有価証券報告書-第38期(2024/03/01-2025/02/28)
経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績および財政状態の概要
当連結会計年度における我が国の経済は、マイナス金利政策の解除に伴う金融政策の転換や円安の継続、エネルギー・物流費の高止まり、さらに中東情勢の緊迫化などにより、引き続き不透明な外部環境に置かれました。定額減税等による一時的な消費刺激も見られましたが、物価上昇と実質賃金の伸び悩みが影響し、個人消費の回復は限定的にとどまりました。
介護業界においては、高齢化の進行により歩行補助具や入浴関連製品の需要は堅調に推移しております。一方、介護人材不足や生産性向上への要請が高まっており、製品には「使いやすさ」「安全性」「デザイン性」への期待が一層高まっております。
このような状況の中、当社グループは、2025年2月期よりスタートした中期経営計画に基づき、「既存事業の変革と拡大」「業務の効率化」「ブランド価値の再設計」の3方針を柱に各種施策を推進いたしました。
「既存事業の変革と拡大」
当社の中期経営計画における根幹は、歩行車・シルバーカーをはじめとする介護用品・福祉用具領域の競争力強化と、事業構造の高度化にあります。既存市場の成熟化が進む一方で、高齢者人口の拡大と多様化により、製品の差別化と細分化されたニーズへの対応が急務となっております。こうした認識のもと、2024年3月に新型歩行車「ジスタ/Zista」を発売しました。本製品は、駐車ブレーキ操作を不要とした新機構を搭載し、利用者の操作ミスや負担を軽減するとともに、安全性の向上と簡便な操作性を両立した革新的なモデルとなります。高齢者ご本人だけでなく、介護者や販売事業者からも高く評価され、業界のスタンダードを塗り替える製品として確かな手応えを得ており、加えて、杖・シルバーカー・入浴補助具といった製品群のラインナップ拡充も強化しております。これにより、利用者の生活動線に即したトータル提案が可能となり、「個別製品の供給」から「生活の支援」へと、当社の事業提供価値は着実に広がっています。販売チャネルについても多角化を進めており、介護保険制度を活用したレンタル市場に加え、ECや量販店など自費購入層への訴求も強化しております。製品の価格帯や使用目的に応じたマーケティングを展開し、需要の細分化に的確に対応する戦略を推進し、特にEC分野では、製品構成や価格体系の見直しや購入導線の改善などにより、収益性の向上と顧客利便性の両立を図っております。
「業務の効率化」
業務の効率化は、当社が中期経営計画において重視する重要施策の一つです。変化の激しい経営環境において、業務のスピードと品質の両立、そして働きやすさを追求する体制の構築が、企業としての持続可能性と人材競争力の源泉になると考えています。社内業務においては、属人化しやすい手続きや判断業務を中心に標準化を推進しております。特に、稟議フローの見直しや形骸化した業務の整理を進めることで、意思決定プロセスの迅速化と、実態に即した業務運用の最適化に取り組んでおります。これにより、業務負荷の平準化やボトルネックの解消が進み、突発的な業務にも柔軟に対応できる体制づくりが進展しています。
労働環境面では、残業時間の削減と有給休暇の取得促進に継続して取り組んでおり、当連結会計年度では残業時間が前年から34%削減、有給取得率は75%と、制度運用の定着と意識の定着が成果として表れました。また、年間休日数の見直しも行い、従業員のワークライフバランスの向上に努めています。これらの取り組みは、従業員満足度の向上だけでなく、採用市場における当社の競争力強化にもつながっています。
加えて、本社社屋の改装を実施し、効率的な執務エリアの配置により部門間連携を促進しました。さらに、来客と従業員の動線を明確に分離することで、セキュリティと業務効率の両立を実現しました。新たに設置されたリフレッシュスペースは、従業員のコミュニケーションを活性化し、働きやすさや創造性の向上にも寄与しています。流通面では、製品在庫の適正化や輸送効率の見直しを通じて、保管コスト・配送コストの抑制に取り組んでおります。販売実績や出荷傾向の分析に基づいた在庫管理を行うことで、過剰在庫の防止と出荷対応の迅速化を両立しており、引き続き、需給バランスに応じた運用体制を整備してまいります。また、生産体制の一環として、海外自社拠点において一部製品の内製比率を高める取り組みも進めております。これは、設計・品質管理との連携強化や安定供給体制の確保を目的としたものであり、外部取引先との協調を維持しつつ、全体最適を志向した生産体制の再構築を図っています。
こうした一連の施策を通じて、当社は単なる“業務の削減”ではなく、価値を生み出すための時間・体制・環境を整備することを目指しております。今後も、業務品質とスピードの両立、そして人的資本の活性化を通じて、企業としての生産性を総合的に引き上げてまいります。
「ブランド価値の再設計」
当社グループでは、福祉用具に求められる基本的な機能性や安全性を前提としながら、使用者の暮らしや感性に寄り添った製品づくりを重視し、製品の総合的な価値向上に取り組んでおります。これまで福祉用具は“医療機器的”な無機質なデザインが主流でしたが、近年では使用者のライフスタイルや自立意欲に調和する「使いたくなる製品」への期待が高まっています。
こうした市場の変化を踏まえ、当社では2024年4月に新たなブランド「AURULA(アウルラ)」を立ち上げました。AURULAは、「日常の背景のように自然に寄り添う」をコンセプトに、使う人の生活の中に違和感なく溶け込み、日常にさりげなく寄り添う存在でありたいという想いから生まれたブランドです。単なる道具としての福祉用具ではなく、使用者の気持ちや生活の風景を大切にする“生活道具”として、デザインと機能の調和を追求した製品群を展開しています。
ブランド第一弾として発売した「前押しカート」は、滑らかなフレーム設計や質感へのこだわり、直感的な操作性など、従来のカートとは一線を画すプロダクトです。生活空間や街並みに自然と馴染む佇まいを目指し、使用者が「持つことに誇りや安心を感じられる」デザインと使い心地を追求しました。これまでの延長線上にはない、新しい視点から開発された製品として、ブランドの象徴的な存在となっています。
また、AURULAは「高齢者が使うもの」といった従来の福祉用具の固定観念にも問いを投げかける存在です。年齢や身体状況にかかわらず、自分らしく生きるすべての人々の生活に自然と溶け込む製品を目指し、福祉用具の新たな可能性を切り拓いていきたいと考えております。
現在、AURULAの世界観や価値を生活者に届けるための情報発信のあり方について、その方向性を明確にするべく取り組みを進めております。介護・福祉の枠にとらわれない表現や、顧客との新たな接点の可能性も視野に入れ、ブランド体験をより自然なかたちで伝えるための手法の整理を行っている段階です。AURULAの持つ思想や魅力を、使用者の視点に立って共感を呼ぶかたちで発信していくことが、今後のブランド浸透において重要なテーマであると捉えております。
今後は、AURULAの製品展開をさらに深めるとともに、歩行補助具の枠にとどまらない生活支援のあり方についても検討を進めてまいります。また、使用者の多様な生活スタイルや価値観に寄り添うべく、製品の設計や細部仕様における工夫を重ね、「選べる福祉用具」としての付加価値を高めてまいります。機能性と感性の両立を図りながら、“生活価値創造企業”への進化を目指してまいります。この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ71,221千円増加し、4,888,061千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ455,267千円減少し、1,883,293千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ526,488千円増加し、3,004,767千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高6,368,477千円(前年同期比0.6%減)、営業利益797,366千円(前年同期比15.9%減)、経常利益827,510千円(前年同期比11.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益616,203千円(前年同期比13.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①介護用品・福祉用具製造販売事業
介護用品・福祉用具製造販売事業の当連結会計年度の売上高は、介護ルートが堅調に推移し、5,685,314千円(前年同期比1.1%増)となりましたが、円安の影響による仕入コスト等の増加により、セグメント利益は1,073,499千円(前年同期比6.6%減)となりました。
②介護サービス事業
介護サービス事業の当連結会計年度の売上高は、2023年12月に関東圏を中心とするレンタル事業を一部譲渡したことにより、94,176千円(前年同期比37.8%減)となり、セグメント損失は58,535千円(前年同期はセグメント損失12,618千円)となりました。
③EC事業
EC事業の当連結会計年度の売上高は、価格および製品群の見直し等の影響により、779,222千円(前年同期比3.4%減)となり、セグメント利益は54,730千円(前年同期比22.6%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,540,553千円となり、前連結会計年度末に比べ518,924千円増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は960,494千円(前年同期は742,057千円の獲得)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益929,744千円、減価償却費212,919千円等の増加要因が、未払消費税等の減少額60,208千円、法人税等の支払額276,621千円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、38,484千円(前年同期は92,963千円の獲得)となりました。主な要因は、有形固定資産の売却による収入551,416千円等の増加要因が、有形固定資産の取得による支出317,500千円、定期預金の預入による支出147,245千円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は549,822千円(前年同期は1,085,306千円の使用)となりました。主な要因は、短期借入金純減少額170,000千円、長期借入金の返済による支出72,288千円、自己株式の取得による支出146,922千円、リース債務の返済による支出126,987千円等の減少要因が、株式の発行による収入13,414千円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
②商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は実際仕入原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
③受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
④販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、「重要な会計方針および見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.売上高および売上総利益
2024年3月に新商品「ジスタ/Zista」を販売し、当社の主力カテゴリーである歩行関連商品の出荷が堅調に推移した結果、売上高は6,368,477千円(前期比0.6%減)となりました。利益面では、円安の影響による仕入コスト等の増加により、売上総利益は2,824,614千円(前期比4.3%減)となりました。
b.販売費及び一般管理費および営業利益
運賃をはじめとする物流費高騰などの影響を受け、販売費及び一般管理費が22,642千円増加した結果、2,027,248千円となり、営業利益は797,366千円(前期比15.9%減)となりました。
c.営業外損益および経常利益
営業外収益として賃貸収入44,922千円、受取手数料10,861千円等を計上し、営業外費用として支払利息15,676千円および賃貸費用24,638千円等を計上した結果、当連結会計年度の経常利益は827,510千円(前期比11.7%減)となりました。
d.特別損益および当期純利益
特別利益としてリース解約益196,675千円および固定資産売却益61,943千円、特別損失として減損損失104,300千円、リース解約損49,419千円等を計上した結果、税金等調整前当期純利益は929,744千円(前期比4.6%減)となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は616,203千円(前期比13.3%減)となりました。
③財政状態の分析
a.流動資産
流動資産は、前連結会計年度末と比較して554,420千円増加し、3,849,238千円となりました。これは主に、現金及び預金666,170千円、流動資産のその他に含まれる未収消費税12,857千円等の増加要因が、商品及び製品109,274千円、受取手形及び売掛金5,787千円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
b.固定資産
固定資産は、前連結会計年度末と比較し483,199千円減少の1,038,823千円となりました。主な要因は、有形固定資産に含まれる建物及び構築物114,187千円、使用権資産200,598千円、土地259,400千円等の減少要因が、有形固定資産のその他に含まれる工具、器具及び備品67,191千円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
c.流動負債
流動負債は、前連結会計年度末と比較し、217,031千円減少の1,818,561千円となりました。主な要因は、短期借入金170,000千円、リース債務83,670千円、1年内返済予定の長期借入金48,184千円等の減少要因が、支払手形及び買掛金182,647千円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
d.固定負債
固定負債は、前連結会計年度末と比較し、238,235千円減少の64,732千円となりました。主な要因は、長期借入金24,104千円、リース債務220,627千円等の減少によるものであります。
e.純資産
純資産は、前連結会計年度末と比較し、526,488千円増加し、3,004,767千円となりました。主な要因は、自己株式の取得による減少146,922千円、配当金の支払いによる減少47,038千円等の減少要因が、親会社株主に帰属する当期純利益616,203千円、為替換算調整勘定58,231千円等の増加要因を下回ったことによるものであります。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑥経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑦経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑧資本の財源および資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、2022年2月期に実施した公募増資と第三者割当による増資で得た資金および金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は393,502千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,540,553千円となっております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績および財政状態の概要
当連結会計年度における我が国の経済は、マイナス金利政策の解除に伴う金融政策の転換や円安の継続、エネルギー・物流費の高止まり、さらに中東情勢の緊迫化などにより、引き続き不透明な外部環境に置かれました。定額減税等による一時的な消費刺激も見られましたが、物価上昇と実質賃金の伸び悩みが影響し、個人消費の回復は限定的にとどまりました。
介護業界においては、高齢化の進行により歩行補助具や入浴関連製品の需要は堅調に推移しております。一方、介護人材不足や生産性向上への要請が高まっており、製品には「使いやすさ」「安全性」「デザイン性」への期待が一層高まっております。
このような状況の中、当社グループは、2025年2月期よりスタートした中期経営計画に基づき、「既存事業の変革と拡大」「業務の効率化」「ブランド価値の再設計」の3方針を柱に各種施策を推進いたしました。
「既存事業の変革と拡大」
当社の中期経営計画における根幹は、歩行車・シルバーカーをはじめとする介護用品・福祉用具領域の競争力強化と、事業構造の高度化にあります。既存市場の成熟化が進む一方で、高齢者人口の拡大と多様化により、製品の差別化と細分化されたニーズへの対応が急務となっております。こうした認識のもと、2024年3月に新型歩行車「ジスタ/Zista」を発売しました。本製品は、駐車ブレーキ操作を不要とした新機構を搭載し、利用者の操作ミスや負担を軽減するとともに、安全性の向上と簡便な操作性を両立した革新的なモデルとなります。高齢者ご本人だけでなく、介護者や販売事業者からも高く評価され、業界のスタンダードを塗り替える製品として確かな手応えを得ており、加えて、杖・シルバーカー・入浴補助具といった製品群のラインナップ拡充も強化しております。これにより、利用者の生活動線に即したトータル提案が可能となり、「個別製品の供給」から「生活の支援」へと、当社の事業提供価値は着実に広がっています。販売チャネルについても多角化を進めており、介護保険制度を活用したレンタル市場に加え、ECや量販店など自費購入層への訴求も強化しております。製品の価格帯や使用目的に応じたマーケティングを展開し、需要の細分化に的確に対応する戦略を推進し、特にEC分野では、製品構成や価格体系の見直しや購入導線の改善などにより、収益性の向上と顧客利便性の両立を図っております。
「業務の効率化」
業務の効率化は、当社が中期経営計画において重視する重要施策の一つです。変化の激しい経営環境において、業務のスピードと品質の両立、そして働きやすさを追求する体制の構築が、企業としての持続可能性と人材競争力の源泉になると考えています。社内業務においては、属人化しやすい手続きや判断業務を中心に標準化を推進しております。特に、稟議フローの見直しや形骸化した業務の整理を進めることで、意思決定プロセスの迅速化と、実態に即した業務運用の最適化に取り組んでおります。これにより、業務負荷の平準化やボトルネックの解消が進み、突発的な業務にも柔軟に対応できる体制づくりが進展しています。
労働環境面では、残業時間の削減と有給休暇の取得促進に継続して取り組んでおり、当連結会計年度では残業時間が前年から34%削減、有給取得率は75%と、制度運用の定着と意識の定着が成果として表れました。また、年間休日数の見直しも行い、従業員のワークライフバランスの向上に努めています。これらの取り組みは、従業員満足度の向上だけでなく、採用市場における当社の競争力強化にもつながっています。
加えて、本社社屋の改装を実施し、効率的な執務エリアの配置により部門間連携を促進しました。さらに、来客と従業員の動線を明確に分離することで、セキュリティと業務効率の両立を実現しました。新たに設置されたリフレッシュスペースは、従業員のコミュニケーションを活性化し、働きやすさや創造性の向上にも寄与しています。流通面では、製品在庫の適正化や輸送効率の見直しを通じて、保管コスト・配送コストの抑制に取り組んでおります。販売実績や出荷傾向の分析に基づいた在庫管理を行うことで、過剰在庫の防止と出荷対応の迅速化を両立しており、引き続き、需給バランスに応じた運用体制を整備してまいります。また、生産体制の一環として、海外自社拠点において一部製品の内製比率を高める取り組みも進めております。これは、設計・品質管理との連携強化や安定供給体制の確保を目的としたものであり、外部取引先との協調を維持しつつ、全体最適を志向した生産体制の再構築を図っています。
こうした一連の施策を通じて、当社は単なる“業務の削減”ではなく、価値を生み出すための時間・体制・環境を整備することを目指しております。今後も、業務品質とスピードの両立、そして人的資本の活性化を通じて、企業としての生産性を総合的に引き上げてまいります。
「ブランド価値の再設計」
当社グループでは、福祉用具に求められる基本的な機能性や安全性を前提としながら、使用者の暮らしや感性に寄り添った製品づくりを重視し、製品の総合的な価値向上に取り組んでおります。これまで福祉用具は“医療機器的”な無機質なデザインが主流でしたが、近年では使用者のライフスタイルや自立意欲に調和する「使いたくなる製品」への期待が高まっています。
こうした市場の変化を踏まえ、当社では2024年4月に新たなブランド「AURULA(アウルラ)」を立ち上げました。AURULAは、「日常の背景のように自然に寄り添う」をコンセプトに、使う人の生活の中に違和感なく溶け込み、日常にさりげなく寄り添う存在でありたいという想いから生まれたブランドです。単なる道具としての福祉用具ではなく、使用者の気持ちや生活の風景を大切にする“生活道具”として、デザインと機能の調和を追求した製品群を展開しています。
ブランド第一弾として発売した「前押しカート」は、滑らかなフレーム設計や質感へのこだわり、直感的な操作性など、従来のカートとは一線を画すプロダクトです。生活空間や街並みに自然と馴染む佇まいを目指し、使用者が「持つことに誇りや安心を感じられる」デザインと使い心地を追求しました。これまでの延長線上にはない、新しい視点から開発された製品として、ブランドの象徴的な存在となっています。
また、AURULAは「高齢者が使うもの」といった従来の福祉用具の固定観念にも問いを投げかける存在です。年齢や身体状況にかかわらず、自分らしく生きるすべての人々の生活に自然と溶け込む製品を目指し、福祉用具の新たな可能性を切り拓いていきたいと考えております。
現在、AURULAの世界観や価値を生活者に届けるための情報発信のあり方について、その方向性を明確にするべく取り組みを進めております。介護・福祉の枠にとらわれない表現や、顧客との新たな接点の可能性も視野に入れ、ブランド体験をより自然なかたちで伝えるための手法の整理を行っている段階です。AURULAの持つ思想や魅力を、使用者の視点に立って共感を呼ぶかたちで発信していくことが、今後のブランド浸透において重要なテーマであると捉えております。
今後は、AURULAの製品展開をさらに深めるとともに、歩行補助具の枠にとどまらない生活支援のあり方についても検討を進めてまいります。また、使用者の多様な生活スタイルや価値観に寄り添うべく、製品の設計や細部仕様における工夫を重ね、「選べる福祉用具」としての付加価値を高めてまいります。機能性と感性の両立を図りながら、“生活価値創造企業”への進化を目指してまいります。この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ71,221千円増加し、4,888,061千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ455,267千円減少し、1,883,293千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ526,488千円増加し、3,004,767千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高6,368,477千円(前年同期比0.6%減)、営業利益797,366千円(前年同期比15.9%減)、経常利益827,510千円(前年同期比11.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益616,203千円(前年同期比13.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①介護用品・福祉用具製造販売事業
介護用品・福祉用具製造販売事業の当連結会計年度の売上高は、介護ルートが堅調に推移し、5,685,314千円(前年同期比1.1%増)となりましたが、円安の影響による仕入コスト等の増加により、セグメント利益は1,073,499千円(前年同期比6.6%減)となりました。
②介護サービス事業
介護サービス事業の当連結会計年度の売上高は、2023年12月に関東圏を中心とするレンタル事業を一部譲渡したことにより、94,176千円(前年同期比37.8%減)となり、セグメント損失は58,535千円(前年同期はセグメント損失12,618千円)となりました。
③EC事業
EC事業の当連結会計年度の売上高は、価格および製品群の見直し等の影響により、779,222千円(前年同期比3.4%減)となり、セグメント利益は54,730千円(前年同期比22.6%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,540,553千円となり、前連結会計年度末に比べ518,924千円増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は960,494千円(前年同期は742,057千円の獲得)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益929,744千円、減価償却費212,919千円等の増加要因が、未払消費税等の減少額60,208千円、法人税等の支払額276,621千円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、38,484千円(前年同期は92,963千円の獲得)となりました。主な要因は、有形固定資産の売却による収入551,416千円等の増加要因が、有形固定資産の取得による支出317,500千円、定期預金の預入による支出147,245千円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は549,822千円(前年同期は1,085,306千円の使用)となりました。主な要因は、短期借入金純減少額170,000千円、長期借入金の返済による支出72,288千円、自己株式の取得による支出146,922千円、リース債務の返済による支出126,987千円等の減少要因が、株式の発行による収入13,414千円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| 介護用品・福祉用具製造販売事業 | 2,062,793 | 104.5 |
| 介護サービス事業 | - | - |
| EC事業 | - | - |
| 合計 | 2,062,793 | 104.5 |
(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
②商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| 介護用品・福祉用具製造販売事業 | 2,184,946 | 96.8 |
| 介護サービス事業 | 60,165 | 68.3 |
| EC事業 | 370,153 | 99.5 |
| 合計 | 2,615,264 | 96.3 |
(注)金額は実際仕入原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
③受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) | |||
| 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) | |
| 介護用品・福祉用具製造販売事業 | 1,278,332 | 132.5 | 212,121 | 144.8 |
| 介護サービス事業 | - | - | - | - |
| EC事業 | - | - | - | - |
| 合計 | 1,278,332 | 132.5 | 212,121 | 144.8 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
④販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| 介護用品・福祉用具製造販売事業 | 5,495,078 | 100.9 |
| 介護サービス事業 | 94,176 | 62.2 |
| EC事業 | 779,222 | 96.6 |
| 合計 | 6,368,477 | 99.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) | 当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| パナソニックエイジフリー株式会社 | 1,065,861 | 16.6 | 1,312,099 | 20.6 |
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、「重要な会計方針および見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.売上高および売上総利益
2024年3月に新商品「ジスタ/Zista」を販売し、当社の主力カテゴリーである歩行関連商品の出荷が堅調に推移した結果、売上高は6,368,477千円(前期比0.6%減)となりました。利益面では、円安の影響による仕入コスト等の増加により、売上総利益は2,824,614千円(前期比4.3%減)となりました。
b.販売費及び一般管理費および営業利益
運賃をはじめとする物流費高騰などの影響を受け、販売費及び一般管理費が22,642千円増加した結果、2,027,248千円となり、営業利益は797,366千円(前期比15.9%減)となりました。
c.営業外損益および経常利益
営業外収益として賃貸収入44,922千円、受取手数料10,861千円等を計上し、営業外費用として支払利息15,676千円および賃貸費用24,638千円等を計上した結果、当連結会計年度の経常利益は827,510千円(前期比11.7%減)となりました。
d.特別損益および当期純利益
特別利益としてリース解約益196,675千円および固定資産売却益61,943千円、特別損失として減損損失104,300千円、リース解約損49,419千円等を計上した結果、税金等調整前当期純利益は929,744千円(前期比4.6%減)となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は616,203千円(前期比13.3%減)となりました。
③財政状態の分析
a.流動資産
流動資産は、前連結会計年度末と比較して554,420千円増加し、3,849,238千円となりました。これは主に、現金及び預金666,170千円、流動資産のその他に含まれる未収消費税12,857千円等の増加要因が、商品及び製品109,274千円、受取手形及び売掛金5,787千円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
b.固定資産
固定資産は、前連結会計年度末と比較し483,199千円減少の1,038,823千円となりました。主な要因は、有形固定資産に含まれる建物及び構築物114,187千円、使用権資産200,598千円、土地259,400千円等の減少要因が、有形固定資産のその他に含まれる工具、器具及び備品67,191千円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
c.流動負債
流動負債は、前連結会計年度末と比較し、217,031千円減少の1,818,561千円となりました。主な要因は、短期借入金170,000千円、リース債務83,670千円、1年内返済予定の長期借入金48,184千円等の減少要因が、支払手形及び買掛金182,647千円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
d.固定負債
固定負債は、前連結会計年度末と比較し、238,235千円減少の64,732千円となりました。主な要因は、長期借入金24,104千円、リース債務220,627千円等の減少によるものであります。
e.純資産
純資産は、前連結会計年度末と比較し、526,488千円増加し、3,004,767千円となりました。主な要因は、自己株式の取得による減少146,922千円、配当金の支払いによる減少47,038千円等の減少要因が、親会社株主に帰属する当期純利益616,203千円、為替換算調整勘定58,231千円等の増加要因を下回ったことによるものであります。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑥経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑦経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑧資本の財源および資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、2022年2月期に実施した公募増資と第三者割当による増資で得た資金および金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は393,502千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,540,553千円となっております。