有価証券届出書(新規公開時)

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2019/02/21 15:01
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105項目
(1) 業績
第3期連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業業績の改善に加え継続する政府の経済政策と日銀の金融緩和による下支えにより日本企業の収益が過去最高の水準になるなど引き続き緩やかな回復基調で推移しました。
一方でヨーロッパやアジアの地政学的リスクや金融政策の動向、中国をはじめとした新興国の経済動向など、海外経済の不確実性から依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの報告セグメントはITセグメントと暮らしTechセグメントの2つに定義しております。
上記の全体環境の中、ITセグメントの置かれた環境、情報産業とりわけITセグメントの主要分野である流通・金融サービス分野におきましては企業収益の改善を背景に、設備投資に持ち直しの兆しが見られるものの、ビジネスモデルを抜本的に変えるためのIT投資についてはなお慎重な姿勢は根強く、一方業種、業態、チャネル等の垣根を越えた競争が一層激化しており引き続き厳しい経営環境が続いております。
暮らしTechセグメントの置かれた環境においては、近年の少子高齢化に伴う人口減を背景に空き家は全国でも東京都の都心部でも大きな社会問題になっており、これを改善し需要を喚起する賃貸住宅のリノベーションのニーズは高く根強い受注が継続しております。
このような状況の中、当連結会計年度の売上高は3,823百万円(前連結会計年度売上高2,988百万円)、営業利益は136百万円(前連結会計年度営業損失32百万円)、経常利益は147百万円(前連結会計年度経常損失27百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は99百万円(前連結会計年度親会社株主に帰属する当期純損失27百万円)となりました。
第4期第3四半期連結累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、堅調な企業収益により緩やかな持ち直し傾向で推移いたしましたが、米国・中国間のいわゆる「貿易戦争」が景気に影響を与えることが懸念されます。一方、人手不足の深刻化を背景に人件費の増加が収益の下押し要因となりましたが、日本政府は外国人労働者を従来以上に積極的に受け入れる方針に転換したことで、今後新たな労働力全般における確保に期待がかかります。
当社グループの報告セグメントはITセグメントと暮らしTechセグメントの2つに定義しております。
グループ全体においては、人手不足対策を経営課題としており、3年ほど前より新卒採用に力を入れております。平成30年4月付けで当社グループとして総勢39名を採用いたしました。
ITセグメントの置かれた環境、情報産業とりわけITセグメントの主要分野である流通・金融サービス分野におきましては企業収益の改善を背景に、ネットとリアルの融合に見られる新しいビジネスモデルの模索が始まる等、新しいビジネスの芽が生まれつつあります。請負ビジネスでは、特定顧客より受注した「業務コアモデル」の開発を行い、進行基準分の売上を計上し、平成30年12月で開発を完了しております。また、流通・金融分野へのSEサービスビジネス及びサーバー機器等を販売する物販ビジネスにおいては、受注が順調に推移しております。
暮らしTechセグメントの置かれた環境においては、近年の少子高齢化に伴う人口減を背景に空き家は全国で平成30年の予測が1,026万戸、空き家率は16%であり(出展:株式会社野村総合研究所「2018年6月13日付ニュースリリース」)、平成45年にはそれぞれ1,955万戸、27.3%になると予想され、これから先にさらに増えることが推定されます。
空き家、空室は大きな社会問題になっており、これを改善し需要を喚起する賃貸住宅のリノベーションのニーズは高く、客付けサイトとしてのgoodroomを持つことで根強い根強い受注が継続しております。
このような状況の中、当第3四半期連結累計期間の売上高は3,606百万円、営業利益は196百万円、経常利益は198百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は130百万円となりました。
なお、当社は、前第3四半期連結累計期間については四半期連結財務諸表を作成していないため、前年同四半期連結累計期間との比較分析は行っておりません。
(2) 財政状態の分析
第3期連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末の総資産は1,601百万円となり、前会計年度末に比べ329百万円増加いたしました。
これは、主にITセグメントにおいて開発期間が1年を超える大手小売業向けシステム開発受注や暮らしTechセグメントのリノベーションの売上拡大を背景に売掛金が402百万円及び棚卸資産が54百万円増加した一方で、ITセグメントのシステム開発にて外注向け支払が当該売上の入金に対して先行する等により、預金残高が130百万円減少したことが要因であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は1,001百万円となり、前会計年度末に比べ232百万円増加いたしました。
これは主に、事業規模の拡大を背景とした、買掛金132百万円及び前受金41百万円の増加及び新卒社員の採用が好調であったこと等による預り金や未払費用といった、その他の流動負債が50百万円増加したことが要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は599百万円となり、前会計年度末に比べ97百万円増加いたしました。
これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金99百万円の増加及びその他の有価証券評価差額金1百万円の増加があった一方で、自己株式取得による4百万円の減少によるものであります。
第4期第3四半期連結累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は1,980百万円となり、前連結会計年度末に比べ379百万円増加いたしました。
これは業務資本提携を目的とした自己株式の処分及び第2回ストック・オプションの一部行使による159百万円の資金調達があったこと、12月末までに回収を行ったITセグメント事業における売掛金遅延分の補填及びリノベーションビジネスの拡大のために実施した運転資金の調達により借入金が109百万円増加したこと、当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益が130百万円であったことを背景に、現金及び預金が全体で404百万円の増加となったことが主な要因であります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債は1,090百万円となり、前連結会計年度末に比べ88百万円増加いたしました。
これは主に運転資金としての借入金の増加が109百万円、12月に賞与を支給したことによる賞与引当金の減少が38百万円あったことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は890百万円となり、前連結会計年度末に比べ290百万円増加いたしました。
これは、当第3四半期連結累計期間における親会社株主に帰属する四半期純利益の増加として利益剰余金が130百万円増加したことに加え、自己株式の処分及び第2回ストック・オプションの一部行使に伴い、資本金が24百万円の増加、資本剰余金が120百万円の増加及び自己株式の15百万円の減少があったことによるものであります。
(3) 経営成績の分析
第3期連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
(売上高)
当連結会計年度の売上高は3,823百万円となり、前年比27.9%の増加となりました。この主な要因はITセグメントの売上については前年比で3.7%の増加でありましたが、暮らしTechセグメントの売上がリノベーション需要の高まりや地域展開による売上の伸びも加わって前連結会計年度比84.6%の増加となりました。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は2,767百万円となり、前連結会計年度比22.9%の増加となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は919百万円となり、前連結会計年度比19.7%の増加となりました。過半が人件費を占めるため、生産性の向上が重要な課題と考えております。
以上の結果、当連結会計年度における業績は売上高3,823百万円、営業利益136百万円、経常利益147百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は99百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① ITセグメント
ITセグメントはオープンリソース株式会社が担当しております。ビジネスセグメントを大別すると、SEサービスビジネス、請負ビジネス及び物販ビジネスの3つになります。
SEサービスビジネスにおいて、当連結会計年度の売上は、1,380百万円で、前連結会計年度比4.9%の減少となりました。減少した主な理由は、主要顧客のアウトソーシング契約開始時期が遅れたことによるものです。
請負ビジネスにおいて、当連結会計年度の売上は、680百万円で、前連結会計年度比34.7%の増加となりました。増加の主な理由は、特定顧客との「業務コアモデル」の開発において売上進行基準分が計上されたためです。
物販ビジネスにおいて、当連結会計年度の売上は、110百万円で、前連結会計年度比19.2%の減少となりました。
その結果、売上高は、2,171百万円(前連結会計年度比3.7%増)、セグメント利益(営業利益)は、86百万円(前連結会計年度比245.4%増)となりました。
② 暮らしTechセグメント
暮らしTechセグメントは、ハプティック株式会社とグッドルーム株式会社が担当しております。ビジネスセグメントを大別すると、リノベーションビジネス、不動産仲介・オペレーションビジネス、メディアビジネスの3つになります。
リノベーションビジネスの当連結会計年度における売上は1,456百万円で、前連結会計年度比96.4%の増加となりました。増加した主な理由は、goodroomサイトを利用した拡販及び資本業務提携先との業務提携の成果が出てきたほか、複数戸同時施工の大型案件受注活動に取り組んだためです。
不動産仲介・オペレーションビジネスの当連結会計年度における売上は176百万円で、前連結会計年度比18.8%の増加となりました。増加した主な理由は、goodroomサイトのMAUが平成30年3月時点で477千人、前連結会計年度比92.4%増加したことと関連しております。
メディアビジネスの当連結会計年度における売上は17百万円で、前連結会計年度比338.0%の増加となりました。増加した主な理由は、goodroomサイト利用管理会社の開拓強化と、goodroomサイトのMAUが平成30年3月時点で477千人、前連結会計年度比31.4%増加したことと関連しております。
その結果、売上高は1,651百万円(前連結会計年度比84.6%増)、セグメント利益(営業利益)は37百万円(前連結会計年度はセグメント損失43百万円)となりました。
第4期第3四半期連結累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日)
(売上高)
当第3四半期連結累計期間の売上高は3,606百万円となりました。
(売上原価)
当第3四半期連結累計期間の売上原価は2,595百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は813百万円となりました。過半が人件費を占めるため、生産性の向上が重要な課題と考えております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は3,606百万円、営業利益は196百万円、経常利益は198百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は130百万円となりました。
なお、経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は定めておりませんので、記載を省略しており、また、当社は前第3四半期連結累計期間については四半期連結財務諸表を作成していないため、前年同四半期連結累計期間との比較分析は行っておりません。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① ITセグメント
ITセグメントはオープンリソース株式会社が担当しております。ビジネスセグメントを大別すると、SEサービスビジネス、請負ビジネス及び物販ビジネスの3つになります。
SEサービスビジネスにおいては、従来の保守エリアについて主要顧客と顧客先でのアウトソーシングビジネスが進捗したことや流通・金融分野での受注が順調に推移した結果、当第3四半期連結累計期間の売上は1,315百万円となりました。
請負ビジネスにおいては、流通業界向けにスマートデバイスを使った業務システム「業務コアモデル」を特定顧客との間で共同開発を行い売上に貢献したことや、流通・金融分野での受注が順調に推移した結果、当第3四半期連結累計期間の売上は708百万円となりました。
物販ビジネスにおいては、特定顧客が企業買収を行ったことによりインフラ関連のハードウェアやソフトウェアの販売が好調に推移した結果、当第3四半期連結累計期間の売上は275百万円となりました。
その結果、売上高は2,299百万円、セグメント利益(営業利益)は、158百万円となりました。
② 暮らしTechセグメント
暮らしTechセグメントは、ハプティック株式会社とグッドルーム株式会社が担当しております。ビジネスセグメントを大別すると、リノベーションビジネス、不動産仲介・オペレーションビジネス、メディアビジネスの3つになります。
リノベーションビジネスにおいては、業務提携の成果が出てきたほか、複数戸同時施工の大型案件受注活動の取り組みを行った結果、当第3四半期連結累計期間の売上は1,071百万円となりました。
不動産仲介・オペレーションビジネスにおいては、仲介業務の人員・組織体制の強化の取り組みを行った結果、当第3四半期連結累計期間の売上は191百万円となりました。
メディアビジネスにおいては、管理会社開拓の強化、そしてgoodroomサイトのマンスリー・アクティブ・ユーザー数(MAU)の向上に向け、継続的に広告活動やサイト改善の取り組みを行った結果、当第3四半期連結累計期間の売上は44百万円となりました。
以上の結果、暮らしTechセグメントの売上高は1,306百万円、セグメント利益(営業利益)は21百万円となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
第3期連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて130百万円減少し、284百万円となりました。
当連結会計年度中における各区分のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは73百万円の支出(前連結会計年度は93百万円の支出)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益142百万円、事業規模拡大に伴う仕入債務132百万円の増加等による資金の増加があった一方で、主にITセグメントにおいて開発期間が1年を超える大手小売業向けシステム開発受注や暮らしTechセグメントのリノベーションの売上拡大を背景とした売上債権の増加402百万円、棚卸資産の増加額54百万円等による資金の減少があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは26百万円の支出(前連結会計年度は14百万円の支出)となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支出7百万円及び保険積立金の払込による支出6百万円等による資金の減少があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは31百万円の支出(前連結会計年度は183百万円の収入)となりました。主な要因は長期借入金の返済による支出27百万円及び自己株式の取得による支出4百万円等による資金の減少があったためであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は、既存事業の安定的な成長にかかるコストと、研究開発活動やメディアビジネス等への投資コストとなります。財政状態と投資のバランスを重視しつつ、事業活動に必要な運転資金及び研究開発活動等に対する投資コストは、主として手元の自己資金及び金融機関からの借入により調達しております。
(6) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
第3期連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
IT1,595,185100.9
暮らしTech1,092,126188.4
合計2,687,311124.4

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 仕入実績
第3期連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
IT79,82487.3
暮らしTech352,677157.0
合計432,501136.8

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 受注実績
第3期連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
IT2,309,730117.1541,904134.2
暮らしTech1,761,752185.2246,733180.2
合計4,071,483139.3788,637145.9

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④ 販売実績
第3期連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
IT2,171,589103.7
暮らしTech1,651,606184.6
合計3,823,196127.9

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先第2期連結会計年度第3期連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
日本NCR㈱559,52918.7683,38617.9
㈱三越伊勢丹システム・ソリューションズ381,92812.8

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。