訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2015/12/15 10:00
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【項目】
114項目

対処すべき課題

当社は、「日本文化をもっと身近にする」「私たちのおもてなしを世界に広げる」「世の中を楽しく変えていく」を経営理念に掲げ、呉服等の販売、振袖等の販売・レンタル、成人式の前撮り写真撮影サービス、成人式当日の着付け及びメイクサービス、着物の着方教室の運営等(和装事業)並びに結婚式場の運営等(ウエディング事業)を行っております。
和装事業については多種多様な約4万点(平成27年3月期)の着物在庫、顧客の利便性を追求したワンストップサービス、着方教室の運営、悉皆サービス等により、また、ウエディング事業については本物志向のファシリティと専門的なサービスの内製化により、他社との差別化を図り、業容を拡大させて参りました。
このような環境下において、今後も持続的に事業規模を拡大していくためには、以下の課題への対応が必要であると考えております。
1.和装事業
(1)効率的な営業基盤の強化と営業施設の運営
当社は、着物や着物関連商品等の販売、着方教室の運営等を行っております。創業当時、呉服業界では、売れ残った在庫商品は小売店が製造元に返品するという商習慣が一般的でした。この商習慣により、呉服商品は、製造元にとっては返品リスクがあることから自ずと高値となり、消費者にとって敷居の高いものとなっておりました。そこで、当社ではリーズナブルな価格で顧客に商品を提供するため、製造元から呉服商品を現金で買い取る仕入制度を導入し、「小売主体の流通の構築」「適正価格の実現」を図って参りました。また、顧客の多様なニーズに応えるためには、販売チャネルを増やすことが必要であると考え、創業当時から行っている催事販売に加え店舗販売にも力を入れて参りました。
具体的には、顧客が来店しやすい全国主要都市のオフィスビルやショッピングセンターへの出店、年間700回を超える(平成27年3月期)店内外での当社主催のイベント開催、年間参加者6千人を超える(平成27年3月期)着方教室の運営等、着物を着る喜びを演出し、着物を購入頂けるよう営業基盤の拡大と営業施策を実施して参りました。
一方で、出店費用、店舗運営費用、広告宣伝費等が増加傾向にあり、当事業の課題となっております。より効率的な出店計画を策定し、イベント開催や着方教室の運営等により収益性の更なる向上に努めて参ります。
(2)少子化に伴う若年層の減少と受注金額の増加
成人式用の振袖及び卒業式用の袴等の販売並びにレンタルを行っている当社の主要顧客は、成人式や卒業式を迎える女性でありますが、少子化に伴う若年層の減少と、多様化する顧客のニーズへの対応が課題であります。
少子化に伴う若年層の減少に対しては、人口が集中する首都圏の中でも特に大学・高校の集中するターミナルへの出店を進めたことで受注を拡大させて参りました。
多様化する顧客のニーズに対しては、商品面では多種多様な約4万点の着物在庫(平成27年3月期末)に加え時代のニーズに合わせた商品を仕入れることで、最需要期1月の欠品率を削減し受注金額の増加に努めて参りました。更に、当社では仕入後3年間一度も回転しなかった在庫品については当社「棚卸資産管理規程」に規定する評価基準に従い商品評価損を計上しておりますが、回転が鈍い在庫品を見える化し積極的に販売していくことで、商品回転数の増加を図り、商品評価損の計上額の最小化に努めて参ります。
また、サービス面では当社で振袖等をお求め頂いた顧客に対して提供するワンストップサービスにより競合他社との差別化を図り受注金額を増加させて参ります。
2.ウエディング事業
(1)平均単価の上昇と高稼働率の維持・向上
当社は、ゲストハウスタイプの結婚式場を3館(総バンケット数8)運営しております。少ない式場数ゆえに当社の個性を発揮できる設備(ハード)とサービス(ソフト)の提供を心掛けており、ブライダルフェアにおいてその付加価値を実感して頂くことで高い成約率、平均単価の上昇を目指しております。稼働率(注)は90%を超えておりますが(平成27年3月期)稼働率の維持・向上が課題であります。
当社の設備(ハード)は、主に欧州から本物の調度品や美術品を調達し、また、実存した建築や技法をモチーフとし、歴史的な下支えを大切にしております。一方で、単なる懐古主義ではなく、現代の婚礼に対するニーズをきちんと取り込むことにより、質及び満足度の高い施設を目指しております。
また、サービス(ソフト)に関しては、おもてなしの心で運営することはもちろん、専門的なサービスを内製化(料理、装花、美容、写真撮影、アルバム等フォト製品の企画・開発)することで、より高品質なサービスを、より短いリードタイムで実現することを心掛けております。
(注)稼働率の定義:対象期間取扱組数÷対象期間最大組数
対象期間最大組数:2バンケット式場 380組、3バンケット式場 555組
(2)厳選された立地での結婚式場新設
3館ともに高稼働率を維持しておりますが、持続的な成長、企業価値を向上させるためには、新たな結婚式場をオープンさせることが課題であります。
当社は、結婚式場の新設にあたって、商圏規模、立地条件といった要素から継続的、安定的に集客ができる場所への出店を行って参ります。
3.全社
各事業本部間の連携
当社は事業本部制を採用しておりますが、各事業本部間でのシナジーを更に拡大することが課題であります。現状は以下の施策により各事業本部間での連携を図っております。
(和装事業)
・ 新規出店について、JTS事業本部、オンディーヌ事業本部の両事業本部共同で検討を行っております。
・ 商品・サービス開発について、両事業本部でノベルティの共同開発、流行商品情報の共有等を行っております。
・ 仕入について、両事業本部共同で小物等の仕入を行うことにより、仕入コストの低減を図っております。
・ 写真撮影について、フォトスタジオを共同使用することで、顧客の利便性の向上を図っております。
(和装事業・ウエディング事業)
・ JTS事業本部では、着物でお出かけするイベントを実施しております。ウエディング事業本部の結婚式場を利用するイベントも企画しており、顧客へ当社結婚式場への関心を高めることはもちろん、本物志向の設備(ハード)とおもてなしのサービス(ソフト)を実感頂けるよう取り組んでおります。