有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/02/22 15:00
【資料】
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【項目】
142項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という」の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態の状況
第19期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は238,646千円となり、前連結会計年度末に比べ58,807千円増加いたしました。これは、主に決算月の納品案件が減少したことにより、売掛金が30,057千円減少した一方で、第三者割当増資等により、現金及び預金が113,170千円増加したことによるものであります。固定資産は4,224千円となり、前連結会計年度末に比べ3,853千円減少いたしました。これは、主に有形固定資産が減価償却費及び減損損失の計上により1,990千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、242,871千円となり、前連結会計年度末に比べ、54,954千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は195,549千円となり、前連結会計年度末に比べ1,841千円減少いたしました。これは主に、人員増加に伴い人件費や経費が増加したことにより、未払費用が12,963千円増加した一方で、決算月の仕入高が減少したことにより、買掛金が22,685千円減少したことによるものであります。固定負債は143,770千円となり、前連結会計年度末に比べ85,754千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が85,912千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、339,320千円となり、前連結会計年度末に比べ、87,595千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は△96,449千円となり、前連結会計年度末に比べ142,549千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失184,433千円の計上により利益剰余金が減少した一方で、第三者割当増資により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ、163,650千円増加したことによるものであります。
第20期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は632,974千円となり、前連結会計年度末に比べ390,103千円増加しました。これは主に、第三者割当増資等により現金及び預金が311,381千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債は407,247千円となり、前連結会計年度末に比べ67,927千円増加しました。これは主に、長期借入金が107,439千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は225,727千円となり、前連結会計年度末に比べ322,176千円増加しました。これは主に、第三者割当増資により資本金及び資本剰余金がそれぞれ132,587千円増加したこと等によるものであります。
b.経営成績の状況
第19期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績の回復、雇用・所得環境の改善などにより、長らく景気は緩やかな回復傾向が続いておりましたが、足元では新型コロナウイルス感染症の世界規模での流行が発生しており、先行きは不透明な状況となっております。
当社グループの主たる事業領域であるクラウド基盤市場では、既存情報システムのオンプレミスからクラウドへの移行だけでなく、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現を目的としたサービス利用の拡大により堅調に推移しております。
このような環境のもと、当連結会計年度において当社グループは、顧客対応に特化したプラットフォーム「Discoveriez」の新規顧客の獲得とともに、提供サービスのアップセル・クロスセルの促進による既存顧客との取引拡大にも注力してまいりました。一方で、個別案件のカスタマイズが発生したことにより、粗利率は下落しました。さらに、「Discoveriez」の基盤開発並びに機能強化の先行投資を行ったことにより、研究開発費も増加しました。
この結果、当連結会計年度は、売上高531,252千円(前年同期比5.1%増)、営業損失は178,382千円(前年同期は営業損失104,662千円)、当期純損失は184,645千円(前年同期は当期純損失110,192千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は184,433千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失110,064千円)となりました。
なお、当社は「顧客対応DXプラットフォーム事業」のみの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
第20期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題などの影響が不透明な状況が継続していた中で、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の経済が急激に悪化することとなり、金融市場の急落や有効求人倍率の低下等、さらに先行きの不透明感が高くなっております。
当社グループの主たる事業領域であるクラウド基盤市場では、既存情報システムのオンプレミスからクラウドへの移行だけでなく、DXの実現を目的としたサービス利用の拡大により堅調に推移しております。
このような環境のもと、当第3四半期連結累計期間において当社グループは、顧客対応に特化したプラットフォーム「Discoveriez」の新規顧客の獲得とともに、提供サービスのアップセル・クロスセルの促進による既存顧客との取引拡大にも注力してまいりました。また、過年度より「Discoveriez」の基盤開発並びに機能強化の先行投資を行ってきた結果、個別案件のカスタマイズ費用低減等により粗利率が改善しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は551,058千円、営業利益は65,421千円、経常利益は65,921千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は56,607千円となりました
なお、当社グループは、顧客対応DXプラットフォーム事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
② キャッシュ・フローの状況
第19期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、125,657千円となり、前連結会計年度末に比べ、111,177千円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、119,604千円の支出(前連結会計年度は137,098千円の支出)となりました。これは主に、売上債権の減少額30,000千円、たな卸資産の減少額19,301千円、未払費用の増加額13,052千円等の増加要因があった一方で、税金等調整前当期純損失184,355千円の計上、仕入債務の減少額22,685千円等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、2,210千円の支出(前連結会計年度は2,904千円の支出)となりました。これは主に、定期預金等の預入による支出が2,351千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は233,095千円の収入(前連結会計年度は123,063千円の収入)となりました。これは主に、新株発行による収入が327,300千円あったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
c.販売実績
第19期連結会計年度及び第20期第3四半期連結累計期間における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは「顧客対応DXプラットフォーム事業」の単一セグメントであるため、サービス区分別で記載しております。
サービス区分第19期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第20期第3四半期
連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
クラウド事業246,904164.2416,297
オンプレ事業185,55695.1103,067
その他98,79161.931,692
合計531,252105.1551,058

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
その他には、一定期間の間最低限の仕事量を保証するラボ型開発、コンサルティング業務等が含まれております。
2.第20期第3四半期連結累計期間において、クラウド事業の販売実績に著しい変動がありました。これは、既存情報システムのオンプレミスからクラウドへの移行だけでなく、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現を目的としたサービス利用の拡大により堅調に推移していることによるものであります。
3.最近2連結会計年度及び第20期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第18期連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第19期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第20期第3四半期
連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
サッポログループマネジメント㈱80,99415.28,4971.5
ポーターズ㈱53,10410.563,19211.918,6683.4
㈱パイプドビッツ64,02212.726,9405.14,4870.8
ヱスビー食品㈱51,68310.28,2311.56,5651.2

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、以下の項目が重要であると認識しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積もりについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(工事進行基準)
当社グループは新規受注案件のうち、一定の要件を満たす契約については工事進行基準(工事進捗度の見積りは原価比例法)を適用しております。
工事進行基準の適用にあたって、受注収益総額、開発原価総額及び当連結会計年度末における開発進捗率を合理的に見積る必要があります。
工事進行基準による収益計上の基礎となる開発原価総額は、合理的で信頼性のある実行予算に基づいて見積りを行っておりますが、想定していなかった原価の発生等により当該見積りの見直しが必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第19期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、531,252千円(前連結会計年度比5.1%増)となりました。これは主に、オンプレミスからクラウドへの移行が促進された結果、クラウド事業で順調に新規案件が獲得できたことと、既存顧客の解約率が低く推移しているため、既存顧客に対するアップセル・クロスセル及びライセンス収入が増加したことによるものであります。
b.売上原価、売上総利益
当連結会計年度の売上原価は、396,861千円(前連結会計年度比8.8%増)となりました。売上原価を構成するものとしては、主に「Discoveriez」の開発の外注費と開発部門の人件費でありますが、案件増加に伴い開発の外注費等が増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は、134,391千円(前連結会計年度比4.3%減)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業損失
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、312,774千円(前連結会計年度比27.6%増)となりました。これは主に、事業規模拡大及び管理体制強化に伴い、開発部門部及び管理部門の人員増強により人件費等が増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の営業損失は、178,382千円(前連結会計年度比70.4%増)となりました。
d.営業外損益、経常損失
当連結会計年度の営業外収益は、871千円(前連結会計年度比38.6%増)となりました。これは主に、受取利息によるものであります。一方で、営業外費用は、5,968千円(前連結会計年度比1.7%増)となりました。これは主に、借入金増加に伴い支払利息も増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の経常損失は、183,480千円(前連結会計年度比66.9%増)となりました。
e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純損失
当連結会計年度において特別利益は発生しておりません。一方で、特別損失は、875千円(前連結会計年度は発生なし)となりました。これは、有形固定資産について減損損失を計上したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は、184,355千円(前連結会計年度比67.7%増)となり、法人税等を290千円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は、184,433千円(前連結会計年度比67.6%増)となりました。
第20期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績等は、次のとおりであります。
a.売上高
当第3四半期連結累計期間の売上高は、551,058千円となりました。これは主に、引き続きオンプレミスからクラウドへの移行が堅調であることに加えて、既存顧客のリプレイス需要も高まり、クラウド事業での新規案件が獲得できたことによるものであります。
b.売上原価、売上総利益
当第3四半期連結累計期間の売上原価は、216,028千円となりました。これは主に、新規案件の増加に伴い人件費及び外注費が増加したことによるものであります。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上総利益は、335,029千円となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、269,608千円となりました。これは主に、事業規模拡大及び管理体制強化に伴い、開発部門、営業部門及び管理部門の人員増強により人件費が増加したことによるものであります。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の営業利益は、65,421千円となりました。
d.営業外損益、経常損失
当第3四半期連結累計期間の営業外収益は、7,378千円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響から助成金を受給したこと等によるものであります。一方で、営業外費用は、6,878千円となりました。これは主に、上場関連費用及び支払利息によるものであります。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の経常利益は、65,921千円となりました。
e.特別損益、親会社株主に帰属する四半期純利益
当第3四半期連結累計期間において特別利益及び特別損失は発生しておりません。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の税金等調整前四半期純利益は、65,921千円となり、法人税等を10,058千円計上したことにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は、56,607千円となりました。
なお、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析等は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおける資金需要は、主として人件費、外注費等の運転資金であります。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入、及びエクイティファイナンスを基本としており、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて都度最適な方法を選択しております。
なお当連結会計年度末における借入金の残高は228,499千円であります。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は125,657千円となります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
⑥ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として売上高、営業利益を特に重視しております。経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標は、新規導入件数であると考えております。今後もこの指標を目標として経営を行うことにより、企業の成長性及び効率性の確保を図る所存であります。
2021年3月期第3四半期連結累計期間末時点においては、クラウドサービスの導入企業数が19件増加し、その結果営業利益は黒字転換となっております。現時点では目標達成に向けて予定通り進捗していると評価しております。
重視する指標の推移(単位:千円)
期間2019年3月期2020年3月期2021年3月期
第3四半期連結累計期間
売上高505,294531,252551,058
営業利益又は営業損失(△)△104,662△178,38265,421
クラウド事業新規導入件数41219
オンプレ事業新規導入件数530