有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/01/21 15:00
【資料】
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【項目】
125項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
第6期事業年度(自 2019年2月1日 至 2020年1月31日)
当社の展開するコンテンツ事業においては、スマートフォン・タブレット端末の普及に伴い、インターネット利用者数の増加やEC(電子商取引)市場の拡大等を背景として、引き続き成長を続けております。さらに、コンテンツサービスの多様化が市場規模を拡大しており、スマートフォン・タブレット等のモバイルゲーム市場においても継続的な成長を続けております。一方で、魅力的なコンテンツを提供するため、サービス内容は複雑化・高度化する傾向にあるなど、開発費用や人件費等のコストが増加するだけでなく、企業間におけるユーザー獲得競争が一層激化しております。
このような経営環境のもと、当社では既存タイトルの収益拡大及び各タイトルのIP展開を軸に収益基盤を強化するとともに、次作・次々作タイトルの開発体制強化及び既存タイトルに係る広告投資拡大を進めてまいりました。当事業年度の研究開発費は361,920千円(前期比41.6%増)、広告宣伝費は270,212千円(前期比53.4%増)となりました。
その結果、当事業年度の業績につきましては、売上高3,359,421千円(前期比37.3%増)、営業利益274,800千円(前期比28.5%減)、経常利益273,611千円(前期比28.6%減)、当期純利益は194,494千円(前期比22.4%減)となりました。また、当事業年度末における財政状態については、売掛金の増加141,333千円、敷金の増加67,968千円、商品の増加53,934千円、現金及び預金の減少95,980千円等により総資産は1,092,870千円(前期末比188,453千円増)、負債は買掛金の増加20,084千円、未払費用の増加25,541千円、未払法人税等の減少115,213千円、前受金の増加63,573千円等により353,603千円(前期末比6,040千円減)、純資産は当期純利益の計上による利益剰余金の増加194,494千円により739,266千円(前期末比194,494千円増)となりました。
なお、当社はコンテンツ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
第7期第3四半期累計期間(自 2020年2月1日 至 2020年10月31日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛やインバウンド需要の減少などにより経済活動が停滞しておりましたが、緊急事態宣言の解除を契機に個人・企業が感染防止策を講じつつ経済活動を再開し、徐々に持ち直しの動きをみせております。ただし、企業の設備投資等については、企業収益の減少や先行きの不透明感の高まりにより、慎重な動きを継続しております。また、世界経済においても、新型コロナウイルス感染症の影響による各国の動向及び金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
当社が属する国内スマホゲーム市場においては、2012年より市場が拡大し、2014年以降はメーカー売上金額ベースで緩やかに成長しております。2021年には前年比100.2%の1兆2,720億円(注1)まで拡大が見込まれ、今後も底堅く推移するとみております。これに対し、国内女性向けゲーム市場は2016年より急激に拡大し、2019年の市場規模は約700億円と想定しております。一方、2020年に入って複数の大型ヒット作が登場したことで、市場に対する認知度向上及び本格的な市場の拡大に繋がり、市場規模は約800億円を超えて成長するものと予想しております(注2)。今後は競争の激化に伴い、高い製品品質が求められる傾向が強まることが想定されますが、さらなる有力タイトルの出現等により女性向けゲームの認知度が高まった場合には、マーケットが急激に拡大する可能性があると考えております。
このような経営環境のもと、当社では新型コロナウイルス感染症の蔓延による緊急事態宣言発動に起因し、MDの対面販売イベントの一部中止や縮小、経済活動そのものの低迷など市場環境の悪化があったものの、対面販売イベントの通信販売を用いたオンライン化などの対策を迅速に講じました。また、早期に在宅勤務体制に移行したことで、モバイルオンラインゲームの開発・運営に特段の影響はなく、安定して事業運営を継続することができました。さらに、2019年11月にリリースした「魔法使いの約束」が市場に浸透し、大幅に成長することができました。
その結果、当第3四半期累計期間の業績につきましては、売上高4,038,145千円、営業利益1,210,656千円、経常利益1,209,703千円、四半期純利益792,001千円となりました。また、当第3四半期会計期間末における財政状態については、現金及び預金の増加1,297,240千円等により総資産は2,449,672千円(前期末比1,356,802千円増)、負債は未払法人税等の増加371,401千円、未払消費税等の増加115,963千円等により918,404千円(前期末比564,800千円増加)、純資産は四半期純利益の計上による利益剰余金の増加792,001千円により1,531,268千円(前期末比792,001千円増)となりました。
なお、当社はコンテンツ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
(注1)出典:「ファミ通ゲーム白書2020」(株式会社KADOKAWA Game Linkage)、国内オンラインプラットフォーム ゲームコンテンツ市場規模推移「ゲームアプリ(スマートデバイス+SNS)」
(注2)出典:App Store及びGoogle Playセールスランキング及びApp Apeを基に当社算出(女性ユーザー比率が80%を超えるモバイルオンラインゲームの売上高(当社推計値)の合計を市場規模として算出)
② キャッシュ・フローの状況
第6期事業年度(自 2019年2月1日 至 2020年1月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比べ95,980千円減少し、453,581千円となりました。
営業活動の結果支出した資金は、14,930千円(前事業年度は315,774千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益273,611千円及び売掛債権の増加額△141,333千円、法人税等の支払額△201,443千円などの差引であります。前期比では、税引前当期純利益が109,821千円の減少、売掛金の増加額が100,496千円の増加(資金の減少)、法人税等の支払額が93,437千円の増加(資金の減少)となりました。税引前当期純利益の減少要因につきましては、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・結果内容」に記載の通りであります。また法人税等の支払額の増加要因は、当社が法人税等の見込中間納付を採用していることにより当事業年度の中間納付額が実際に発生していた法人税等の額よりも大きくなったこと及び、前々事業年度から前事業年度にかけて税引前当期純利益が大幅に増加したことによる前期末の確定申告納付額が多額になったことであります。
投資活動の結果支出した資金は、75,050千円(前事業年度は36,972千円の支出)となりました。これは主として、本社事務所に係る敷金の拠出による支出△68,691千円があったことによる影響です。
財務活動の結果支出した資金は、6,000千円(前事業年度は16,856千円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出△6,000千円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が営むコンテンツ事業は、提供するサービスの関係上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社が営むコンテンツ事業は、提供するサービスの関係上、受注実績の記載になじまないため、記載しておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 2019年2月1日
至 2020年1月31日)
前期比(%)当第3四半期累計期
(自 2020年2月1日
至 2020年10月31日)
コンテンツ事業(千円)3,359,421+37.34,038,145
合計(千円)3,359,421+37.34,038,145

(注) 1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.当社は、報告セグメントが単一のセグメントであります。
3.最近2事業年度の主な相手先別の売上高及び当該売上高の総売上高に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2018年2月1日
至 2019年1月31日)
当事業年度
(自 2019年2月1日
至 2020年1月31日)
当第3四半期累計期
(自 2020年2月1日
至 2020年10月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
Apple Inc.1,177,42948.11,605,13147.82,191,41154.3
Google Inc.665,86327.2936,99127.91,119,69627.7

4.上記金額には消費税等は含まれておりません。
5.当社のサービス提供先は、ゲームの利用者 (一般ユーザー) であるため、損益計算書の売上高の10%を超える主要な顧客は存在いたしません。なお、Apple Inc.及びGoogle Inc.は、プラットフォーム提供会社であり、同社に対する売上高は、当社が提供するゲーム利用者(一般ユーザー)に対する利用料等であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。また、この財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の選択及び適用、損益または資産の報告金額等に与える見積りを必要としております。これらの見積り及び判断につきましては、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りと異なる場合があります。なお、当社が財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・結果内容
第6期事業年度(自 2019年2月1日 至 2020年1月31日)
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当事業年度の売上高は3,359,421千円(前期比37.3%増)となりました。売上の主な増加要因は、モバイルオンラインゲーム運営タイトルの増加であります。前事業年度の第3四半期(2018年8月)及び当事業年度第4四半期(2019年11月)に新規タイトルをリリースしたことにより収益源が増え、売上の順調な増加に寄与いたしました。また、MDにおいても、自社IPを活用したグッズ販売の売上が、モバイルオンラインゲーム売上の好調に伴い増加いたしました。その結果、売上高の目標3,325,973千円に対する達成率は101.0%となりました。
売上原価は主に、モバイルオンラインゲームの売上高に応じて発生するプラットフォーム事業者等への手数料や、リリース済みタイトルの運営に係る労務費の増加を要因として1,976,711千円(前期比59.0%増)となり、その結果、売上総利益は1,382,710千円(前期比14.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は1,107,910千円(前期比35.2%増)となりました。新規タイトルの開発に係る研究開発費や広告宣伝費等、将来の収益獲得に向けて積極的に先行投資した結果、営業利益は274,800千円(前期比28.5%減)となり、目標である240,542千円に対する達成率は114.2%となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は主に雑収入が減少したため18千円(前期比57.3%減)となり、また営業外費用は金融機関からの借入金に係る支払利息が減少した一方で為替差損が増加したために1,206千円(前期比54.6%増)となりました。結果として、経常利益は273,611千円(前期比28.6%減)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純利益)
特別利益、特別損失とも発生しておらず、税引前当期純利益は273,611千円(前期比28.6%減)となりました。また、法人税等は79,117千円(前期比40.4%減)となり、その結果、当期純利益は194,494千円(前期比22.4%減)となりました。
上記のほか、当事業年度における経営成績の前事業年度との比較分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
第7期第3四半期累計期間(自 2020年2月1日 至 2020年10月31日)
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当期第3四半期累計期間の売上高は、2019年11月にリリースしたタイトル「魔法使いの約束」の好調を主な要因として4,038,145千円となりました。それに伴いプラットフォームに係る手数料が増加し、売上原価は2,053,007千円となり、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益は1,985,138千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、広告宣伝費が増加した一方で研究開発費が減少し、774,481千円となりました。その結果、営業利益は1,210,656千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
経常利益は、為替差損1,178千円の発生により、1,209,703千円となりました。
(特別利益、特別損失、当期純利益)
特別利益、特別損失とも発生しておらず、税引前当期純利益は1,209,703千円となりました。また、法人税等は417,701千円となり、その結果、四半期純利益は792,001千円となりました。
なお、当社はコンテンツ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
③ 資本の財源及び資金の流動性
a.キャッシュ・フロー
当事業年度のキャッシュ・フロー分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社における資金需要は、主として短期の運転資金であります。運転資金のうち主なものは売上原価であるモバイルオンラインゲームの運営に係る外注費や労務費及びプラットフォーム事業者等への手数料や販売費及び一般管理費である広告宣伝費や研究開発費であります。これらにつきましては、自己資金、金融機関からの短期借入金により資金を調達することとしております。また、長期の運転資金や設備投資につきましては、自己資金、金融機関からの長期借入金、及び新株発行による調達資金により充当することとしております。
自己資金および上記の資金調達を併用することにより、当社の事業を継続していくうえで十分な手元流動性を確保するとともに、必要とされる運転資金および設備投資資金を調達することは可能であると判断しております。