訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2016/07/11 9:31
【資料】
PDFをみる
【項目】
102項目

対処すべき課題

当社グループを取り巻く環境としては、企業収益・雇用環境改善など景気は回復基調にありましたが、中国経済の成長減速、米国の利上げの影響、原油価格の動向といった海外経済の動向に対するリスクが懸念されます。一方で、当社グループの事業領域に関わる市場につきましては、今後2020年の東京オリンピック開催に向け、不動産・建築市場への需要拡大が見込まれることにより産業廃棄物市場の規模や企業のオフィス需要は今後も順調に推移するものと考えております。
このような環境下において、今後激化が予想される競争に勝ち残っていくために、当社グループとしては以下の内容を対処すべき課題として認識しております。
(1)再生樹脂販売製造事業にかかる課題について
a.使用済みタイルカーペットの安定的確保について
再生樹脂製造販売事業において、再生樹脂生産量は建設系産業廃棄物である使用済みタイルカーペットの調達量に依存しております。ゆえに再生樹脂を安定的に生産するためには、使用済みタイルカーペットの安定的調達ルートの確保が必要となります。具体的な施策として、既存取引先からの搬入数量の増加を図るための営業提案を行うとともに、関東地域のみで行っていた調達について将来的には、回収拠点を全国に拡大することを検討しております。なお、第11期連結会計年度及び第12期連結会計年度並びに第13期第3四半期連結累計期間における使用済みタイルカーペットの回収量の推移は以下のとおりです。
第11期
連結会計年度
(自 平成25年7月1日
至 平成26年6月30日)
第12期
連結会計年度
(自 平成26年7月1日
至 平成27年6月30日)
第13期
第3四半期連結累計期間
(自 平成27年7月1日
至 平成28年3月31日)
回収量(t)15,47417,70114,076

b.販売数量の拡大について
グリーン購入法の特定調達品目やエコマークの基準改定の影響から、各タイルカーペットメーカーからの当社グループ製品に対する引き合いが増えているものと認識しております。当社グループとしては、今後も当社グループ製品に対する引き合いが引き続き増加すると想定しており、増加した需要に対応できるよう、生産能力を増強し、販売数量の拡大を図ってまいります。なお、第11期連結会計年度及び第12期連結会計年度並びに第13期第3四半期連結累計期間における再生樹脂の販売量の推移は以下のとおりです。
商品名第11期
連結会計年度
(自 平成25年7月1日
至 平成26年6月30日)
第12期
連結会計年度
(自 平成26年7月1日
至 平成27年6月30日)
第13期
第3四半期連結累計期間
(自 平成27年7月1日
至 平成28年3月31日)
リファインパウダー(t)12,64314,01211,759

c.販売価格の向上について
環境対応製品の市場拡大に伴い、当社グループの製品に対する需要は拡大しており、当社グループの製品の販売価格向上を目指す環境が整ってきていると認識しております。当社グループでは、更なる当社製品の品質改善を行うことで当社グループの製品の価値を高めつつ、この環境を活かして、収益性の更なる向上を図ってまいります。
d.コスト競争力の強化
今後競争環境の激化が予想される中、当社グループとしては以下のようなコスト削減策を講じてまいります。
① 回収した使用済みタイルカーペットのうち廃棄処分品を減少することによる歩留りの向上及び生産ライン稼働率の向上を図ります。
② 生産工程の効率化による人件費の圧縮等による原価低減を図ります。
③ 産業廃棄物処理事業と協業して使用済みタイルカーペットの撤去から再生樹脂製造までの一貫実施を拡大することで、使用済みタイルカーペットの選別作業の削減とこれに伴う原価低減を図ります。
e.新規領域への進出(再生ナイロン)について
現在、使用済みタイルカーペットから再生樹脂を生成した後に発生する繊維(ナイロン)部分について、生産数量の約半分は廃棄物燃料用原料として廉価で販売しておりますが、残りの約半分は当社グループが処分費用を払ってサーマルリサイクル処理委託もしくは最終処分場にて埋め立て処理しております。当社グループとしては、当該ナイロン部分の再生実現にも取り組んでおり、現在は研究開発段階でありますが、実用化に向けて実証プラントを設置し、将来的には全てのナイロン部分について、廉価な廃棄物燃料用原料では無く再生ナイロンとして、再生樹脂と同様、タイルカーペットメーカー等への販売を行うことで売り上げの拡大を図ってまいります。なお、第11期連結会計年度及び第12期連結会計年度並びに第13期第3四半期連結累計期間における当該ナイロン部分の処理委託に要した費用は以下のとおりです。
第11期
連結会計年度
(自 平成25年7月1日
至 平成26年6月30日)
第12期
連結会計年度
(自 平成26年7月1日
至 平成27年6月30日)
第13期
第3四半期連結累計期間
(自 平成27年7月1日
至 平成28年3月31日)
処理委託費用(千円)53,56455,86847,839

(2)産業廃棄物処理事業にかかる課題について
a.人材確保について
株式会社ジーエムエスで行っている産業廃棄物処理事業については、労働集約的な側面が強く今後の成長のためには十分な人材確保が必要となります。一方で当該事業については解体・仕分け業務の中で危険を伴う作業も多く存在し、人員の採用が困難な側面もございます。当社グループでは労働環境の改善並びに安全管理に努めることで働きやすい環境を提供し、十分な人材確保ができるように努力してまいります。
b.処理能力の拡大
産業廃棄物処理事業の収益は、受け入れた廃棄物の体積によって収入が変動します。そのため、当該事業を進捗させるためには、十分な処理能力を確保するための処理施設の設置が必要となります。当社グループでは、上述のとおり再生樹脂製造販売事業の拡大のためにも将来的には産業廃棄物の回収拠点を全国に拡大し、処理能力の拡大に努めることを検討してまいります。
(3)当社グループ事業共通の課題
a.強固な財務基盤の構築について
当社グループ事業を安定的に運営し事業規模拡大を図る上では、財務基盤の強化は不可欠と認識しております。今後利益剰余金の積み増しを図ることで財務基盤を強化するとともに、借入条件並びに借入残高を適時適切に見直すことで金利コストの削減に努めたいと考えております。
b.コンプライアンス体制の強化について
当社グループの主要業務のひとつである産業廃棄物処理事業は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づき許認可を得て事業を行っております。ゆえに同法規定に則り事業を遂行することはもちろんのこと、その他事業活動における法令、企業倫理、社内規程の遵守を確保するため、当社グループの役員及び従業員にコンプライアンスの重要性について周知徹底を図ってまいります。
c.グループ経営管理能力向上に向けた人材育成について
当社グループ事業の継続的な発展を実現するためには、必要な人材を十分に確保していくことが重要であると考えております。そのための人材確保策として、高い専門性を有する人材、化学的知識に精通する人材、及び有能な管理職の獲得を目指すとともに、社内人材の育成に注力してまいります。具体的には、幅広い人材採用活動の実施、教育研究制度の拡充、外部ノウハウの活用等にも積極的に取り組んでまいる所存です。
d.内部統制の整備について
当社グループは小規模組織で人的資源に限りがあるため、全社業務の可視化作業と内部統制の整備を同時並行で実施していくことを計画しております。具体的には、業務の標準化により効率化及びコスト削減を図るとともに、当該標準化過程において確認された業務運営上のリスクに対して適宜予防策を検討してまいる所存です。今後は当該業務のマニュアル化推進によって業務プロセスに係る内部統制を確立し、財務報告の網羅性・適切性を確保してまいります。