有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/03/05 15:00
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138項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第15期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
a 資産
当連結会計年度末の流動資産は前連結会計年度末に比べ53,517千円増加し、505,560千円となりました。これは売掛金が71,573千円増加した一方、現金及び預金が10,881千円、未収還付法人税等が11,526千円減少したこと等によるものです。固定資産は、前連結会計年度末に比べ33,361千円増加し、150,966千円となりました。これは新規3オフィスの開設及び既存2オフィスの増床等により、有形固定資産が6,566千円、差入保証金が22,546千円増加したこと等によるものです。
この結果、総資産は656,526千円となり、前連結会計年度末に比べ86,879千円増加いたしました。
b 負債
当連結会計年度末の流動負債は前連結会計年度末に比べ10,580千円減少し、281,233千円となりました。これは営業社員の人数が増え、営業成績連動賞与が増加したこと等により未払費用が10,271千円、未払法人税等が2,835千円、未払消費税等が5,184千円増加する一方、買掛金が29,821千円減少したこと等によるものです。固定負債は前連結会計年度末に比べ4,335千円増加し、30,387千円となりました。これは新規3オフィスの開設及び既存2オフィスの増床等により、資産除去債務が4,335千円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は311,621千円となり、前連結会計年度末に比べ6,245千円減少いたしました。
c 純資産
当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べ93,124千円増加し、344,905千円となりました。これは第三者割当増資により資本金及び資本剰余金が49,600千円ずつ増加する一方、剰余金の配当5,310千円を実施したこと等により、利益剰余金が6,075千円減少したことによるものです。
第16期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
a 資産
当第3四半期連結会計期間末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ315,368千円増加し、820,928千円となりました。これは現金及び預金が134,452千円増加、売掛金が184,822千円増加したこと等によるものです。固定資産は、前連結会計年度末に比べ9,998千円増加し、160,965千円となりました。これは電話交換設備及びサーバーを取得したことにより、有形固定資産に含まれるリース資産14,220千円が増加したこと等によるものです。
この結果、総資産は981,893千円となり、前連結会計年度末に比べ325,367千円増加いたしました。
b 負債
当第3四半期連結会計期間末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ202,207千円増加し、483,441千円となりました。これは主に、買掛金137,568千円、未払法人税等43,949千円、流動負債その他に含まれる未払消費税等19,632千円の増加等によるものです。固定負債は前連結会計年度末に比べ11,362千円増加し、41,750千円となりました。これは、電話交換設備及びサーバーのリース資産の取得に伴い固定負債その他に含まれるリース債務が11,362千円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は525,191千円となり、前連結会計年度末に比べ213,570千円増加いたしました。
c 純資産
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ111,796千円増加し、456,702千円となりました。これは親会社株主に帰属する四半期純利益115,251千円を計上した一方、剰余金の配当3,455千円を実施したことにより、利益剰余金が111,796千円増加したことによるものです。
② 経営成績の状況
第15期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済活動の停止・停滞への懸念が強まり、景況感は急激に悪化し、先行きが極めて不透明な状況で推移いたしました。日経平均株価は3月に1万6,358円まで急落し、2016年11月以来3年4か月ぶりの安値を付けた後、日銀によるETFの買い入れ金額の拡大や米国の大型経済対策への期待等から反発したものの、3月末の日経平均株価は1万8,917円で取引を終えました。
当社グループを取り巻く事業環境におきましては、「平均的な高齢夫婦無職世帯の毎月の赤字額は約5万円となっており、この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。」という内容が話題となった金融審議会の報告書には、「個々人に的確なアドバイスができるアドバイザーの存在が重要であり、顧客の最善の利益を追求する立場に立って、顧客のライフステージに応じ、マネープランの策定等の総合的なアドバイスを提供できるアドバイザー」の必要性が記載されております。
また、個人のライフスタイルの多様化や人生100年時代の到来を背景に各人が金融面での対応や備えを行っていく必要性が増し、幅広い世代における金融リテラシーの向上が不可欠となっているなかで、金融サービスの担い手の一つとしてIFAの存在感は急速に高まり、その将来性が注目されました。
このような経営環境の下、当社グループは「IFAビジネスに関わる全ての人々の幸せを目指します」をビジョンに掲げ、お客様、IFA、そして当社が、Win-Win-Winの関係を築けるよう、IFAがファイナンシャル・アドバイス業務に専念できる環境やIFAとしてのスキル向上を図る研鑽機会等のプラットフォームを提供し、お客様本位の業務運営の更なる徹底を図ってまいりました。
その結果、当連結会計年度末の所属IFA数は173人(前年度末比20.1%増、29名増)と増加し、IFAオフィスにつきましては広島(4月)、長野(7月)、宮崎(10月)の3オフィス開設の他、本店と大阪オフィスの増床により、IFAへ提供するブース数は19オフィス合計で278ブース(前年度末比46ブース増)となり、今後のIFAの増加に対応できるキャパシティーを確保いたしました。
また、金融商品仲介業に係る口座総数は9,813口座(前年度末比22.7%増、1,815口座増)、媒介する資産残高は124,337百万円(前年度末比17.0%増、18,059百万円増)となり、当社の事業規模は拡大いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高が2,467,009千円(前連結会計年度比3.7%増、87,305千円増)となったものの、オフィス開設等に伴う地代家賃等の増加や業務管理体制強化のための人員拡充による人件費の増加により営業利益が6,127千円(前連結会計年度比89.0%減、49,501千円減)、経常利益が7,408千円(前連結会計年度比86.9%減、49,230千円減)と税引き前段階では利益を確保しましたが、オフィスに係る法人住民税の均等割等により親会社株主に帰属する当期純損失が765千円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は38,790千円)となりました。
第16期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内外の経済活動の停滞や縮小時期から経済活動の再開による持ち直し局面への動きがみられたものの、再度、感染の拡大が続いていること等から、先行きは極めて不透明な状況となっております。
当社グループを取り巻く事業環境は、世界的な金融緩和や財政出動、ワクチンの開発や接種の開始などを背景に世界経済の先行きへの回復期待から、日経平均は30年ぶりの高値となり米国の主要3指数が史上最高値を更新するなど、良好な状況が継続いたしました。
このような環境下、当社グループは、お客様のニーズや課題にお応えする役割を果たすとともに、金融商品仲介業務においてはIFAビジネスプラットフォームの付加価値を高めることで、2021年3月末の媒介する資産残高2,000億円の達成に取り組んでまいりました。
その結果、当第3四半期連結累計期間においてIFA数は12名純増、保険募集人は11名純増し、当第3四半期連結会計期間末のIFA数は185名、保険募集人は71名となり、金融商品仲介業に係る口座総数は11,090口座(前年度末比13.0%増、1,277口座増)、媒介する資産残高は184,018百万円(前年度末比48.0%増、59,681百万円増)となりました。媒介する資産残高増大による企業価値の向上を中期経営方針に掲げ、IFAに対し顧客の信頼を得て資産を増加させることの重要性と必要性を訴え、顧客の信頼獲得のため必要な資料や営業ツール、IFAとしての技能向上に繋がる研修機会の提供等に取り組んできたことが奏功し、当社事業基盤の拡大は継続しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、媒介する証券仲介手数料の大幅な増加に伴い、売上高が2,814,087千円、営業利益が172,207千円、経常利益が172,698千円、親会社株主に帰属する四半期純利益が115,251千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第15期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は238,053千円となり、前連結会計年度末に比べ10,881千円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は60,713千円(前連結会計年度は86,833千円の獲得)となりました。
主な増加要因は、減価償却費の計上16,720千円、営業社員の人数が増え、営業成績連動賞与が増加したことによる未払費用の増加額10,271千円、法人税等の還付額11,526千円によるものです。主な減少要因は、証券仲介売上高に係る売上債権の増加額71,573千円、委託契約IFA報酬に係る仕入債務は増加したものの、保険募集人に対する報酬の減少と過年度の報酬に対する分割払報酬を支払ったことにより、仕入債務の減少額が29,821千円となったこと、法人税等の支払額10,175千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は44,058千円(前連結会計年度は38,988千円の使用)となりました。
これは新規のIFAオフィス開設及び既存オフィスの増床、IFA向けのPC等有形固定資産の取得による支出21,511千円及びIFAオフィス開設時の敷金等差入保証金の差入による支出22,546千円により資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は93,890千円(前連結会計年度は5,310千円の使用)となりました。
これは株式の発行による収入99,200千円により資金が増加した一方、配当金の支払額5,310千円により資金が減少したことによるものです。


④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載は省略しております。
b 受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載は省略しております。
c 販売実績
第15期連結会計年度及び第16期第3四半期連結累計期間の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはIFAによる金融サービス提供事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
セグメントの名称第15期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第16期第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
IFAによる金融サービス提供事業2,467,009103.72,814,087
合計2,467,009103.72,814,087

(注)1.最近2期連結会計年度及び第16期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第14期連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第15期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第16期第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
楽天証券株式会社1,191,68350.11,379,73955.91,365,20448.5
株式会社SBI証券675,13628.4707,54428.7830,06129.5

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 3 会計方針に関する事項」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りによるため、課税所得の将来予測に影響を与える変化が生じた場合には繰延税金資産の回収可能性が変動することにより当社クループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第15期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
a 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。
b 当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
c 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
第16期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
a 当第3四半期連結累計期間の経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間の経営成績の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。
b 当第3四半期連結累計期間の財政状態の分析
当第3四半期連結累計期間の財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、当社グループの金融商品仲介業に係る人件費、販売促進費等の販管費及び一般管理費に加え、拠点開発に係る有形固定資産への投資があります。
通常の運転資金については、自己資金により賄うことを基本方針としております。新たな投資への資金需要については、上場による調達資金の活用を予定しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保と育成、市場ニーズにあったサービスの展開等により、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスクに対し、適切に対応を行ってまいります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、所属IFA数及び媒介する資産残高を重要な経営指標として位置付けております。
当該指標については、次表のとおり継続的に増加しており、当第3四半期連結累計期間末の所属IFA数は、前連結会計年度末と比べ106.9%、媒介する資産残高は同148.0%となっており、順調に推移しているものと認識しております。
⦅重要指標推移表⦆
2017年
3月期末
実績
2018年3月期末2019年3月期末2020年3月期末2021年3月期
第3四半期末
実績
実績前期比実績前期比実績前期比
所属IFA数(名)99117118.2%144123.1%173120.1%185
媒介する資産残高(百万円)76,25298,423129.1%106,278108.0%124,337117.0%184,018