有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/08/08 15:00
【資料】
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【項目】
80項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
一般的な業務効率化を目的としたシステムは、手軽でリスクが少ない方法として汎用パッケージシステムをクラウド上で利用する形態に進んでいきます。一方、個々の企業における「競争力の源泉の一つ」である独自の経営ノウハウ、独自の技術、独自の文化(生産方法や営業手法、経営管理方法、顧客サービス手法等)をシステムとして組上げ、最新技術を咀嚼しながらシステムを構築し運用していくことは簡単ではありません。当社は、顧客企業の「競争力の源泉の一つ」となる顧客独自の情報システム構築を実現すること、そして、その道がたとえ困難であっても一歩踏み出す勇気を持つこと、をポリシーとし、以下の経営理念として定めております。
「勇者たらんと。」 小さな僕等が持ち得るものは、一人一人の知恵と勇気と諦めない強い心だけだ。
どんな時でも、「その一歩」が踏み出せるように。
勇者たらんと。
(2)目標とする経営指標
当社は、持続的な成長と企業価値の拡大を図るため、「営業利益」を重要な経営指標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、2019年9月期からの3年間を「小さいが強い企業」への成長プロセスとしての3ヶ年と位置付け、事業のコアである仮想化技術をベースとしつつ、顧客企業のリアルなニーズに対応した高品質なIT技術を提供することで主力事業であるセキュアクラウドシステム事業の継続的な成長を目指しております。また、エモーショナルシステム事業においては、「体験共有型VRシアター」である4D王を市場に広めるため、販売パートナーの確保、および育成を行うとともに、販売力の強化を推進し、2つの事業が、中期的には収益面でお互いに補完しあうことで安定的な収益構造を構築してまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社のコア技術である仮想化技術をベースにしたクラウドシステムの進展とともに、セキュアクラウドシステム事業に対する需要は益々拡大傾向にあり、日本国内のプライベートクラウド市場においては、2017年の市場規模は前年比40.6%増の4,223億円となり、2022年には2兆851億円になると予測されております。(出典:IDC Japan株式会社「国内プライベートクラウド市場予測、2018年~2022年」2018年11月6日)
また、エモーショナルシステム事業においては、BtoBtoC分野が顧客ターゲットであり、セキュアクラウドシステム事業とは異なる需要を喚起することができます。頭に装着するタイプのいわゆるヘッドマウントディスプレイ型のVRとは異なり、軽い3D眼鏡を装着するだけで、一度に16名~100名が同時に視聴・体験・感動を共有できる独自のVRシアターとしての特徴が評価されています。
このような環境下において、当社は、主力のセキュアクラウドシステム事業においては、今後の市場環境や技術革新に対して積極的にキャッチアップし、継続的な成長を目指すとともに、新分野開拓を戦略としたエモーショナルシステム事業の推進により、中長期的には両事業が収益面でお互いに補完しあいながら安定的な収益構造を構築すべく、対処すべき課題として以下の施策に取り組んでまいります。
①優秀な人材の確保
今後暫くは、企業や自治体システムのクラウド化の進展は拡大の一途と予想され、単純なクラウド化から、より複雑で難易度の高い技術が求められております。また、国策としての働き方改革実現のポイントはクラウド技術の活用であり、それらの動きも相まって、クラウド化に対する長年の経験と高い知見を持つ当社のセキュアクラウドシステム事業への期待はますます高まるものと考えられます。その旺盛な企業ニーズに対応するためには優秀な技術者と営業担当者が必要であり、教育投資と並行した人材確保が鍵となりますので、中途採用、新卒採用に関わらず、積極的な人材獲得活動を行い、優秀な人材の確保に努めてまいります。
②企業の基幹システムのクラウド化に係る障害対応技術への取り組み
企業の基幹システムのクラウド化に伴う最も重大なリスクは、通信回線障害時にすべてのシステムが利用不可能となってしまうことです。また、パブリッククラウド業者を利用した場合は、業者が保有する機器障害等によって、ユーザーは利用不可能となります。それを回避するためには、オン・プレミス(自社構内設置)とクラウドをハイブリッドで利用可能なシステム構成が必要とされます。そのため、当社は、最小のコストでこの構成を構築するための技術要素を幅広く検証し、ノウハウの習得に努めてまいります。
③サブスクリプション型(月額徴収型)サービス普及への対処
当社は、プライベートクラウド構築を得意とする会社ではありますが、現在拡大傾向にあるサブスクリプション型(月額徴収型)サービスを利用したシステム構築についても、顧客のニーズに合わせて採用できる体制を整えてまいります。
④ロイヤルカスタマーの獲得のための営業力の強化
自社システムの進展に応じた様々なご相談を当社に継続して行っていただけるロイヤルカスタマーの数を増加させることが、当社の安定的成長に欠かせない経営課題であるため、ロイヤルカスタマー増加に対する営業力の強化に努めてまいります。
⑤4D王の新分野への展開
エモーショナルシステム事業においては、2018年9月期から事業の見直しを行い、再構築の途上にあります。遊園地系以外の分野への特殊3D映像によるVRメディアとしての市場の開拓と、科学館、博物館、防災施設、観光施設、シネコン、製造業の工場見学ルート、あるいは海外への展開を担う、分野別の販売代理店の確保及び育成に努めてまいります。
⑥財務体質の強化
当社は、金融機関からの借入金の割合が株主資本に対して高い比率となっております。今後は運転資金拡大に加え開発及び設備投資のための資金の確保も必要であることから、有利子負債とのバランスを勘案しつつ自己資本の拡充に努めてまいります。