一部を解析し速報値を公表しました。ARDSでは、2022年3月末に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と再生医療等製品申請前相談を実施し、承認申請に向けた協議を継続しています。
iPSC再生医薬品分野においては、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞(開発コード:HLCN061、以下、eNK細胞と言います。)を用いた次世代がん免疫に関する研究を進めており、2024年の治験開始を目指し、PMDAとの相談を開始しています。また、遺伝子編集技術を用いた免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell:以下、UDCと言います。)を用いた新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対する治療法の研究を進めています。
しかしながら、体性幹細胞再生医薬品分野においては当初見込んでいた申請スケジュールに遅延が発生し、今後の研究活動の継続に向けた事業体制の適正化が必要となり、経営資源の再配分、固定費削減を中心とした合理化施策の実施、財務基盤の強化を目指した資金調達等に取り組みました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上収益は22百万円(前年同期比10.8%増)、営業損失は3,064百万円(前年同期は2,443百万円の営業損失)、税引前四半期損失は3,213百万円(前年同期は1,807百万円の税引前四半期損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は3,260百万円(前年同期は1,892百万円の親会社の所有者に帰属する四半期損失)となりました。
(2)財政状態の状況
① 資産、負債及び資本の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,209百万円減少し、20,762百万円となりました。流動資産は2,939百万円減少し、13,489百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の減少2,957百万円であります。非流動資産は270百万円減少し、7,273百万円となりました。主な要因は、使用権資産の増加145百万円、その他の金融資産の減少545百万円であります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ969百万円増加し、16,295百万円となりました。流動負債は157百万円増加し、6,199百万円となりました。主な要因は、営業債務及びその他の債務の増加389百万円、その他の流動負債の減少330百万円であります。非流動負債は812百万円増加し、10,096百万円となりました。主な要因は、Saiseiファンドにおける外部投資家持分の増加403百万円、その他の非流動負債の増加195百万円であります。
(資本)
当第2四半期連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末に比べて4,178百万円減少し、4,467百万円となりました。主な要因は、四半期損失3,260百万円の計上及びその他の資本の構成要素の減少1,034百万円であります。
② キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、資金と言います。)は、前連結会計年度末と比べて2,957百万円減少し、12,169百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は2,568百万円(前年同期は2,179百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税引前四半期損失3,213百万円、金融収益251百万円及び金融費用404百万円の計上並びに営業債務及びその他の債務の増加332百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は734百万円(前年同期は472百万円の資金の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出134百万円及び投資有価証券の取得による支出505百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は258百万円(前年同期は58百万円の資金の使用)となりました。これは、リース負債の返済による支出106百万円及びSaiseiファンドにおける外部投資家からの払込による収入366百万円等によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間においては、体性幹細胞再生医薬品、iPSC再生医薬品の各分野において、以下のとおり研究開発を推進しました。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、2,336百万円(前年同期は1,541百万円)です。
① 体性幹細胞再生医薬品分野
当第2四半期連結累計期間において、体性幹細胞再生医薬品を用いて、日本国内における脳梗塞急性期及びARDSに対する治療薬(開発コード:HLCM051)の開発を進めました。
<炎症>脳梗塞急性期に対する治療薬の開発においては、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施してきました。2022年3月末にすべての治験登録患者の投与後365日後データの収集が完了し、同年5月に試験データの一部を解析し速報値を公表しました。その結果、主要評価項目は未達となりました。一方で、脳梗塞患者の日常生活における臨床的な改善を示す複数の指標を通じて、全般的に1年後の患者の日常生活自立の向上が示唆されました。現在、引き続き本治験データの詳細解析を行うとともに、規制当局と申請に向けた協議を進めております。
ARDSに対する治療薬の開発においては、肺炎を原因疾患としたARDS患者を対象に、有効性及び安全性を検討する第Ⅱ相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を実施しました。2021年8月と11月に、ONE-BRIDGE試験におけるHLCM051投与後90日と180日の評価項目のデータの一部を発表し、有効性並びに安全性について良好な結果が示されました。これらを経て、3月末にPMDAと承認申請に向けての指導及び助言を受けるための再生医療等製品申請前相談を実施いたしました。その中で、本製品の有効性及び安全性に関する一定の合意は得られたものの、承認申請にあたってはデータ補強が必要との助言を受け、規制当局と協議を進めています。
② iPSC再生医薬品分野
当第2四半期連結累計期間において、がん免疫療法、細胞置換療法に関する研究開発を進めました。
<がん免疫>eNK細胞を用いて、固形がんを対象にしたがん免疫療法の研究を進めています。これまで当社グループが培ってきたiPS細胞を取り扱う技術と遺伝子編集技術を用いることで、殺傷能力を高めたeNK細胞の作製に成功しており、更に大量かつ安定的に作製する製造工程を開発するなど、次世代がん免疫療法を創出すべく自社研究を進めています。神戸医療イノベーションセンター内に、2022年7月、当社向け細胞加工製造用施設が本稼働し、eNK細胞の治験製品の製造に向けた試作製造に着手いたしました。
現在までの研究の成果としては、国立研究開発法人国立がん研究センターとの共同研究において、複数種類のがん腫に由来するPDX(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)サンプルにより、eNK細胞が認識する特定の分子候補の発現をRNAシーケンシングと免疫染色で確認しています。次のステップとして、PDXを用いてeNK細胞の抗腫瘍効果などの評価を行う予定です。また、自社研究において、eNK細胞が肺がんモデルマウスやヒト肝がんモデルマウスに対して抗腫瘍効果を有することを確認しております。更に、国立大学法人広島大学大学院とeNK細胞を用いた肝細胞がんに対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を、兵庫医科大学とeNK細胞を用いた中皮腫に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めています。なお、eNK細胞の2024年度中の治験開始を目指し、PMDAとの相談を開始しています。
<細胞置換>iPSCプラットフォームとして、遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞、UDCに関する研究を進めております。患者の免疫細胞に認識されにくいiPS細胞を作製することで拒絶反応を抑制し、有効性と安全性を高めた再生医療等製品を開発するための次世代技術プラットフォームの確立を目指しております。現在、UDCの臨床株及びマスターセルバンクが完成し、様々な細胞に分化できる能力を有することの確認など具体的な臨床応用に向けた研究を進めております。細胞治療への応用としては、網膜を構成する細胞の1つで特に光に反応する視細胞に関し、UDCからの分化誘導が可能なことをカナダのバイオベンチャー企業である STEMAXON との共同研究を通じて確認し、疾患動物モデルを用いた評価を進めています。また、国立研究開発法人国立国際医療研究センターと、血糖値に応じてインスリンを生産・分泌し血液中の糖の調整を担う膵臓β細胞に関し、UDCからの作製に成功しています。
眼科領域において、iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞(開発コード:HLCR011)を用いた治療法開発に向けて、現在、住友ファーマ株式会社と共同で、治験開始を目指し準備を進めています。
肝疾患領域において、機能的なヒト臓器をつくり出す3次元臓器(開発コード:HLCL041)を用いた治療法開発に向けた研究を進めており、2022年4月より、国立大学法人東京大学医科学研究所再生医学分野と、肝疾患に対する肝臓原基*を用いた治療法の実用化に向け、UDCを用いた肝臓原基の製造法確立を目的とした共同研究を開始しました。
* 肝臓の基となる立体的な肝臓の原基。肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系細胞と、血管をつくり出す血管内皮細胞に混合して培養することで形成されます。
なお、当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
以下の表は、当第2四半期連結会計期間末現在の当社グループの開発品並びにその適応症、市場、開発段階及び進捗状況を示しております。
<体性幹細胞再生医薬品分野>
(*)Retinal Pigment Epithelium:網膜色素上皮細胞
(1)経営成績の状況
3月後半のまん延防止等重点措置の全面解除以降、新型コロナウィルスの感染者数は減少し、経済活動はコロナ前の状況へと戻りつつあります。しかしながら、国内の人の動きが活発になるなか、7月以降再び感染者数が増加に転じています。経済全体では、ウクライナ危機に端を発するエネルギー・資源価格の高騰や急激な円安、物価の上昇など、不透明な状況が続いています。製薬業界においては、新型コロナウィルス変異株対応ワクチン等の需要が続くなか、新規創薬を目指したM&Aの進展等、コロナ後を見据えた事業の展開も見られています。
再生医療分野では、4月に京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の井上治久教授らにより、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象に、iPS創薬で発見した治療薬候補についての第2相医師主導治験が開始されました。また、同じく4月、大阪大学の妻木範行教授らのチームは、iPS細胞で椎間板の中心部の組織(軟骨様髄核組織)を作製し、ラットに移植して組織の再生に成功したと発表しました。
このような状況のもと、当社グループは体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において研究開発を推進しました。
体性幹細胞再生医薬品分野においては、脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療薬の承認取得に向けそれぞれ治験を実施してきました。脳梗塞急性期では、2022年5月に試験データの一部を解析し速報値を公表しました。ARDSでは、2022年3月末に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と再生医療等製品申請前相談を実施し、承認申請に向けた協議を継続しています。
iPSC再生医薬品分野においては、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞(開発コード:HLCN061、以下、eNK細胞と言います。)を用いた次世代がん免疫に関する研究を進めており、2024年の治験開始を目指し、PMDAとの相談を開始しています。また、遺伝子編集技術を用いた免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell:以下、UDCと言います。)を用いた新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対する治療法の研究を進めています。
しかしながら、体性幹細胞再生医薬品分野においては当初見込んでいた申請スケジュールに遅延が発生し、今後の研究活動の継続に向けた事業体制の適正化が必要となり、経営資源の再配分、固定費削減を中心とした合理化施策の実施、財務基盤の強化を目指した資金調達等に取り組みました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上収益は22百万円(前年同期比10.8%増)、営業損失は3,064百万円(前年同期は2,443百万円の営業損失)、税引前四半期損失は3,213百万円(前年同期は1,807百万円の税引前四半期損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は3,260百万円(前年同期は1,892百万円の親会社の所有者に帰属する四半期損失)となりました。
(2)財政状態の状況
① 資産、負債及び資本の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,209百万円減少し、20,762百万円となりました。流動資産は2,939百万円減少し、13,489百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の減少2,957百万円であります。非流動資産は270百万円減少し、7,273百万円となりました。主な要因は、使用権資産の増加145百万円、その他の金融資産の減少545百万円であります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ969百万円増加し、16,295百万円となりました。流動負債は157百万円増加し、6,199百万円となりました。主な要因は、営業債務及びその他の債務の増加389百万円、その他の流動負債の減少330百万円であります。非流動負債は812百万円増加し、10,096百万円となりました。主な要因は、Saiseiファンドにおける外部投資家持分の増加403百万円、その他の非流動負債の増加195百万円であります。
(資本)
当第2四半期連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末に比べて4,178百万円減少し、4,467百万円となりました。主な要因は、四半期損失3,260百万円の計上及びその他の資本の構成要素の減少1,034百万円であります。
② キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、資金と言います。)は、前連結会計年度末と比べて2,957百万円減少し、12,169百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は2,568百万円(前年同期は2,179百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税引前四半期損失3,213百万円、金融収益251百万円及び金融費用404百万円の計上並びに営業債務及びその他の債務の増加332百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は734百万円(前年同期は472百万円の資金の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出134百万円及び投資有価証券の取得による支出505百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は258百万円(前年同期は58百万円の資金の使用)となりました。これは、リース負債の返済による支出106百万円及びSaiseiファンドにおける外部投資家からの払込による収入366百万円等によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間においては、体性幹細胞再生医薬品、iPSC再生医薬品の各分野において、以下のとおり研究開発を推進しました。
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、2,336百万円(前年同期は1,541百万円)です。
① 体性幹細胞再生医薬品分野
当第2四半期連結累計期間において、体性幹細胞再生医薬品を用いて、日本国内における脳梗塞急性期及びARDSに対する治療薬(開発コード:HLCM051)の開発を進めました。
<炎症>脳梗塞急性期に対する治療薬の開発においては、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施してきました。2022年3月末にすべての治験登録患者の投与後365日後データの収集が完了し、同年5月に試験データの一部を解析し速報値を公表しました。その結果、主要評価項目は未達となりました。一方で、脳梗塞患者の日常生活における臨床的な改善を示す複数の指標を通じて、全般的に1年後の患者の日常生活自立の向上が示唆されました。現在、引き続き本治験データの詳細解析を行うとともに、規制当局と申請に向けた協議を進めております。
ARDSに対する治療薬の開発においては、肺炎を原因疾患としたARDS患者を対象に、有効性及び安全性を検討する第Ⅱ相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を実施しました。2021年8月と11月に、ONE-BRIDGE試験におけるHLCM051投与後90日と180日の評価項目のデータの一部を発表し、有効性並びに安全性について良好な結果が示されました。これらを経て、3月末にPMDAと承認申請に向けての指導及び助言を受けるための再生医療等製品申請前相談を実施いたしました。その中で、本製品の有効性及び安全性に関する一定の合意は得られたものの、承認申請にあたってはデータ補強が必要との助言を受け、規制当局と協議を進めています。
② iPSC再生医薬品分野
当第2四半期連結累計期間において、がん免疫療法、細胞置換療法に関する研究開発を進めました。
<がん免疫>eNK細胞を用いて、固形がんを対象にしたがん免疫療法の研究を進めています。これまで当社グループが培ってきたiPS細胞を取り扱う技術と遺伝子編集技術を用いることで、殺傷能力を高めたeNK細胞の作製に成功しており、更に大量かつ安定的に作製する製造工程を開発するなど、次世代がん免疫療法を創出すべく自社研究を進めています。神戸医療イノベーションセンター内に、2022年7月、当社向け細胞加工製造用施設が本稼働し、eNK細胞の治験製品の製造に向けた試作製造に着手いたしました。
現在までの研究の成果としては、国立研究開発法人国立がん研究センターとの共同研究において、複数種類のがん腫に由来するPDX(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)サンプルにより、eNK細胞が認識する特定の分子候補の発現をRNAシーケンシングと免疫染色で確認しています。次のステップとして、PDXを用いてeNK細胞の抗腫瘍効果などの評価を行う予定です。また、自社研究において、eNK細胞が肺がんモデルマウスやヒト肝がんモデルマウスに対して抗腫瘍効果を有することを確認しております。更に、国立大学法人広島大学大学院とeNK細胞を用いた肝細胞がんに対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を、兵庫医科大学とeNK細胞を用いた中皮腫に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めています。なお、eNK細胞の2024年度中の治験開始を目指し、PMDAとの相談を開始しています。
<細胞置換>iPSCプラットフォームとして、遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞、UDCに関する研究を進めております。患者の免疫細胞に認識されにくいiPS細胞を作製することで拒絶反応を抑制し、有効性と安全性を高めた再生医療等製品を開発するための次世代技術プラットフォームの確立を目指しております。現在、UDCの臨床株及びマスターセルバンクが完成し、様々な細胞に分化できる能力を有することの確認など具体的な臨床応用に向けた研究を進めております。細胞治療への応用としては、網膜を構成する細胞の1つで特に光に反応する視細胞に関し、UDCからの分化誘導が可能なことをカナダのバイオベンチャー企業である STEMAXON との共同研究を通じて確認し、疾患動物モデルを用いた評価を進めています。また、国立研究開発法人国立国際医療研究センターと、血糖値に応じてインスリンを生産・分泌し血液中の糖の調整を担う膵臓β細胞に関し、UDCからの作製に成功しています。
眼科領域において、iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞(開発コード:HLCR011)を用いた治療法開発に向けて、現在、住友ファーマ株式会社と共同で、治験開始を目指し準備を進めています。
肝疾患領域において、機能的なヒト臓器をつくり出す3次元臓器(開発コード:HLCL041)を用いた治療法開発に向けた研究を進めており、2022年4月より、国立大学法人東京大学医科学研究所再生医学分野と、肝疾患に対する肝臓原基*を用いた治療法の実用化に向け、UDCを用いた肝臓原基の製造法確立を目的とした共同研究を開始しました。
* 肝臓の基となる立体的な肝臓の原基。肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系細胞と、血管をつくり出す血管内皮細胞に混合して培養することで形成されます。
なお、当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
以下の表は、当第2四半期連結会計期間末現在の当社グループの開発品並びにその適応症、市場、開発段階及び進捗状況を示しております。
<体性幹細胞再生医薬品分野>

(*)Retinal Pigment Epithelium:網膜色素上皮細胞