(1) 財政状態及び経営成績
(経営成績)
当第1四半期連結累計期間における我が国経済は、オミクロン株の流行がピークアウトの兆しを見せつつも、ロシアのウクライナ侵攻等も重なり経済活動の先行きが再び不透明な状況となっております。
このような状況下において、当社グループは、「Every Life Deserves Attention(すべての命に、光を)」を経営理念として掲げ、そのほとんどが希少疾患に属する遺伝子疾患に対して画期的な新薬を提供することを目標とし、研究開発を行っております。技術的基盤となるCRISPR-GNDM®プラットフォームを元に、世界初のCRISPRを用いた遺伝子制御治療を開発する会社として2016年の設立から7期目に当たる当連結累計期間にいたるまで、リーディングカンパニーとして最先端の研究をリードし続けてまいりました。この成果を結実させるべく当期は臨床試験に向けた取り組みを本格化させております。
これまでにも当社グループは自社及びパートナーとの提携によりCRISPR-GNDM®技術を用いたプログラムの開発を進めてまいりましたが、より効率的でスピーディーな研究開発と、開発ノウハウの水平展開を目指して当社機能の幅を広げる取り組みを開始いたしました。これにより自己資金で治療薬の開発を行う「自社モデルパイプライン」の推進のみならず、パートナーと共同で治療薬の開発を行う「協業モデルパイプライン」に対しても自社で確立したノウハウを供与することにより、より高い付加価値を提供できるようになったと考えます。
当第1四半期連結累計期間においては、MDL-101を中心とした各協業モデルパイプライン及び自社モデルパイプラインの研究開発は着実に進んでおります。MDL-101は2023年中の治験申請にむけて開発を継続しております。主として毒性試験、プロセス開発が業務の中心となっております。薬事面では、3月に米国食品医薬品局(FDA)からゲノム編集に対するドラフトガイダンスが発表されました。これは各社でゲノム編集パイプラインの臨床試験が進む中で、ゲノム編集が遺伝子治療における大分野としてさらに認知を高めることになりつつことが背景にあると当社では考えています。当社も2月にFDAに対してMDL-101のINTERACTミーティングの申請をおこないましたが、これは3月に受理され、7月に開催の通知が来ております。また、2022年中にはPre-INDミーティングの申請を行う予定で準備を進めております。これによって治験開始までのハードルを明確化させ、試験計画をチューニングしてくことが可能であると考えています。その他のパイプラインにおいてはエーザイ社との協業パイプラインであるMDL-205は研究マイルストーンを実現しその対価が計上されております。また、両者の合意に基づき共同研究期間を延長しております。
当社グループはCRISPR-GNDM®技術の確立及び各プログラムで上げた成果について、2022年5月16-19日に米国ワシントンD.C.で開催の米国遺伝子細胞治療学会(ASGCT)の年会で6演題の報告の予定です。この演題はMDL-101やMDL-104、MDL-205などのパイプラインにおける研究成果に加えて、AAVベクターによるCRISPR-GNDM®分子の製造上の想定される課題やCas9タンパクを長期にわたって動物の体内で発現させた場合の免疫に対する効果など、技術的なハードルと思われることに対する研究成果を共有することになります。これはエピジェネティックス編集領域において業界の先頭を進む当社がリーダーとしてその情報を発信していく責任を果たそうとする取り組みです。また、当社が新分野として取り組む心筋症の新規パイプライン、MDL-105についての報告を行います。MDL-105はタイティン(Titin)遺伝子をターゲットとして拡張型心筋症(DCM)の治療を目指すプログラムです。本プログラムは新たに当社の自社パイプラインとして採用され、開発を行うことといたしました。
さらに、ブロード研究所とカリフォルニア大グループの間でCRISPR基本特許の米国内における権利について争われていた2つめのインターフェアランスの結果が2月にブロード研に有利な形で米国特許庁の裁定がありました。これにより当社グループがEditas社を通じてライセンスを受けているCRISPR基本特許が引き続き有効であることがより確実となり、当社事業を保護する見通しとなりました。また、特許についてはこの他に、当第1四半期連結累計期間後の4月に当社と当社のパートナーであるアステラス社との間で共同出願された「ユートロフィン遺伝子を標的とした筋ジストロフィーの治療法」の特許が日本において査定を受け、5月に登録となっております。これはデュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象として、GNDM法を用いた遺伝子治療薬で治療を行う新たな方法であり、その新規性並びに進歩性が当局に認められた結果であると考えています。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、事業収益40,500千円(前年同四半期比-%増加)、営業損失466,718千円(前年同四半期は営業損失252,636千円)、経常損失443,703千円(前年同四半期は経常損失245,810千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失438,906千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益201,800千円)となりました。
なお、当社グループは、遺伝子治療薬開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(財政状態)
(流動資産)
当第1四半期連結会計期間末の流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて493,945千円減少し、4,573,098千円となりました。これは主に、現金及び預金が531,220千円減少したためであります。
(固定資産)
当第1四半期連結会計期間末の固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて48,869千円増加し、1,050,962千円となりました。これは主に、有形固定資産が71,649千円増加したためであります。
(流動負債)
当第1四半期連結会計期間末の流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて9,584千円減少し、171,133千円となりました。これは主に、その他が9,685千円減少したためであります。
(固定負債)
当第1四半期連結会計期間末の固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて12,632千円減少し、326,574千円となりました。これは主に、繰延税金負債が5,052千円減少したためであります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて422,859千円減少し、5,126,352千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失発生に伴い利益剰余金が438,906千円が減少したためであります。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、442,239千円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。