有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/11/19 15:00
【資料】
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【項目】
100項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「関わるすべての人達とともに持続的に成長し、独自の存在感をもって、観光産業と国際交流をリードするグローバル企業」を企業理念として掲げております。
当社グループは、旅行者、取引先、株主を含めた関わる人たち全ての発展と繁栄を目指し、共に成長する共存共栄の精神で観光産業をリードするとともに、世界中から奥深い魅力ある体験を世界の旅行者に届けます。
当社グループの独自性とはバリエーションの広さと奥行きの両方を追求することであります。バリエーションの広さとは旅行者の数に関わらず世界各国の現地体験ツアーをジャンル別に幅広く提供することであり、奥行きとは個性豊かな商品を漏れなく、かつ、重複なく提供することであります。そして取扱う商品情報の正確性と品質・安全性に責任を持ち「ベルトラが扱う商品だから」と常に信頼されるサービスの実現を目指しております。
(2)経営戦略等
上記の経営方針のもと、主に日本人の海外旅行向けのサービスを提供する「海外旅行部門」、訪日外国人向けのサービスを提供する「インバウンド部門」、グローバルな旅行者向けに世界各地のサービスを提供する「グローバル部門」に分類し、現地体験ツアーをオンラインで提供できる基盤を作ることを目指しております。
現在では主力の「海外旅行部門」が展開している日本語サイトのほかに、「インバウンド部門」並びに「グローバル部門」が展開している英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語サイトで事業を展開し、日本人、訪日外国人、並びに海外の旅行者に対応できる豊富かつ高品質な現地体験ツアーの確保と販売を推進してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
営業収益成長率並びに営業利益率を重要な指標としております。
(4)経営環境
国内の旅行サービスのB2CにおけるEC市場規模は、モバイルの急速な普及もあり、平成26年は約2.6兆円であったものが、平成29年は約3.4兆円と増加しております(経済産業省「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」による)。また、日本人の海外旅行者数に関しては、平成26年では約1,690万人であったものが、平成29年は約1,788万人と増加しております。加えて、当社グループがターゲットとしている平成29年のFIT(*)旅行者は約58.7%であります(株式会社JTB総合研究所「JTB REPORT2018 日本人海外旅行のすべて」による)。
インバウンド部門がターゲットとする訪日外国人旅行者に関しては、平成26年は約1,341万人であったものが、平成29年には約2,869万人を記録しており、中でも個人旅行者(FIT)の割合が約76.2%という水準であります。今後も2020年の東京オリンピック等により訪日外国人旅行者は増加傾向が続くと考えております(観光庁「訪日外国人消費動向調査」による)。また、平成29年の訪日外客数を地域別に比較すると韓国と中華圏(中国、香港・台湾)が74%を占め、英語圏(北米・豪、欧州)が11%となっております(日本政府観光局「日本の観光統計データ各国・地域別の内訳」による)。
世界の観光市場に関しては、世界全体の観光客数は、平成26年は約11.4億人であったものが、平成29年は約13.2億人と増加し、欧州並びに米州が底堅く推移するとともに、アジア・太平洋地域は次の成長セクターとして期待できると考えております。(国連世界観光機関Tourism Highilight 2018Editionによる)
(*)Foreign Independent Tourの頭文字であり、団体旅行やパッケージツアーを利用せずに個人で海外旅行に行くこと
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
①取扱商品数の拡充および安定した在庫確保
営業収益を増加させるために、新たな催行会社との契約および新商品の供給をするとともに、既存の催行会社からの十分かつ安定的な在庫の確保が求められます。当社グループでは催行会社とのリレーションシップを構築しておりますが、在庫不足による機会損失も多く発生しております。催行会社との営業面でのリレーションシップを更に強化するとともに、システム面での連携強化を推進することよって、十分な在庫の確保やよりユニークで魅力ある商品を拡充してまいります。
②当社グループの認知度及びブランド力の向上
日本国内において当社グループの運営する「VELTRA」の認知度は発展途上であり、今後より多くの旅行者への認知度向上が事業の成長において重要な課題となっております。現在もオンライン広告等で認知度向上に努めておりますが、さらなる認知度向上に向けた広告宣伝や広報活動を推進してまいります。また既存会員の再来店率を向上させるべく会員向けサービスを強化し、顧客満足度を高めてブランド力を向上させてまいります。
③インバウンド部門およびグローバル部門の成長
海外旅行部門の営業収益は、当社グループ内の約9割を占めており、インバウンド部門、グローバル部門の収益拡大、当社グループ内のシェア拡大の余地があります。特に、インバウンド部門におきましては、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、訪日外国人が更に増加することが見込まれており、訪日旅行者向けの市場開拓で利用者数を増加させるべく、積極的に事業推進を図ってまいります。また、この訪日外国人需要を足掛かりに、外国人旅行者向けに世界各国の現地体験ツアーを提供するグローバルな市場拡大を視野に入れ、グローバル部門へ事業推進をおこない当社グループ全体の利益貢献を図ってまいります。
④技術革新への対応
当社グループは、競争の激しいインターネット市場において継続的に成長を遂げるべく、新しい技術やビジネスモデルへの対応を継続的に行うことが、重要な課題であると認識しております。旅行者の細かなニーズに対応するべくデータを活用し、旅行者ごとに最適化された販売促進、利用可能な通貨および言語を拡大するための支援システムの開発、お問い合わせ内容を機械化学習させることによって効率的なカスタマーサービスが可能な支援等、今後も引き続き、ITに関する投資を積極的に図ってまいります。
⑤人材の確保及び育成
当社グループがさらなる成長を遂げるためには、世界各国において、催行会社との提携を拡大し、魅力的な現地体験ツアーを発掘し、当社グループで取り扱えるようにすることができる、国際的なビジネスに精通した営業人員が必要不可欠であると認識しております。また、技術革新が急速に進行し、市場規模も拡大し続けているインターネット市場においては、優秀なITエンジニアのさらなる確保が重要な要素であると考えております。
当社グループにおいては、上記のような人材の採用を積極的に行うとともに、既存の社員を含めた社員の教育、育成に注力してまいります。また、優秀な人材の定着を促進するため、働き甲斐のある職場環境の構築に、引き続き努めてまいります。