有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/03/19 15:00
【資料】
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【項目】
144項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第21期連結会計年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
(資産)
当連結会計年度末の総資産につきましては、982,064千円となり、前連結会計年度末に比べ151,167千円増加いたしました。これは主に、既存顧客からのリピート売上及び新規獲得顧客からの売上が順調に推移したことにより、カスタマードリブンサービス売上、インサイトドリブンサービス売上が伸長したことにより現金及び預金が151,674千円、受取手形及び売掛金が7,416千円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債につきましては、770,176千円となり、前連結会計年度末に比べ95,706千円増加いたしました。これは主に、前連結会計年度に発生した事業譲受に伴う譲渡代金が支払われたことにより未払金が140,382千円減少した一方、カスタマードリブンサービス売上、インサイトドリブンサービス売上の伸長等に伴い親会社株主に帰属する当期純利益の増加により未払法人税等が42,969千円増加し、未払消費税が47,977千円増加するとともに、新型コロナウイルス禍における運転資金として長期借入金が134,701千円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、211,887千円となり、前連結会計年度末に比べ55,460千円増加いたしました。これは主に、カスタマードリブンサービス売上、インサイトドリブンサービス売上の伸長等に伴い親会社株主に帰属する当期純利益が増加したことにより利益剰余金が116,650千円増加した一方で、自己株式の取得が61,000千円あったためです。
第22期第1四半期連結累計期間(自 2020年10月1日 至 2020年12月31日)
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の資産につきましては、997,894千円となり、前連結会計年度末に比べ15,829千円増加いたしました。これは主に、冬季賞与の支払い及び法人税等の支払による現金及び預金が63,019千円減少し、減価償却の進行に伴い固定資産が7,747千円減少したものの、カスタマードリブンサービス売上、インサイトドリブンサービス売上の売上が順調に推移したこと等に伴い受取手形及び売掛金が54,062千円増加し、仕掛品が27,716千円増加したことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末の負債につきましては、729,480千円となり、前連結会計年度末に比べ40,696千円減少いたしました。これは主に、夏季賞与引当金が9,920千円増加したものの、法人税等の支払いにより未払法人税等が17,732千円減少し、借入金の返済により長期借入金が29,676千円減少したことによるものです。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末の純資産につきましては、268,413千円となり、前連結会計年度末に比べ56,525千円増加いたしました。これは主に、カスタマードリブンサービス売上、インサイトドリブンサービス売上の売上が順調に推移したこと等に伴い親会社株主に帰属する四半期純利益を55,782千円計上したためです。
② 経営成績の状況
第21期連結会計年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、2019年10月における消費税増税により個人消費が伸び悩む中スタートしました。2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界的に経済活動は停滞し、景気が急速に悪化したことから、先行きは著しく不透明な状況にあります。
当社においては、新型コロナウイルスの感染拡大に対し、従業員の安心・安全を守る施策として全従業員へ毎日の非接触型検温測定と全社的な在宅勤務の推奨、それに伴い従業員の在宅勤務を可能にするための機器及びルールの整備と体制の構築等の対策を進めてまいりました。
業務面・受注面における影響として、対面型のインタビュー調査や会場調査が実施できず延期になるといった事象や、一部のお客様において予定されていたプロモーション時期が変更されるといった事象が発生いたしました。これらの事象は、当事業年度におきましては一時的に業績を押し下げる要因として働きましたが、中長期的には社会がWithコロナ時代に適合していく過程の中で、変化した生活者の意識や消費行動を捕捉していく必要性から、当社が提供するマーケティングサービスの需要が喚起されるものと予想しております。
当社がサービスを提供するマーケティング関連市場においては、新型コロナウイルスに対応する施策として拡大しているテレワークやオンラインミーティングへの社会的要請とも相まって、社会全体に変革を起こすDX(デジタル・トランスフォーメーション)という概念が浸透いたしました。当社の顧客の中心であるメーカー企業においては、コロナウイルス禍の中で既存の流通・販売チャネルへの依存度を低減する試みとして、自社のECサイトを活用して直接消費者に製品を販売するD2C(ダイレクトtoコンシューマー)という形態を本格的に模索し始めており、急速に市場環境が変化しております。
このような状況の中、消費者調査の結果をもとにメインターゲットの設定とブランドの在り方にふさわしいコミュニケーションを設計したうえでShopifyのサイトを構築する支援を開始いたしました。サイト構築後は設計に基づきコンバージョン獲得のためのデジタルマーケティング施策を提供することでお客様のD2C施策をトータルでサポート出来るサービスに進化させる等、当社の根幹であるマーケティング支援事業の事業基盤確立のため、直面する課題に応じて事業の変革とブラッシュアップに努めて参りました。
営業面での取り組みにおいては、オンラインWEBセミナーを実施出来るシステムと仕組みを構築し、非対面において当社のサービスを提案し見込み顧客を獲得する施策を実施いたしました。
以上の取り組みの結果、当連結会計年度の業績は、売上高1,427,555千円(前年同期比26.1%増)、営業利益173,600千円(同750.8%増)、経常利益173,652千円(同782.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益116,650千円(同1,353.2%増)となりました。
なお、当社グループはマーケティング支援事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
第22期第1四半期連結累計期間(自 2020年10月1日 至 2020年12月31日)
当第1四半期連結累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大傾向が再燃しており、多くの産業において経済活動の縮小・停滞などの影響が継続しております。各種の経済対策などにより株価を含めた経済指標の持ち直しの傾向もみられましたが、世界的に見ても感染症の拡大傾向は継続しており、依然として国内外における経済的な見通しは不透明な状況が続いております。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、当社グループにおいては、従業員の安全・安心を守る施策として、始業前の全従業員への非接触型検温測定の義務付け、二酸化炭素濃度測定器導入による換気と密の回避、全社的なテレワークの推奨とそれに向けての機器及びルールの整備・体制の構築等の対策について、グループ一丸となって取り組んでまいりました。
当社グループのメインの顧客層である製造業のお客様においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響は他業種との比較において軽微であり、現時点の経済活動状況を前提とした場合に当社グループが業績面において受ける影響は限定的と考えております。中長期的には社会がWithコロナ時代に適合していく過程の中で、変化した生活者の意識や消費行動を捕捉していく必要性から、当社グループが提供するマーケティングサービスの需要が喚起されていくものと予想しております。
当社グループがサービスを提供するマーケティング関連市場においては、新型コロナウイルスに対応する施策として拡大しているテレワークやオンラインミーティングへの社会的要請とも相まって、社会全体に変革を起こすDX(デジタル・トランスフォーメーション)という概念が浸透いたしました。当社グループの顧客の中心である製造業のお客様においては、コロナウイルス禍の中で既存の流通・販売チャネルへの依存度を低減する試みとして、自社のECサイトを活用して消費者に製品を直接販売する、D2C(ダイレクトtoコンシューマー)という形態に取り組み始めており急速に市場環境が変化しています。
このような状況の中、消費者調査の結果をもとにターゲットとブランドコミュニケーションを設計しShopifyの株式会社ネオマーケティングサイトを構築するD2C支援サービスの提案活動に注力する等、デジタルマーケティングサービスのブラッシュアップに努めてまいりました。
営業面での取り組みにおいては、マーケティングコンサルタントが顧客に対し包括的・統合的なマーケティングソリューションを提案出来る組織体制に移行し、既存のお客様に対して、独自に開発した「マーケティングフレームワーク4K」に基づいてクロスセル・アップセルの提案活動を実施いたしました。
以上の取り組みの結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高415,522千円、営業利益89,105千円、経常利益86,844千円、親会社株主に帰属する四半期純利益55,782千円となりました。
なお、当社グループはマーケティング支援事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
③ キャッシュ・フローの状況
第21期連結会計年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ157,674千円増加し、476,458千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは233,185千円の収入(前期は11,169千円の収入)となりました。キャッシュ・フローの主な増加要因は税金等調整前当期純利益173,589千円、減価償却費9,080千円、のれん償却費16,799千円、その他の流動負債の増加60,831千円等であり、一方でキャッシュ・フローの主な減少要因は仕入債務の減少16,370千円、法人税等の支払額10,228千円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは156,164千円の支出(前期は10,910千円の支出)となりました。これは主に、定期積金の払戻7,503千円による収入と有形固定資産の取得3,706千円による支出、2019年9月にカスタマードリブンサービスの体制強化を目的とし、株式会社モニタスよりリサーチ事業の事業譲受を受けたことによる支出158,888千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは80,842千円の収入(前期は35,444千円の収入)となりました。これは主に、コロナ禍における先行きの不透明感から経営基盤の強化を図ることを目的とした長期借入金の調達による300,000千円の収入、長期借入金の返済による157,056千円、自己株式の取得による61,000千円の支出によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループでは、提供するサービスに生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループでは、概ね受注から納品までの期間が短く、受注管理を行う必要性が乏しいため記載を省略しております。
c.販売実績
第21期連結会計年度及び第22期第1四半期連結累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。マーケティング支援事業につきましては、前連結会計年度の売上実績からのリピート売上率と新規の顧客獲得による売上が順調に推移したことにより前年同期126.1%となりました。
セグメントの名称第21期連結会計年度
(自 2019年10月1日
至 2020年9月30日)
第22期第1四半期連結累計期間
(自 2020年10月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
マーケティング支援事業1,427,555126.1415,522

(注) 1.当社グループはマーケティング支援事業の単一セグメントであります。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、見積りが必要な事項については過去の実績や現状等を考慮し、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。但し、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、当社の財務諸表作成にあたり、特に重要と判断している会計上の見積りは以下のとおりです。
a.のれんの減損
のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。また、その資産性については対象事業の業績や事業計画等を基に検討し、判断しておりますが、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。
b.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性については、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積もりに依存するため、その見積もりを前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績の分析
第21期連結会計年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度から295,283千円増加し、1,427,555千円(前年同期比26.1%増)となりました。これは主にPRサービスを除く各サービスが総じて増収基調で伸長したことと、事業譲受によりカスタマードリブンサービスを強化したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度から97,643千円増加し、719,564千円(前年同期比15.7%増)となりました。社内業務運用効率化と外注比率最適化の施策により、売上高の増加率26.1%に比して売上原価の増加率は15.7%に抑える事ができました。この結果、売上総利益は、前連結会計年度から197,640千円増加し、707,991千円(前年同期比38.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から44,444千円増加し、534,391千円(前年同期比9.1%増)となりました。これは主に成長に向けた人材採用を積極的に行ったことによるものです。この結果営業利益は、前連結会計年度から153,196千円増加し、173,600千円(前年同期比750.8%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、3,304千円となりました。これは主に補助金収入によるものです。営業外費用は3,252千円となりました。これは主に借入金の金利負担によるものです。この結果、経常利益は、前連結会計年度から153,977千円増加し、173,652千円(前年同期比782.6%増)となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益はありませんでした。特別損失は62千円となりました。これは固定資産売却損によるものです。法人税、住民税及び事業税53,198千円、法人税等調整額3,740千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、116,650千円(前年同期比1,353.2%増)となりました。
第22期第1四半期連結累計期間(自 2020年10月1日 至 2020年12月31日)
(売上高)
当第1四半期連結累計期間の売上高は415,522千円となりました。これは主に、カスタマードリブンサービス、インサイトドリブンサービスの売上高が順調に推移したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当第1四半期連結累計期間の売上原価は194,746千円となり、売上総利益は220,775千円となりました。これは主に、カスタマードリブンサービス、インサイトドリブンサービスの売上高が増加したことによるものであります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は131,670千円となり、営業利益は89,105千円となりました。これは主に、人件費及び広告宣伝費、事務所賃借料、採用費によるものであります。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当第1四半期連結累計期間の営業外収益は430千円となりました。これは主に、補助金収入によるものです。営業外費用は2,691千円となりました。これは主に上場準備に伴い上場関連費用が発生したことと、借入金の金利負担によるものです。この結果、経常利益は、86,844千円となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当第1四半期連結累計期間の特別利益及び特別損失は発生しておりません。法人税、住民税及び事業税30,225千円、法人税等調整額835千円を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、55,782千円となりました。
b 財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
c キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費等の売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は自己資金を基本とし、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、資金の流動性については、営業債権の回収、営業債務の支払とともに概ね2ヶ月以内に滞りなく処理されており、営業活動に伴う資金収入を安定的に確保しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 事業等のリスク及び 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」に記載しているとおりであります。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、これまで、目標とする経営指標を売上高営業利益率10%以上、ROE10%以上としており、当連結会計年度における売上高営業利益率は12.2%、ROEは63.3%となりました。この理由は、PRサービスを除く各サービスが総じて増収基調で伸長したことと、事業譲受によりカスタマードリブンサービスを強化したことにより売上高が増加したためであります。
直近2期の経営指標推移は下記のとおりです。
2019年9月期2020年9月期
売上高営業利益率1.8%12.2%
自己資本利益率(ROE)5.3%63.3%

当社グループは、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、今後は「顧客数」「顧客単価」「マーケティングコンサルタント人員数」を重要な経営指標とし、今後も引き続き事業を推進してまいります。