有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/08/02 15:00
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【項目】
95項目

事業等のリスク

本書に記載した、事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しています。また、本項の記載内容は当社株式の投資に関するすべてのリスクを網羅しているものではありません。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)流行や景気の変動が経営成績に与える影響について
当社は、流行の変化が早く、商品のライフサイクルが短いファッション衣料業界に属しております。当社の商品は0歳から13歳のベビー・トドラー、ジュニア向けにマルチブランドのファッションを提供しており、お子さまの成長とともに当社商品を長期にわたってご愛用いただく優良顧客を創出することが当社のビジネスの基本でありかつ目標でもあります。しかしながら、消費者の嗜好に合致した商品を提供できない場合や景気の変動による個人消費の低迷の影響を受けて販売不振となった場合、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。
(2)気象状況などによるリスク
当社が取扱う商品は、気象状況により来店客数の減少や季節に応じた店頭商品の販売に影響するため、来店客数、購入客数など日々の販売状況を管理しております。しかしながら、冷夏暖冬など天候不順及び地震や台風などの予測できない気象状況により、セール時期等の販売が伸び悩み、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、地震や風水害等不測の自然災害や突発的な事故や火災等により営業の中断が発生した場合は、売上の減少を引き起こす可能性があることから、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)少子化への対応について
当社では、消費者の期待に応えられる商品を提供し続ける限りは少子化傾向が直接事業の衰退に結びつく可能性は高くはないと考えております。当社の強みである企画力で常に新鮮な商品を作り続け、マーケットシェアを確保することで、現在の事業規模を維持・拡大できるものと考えております。
また平成29年3月より子供を持つ20代、30代の母親向けに新ブランド「petit main LIEN」(プティマイン リアン)を立ち上げ、当社の今後の事業戦略である「ベビー・トドラー、ジュニア以外へのセグメントへの進出」も少子化リスクの回避になると考えております。
現状で市場環境に大きな変調は見られませんが、今後も少子化傾向が続くことにより、企業間競争はより厳しいものになると想定され当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)業績の季節変動に伴うリスク
当社の事業は、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、福袋の販売及びクリアランスセールが行われ、かつ商品単価が高い冬物衣料の販売により、売上高において、下期偏重となっております。また、利益の額においても、売上高に対する最低保証売上高が設定されている販売代行料や歩合家賃ならびにその他固定費の比率が、12月及び1月に低くなるため、今後においても、下期への業績の偏りが生じる可能性があります。なお、平成30年2月期の通期売上高に占める四半期毎の売上高の割合、ならびに、通期営業利益に占める四半期毎の営業利益の割合は以下のとおりであります。
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期通 期
連結売上高(千円)
( % )
6,032,882
(22.4)
6,142,127
(22.8)
6,596,330
(24.5)
8,183,182
(30.3)
26,954,523
連結営業利益又は連結営業損失(△)(千円)
(%)
395,944
(28.2)
△17,083
(△1.2)
554,942
(39.5)
471,171
(33.5)
1,404,974

(5)出店形態にかかるリスクについて
当社の直営店舗における販売チャネルは、主に百貨店ならびにショッピングセンター、アウトレットモールであります。昨今、百貨店を取り巻く環境は厳しく、消費者の百貨店離れやショッピングセンター、アウトレットモールの台頭により、不採算百貨店売場は閉鎖され、経営の効率化を図る動きが見られます。百貨店売場の閉鎖や縮小等があった場合、当社は優良顧客を失う可能性があります。また、百貨店自体の集客力低下が当社既存店の業績に影響を及ぼす可能性があります。
ショッピングセンター、アウトレットモールの運営は、商業施設運営会社と定期賃貸借契約を結んでおります。競合ブランドの出店その他の理由により当社店舗が販売不振に陥り、中途解約を申し入れる際には、契約条件により違約金などの支払が発生いたします。また、当社店舗の売上が契約に定められた最低保証売上高に満たない場合、その差額分を商業運営施設へ支払う必要があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)人材採用に関するリスク
当社は、今後の事業拡大及び既存店舗の運営維持のため、本社及び物流拠点ならびに全国の直営店舗における継続した優秀な人材の確保と育成が、当社の経営における重要課題のひとつであると考えております。
しかしながら、優秀な人材の確保が計画通りに進捗しない場合、または多くの人材が流出する等の状況が発生した場合には、商品の企画や出店計画の進捗に影響が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)中国での生産について
当社の販売する商品の多くは、中国が原産国でありますが、専門商社等から円貨で仕入れており、円安の進行や中国における人件費等の高騰などの影響を抑えることができているため、仕入価格は安定しております。しかしながら、中国における人件費等がさらに高騰し、商品の仕入価格が上昇した場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。なお、今後において、東南アジアを原産国とする商品の仕入を視野にいれ、検討してまいります。
(8)知的財産権の侵害による影響について
当社は、独自にデザインしたキャラクター等について商標登録を行っており、国内外で知的財産権である商標権を所有しているため、外部との連携やインターネット検索等により商標権侵害の防止に取り組んでおります。このような取組にも関わらず、第三者による権利侵害等により、ブランドイメージの低下やそれによる販売不振により、当社の業績に影響を与える可能性があります。なお、国別の商標権登録(申請中を含む)は以下のとおりであります。
当社所有商標権の国別一覧 平成30年6月30日現在
国名登録(件)出願中(件)総計(件)
日本164-164
中国1315136
台湾71-71
韓国41-41
香港39-39
シンガポール31-31
その他13215
総計4907497

(9)システム障害におけるリスクについて
当社は、業務用基幹システムの運用及びメンテナンスを外部の専門事業者と連携して適切に遂行しておりますが、不測の事態によりコンピュータシステムがダウンした場合、また自然災害や事故等によって通信ネットワークが遮断された場合には、業務の一部が一時的に中断し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社のコンピュータシステムは、外部からの不正アクセスを回避するための適切なセキュリティ手段を講じておりますが、コンピュータウィルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じ、業務の運営に支障をきたした場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)個人情報保護について
当社は、百貨店売場及びeコマースの販売促進活動の一環として、お客様の個人情報を利用しております。個人情報をはじめとする情報管理につきましては、社内規程の整備や社内教育の徹底により、管理体制を整備しておりますが、万一、外部へ個人情報が漏洩した場合には、社会的信用問題や個人への賠償問題等が発生し、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(11)債権回収に関するリスク
当社は、販売先の経営状況については、与信管理規程を定め債権管理を徹底しております。しかしながら、販売先の信用不安により、予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し追加的な損失や引当の計上が必要となることがあります。この場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(12)品質に関するリスク
当社は、商品の品質管理において、社内に専門の部署を設置し、商品の検品ルール及び法令への対応を周知徹底させ、仕入先において当社の品質管理基準に基づく品質レベルの確保、検査等を徹底させるなど万全を期しております。しかしながら、当社の商品に危険な染料や薬品などが付着しかつ検査をすり抜けてそれが販売された場合や、商品の不具合等による商品回収が発生した場合は、当社の社会的信用の失墜や損害賠償請求等が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)リース契約への依存
当社はショッピングセンターやアウトレットモール等への出店時の内装工事費用を、原則として期間を60か月間とするリース契約で賄っており、平成30年2月期末のリース債務残高は、933,496千円であります。引き続き新規の出店はショッピングセンターブランドを中心に展開し業績の拡大を図ってまいりますが、それに伴いリース債務残高はさらなる増加が見込まれます。今後におきまして当社の業績が悪化しリース会社の当社に対する与信限度額が縮小された場合、契約条件の見直しによる利息費用の増加や、債務の支払い等、当社の財政状態及び業績に影響が出る可能性があります。
(14)のれんの減損について
当社は無形固定資産にのれんを計上しており、総資産に占める割合が高くなっております。エヌジェイホールディングス2株式会社(旧ナルミヤ②)が株式会社ナルミヤ・インターナショナル(旧ナルミヤ①)を吸収合併したことにより発生したのれんは、平成30年2月期末において3,307,176千円であり、当社の総資産の24.4%を占めております。のれんは毎期償却しておりますが、毎年及び減損の兆候があると認められた場合には、その都度減損テストが実施され、のれんの減損が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)有形固定資産の減損について
当社は、店舗内装設備等の固定資産を多数所有しており、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後大幅な経済環境の変化や競合ブランドの台頭等により当社の損益が悪化した場合には減損損失が発生し、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(16)繰延税金資産について
当社は、将来減算一時差異に対して、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する様々な予測・仮定に基づいており、結果が予測・仮定と異なる場合、又は税制改正に伴い税率変更等が実施された場合、繰延税金資産の見直しが必要となり、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(17)退職給付債務に係るリスクについて
当社の連結財務諸表は、将来に関する一定の前提を置いた年金数理計算に基づいて退職給付債務を計上しておりますが、年金数理計算に使用する前提条件に変動が生じた場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(18)有利子負債への依存と財務制限条項について
当社は、株式会社三井住友銀行との間にシンジケートローン契約を締結しております。なお、平成30年2月期末の借入金残高は、5,200,000千円であります。平成30年2月期における総資産額に対する比率は38.3%であり、今後の金融市場等の動向により、金利が上昇局面となった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該シンジケートローン契約には、財務制限条項が課せられており、遵守できなかった場合は、貸付人の要請により、期限の利益を喪失し、直ちに借入金を返済しなければならないため、当社の財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
なお、契約の内容につきましては、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。
(19)新株予約権行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権(以下「ストックオプション」といいます。)を付与しております。これらのストックオプションが権利行使された場合、新株式が発行され、株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
なお、ストックオプションの内容につきましては、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (7)ストックオプション制度の内容」に記載のとおりであります。
(20)法的規制について
当社の事業は「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」「家庭用品品質表示法」「不当景品類及び不当表示防止法」「下請代金支払遅延等防止法」「個人情報保護法」及び「特定商取引法」等による法的規制を受けております。
当社では社内管理体制の充実を図るため、コンプライアンス委員会を中心に法令遵守の重要性や周知を徹底しておりますが、これら法令に違反する行為が行われた場合、若しくは法令の改正又は新たな法令の制定が行われた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(21)ファンド株主との関係
当社は、日本産業第四号投資事業有限責任組合(注)及び海外の投資ファンド3社(Manaslu Fund Ⅱ, L.P.、Shepherds Hill Fund Ⅱ, L.P.、Sonora Fund Ⅱ, L.P.)からの出資を受け入れており、本書提出日現在において、これら主要株主によって当社発行済株式総数の98.2%を保有されております。なお、日本産業パートナーズ株式会社から役員の派遣を受け入れており、本書提出日現在の招聘役員は取締役2名であります。また、当社と日本産業パートナーズ株式会社との間に営業上の取引関係はありません。
当社の主要株主である日本産業第四号投資事業有限責任組合及び海外の投資ファンド3社は、当社の株式上場時において、当社株式を売却する予定でありますが、当社株式上場後においても、当社株式の保有・処分方針によっては、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、独自性、自主性に基づき企業運営を行っておりますが、日本産業パートナーズ株式会社が運営するファンドを通じて相当数の当社株式を保有することにより、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(注)日本産業パートナーズ株式会社が企業の事業再編を目的として組成した投資ファンド
(22)吸収合併及び過年度業績推移について
当社は、平成28年7月29日の株主の変更に伴い、同年10月1日に、日本産業パートナーズ株式会社が設立したエヌジェイホールディングス株式会社(当社)の完全子会社であるエヌジェイホールディングス2株式会社を存続会社とする吸収合併を行い、同日株式会社ナルミヤ・インターナショナルへ商号を変更しております(旧ナルミヤ②)。なお、当社は平成30年3月1日付で旧ナルミヤ②を吸収合併し、旧ナルミヤ②は消滅しております。
よって、申請会社となる当社第1期(平成29年2月期)の業績は、当社事業における平成28年10月以降の実績(平成28年6月8日設立以降同年9月30日までの当社及び完全子会社エヌジェイホールディングス2株式会社の損益を含む)となっており、実質的存続会社である株式会社ナルミヤ・インターナショナル(旧ナルミヤ①)のベビー・子供服の企画販売事業における経営成績の年間推移の比較が困難となっております。
当社は、平成28年10月1日の吸収合併により消滅した旧ナルミヤ①の経営成績の年間推移の比較を可能とするため、当社第1期業績と旧ナルミヤ①の平成28年9月期業績を合算し、企業結合時に認識されたのれんが平成29年2月期の期首に発生したものとして償却額を算定した数値による業績推移は以下のとおりであります。
なお、事業運営の変遷図は、「第二部 企業情報(はじめに)」を参照ください。
業績の推移
回次第19期第20期第21期第1期第2期
旧ナルミヤ①
(株式会社ナルミヤ・インターナショナル)
当社
(エヌジェイホールディングス株式会社)
決算年月平成26年2月平成27年2月平成28年2月平成29年2月平成30年2月
売上高(千円)16,365,23417,760,44120,700,97123,474,28426,954,523
経常利益(千円)92,147749,552868,939892,0761,280,215