有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/19 15:00
【資料】
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【項目】
101項目
(1)経営成績等の状況の概況
当社グループ(当社及び゙連結子会社2社)は、「つながりを常によろこびに(Delight in Every Connection)」というミッションのもと、ソーシャルメディアやコミュニケーションサービス等を介して人と人がつながるからこそ起きる課題を解決し、利用者にとって健全で゙心地よい“居場所”をつくることを目的とした事業展開をしております。
当社グループは、カスタマーリレーション事業として4つのサービスを展開しております。24時間365日体制でソーシャルメディアやオウンドメディア上の利用者の投稿やデータをモニタリングする企業向け投稿監視サービス「インターネットモニタリング」、学校非公式サイトの書き込みのモニタリング及び対策コンサルティングを行うサービス「スクールガーディアン」、利用者からのお問い合わせを顧客企業に代わって対応するカスタマーサポートサービス「ソーシャルアプリサポート」及びソーシャルメディア運用代行・Web接客支援サービス「フロントサポート」を展開しております。又、新規プロダクトとしては、企業が゙手軽に自社サイト等にチャットボットを設置することができるチャットボットサービス「hitobo」の独自開発及び提供を開始しております。
なお、当社グループは、カスタマーリレーション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
①経営成績の状況
第5期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当社グループが事業を展開する主要マーケットの1つであるソーシャルメディア業界では、2018年12月におけるTwitterの1日あたりアクティブユーザー数が全世界で1.26億人(注1)、2018年12月におけるFacebookの1日あたりアクティブユーザー数が全世界で1.52億人(注2)となった一方で、ソーシャルメディア上における偽アカウントやボットの排除、フェイクニュース(注3)の拡散防止に関する活動に世界的な注目が集まり、健全なソーシャルメディアの運営に向けた風潮が゙強くなっております。又、一般消費者向けサービス業界では、利用者からの問い合わせを起点にお問い合わせ対応を行う「カスタマーサポート」のみならず、企業が主体となって利用者に対しての能動的な課題解決・情報提供を行う「カスタマーサクセス」の重要性が増しております。
当社グループの事業においては、2018年1月に実施した155,000千円の資金調達(第三者割当増資)のもと、開発投資および人材採用等を積極的に行い、継続的な事業成長を実現いたしました。「フロントサポート」においては、英語・中国語・韓国語の海外向けソーシャルメディア運用代行を提供開始し、「インターネットモニタリング」においては、リアルタイムにコメントが投稿されるライブ配信動画に対するモニタリング及びキュレーションメディア等の情報配信サイトの運営者を対象に記事校正・校閲を代行する「記事審査サービス」の提供を開始いたしました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,160,050千円(前年同期比13.2%増)、営業利益47,383千円(前年同期は41,016千円の損失)、経常利益44,567千円(前年同期は31,558千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益35,928千円(前年同期は21,185千円の損失)となりました。
なお、当社グループは、カスタマーリレーション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
(注)1.出典:Twitter/Q4 and Fiscal Year 2018 Letter to Shareholders
2.出典:Facebook Reports Fourth Quarter and Full Year 2018 Results
3.フェイクニュースとは、虚偽の情報でつくられたニュースを指します。
第6期第3四半期連結累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年9月30日)
当社グループを取り巻くインターネット関連市場については、通信技術の進歩によるインターネットの高速化やスマートフォンを始めとするモバイル通信端末の利用人口の増加により、今後においても安定的な成長と拡大が期待されております。又、当社グループが事業展開を行うソーシャルメディア関連市場の動向といたしましては、2019年6月におけるTwitterの1日当たりアクティブユーザー数(世界規模)が1.39億人(前年同期比11%増)となりました(注)。
当社グループの事業においては、継続的な事業成長の実現に向け、引き続き人材採用および開発投資に積極的に取り組んでまいりました。新規の取り組みとしては、「インターネットモニタリング」において、インターネットやソーシャルメディアの過去のモニタリングで培ったリスク対策のノウハウを生かした決済サービス提供事業者・決済サービス導入事業者向け「不正決済対策サービス」の提供を開始いたしました。又、カスタマーリレーション事業の各サービスを組み合わせ、シェアリングエコノミー事業を開始する企業向けに、ユーザーの投稿監視や出品監視、本人認証確認からカスタマーサポート、企業側の損害保険のサポートまでをまとめて行う「シェアエコ運用支援パッケージ」の提供を開始いたしました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高1,804,864千円、営業利益69,068千円、経常利益74,711千円、親会社株主に帰属する四半期純利益48,441千円となりました。
なお、当社グループはカスタマーリレーション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
(注)出典:Twitter,INC. "Q2 2019 Letter to Shareholders"
②財政状態の概況
第5期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)(資産)
当連結会計年度末における流動資産は532,802千円となり、前連結会計年度末に比べ74,465千円増加いたしました。これは、主に現金及び預金が55,697千円、受取手形及び売掛金が24,010千円増加したこと、仕掛品が6,398千円減少したことによるものであります。固定資産は97,370千円となり、前連結会計年度末に比べ3,146千円増加いたしました。これは主に、建物及び゙構築物が3,891千円、工具、器具及び゙備品が2,326千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、630,173千円となり、前連結会計年度末に比べ77,611千円増加いたしました。(負債)
当連結会計年度末における流動負債は330,134千円となり、前連結会計年度末に比べ58,728千円減少いたしました。これは主に、未払費用が10,746千円増加したこと、短期借入金が75,000千円減少したことによるものであります。固定負債は112,316千円となり、前連結会計年度末に比べ゙47,732千円減少いたしました。これは主に長期借入金が47,000千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、442,450千円となり、前連結会計年度末に比べ106,461千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は187,722千円となり、前連結会計年度末に比べ184,072千円増加いたしました。これは主に、第三者割当増資により、資本金が44,382千円、資本剰余金が77,500千円増加したことと合わせ、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が69,046千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は29.8%(前連結会計年度末は0.7%)となりました。
第6期第3四半期連結累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年9月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産については、前連結会計年度末に比べ75,766千円増加し、705,940千円となりました。これは主に受取手形及び売掛金が60,257千円、差入保証金が26,344千円増加したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計については、前連結会計年度末に比べ28,048千円増加し、470,499千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が16,680千円、未払費用が22,373千円、固定負債その他に含まれる長期預り保証金が13,020千円それぞれ増加したことと合わせ、流動負債その他に含まれる未払金が10,165千円、流動負債その他に含まれる前受金が24,220千円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産については、前連結会計年度末に比べ47,718千円増加し235,440千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が48,441千円増加したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
第5期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ55,697千円増加し、当連結会計年度末の残高は296,215千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は41,652千円(前年同期は1,746千円の獲得)となりました。この主な増加要因は、税金等調整前当期純利益44,567千円の計上及び減価償却費8,828千円であり、主な減少要因は、売上債権の増加額24,179千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は14,469千円(前年同期は43,307千円の支出)となりました。この増加要因は、差入保証金の回収による収入8,677千円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出13,134千円及び差入保証金の差入による支出9,767千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は33,000千円(前年同期は116,236千円の獲得)となりました。この増加要因は、株式の発行による収入155,000千円であり、減少要因は、短期借入金の純減少額75,000千円及び長期借入金の返済による支出47,000千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当社グループの事業はカスタマーリレーション事業の単一セグメントであり、第5期連結会計年度及び第6期第3四半期連結累計期間の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称第5期連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第6期第3四半期連結累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年9月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
カスタマーリレーション事業2,160,050113.21,804,864
合計2,160,050113.21,804,864

(注)1.最近2連結会計年度及び第6期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第4期連結会計年度
(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
第5期連結会計年度
(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
第6期第3四半連結累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
コナミビジネスエキスパート株式会社201,62110.6----
株式会社バンダイナムコエンターテインメント--224,32310.4--

2.第4期連結会計年度の株式会社バンダイナムコエンターテインメントに対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
3.第5期連結会計年度のコナミビジネスエキスパート株式会社に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
4.第6期第3四半期連結累計期間の株式会社バンダイナムコエンターテインメントに対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
5.第6期第3四半期連結累計期間のコナミビジネスエキスパート株式会社に対する販売実績はありません。
6.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ、合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概況 ②財政状態の概況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
第5期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、カスタマーリレーション事業の受注が好調であったことから前連結会計年度に比べ252,588千円増加し、2,160,050千円(前年同期比13.2%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ92,210千円増加し、1,316,195千円(前年同期比7.5%増)となりました。これは主に、労務費が161,997千円、地代家賃が14,410千円増加したことに加え、業務委託費が94,216千円減少したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ160,377千円増加し、843,854千円(前年同期比23.5%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ71,978千円増加し、796,471千円(前年同期比9.9%増)となりました。これは主に、売上高の増加に伴い従業員給料及び手当が55,268千円増加したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ、88,399千円増加し、47,383千円(前年同期は41,016千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ15,595千円減少し、2,499千円となりました。これは主に、経営指導料が3,350千円、業務受託手数料が10,438千円減少したことによります。又、営業外費用は前連結会計年度に比べ3,321千円減少し、5,315千円となりました。これは主に、為替差損が4,582千円減少したことに加え、租税公課が1,826千円増加したことによります。この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ76,126千円増加し、44,567千円(前年同期は31,558千円の経常損失)となりました。
(特別損益、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益、特別損失の発生はありません。又、法人税等は、前連結会計年度に比べ7,938千円増加し、8,638千円となりました。この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ57,113千円増加し、35,928千円(前年同期は21,185千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
第6期第3四半期連結累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年9月30日)
(売上高)
当第3四半期連結累計期間における売上高は、前連結会計年度から続くカスタマーリレーション事業の好調な推移により1,804,864千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期連結累計期間における売上原価は1,142,774千円となりました。これは主に、労務費870,988千円の発生によるものであります。この結果、当第3四半期連結累計期間における売上総利益は662,089千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は593,021千円となりました。これは主に、従業員給料及び手当250,052千円の発生によるものであります。この結果、当第3四半期連結累計期間における営業利益は69,068千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当第3四半期連結累計期間における営業外収益は15,100千円となりました。これは主に、受取賃貸料13,020千円によるものであります。又、営業外費用は9,456千円となりました。これは主に、賃貸費用6,930千円によるものであります。この結果、当第3四半期連結累計期間における経常利益は74,711千円となりました。
(特別損益、法人税等、親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間においては特別損益の発生はありません。又、法人税等は26,270千円となりました。この結果、当第3四半期連結累計期間における親会社株主に帰属する四半期純利益は48,441千円となりました。
③当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度における当社の運転資金需要のうち主なものは、カスタマーリレーション事業のサービス提供における人件費、外注費、地代家賃等の営業費用であります。運転資金につきましては、自己資金、金融機関からの借入金、新株発行による調達資金により充当することとしております。
なお、当社の資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は296,215千円となっており、当面事業を継続していく上で十分な流動性を確保しております。又、現時点において重要な資本的支出の予定はありません。