有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/09/20 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
118項目
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
第6期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当連結会計年度におけるわが国の経済環境は、企業収益や雇用・所得環境の改善がみられ、消費の回復を後押しするなど回復基調で推移したものの、米国と中国との間の貿易摩擦などによる景気減速懸念から依然不透明な状況が続いております。
当社グループの事業が立脚する電子商取引市場(以下、EC市場)については、スマートフォンやタブレット端末の普及や物流の改革など外部環境の好影響により、物販のBtoC-EC市場が成長を続けているほか、物販以外のサービス領域におけるEC化も進行していることに加え、BtoBのEC化やCtoC-ECの著しい成長などEC市場の領域も拡大しております。また、電子決済市場においては、政府公表の「キャッシュレス化に向けた方策」に基づく各種施策や、大手金融機関などによるFintechを取り入れた新たな金融・決済サービス創出などを背景に、さまざまな新しいサービスが誕生しており、決済サービス市場の拡大・多様化に伴い、市場の成長性は引き続き良好な状態が続いております。
このような事業環境のもと、当社グループでは、Eコマースプラットフォーム「BASE」を提供するBASE事業並びに、オンライン決済サービス「PAY.JP」及びID決済サービス「PAY ID」を提供するPAY事業を展開しております。
BASE事業においては、ショップ運営の利便性向上や新たな機会、挑戦のためのサービスの提供を、PAY事業では加盟店の事業特性に合わせたサービス提供に努めており、売上に貢献しました。また、開発人員の採用やプロモーションを積極的に実施したほか、本社移転に関する費用が発生しております。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は2,352,406千円、営業損失は791,241千円、経常損失は798,930千円、親会社株主に帰属する当期純損失は854,783千円となりました。
なお、当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
セグメントの業績は、次の通りであります。
A) BASE事業
Eコマースプラットフォーム「BASE」において、配送時の伝票作成を不要にする「かんたん発送App」の提供を開始するなどショップ運営の利便性の向上に努めることに加え、リアルの場で商品を販売する機会を提供する「SHIBUYA BASE」を開始するなど、新たな機会の提供に努めてまいりました。この結果、当連結会計年度における流通総額(注文ベース)は27,091,225千円となりました。
以上の結果、売上高は1,982,733千円、セグメント損失は496,490千円となりました。
B) PAY事業
オンライン決済サービス「PAY.JP」は、導入費用は無料のまま、決済高に一定料率を乗じるシンプルな料金体系を設定しており、登録加盟店数は堅調に推移しております。また、プラットフォーマー向けの決済・利用料代行回収サービス「PAY.JP Platform」や、旅行業者・旅行代理店業者向けの専用料金プラン「PAY.JP Travel」を提供し、加盟店の事業特性に合わせたサービス提供に努めております。この結果、当連結会計年度における流通総額は13,675,760千円となりました。また、購入者向けID決済サービス「PAY ID」についても、利用者数は堅調に推移しております。
以上の結果、売上高は369,673千円、セグメント損失は184,287千円となりました。
財政状態は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は6,951,406千円となりました。主な内訳は、現金及び預金4,408,530千円、未収入金1,914,010千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は5,213,943千円となりました。主な内訳は、営業預り金4,954,817千円であります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産は1,737,463千円となりました。主な内訳は、資本金1,325,682千円、資本剰余金1,266,564千円、利益剰余金△854,783千円であります。
第7期第2四半期連結累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年6月30日)
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善がみられ、消費の回復を後押しするなど回復基調で推移したものの、通商問題などによる世界経済の減速懸念から依然不透明な状況が続いております。
当社グループの事業が立脚する電子商取引市場(以下、EC市場)については、スマートフォンやタブレット端末の普及や物流の改革など外部環境の好影響により、物販のBtoC-EC市場が成長を続けているほか、物販以外のサービス領域におけるEC化も進行していることに加え、BtoBのEC化やCtoC-ECの著しい成長などEC市場の領域も拡大しております。また、電子決済市場においては、政府公表の「キャッシュレス化に向けた方策」に基づく各種施策や、大手金融機関などによるFintechを取り入れた新たな金融・決済サービス創出などを背景に、さまざまな新しいサービスが誕生しており、決済サービス市場の拡大・多様化に伴い、市場の成長性は引き続き良好な状態が続いております。
このような事業環境のもと、当社グループでは、Eコマースプラットフォーム「BASE」を提供するBASE事業並びに、オンライン決済サービス「PAY.JP」及びID決済サービス「PAY ID」を提供するPAY事業を主に展開しております。
以上の結果、当社グループの当第2四半期連結累計期間の売上高は1,687,581千円、営業損失は135,673千円、経常損失は135,713千円、親会社株主に帰属する四半期純損失は136,196千円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
A) BASE事業
Eコマースプラットフォーム「BASE」において、ショップ運営の利便性の向上に引き続き努めることに加え、リアルな場での出品型ポップアップスペースの提供を開始するなど、新たな機会の提供に努めております。この結果、当第2四半期連結累計期間における流通総額(注文ベース)は19,488,206千円となりました。
以上の結果、売上高は1,396,221千円、セグメント利益は35,214千円となりました。
B) PAY事業
オンライン決済サービスを行う「PAY.JP」は、導入費用は無料のまま、決済高に一定料率を乗じるシンプルな料金体系を設定しており、登録加盟店数は堅調に推移しております。また、加盟店の事業特性に合わせたサービス提供に引き続き努めております。この結果、当第2四半期連結累計期間における流通総額は10,674,636千円となりました。
以上の結果、売上高は290,063千円、セグメント損失は74,745千円となりました。
C) その他事業
「BASE」を利用するショップオーナーに対して事業資金を提供する資金調達サービス「YELL BANK」等を展開しております。2018年12月にサービスを提供開始しており、徐々に利用者が増加しております。
以上の結果、売上高は1,296千円、セグメント損失は28,448千円となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における総資産は8,171,116千円となり、前連結会計年度末に比べ1,219,710千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の増加1,222,149千円によるものであります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債は6,589,874千円となり、前連結会計年度末に比べ1,375,930千円増加いたしました。これは主に、営業預り金の増加1,329,016千円によるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産は1,581,242千円となり、前連結会計年度末に比べ156,221千円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により利益剰余金が136,196千円減少したものであります。
② キャッシュ・フローの状況
第6期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、4,408,530千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、400,529千円の支出となりました。これは主に、「BASEかんたん決済」の流通総額の増加及びPAY事業の拡大に伴い流通総額が増加したことにより、営業預り金の増加1,361,982千円及び未収入金の増加811,536千円があったものの、税金等調整前当期純損失845,705千円の計上があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、338,215千円の支出となりました。これは主に、本社移転に伴う敷金の差入による支出136,154千円及び投資有価証券の取得による支出100,000千円があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,022,743千円の収入となりました。これは、株式の発行による収入1,022,743千円があったためであります。
第7期第2四半期連結累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年6月30日)
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、連結範囲の変更に伴う増加額88,556千円を合わせて、前連結会計年度末に比べ1,222,149千円増加し、5,630,680千円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,057,487千円の収入となりました。これは主に、税金等調整前四半期純損失135,713千円の計上があったものの、「BASEかんたん決済」の流通総額の増加及びPAY事業の拡大に伴い流通総額が増加したことにより、営業預り金の増加1,329,016千円及び未収入金の増加432,584千円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、76,105千円の収入となりました。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入83,007千円があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、財務活動によるキャッシュ・フローはありません。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループでは、概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c.販売実績
第6期連結会計年度及び第7期第2四半期連結累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第6期連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第7期第2四半期連結累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年6月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
BASE事業1,982,7331,396,221
PAY事業369,673290,063
その他事業1,296
合計2,352,4061,687,581

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.第6期連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については記載しておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産及び負債または損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 経営成績の分析
第6期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は2,352,406千円となりました。主な要因は、配送時の伝票作成を不要にする「かんたん発送App」の提供を開始するなどショップ運営の利便性の向上に引き続き努めることに加え、リアルの場で商品を販売する機会を提供する「SHIBUYA BASE」を開始するなど新たな機会の提供に努めたことにより、ショップ開設数が順調に推移したほか、売店数(売上が計上されたショップ数)及び1売店あたりの流通額が増加した結果、流通総額が増加したことによるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は955,806千円となりました。主な要因は、流通総額の増加により、「BASEかんたん決済」の利用に伴う決済代行業者等への支払手数料が増加したことによるものであります。
この結果、売上総利益は1,396,600千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,187,842千円となりました。主な要因は、事業拡大のために採用を行ったことにより人件費が増加したことによるものであります。
この結果、営業損失は791,241千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は2,089千円、営業外費用は9,778千円となりました。主な要因は、増資による株式交付費の発生によるものであります。
この結果、経常損失は798,930千円となりました。
(特別損益、当期純利益)
当連結会計年度において、特別利益は、計上がありません。特別損失は、46,774千円となりました。主な要因は、本社移転に伴う本社移転費用及び旧本社固定資産に係る減損損失によるものであります。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は854,783千円となりました。
第7期第2四半期連結累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年6月30日)
(売上高)
当第2四半期連結累計期間における売上高は1,687,581千円となりました。主な要因は、ショップ運営の利便性の向上に引き続き努めることに加え、リアルな場での出品型ポップアップスペースの提供を開始するなど新たな機会の提供に努めたことにより、ショップ開設数が順調に増加したほか、売店数(売上が計上されたショップ数)及び1売店あたりの流通額が増加した結果、流通総額が増加したことによるものであります。
(売上原価)
当第2四半期連結累計期間における売上原価は710,012千円となりました。主な要因は、「BASEかんたん決済」の利用に対する決済代行業者への支払手数料であります。
この結果、売上総利益は977,569千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第2四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は1,113,242千円となりました。主な要因は、人件費が増加したことによるものであります。
この結果、営業損失は135,673千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当第2四半期連結累計期間における営業外収益は1,960千円となりました。営業外費用は2,000千円となりました。主な要因は、遅延損害金の受取及び上場関連費用が発生したことによるものであります。
この結果、経常損失は135,713千円となりました。
(特別損益、四半期純利益)
特別損益は、計上がありません。当第2四半期連結累計期間における法人税等は483千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は136,196千円となりました。
③ 財政状態の分析
第6期連結会計年度及び第7期第2四半期累計期間における財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社サービスを拡大していくための開発人員の人件費及び認知度拡大や顧客獲得のための広告宣伝費であります。これらの資金需要に対しては、自己資金及び銀行借入により調達することを基本方針としております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、市場動向、競合他社、人材確保・育成等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保するとともに、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが今後の事業内容を拡大し、より高品質なサービスを継続提供していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。