有価証券報告書-第7期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)

【提出】
2021/05/28 15:30
【資料】
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【項目】
121項目
(1) 経営成績等の状況の概要
(経営成績の状況)
当社グループは、創業50周年を契機にこれからの成長を見据えて開始した“心にもっとくつろぎを”プロジェクトとして、「くつろぐ、いちばんいいところ」を持続させるための「KOMEDA COMES TRUE.」を合言葉にしたコメダ式サステナビリティ活動を推進しております。また、経営方針を店舗運営にとって一番大切なQSCのそれぞれの概念を進化させ、Q:もっといいもの、S:もっといいこと、C:もっといいところ、と定め経済価値の向上と社会課題の解決に貢献すべく企業活動を行っております。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く外食産業は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、2度にわたり緊急事態宣言が発令され経済活動が停滞するなど、先行きが見通せない極めて厳しい事業環境となりました。このような状況のもと、当社グループは、新型コロナウイルスに起因する緊急事態宣言の発令期間において、国と各地方自治体による営業自粛要請に則り、臨時休業や営業時間の短縮を行いました。また、緊急事態宣言の発令期間以外においても、安心してご来店いただける地域密着の社会インフラとしての役割を果たすべく、お客様の安全を第一に、“3密”防止のための店舗の換気や消毒等の店舗衛生対策を徹底しながら店舗運営を継続しました。加えて、新しい生活様式の中、専用メニューの導入によりテイクアウトやデリバリーを強化し、またアイスコーヒーや夏にうれしい特別なアイテムを詰め込んだサマーバック、アウトドアブランド「LOGOS」とコラボレーションした福袋など店舗物販の強化を行いました。
また、コロナ下においてもご来店いただけるお客様にご満足いただくため、くまモンとのコラボ商品「シロノワールくまもとモンブラン」、欠品するほどの話題となった「コメ牛」、初めて自社工場で製造した小倉あんを使用した定番人気商品「小倉ノワール」などの季節限定メニューを販売いたしました。遠出できないお客様に対しては、近くのコメダでくつろいでいただけるよう「ミニシロノワール半額キャンペーン」や人気アニメ「鬼滅の刃」とのコラボキャンペーンを全国で実施するとともに、ゴディバ監修の「クロネージュ リッチショコラ」を昨年度に実施した同様のキャンペーンに比べて数量を拡大して販売し、多くのお客様にご来店いただきました。
この結果、卸売売上は、当連結会計年度累計の既存店売上高前年比が88.5%、全店売上高前年比が91.6%となり、11月までの累計既存店売上高前年比87.0%、全店売上高前年比90.2%から改善いたしました。
また、コメダ珈琲店について、東日本エリア及び西日本エリアを中心に出店し、SDGsを身近に感じながら金融知識を深められる大和証券株式会社様とのコラボレーション店舗であるコメダ珈琲店 吉祥寺西口店の出店を含んで新規に45店舗を出店したほか、新業態として全てのメニューの原材料を100%プラントベース(植物由来)とした「KOMEDA is □」を出店した結果、当連結会計年度末の店舗数は914店舗となりました。
区分エリア前連結会計
年度末
新規出店閉店当連結会計
年度末
コメダ珈琲店東日本256(21)19(5)1(-)274(22)
中京324(2)3(1)14(-)313(3)
西日本284(7)13(-)3(-)294(7)
海外9(5)10(5)1(-)18(9)
おかげ庵全国11(5)-(-)-(-)11(6)
やわらかシロコッペ
石窯パン工房ADEMOK
KOMEDA is □
全国12(10)1(1)9(8)4(3)
合計896(50)46(12)28(8)914(50)

注1.( )内の数字は直営店舗数であり、内数で記載しております。
2.コメダ珈琲店の東日本エリアにおいて、直営店4店舗をFC化しております。
3.コメダ珈琲店の海外において、直営店1店舗をFC化しております。
4.おかげ庵について、FC店1店舗を直営化しております。
5.コメダスタンドは、やわらかシロコッペの出店数・閉店数に含んでおります。
以上の取り組みの結果、当連結会計年度の売上収益は、28,836百万円(前連結会計年度比7.6%減)となりました。また、新型コロナウイルス感染症拡大に関連したFC加盟店に対する営業支援や都市部の一部の直営店舗に関する減損損失を計上した結果、営業利益は5,511百万円(前連結会計年度比30.0%減)、税引前利益は5,391百万円(前連結会計年度比30.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,590百万円(前連結会計年度比33.2%減)となりました。
また、当社グループは、事業活動を通じて持続的な社会の実現に貢献するため、優先的に取り組むべき13項目のマテリアリティ(重要課題)を特定し、さらにこれらを「品質とお客様」、「人と働きがい」、「環境」、「地域コミュニティ」の4つのテーマに分類しました。この分類ごとに、当社が経済価値の向上と社会課題の解決に貢献すべく、当連結会計年度に実施した主な取り組みは次のとおりです。
品質とお客様に関するテーマ
商品・サービスの安全・安心の追求新型コロナウイルス感染予防策として、手洗い動画及び消毒液の使用マニュアルを全店舗に共有
2021年6月から義務化される店舗HACCP*1の導入及び外部調査機関による運用状況の確認
ミステリーショッパー調査にて新型コロナウイルス感染予防策の実施状況を調査項目に追加
アレルギー表示推奨品目に指定された「アーモンド」を商品アレルギー情報に追加表示
コーヒー工場、パン工場及び製餡工場など、全工場において工場HACCPの運用をスタート
自社工場で生産した「コメダ特製 小倉あん」の店舗への供給を開始
製造工程の作業効率や現場環境の改善を目的に、外部専門家によるコンサルティングを開始
店舗との受発注及び情報共有を円滑且つ安定的に行うための新基幹システムが稼働
多様な消費者
ニーズへの対応
具材の量が3つから選べる牛カルビ肉を使用した新バーガー「コメ牛」を販売
熊本県産の和栗を使用した「シロノワールくまもとモンブラン」を販売
自家製のコメダ特製 小倉あんを使用した季節のシロノワール「小倉ノワール」を販売
ゴディバ監修「クロネージュ リッチショコラ」を販売
夏のお楽しみ袋「サマーバッグ2020」、新年の「コメダの福袋2021」を販売
「鬼滅の刃」とコラボした“コメダでくつろいで鬼を滅ぼせ!”キャンペーンを実施
コメダ初のスマートフォン用公式アプリの運用を開始
持ち帰り専用メニューの開発など、お客様ニーズに対応するテイクアウト施策の推進
コロナ下における宅配の需要にお応えするべく、デリバリーサービスの対応店舗を拡充
持続可能な消費に関する教育と啓発ブラジルの女性農園主の支援を目的とした「プレミアムコーヒー Sophia」を販売
名古屋市内の小学校にて「名古屋の喫茶店文化とおもてなし」についての食育授業を実施
全国の学校に配布される『未来の授業SDGsライフキャリアBOOK』に当社の取り組みを掲載
*1:HACCPはHazard Analysis and Critical Control Point(危害分析に基づく重要管理点)の略で、衛生管理の手法として導入されているもの
人と働きがいに関するテーマ
人財の確保と成長を支える環境整備コロナ下においても接客研修を推進するために「コメダ流おもてなし動画」を店舗向けに配信
コメダ流おもてなしの頂点を選ぶ「接客コンテスト2020 全国大会」をリモートで開催
多様な人財の
活性化
豆菓子パッケージに障がいをお持ちのアーティストのデザインを採用
「ダイバーシティ推進プロジェクト」の一環として女性管理職育成に向けた取り組みを開始
良好な雇用関係と適正な労働条件外部調査機関による従業員満足度調査をFC加盟店へ展開
環境に関するテーマ
気候変動
への対応
全てのメニューをプラントベース(植物由来)で提供する新業態「KOMEDA is □」を開店
コメダ珈琲店 鈴鹿中央通り店、横浜江田店、仙台富沢店にソーラーパネルを設置
全8工場で照明のLED化を推進し、全体の83%を切り替え完了
災害対策として山食パンの冷凍備蓄を推進
森林保全活動である「コメダの森」の面積を4倍に広げて、活動エリアを拡大
サプライチェーンにおける環境と
社会への配慮
SDGsの取り組みを発信する大和証券株式会社様とのコラボレーション店舗を吉祥寺西口に開店
「サステナビリティ調達ガイドライン」を策定し、お取引様へ配信
“もったいないばあさん”とコラボレーションした“サステナスタンプ”キャンペーンを実施
地域コミュニティに関するテーマ
コミュニティ
への参画と投資
コメダファンが集うコメダ公式コミュニティサイト「さんかく屋根の下」を開設
コメダ珈琲店を新規に45店舗(国内:35店舗、海外:10店舗)出店
台湾におけるコメダの認知度及びFC加盟店が増加し、期末店舗数が15店舗まで拡大

(財政状態の分析の状況)
当連結会計年度末における資産、負債及び資本の状況は次のとおりであります。
流動資産は、新型コロナウイルス感染症拡大による当社事業への影響に備えて実行した借入によるその他の金融資産の増加等により前連結会計年度末に比べ9,718百万円増加し、27,938百万円となりました。非流動資産は、有形固定資産の増加、営業債権及びその他の債権の増加等により前連結会計年度末に比べ1,380百万円増加し、81,598百万円となりました。その結果、資産は、前連結会計年度末に比べ11,098百万円増加し、109,536百万円となりました。
また、流動負債は、借入金の増加等により前連結会計年度末に比べ12,498百万円増加し、23,771百万円となりました。非流動負債は、借入金の減少等により前連結会計年度末に比べ3,020百万円減少し、50,932百万円となりました。その結果、負債は、前連結会計年度末に比べ9,478百万円増加し、74,703百万円となりました。
資本は、前連結会計年度末に比べ1,620百万円増加し、34,833百万円となりました。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益を3,590百万円計上した一方で、剰余金の配当2,028百万円を実施したことによるものです。
(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度における資金は、前連結会計年度末に比べ692百万円増加し、7,301百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による収入は10,359百万円(前連結会計年度比1,041百万円増)となりました。これは主に、税引前利益5,391百万円(前連結会計年度比2,384百万円減)及び、営業債権及びその他の債権の減少額706百万円(前連結会計年度比416百万円増)、法人所得税等の支払額928百万円(前連結会計年度比2,153百万円減)、法人所得税等の還付額534百万円(前連結会計年度比45百万円増)によるものです。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による支出は11,556百万円(前連結会計年度比10,184百万円増)となりました。これは主に定期預金の預け入れによる支出10,000百万円(前連結会計年度比10,000百万円増)及び有形固定資産の取得による支出1,382百万円(前連結会計年度比112百万円増)によるものです。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による収入は1,889百万円(前連結会計年度は7,169百万円の支出)となりました。これは主に新型コロナウイルス感染症拡大による当社事業への影響に備えて新規に借入を実行したこと(前連結会計年度比10,130百万円増)及びリース負債の返済3,096百万円(前連結会計年度比343百万円増)、借入金の返済による支出3,135百万円(前連結会計年度比14百万円増)、親会社の所有者への配当金の支払額2,030百万円(前連結会計年度比253百万円減)によるものです。
(生産、受注及び販売の実績)
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年3月1日
至 2021年2月28日)
前年同期比(%)
FC事業(百万円)2,55799.1
合計(百万円)2,55799.1

(注)1.当社グループの事業区分は「FC事業」の単一セグメントであります。
2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、上記金額は消費税等を含んでおらず、百万円未満は四捨五入して記載しております。
3.金額は製造原価によっております。
② 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年3月1日
至 2021年2月28日)
前年同期比(%)
FC事業(百万円)11,33795.7
合計(百万円)11,33795.7

(注)1.当社グループの事業区分は「FC事業」の単一セグメントであります。
2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、上記金額は消費税等を含んでおらず、百万円未満は四捨五入して記載しております。
③ 受注実績
当社グループは見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年3月1日
至 2021年2月28日)
前年同期比(%)
FC事業(百万円)28,83692.4
合計(百万円)28,83692.4

(注)1.当社グループの事業区分は「FC事業」の単一セグメントであります。
2.金額は外部顧客に対する売上収益を示しております。
3.IFRSに基づく金額を記載しております。また、上記金額は消費税等を含んでおらず、百万円未満は四捨五入して記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針並びに重要な見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループは、IFRSに基づき連結財務諸を作成しております。この連結財務諸表作成にあたって必要となる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。重要な会計方針並びに重要な見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に記載のとおりです。
② 経営成績等の分析
経営成績等の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
④ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、「海外を含めた出店エリアの拡大・新店舗フォーマットの開発を通じて、2020年度末までに1,000店舗体制を構築することを目指す」ことを中期経営計画として定め、新経営方針QSCのもと経済価値の向上と社会課題の解決に貢献すべく企業活動を行ってまいりました。
しかしながら、当初80~100店舗を目標としていた海外での出店が想定通りに進まなかったこと及び中期経営計画の最終年度である2021年2月期において新型コロナウイルス感染症拡大により国内出店が減速した結果、2021年2月28日現在の店舗数は914店舗となり、残念ながら1,000店舗を達成できませんでした。
一方、当社グループは、2021年4月14日に開催された取締役会において決議された、2026年2月期を最終年度とする新中期経営計画「VALUES 2025」に基づき、「“くつろぎ”で人と地域と社会をつなぐ」をスローガンとして、お客様を含む全てのステークホルダーの皆さまの多様化する価値観(VALUES)に沿った提供価値の共創を行ってまいります。また、新中期経営計画における重点施策の1つとして、2026年2月末までに店舗数を1,200店舗とする目標を掲げ、2021年2月期を起点として基本的1株当たり利益(EPS)の年平均成長率を10%以上、最終年度においては投下資本利益率(ROIC)を10%以上、自己資本比率を40%以上、株主還元として総還元性向を中期経営計画期間累計で50%以上とする目標と合わせて事業を行ってまいります。
なお、新中期経営計画の実現に向け、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載した取組みを実施してまいります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要(キャッシュ・フローの状況)」に記載のとおりであり、当連結会計年度末における資金は、前連結会計年度末に比べ692百万円増加し、7,301百万円となりました。
また、当社グループの資金は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入により調達しているほか、資金の流動性確保にあたり取引金融機関と総額500百万円の当座貸越契約を締結しております。
なお、2020年4月30日付で、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化するリスクに備え、当社グループは、運転資金の確保を目的として、国内金融機関より10,000百万円の借入を実施しましたが、当連結会計年度後に到来した返済期限である2021年4月30日にその全額を返済しました。