有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/18 15:00
【資料】
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【項目】
152項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第3期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(資産)
当連結会計年度末における総資産は1,385,204千円となり、前連結会計年度末に比べ662,375千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が549,017千円、ソフトウエアが41,083千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は232,980千円となり、前連結会計年度末に比べ1,397千円増加いたしました。これは主に短期借入金が74,998千円減少、前受金が38,668千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,152,224千円となり前連結会計年度末に比べ660,977千円増加いたしました。これは主に第三者割当増資に伴い資本金及び資本剰余金が合計839,999千円増加したことによるものであります。
第4期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、1,609,505千円となり、前連結会計年度末に比べ224,300千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が82,036千円、株式会社DX catalyst設立に伴う関係会社株式が46,438千円増加したことによります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、478,924千円となり、前連結会計年度末に比べ245,944千円増加いたしました。これは主に長期借入金が250,000千円増加したことによります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、1,130,580千円となり、前連結会計年度末に比べ21,643千円減少いたしました。これは主に、為替換算調整勘定が34,291千円減少したことによります。
② 経営成績の状況
第3期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、政府における経済政策等を背景として、企業業績の回復、雇用・所得環境の改善などにより景気は緩やかな回復が続いておりましたが、米中貿易摩擦の深刻化や消費税増税により、景気の先行きは不透明な状況で推移すると予想されております。
2019年のインターネット媒体広告費は2兆1,048億円(前年比119.7%)と順調に成長しており、6年連続2桁成長でテレビ広告費を超えました(注1)。特に、動画広告市場は2020年に3,289億円、2023年には5,065億円と引き続き拡大傾向が続く見込みです(注2)。
このような経営環境の中、当社グループはサイトソリューション事業及びKaizen Video事業の既存顧客の契約継続及び新規顧客の獲得に注力するとともに、新プロダクトの投入、ユーザーインターフェースの改善、顧客数増加に向けたマーケティングなどの先行投資を行ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は1,354,946千円(前連結会計年度比37.1%増)、営業損失は162,284千円(前連結会計年度は営業損失472,627千円)、経常損失は150,475千円(前連結会計年度は経常損失454,667千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は162,646千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失459,394千円)となりました。
出典
(注)1.電通「2019年 日本の広告費」
2.㈱サイバーエージェント、㈱デジタルインファクト「国内動画広告の市場動向調査」
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
(サイトソリューション事業)
サイトソリューション事業は、5G時代を見据え、Webサイト上でパーソナライズされた顧客コミュニケーションを実現する統合開発基盤「KAIZEN Engine」を新たに提供しました。また、Webサイト改善をおこなう専門チームを提供する「KAIZEN Team」の販売が順調に推移しております。この結果、売上高は969,579千円(前連結会計年度比18.4%増)、セグメント損失は28,583千円(前連結会計年度はセグメント損失151,638千円)となりました。
(Kaizen Video事業)
Kaizen Video事業は拡大する顧客の動画広告制作にニーズに加え、チラシやパンフレット等の紙媒体の動画化のニーズを的確に捉え、顧客に積極的な提案活動を行いました。また、動画改善プラットフォーム「Kaizen Ad」がGoogleの「App preferred creative partner」、「YouTube Creative Partner」の承認及びAmazon「Service Provider Network」の動画広告クリエイティブプロバイダーとしての認定を取得するなど大手プラットフォーマーとの関係も強化いたしました。
この結果、売上高は385,367千円(前連結会計年度比127.6%増)、セグメント損失は133,700千円(前連結会計年度はセグメント損失320,989千円)となりました。
第4期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるものの、社会経済活動のレベルを段階的に引き上げていくなかで、各種政策の効果により持ち直しに向かうことが期待されております。
国内コンサルティングサービス市場は、2024年には1兆円に達すると予測され(注1)、インターネット広告の市場規模は2兆円を超えて(注2)テレビ広告を凌駕する規模にまで成長し(注3)、5G携帯端末の販売台数は2025年度には1,900万台を超えると予測され(注4)、5G化に伴って動画広告は2019年から3年間で1.7倍になると見込まれております(注5)。マーケティング領域でのデジタル化はさらに進んでいくと想定される中、当社グループの事業機会はさらに拡大していくものと考えています。
また、日本国内のDX市場は2019年に7,912億円の規模と想定され、2030年には3兆425億円の規模にまで成長すると予測されており(注6)、DXの市場拡大は当社グループのさらなる展開につながっていくものと考えております。
このような経営環境の中、当社グループはサイトソリューション事業及びKaizen Video事業の既存顧客の契約継続及び新規顧客の獲得に注力するとともに、新プロダクトの投入、ユーザーインターフェースの改善、顧客数増加に向けたマーケティングなどの先行投資を行ってまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は1,192,932千円、営業利益959千円、経常利益21,496千円、親会社株主に帰属する四半期純利益12,477千円となりました。
出典
(注)1.International Data Corporation(IDC)「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2020年〜2024年」
2.電通「2019年 日本の広告費」
3.同上。2019年のテレビの広告費は1兆8,612億円
4.野村総合研究所「2025年度までのICT・メディア市場の規模とトレンドを展望」
5.㈱サイバーエージェント、㈱デジタルインファクト「国内動画広告の市場動向調査」
6.富士キメラ総研「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
(サイトソリューション事業)
サイトソリューション事業は、新型コロナウイルス感染症の影響拡大・長期化によりリモートワークの導入など企業のデジタル活用が進む中、営業活動のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する新サービス「KAIZEN Sales」の提供を開始しました。また、Webサイト改善を行う専門チームを提供する「KAIZEN Team」の販売が順調に推移しております。
この結果、売上高は781,658千円、セグメント利益は63,251千円となりました。
(Kaizen Video事業)
Kaizen Video事業は、拡大する顧客の動画広告制作のニーズに加え、新型コロナウイルス感染症の影響拡大による外出自粛により活用が期待されるチラシやパンフレット等の紙媒体の動画化やオープンキャンパスに代わる学校紹介動画のニーズを的確に捉え、顧客に積極的な営業活動を行いました。
この結果、売上高は411,273千円、セグメント損失は62,291千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第3期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ549,017千円増加し、930,148千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動におけるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果による支出は68,308千円(前連結会計年度は448,798千円の支出)となりました。主なキャッシュ・フローの増加要因は減価償却費の計上69,040千円、前受金の増加額38,659千円であります。
一方で、主な減少要因は、税金等調整前当期純損失の計上160,542千円であります。
(投資活動におけるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果による支出は142,329千円(前連結会計年度は70,709千円の支出)となりました。主なキャッシュ・フローの減少要因は無形固定資産の取得による支出134,005千円であります。
(財務活動におけるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果による収入は762,288千円(前連結会計年度は75,006千円の収入)となりました。主なキャッシュ・フローの増加要因は株式の発行による収入836,979千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
第3期連結会計年度及び第4期第3四半期連結累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第3期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第4期第3四半期連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
サイトソリューション事業969,579118.4781,658
Kaizen Video事業385,367227.6411,273
合計1,354,946137.11,192,932

(注)1.最近2連結会計年度及び第4期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第2期連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第3期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第4期第3四半期
連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
PIFシステムズ㈱20,0002.0162,70012.049,3004.1

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループにおける見積りのうち、重要なものは以下のとおりとなります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減少額を減損損失として計上しております。減損兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討してまいりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第3期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度においては、サイトソリューション事業及びKaizen Video事業の既存顧客の契約継続及び新規顧客の獲得に注力するとともに、新プロダクトの投入、ユーザーインターフェースの改善、顧客数増加に向けたマーケティングなどの先行投資を行ってまいりました。その結果、累計取引社数、累計登録ユーザー数、累計登録グロースハッカー数、累計アクティブグロースハッカー数は増加し、当社グループのプラットフォームは拡大を続けております。
累計取引社数、累計登録ユーザー数、累計登録グロースハッカー数、累計アクティブグロースハッカー数、ARPUの推移については、「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の経営成績等の分析・検討内容は以下のとおりであります。
a.売上高
売上高につきましては、既存顧客の契約継続及び新規顧客の獲得に注力した結果、取引社数が増加したこと及びサイトソリューション事業での提供サービスの深化によりARPUが上昇傾向にあることから1,354,946千円(前連結会計年度比366,707千円増)となりました。
b.売上原価、売上総利益
売上原価につきましては、主に売上増加に伴うサーバー利用料38,007千円の増加等により772,801千円(前連結会計年度比52,153千円増)となりました。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は582,145千円(前連結会計年度比314,553千円増)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費につきましては、主に事業拡大に伴う外注費26,812千円の増加がある一方で、広告宣伝費の減少17,138千円等により744,430千円(前連結会計年度比4,210千円増)となりました。
この結果、当連結会計年度の営業損失は162,284千円(前連結会計年度は472,627千円の営業損失)となりました。
d.営業外収益・営業外費用、経常利益
営業外収益につきましては、主に為替差益3,078千円の減少により、16,207千円(前連結会計年度比2,187千円減)となりました。
営業外費用につきましては、主に株式交付費3,019千円の計上があったため、4,398千円(前連結会計年度比3,964千円増)となりました。
この結果、当連結会計年度の経常損失は150,475千円(前連結会計年度は454,667千円の経常損失)となりました。
e.特別利益・特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益
特別損失につきましては、主に減損損失9,250千円の計上により、10,067千円(前連結会計年度比2,914千円増)となりました。
特別利益は発生しておりません。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は162,646千円(前連結会計年度は459,394千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
第4期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
当第3四半期連結累計期間の経営成績等の分析・検討内容は以下のとおりであります。
a.売上高
売上高につきましては1,192,932千円となりました。これは、既存顧客の契約継続及び新規顧客の獲得に注力した結果、サイトソリューション事業及びKaizen Video事業の取引社数がともに増加したこと及びARPUが低いKaizen Video事業の取引社数が大きく増加したため、ARPUは低下したことによるものであります。
b.売上原価、売上総利益
売上原価につきましては、給料手当143,061千円及び外注費270,276千円の計上により、624,010千円となりました。
この結果、第3四半期連結累計期間の売上総利益は568,921千円となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費につきましては主に給料手当145,507千円、外注費133,284千円及び広告宣伝費35,284千円の計上により、567,961千円となりました。
この結果、第3四半期連結累計期間の営業利益は959千円となりました。
d.営業外収益・営業外費用、経常利益
営業外収益につきましては、主に為替差益25,241千円の計上により、27,662千円となりました。
営業外費用につきましては、主に持分法による投資損失2,561千円及び株式公開費用2,200千円の計上により、7,125千円となりました。
この結果、第3四半期連結累計期間の経常利益は21,496千円となりました。
e.特別利益・特別損失、親会社株主に帰属する四半期純利益
特別利益につきましては、固定資産売却益252千円を計上しております。
特別損失につきましては、固定資産除却損5,861千円を計上しております。
この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は12,477千円となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費、外注費やマーケティング費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、自社でのソフトウエア開発における人件費や外注費等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。また、本件の新規発行で調達した資金は、運転資金として人件費やマーケティング費等に充当する予定であります。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、930,148千円であり、十分な流動性を確保しております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業体制、法的規制等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保及び育成等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、「世界をKaizenする」をミッションに事業を行っております。当社グループの事業を通じて、世界を「Kaizen」する様々なチャンスを多くの方に提供できるようにし、自身の才能や情熱を最大限発揮できるような場所で働くことができる環境を作ることで、豊かな社会の発展に寄与したいと考えております。
当社グループがこのビジョンを実現し、かつ、長期的な競争力を維持し更なる向上を図るためには、当社グループの経営陣は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、最大限に入手可能な情報に基づき現在の事業環境を確認し、最善の経営方針を立案するよう努めていく必要があると認識しております。