有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2017/11/09 15:00
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【項目】
104項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を、以下に記載しております。当社グループは、これらのリスクの可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合における当該リスクによる影響の最小化に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、記載事項における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は当社グループに関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
(1) 事業環境に関するリスク
① 市場環境の変化について
当社グループは、プロフェッショナルサービス事業において、ビジネスプロセスマネジメントに関する知見及び実績を起点として、コンサルティング及びデジタル活用サービスを変革テーマに応じ、組み合わせて提供しています。ビジネスプロセスマネジメントに係る取り組みを推進する上で、ビジネスモデルの変革と共に、進化を続けるテクノロジーの利用は不可欠となっており、今後も企業のIT投資マインドは高水準で推移することが見込まれますが、国内外の経済情勢や景気動向の悪化、予期せぬ要因による市場拡大の阻害といった状況が生じた場合には、新規顧客開拓の低迷や既存顧客からの受注減少等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
当社グループが手掛けるプロフェッショナルサービス事業は、一部コンサルティング領域について大手コンサルティング会社やSIer(システムベンダー)と競合する可能性はあるものの、基本的には各ベンダーに対して中立な立場でサービスを提供できる会社として独自のポジションを確立しているため、競合する要素は少ないものと考えております。また、プラットフォーム事業についても、掲載される案件やエンジニア等の情報は他のクラウドソーシングサービス等が扱う領域と異なることから、競合の要素は少ないものと考えております。しかしながら、今後、他社がノウハウを蓄積し、当社グループが提供するサービス領域での競合となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります
③ 特定の取引先への依存について
当社グループの売上について、販売比率(当連結会計年度における連結売上高に占める割合)が売上高全体の10%を超過している取引先があり、売上高に占める特定の取引先への依存度が高くなっております。当社グループでは、特定の取引先への依存による業績に対する影響を緩和するため、営業力を強化し、積極的な営業活動による新規顧客等の獲得を通じて、営業基盤の拡大に努めて参ります。
しかしながら、当該特定の取引先における経営方針や業績の変化等によって、契約が想定外に短期間で終了した場合や、取引先の意向により規模縮小等の契約変更を余儀なくされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ プラットフォーム事業について
当社の子会社である株式会社アサインナビが営むプラットフォーム事業は「課題を抱える顧客企業と解決手段を持つテクノロジー企業が出会えていない」、「顧客企業の旺盛なIT投資に応えるIT人材の不足」、「自社のIT人材を十分に活用するプロジェクト機会がない」といった課題を解決することを目的として、平成26年7月よりサービス提供を開始しております。サービス提供開始以来、サービス立ち上げに伴う投資で赤字が続き、プラットフォーム事業として、平成28年12月期に事業計画の修正に伴う減損損失64,291千円を計上した影響もあり、平成28年12月末時点では285,915千円の債務超過となっておりましたが、第16期第3四半期連結累計期間においては、セグメント利益が10,241千円の黒字となり、収益の改善が進んでおります。
しかしながら、今後の計画が想定通りに進捗しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業運営に関するリスク
① 特定人物への依存について
当社の代表取締役社長CEOである樺島弘明は、当社設立メンバーの1人であり、最高経営責任者として経営方針や事業戦略の立案・決定及び事業推進において重要な役割を果たしております。
当社グループは、経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ることにより、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により、同氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 優秀な人財の獲得及び育成について
当社グループにおいては、人財が最重要経営資源であり、今後の企業規模拡大に向けて、当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人財を継続的に採用し、育成していくことが重要であると考えております。
しかしながら、IT・コンサルティング業界における人財の争奪戦は激しさを増しており、優秀な人財の採用・確保及び育成が計画通りに進まない場合や、優秀な人財の社外流出が生じた場合、人財採用に係るコストが高騰した場合には、競争力の低下や事業規模拡大の制約、顧客に提供するサービスレベルの低下をもたらし、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
③ 外注先の確保について
当社グループのプロフェッショナルサービス事業においては、一部の業務を、専門性や経済性等を考慮して選定した適切な外部協力会社に委託しております。プロジェクト成功のためには、信頼感のある外部協力会社から、タイムリーに支援を受けることのできる体制を構築しておくことが重要です。
現状では、外部協力会社とは安定的な取引関係を保っておりますが、外部協力会社による品質トラブルが発生した場合や必要なコンサルタント数を適切に確保できない場合、外注コストが高騰した場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 不採算案件(プロジェクト)及び期ずれの発生について
当社グループのプロフェッショナルサービス事業においては、各プロジェクトについて想定される難易度及び工数に基づいて見積りを作成し、適正な利益率を確保した上で、プロジェクトを受注しております。受注後は、想定工数に乖離が生じないよう、要員管理・進捗管理・予算管理等のプロジェクト管理を行っておりますが、予期せぬトラブルやスケジュール変更等により工数が大幅に増加し、不採算案件が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当事業においては、顧客企業の検収をもって売上計上をしているため、期末月に売上計上を計画する案件については、予期せぬトラブルやスケジュール変更等により期ずれが生じる可能性があり、当該要因により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ システムトラブルについて
当社グループのプラットフォーム事業における「アサインナビ」サービスは、インターネットを介して顧客に提供されております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備の増強やセキュリティ機能の強化、社内体制の整備等を行っておりますが、大規模なプログラム不良やアクセス数の急激な増加に伴う負荷の増加、不正アクセス、自然災害及び予期し得ない事故、その他何らかの要因により大規模なシステム障害が発生した場合には、サービス利用者との信頼関係に悪影響が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 情報セキュリティリスクについて
当社グループでは、サービス提供にあたり、顧客の機密情報や個人情報を受領することがあるため、役員及び従業員に対し、守秘義務の遵守、機密情報や個人情報の情報管理を徹底しております。
しかしながら、何らかの要因によってこれらの情報が外部に漏えいしたり、改ざん・不正使用等の問題が生じたりした場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、損害賠償等の対応費用を含め、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 内部管理体制の構築について
当社グループの組織体制は小規模なものとなっておりますが、現在の人員構成において最適と考えられる内部管理体制を構築しております。当社グループは、今後の事業拡大に合わせて内部管理に係る人員の確保及び体制の強化が順調に進まなかった場合、内部管理機能が有効に機能せず、適切な事業運営を行うことができなくなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法的規制に関するリスク
① 一般的な法的規制について
現在、プロフェッショナルサービス事業及びプラットフォーム事業のいずれにおいても、事業運営に関する特有の法的規制はありません。しかし、新しく法的規制が制定された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性、及び事業展開のスピードに悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、プロフェッショナルサービス事業において提供しているサービスには、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業に該当するものがあり、当社は、労働者派遣法に基づき、厚生労働大臣より「労働者派遣事業の許可」を受け、これを実施しております(許可番号:派13-301883、有効期間:平成26年8月1日から平成31年7月31日まで)。
労働者派遣法では、派遣元事業主が許可の欠格事由に該当した場合には、事業の全部又は一部の停止を命じることや、許可の取り消し等ができる旨を定めております。現時点で、当社が労働者派遣法に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後、何らかの理由により、当社又は当社の役員が労働者派遣法に抵触した場合、当社の事業活動に支障をきたすことが予想され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権について
プラットフォーム事業において提供している「アサインナビ」サービスにおいて使用する商標、ソフトウェア、システム等について、現時点において、第三者の知的財産権を侵害するものはないと認識しております。今後も、権利侵害を回避するため監視・管理等を行っていく方針でありますが、プラットフォーム事業の事業分野において、当社グループとして認識していない知的財産権が既に成立している可能性、又は新たに第三者による著作権等が成立する可能性もあります。その場合、第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償請求や使用差し止め、権利に関する使用料等の支払請求がなされることが想定され、そのような事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) その他のリスク
① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、取締役及び従業員に対して、財政状態及び経営成績向上に対する意欲を高めることを目的とした新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。新株予約権が権利行使された場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は901,000株であり、発行済株式総数3,300,000株の27.3%に相当しております。
② ベンチャーキャピタルの持株比率について
当社グループのベンチャーキャピタルの持株比率は本書提出日現在、345,000株であり発行済株式総数3,300,000株の10.5%に相当しております。ベンチャーキャピタルの未公開株式保有目的は、当該株式の新規株式公開以降に当該株式を売却し、キャピタルゲインを得ることだと想定されます。そのため、当社の株式公開後、当社の株主であるベンチャーキャピタルが保有する当社株式の一部又は全部を売却した場合には、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
③ 配当政策について
当社グループは、株主への利益還元と同時に、財務体質を強化し、事業競争力を高めることが経営の重要課題であるとして認識しております。現在、当社グループは成長過程にあるため、内部留保の充実を図り、経営基盤を安定化させつつ、事業拡大、事業効率化に向けた投資を行っていくことにより、企業価値を高めて行くことが、株主に対する最大の利益還元につながるものと考えており、当面の間は内部留保資金の確保を優先し、剰余金の配当は行わないことを基本的な方針としております。
将来的には、当社グループが一定水準以上に成長し、財務の安全性が確保された段階で、配当の実施についても検討する予定ですが、現時点における配当の実施及び実施時期は未定であります。
④ 資金使途について
当社グループが予定している公募増資による調達資金については、主に、事業拡大のための人財採用費及び人件費、認知度向上に向けた広告宣伝費、アサインナビの競争力強化に向けた機能拡張に係る開発投資、事業拡大に伴う本社移転時の購入資産等に充当する予定であります。
しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境の急速な変化その他の理由により、計画を変更することがあり、また、当初の計画に沿って資金を使用した場合でも、想定通りの投資効果をあげられない可能性があります。
⑤ 株式会社クレスコとの関係について
当社は株式会社クレスコの持分法適用会社であり、同社は本書提出日現在において当社発行済株式総数の 20.1%(664千株)を保有しております。同社グループは、連結子会社10社及び持分法適用会社4社により構成されており、ソフトウェア開発及び組込型ソフトウェア開発などの情報サービス事業並びにこれらに付帯する製品・商品の販売を事業内容としております。
ア.同社グループ内における当社の位置づけについて
当社は、同社グループの中で、上流工程におけるコンサルティングを手掛ける会社と位置づけられており、グループ内において競合関係は存在せず、今後も競合関係が生じるような事象は発生しないものと認識しております。しかしながら、将来において、同社グループの事業戦略等に変更が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
イ.取引関係について
当社は、同社の子会社であるクレスコ・イー・ソリューション株式会社との間でプロジェクトにおける業務の委託を行っており(詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 関連当事者情報を参照)、当該取引は今後も継続していく方針であります。取引条件については、独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っております。しかしながら、将来において、同社グループの事業戦略等に変更が生じた場合には、当社との取引関係に影響を及ぼし、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ウ.保有持分の処分方針について
同社は、当社株式公開に際して保有する株式の一部(150千株)の売出しを予定しており、この結果、当社は同社の持分法適用会社から除外される予定であります。また、同社は将来において保有する当社株式を売却する可能性があります。