有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/17 15:00
【資料】
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【項目】
121項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社は、LSBMで開発された蛋白質発現技術、及びファージ抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング技術、並びにシーズ探索技術を駆使して、がん及びその他の疾患の治療用抗体医薬品の研究開発を進めることで、世界の医療に貢献していくことを基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
当社における導出時の契約一時金(注1)とその後の継続的なマイルストーン(注2)等の収入は、当社又は導出先における研究開発の進捗に大きく左右されます。
そのため、当社では、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった数値的な目標となる経営指標は用いておりませんが、経営指標としてパイプラインの開発の進捗及びパイプラインの拡充を重要な目標と考え、事業活動を推進しております。
(注)1.契約一時金:契約締結時に一時金として受け取る対価。
2.マイルストーン:製薬会社等提携先が当社と契約締結後、当社又は提携先における研究開発が進捗し、契約上規定された特定の開発目標を達成した際の対価である開発マイルストーンと、医薬品販売後に、事前に設定した年間販売額を達成した際に受け取る収益である販売マイルストーンがあります。
(3) 中長期的な経営戦略
当社の中長期における重要課題は、継続的に新規抗体を創出することであり、そのために開発パイプライン充実に向けた探索研究を継続的に実施するとともに早期臨床開発を実施してまいります。当社の開発パイプラインは、PPMX-T001、PPMX-T002が臨床試験段階であり、導出先企業において日本国内や欧米など各地域での承認を取得していくとの説明を受けております。また、PPMX-T003は、本書提出日現在、第Ⅰ相臨床試験を進めております。
創薬ベンチャーである当社は、これらの研究開発を継続して行っていくために、研究開発体制の強化と研究開発資金の調達が不可欠であります。そのために、新規提携先の確保、研究開発助成金を獲得するとともに、必要に応じて、投資家からの資金調達を行いながら研究開発を推進してまいります。
(4) 対処すべき課題
当社は、LSBMで開発された蛋白質発現技術、及びファージ抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング技術、並びにシーズ探索技術を駆使して、世界の医療に貢献していくことを使命として、がん及びその他の疾患の治療用抗体医薬品の研究開発を進めております。このような背景のもとで、当社は、次の対処すべき課題に取り組んでまいります。
① 開発パイプラインの拡充
新規抗体医薬品を開発パイプラインに載せられる段階まで研究開発を進めるためには、抗体作製の技術力の向上や世界最先端のサイエンス(新規に判明した疾患原因、新規標的の情報、分析技術の進歩、新しい抗体製造技術や精製技術など、東京大学先端科学技術研究センター及びそのネットワーク等も活用)と医療ニーズを有する臨床医との交流を通じたアカデミアとの連携が課題となります。
・ PPMX-T003の開発
PPMX-T003の開発は当社の重要課題で、これに研究開発資源を重点配分します。2019年にGMP製造を完了し、2020年3月期中に真性多血症(PV:Polycythemia Vera)治療薬としての第Ⅰ相臨床試験を開始しました。併せて、他の血液がんへも展開するため大学と共同で臨床効果に関する基礎研究を推進いたします。
・ 次期抗体の探索研究
複数の次期開発候補抗体の基礎データを取得し、2020年末を目途に次の開発候補を明確にいたします。また、開発候補を創出するため、新規抗体の取得も継続的に進めてまいります。
② 抗体研究支援及び抗体・試薬販売の拡大
研究受託の売上増を図るため、大学や企業研究機関等からの新規研究受託を推進してまいります。また、抗体・試薬販売は、学術論文に記載されている使用実績が研究者の抗体選択に影響を及ぼすため、当社ホームページ上に、当社抗体の論文記載例を、掲載し訴求することにより売上増を図ってまいります。
③ 財務体質の強化
当社は、多額の研究開発費用が先行して必要となるビジネスモデルのため、財務体質の強化が課題になります。そのため、ライセンス契約の締結を始めとした国内外のパートナーとの提携、株式市場からの資金調達等により、財務体質の強化に努めてまいります。
④ 優秀な人材の確保
医薬品の開発には、多額の資金と長期にわたる研究開発活動が必要となります。また、研究開発活動が当初の計画どおりに進む保証はなく、開発品の製造販売承認取得、上市までには、様々な不確実性が存在します。そのため、当社では、優秀な人材を積極的に採用し、効率的に研究成果をあげることができるような組織的な研究開発体制の構築を図ってまいります。また、研究開発活動における不確実性を低減させるために、他企業との業務提携等についても、引き続き積極的に推進してまいります。