有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/07/16 15:00
【資料】
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【項目】
130項目
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)財政状態の状況
第73期事業年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は6,069百万円となり、前事業年度末に比べ672百万円増加いたしました。
流動資産につきましては、前事業年度末に比べ459百万円増加して4,093百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金が401百万円、原材料及び貯蔵品が502百万円増加したことによるものと、受取手形及び売掛金が108百万円、その他に含まれる貸付金等が154百万円減少したことによるものであります。また、固定資産につきましては、新規出店などにより、前事業年度末に比べ212百万円増加し、1,976百万円となりました。
(負債)
当事業年度末における負債合計は5,254百万円となり、前事業年度末に比べ540百万円増加いたしました。
流動負債につきましては、前事業年度末に比べ304百万円増加し、3,780百万円となりました。主な変動要因は、短期借入金が850百万円、1年内返済予定の長期借入金が331百万円増加したことによるものと、前受金が283百万円、支払手形及び買掛金が555百万円減少したことによるものであります。また、固定負債につきましては、前事業年度末に比べ235百万円増加し1,473百万円となりました。主な変動要因は、長期借入金が306百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は815百万円となり、前事業年度末に比べ132百万円増加いたしました。
剰余金の配当52百万円を実施した一方で、当期純利益を184百万円計上し、利益剰余金が132百万円増加したことによるものであります。
第74期第3四半期累計期間(自 2020年8月1日 至 2021年4月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末の資産は、前事業年度末に比べ398百万円増加し、6,468百万円となりました。
流動資産につきましては、前事業年度末に比べ199百万円増加して4,292百万円となりました。主な変動要因は現金及び預金が409百万円、受取手形及び売掛金が149百万円それぞれ増加した一方で、原材料及び貯蔵品が378百万円減少したことによるものであります。また、固定資産につきましては、新規出店等により前事業年度末に比べ198百万円増加し、2,175百万円となりました。
(負債)
負債につきましては、前事業年度末に比べ263百万円増加し、5,518百万円となりました。
流動負債につきましては、前事業年度末に比べ176百万円増加し、3,957百万円となりました。主な変動要因は、前受金が243百万円、その他流動負債が151百万円それぞれ増加した一方で、短期借入金が200百万円減少したことによるものであります。また、固定負債につきましては、前事業年度末に比べ87百万円増加し、1,561百万円となりました。主な変動要因は、社債が145百万円、役員退職慰労引当金が41百万円、その他固定負債が78百万円それぞれ増加した一方で、長期借入金が177百万減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産につきましては、前事業年度末に比べ134百万円増加し、949百万円となりました。前期の期末配当18百万円を実施した一方で、四半期純利益を152百万円計上し、利益剰余金が134百万円増加したことによるものであります。
(2)経営成績の状況
第73期事業年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
当事業年度における我が国経済は、2019年10月の消費税増税による個人消費の低迷に加え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により経済活動に多大な影響が生じており、今後も感染拡大が継続することで経済活動への影響がより一層深刻化、長期化することが懸念され、景気の先行きは極めて不透明な状況となっております。
当社が属するオーダースーツ業界におきましても、原材料価格の高騰や労働賃金の上昇に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による消費マインドの悪化や在宅勤務など働き方の変化によるスーツ需要の落ち込み等、厳しい事業環境が続いております。
このような状況の下、当社におきましては、「Enjoy Order すべてのお客様にオーダーメイドを楽しんでいただく」のコンセプトのもと、新規出店や新たな顧客サービス施策への取り組みを行ってまいりました。
まず、新規出店といたしましては、新業態である「GINZA Global Style COMFORT」として、2019年8月に博多駅中央街店、次いで、2020年2月に横浜西口店をオープンいたしました。当業態2店舗の業績は順調に推移しており、2店舗合計で当初予測を上回る575百万円の売上高を計上しております。当業態は、従来のプラベートフィッティングルームに加え、ウェイティングカフェスペースを店内に併設し、お客様がより快適に店内でのお時間を過ごしていただける空間をご用意した業態となります。また、販売開始よりご好評いただいておりますレディスオーダースーツも展開しており、性別を問わず多数の新規のお客様にご来店いただいております。今後さらに当業態での出店を積極的に行っていく予定となります。
また、新たな顧客サービス施策として、2020年6月より「GSオンラインオーダーサービス」を開始いたしました。当サービスは、当社店舗にてオーダースーツをご購入いただいたことがあり、当社が採寸データを保有するGSアプリ倶楽部・GS倶楽部会員のお客様を対象に、当社スタイリストのカウンセリングサービスのもと、オンラインでオーダー商品をご注文いただけるサービスになります。当サービスは、サービス開始より多くのお客様にご注文いただいており、サービス内容へのご要望も多いため、更なるオーダーコンテンツの拡充と機能強化を行い、お客様の利便性向上を図ってまいります。
以上の結果、当事業年度の売上高は、9,017百万円(前年同期比7.2%減)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、WEB広告施策実施による広告宣伝費の増加、また新規出店に伴う人件費の増加により3,973百万円(同3.4%増)となりました。
利益面につきましては、営業利益193百万円(同70.8%減)、経常利益257百万円(同59.4%減)、当期純利益184百万円(同65.6%減)となりました。なお当社はオーダースーツの販売店舗を運営する事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第74期第3四半期累計期間(自 2020年8月1日 至 2021年4月30日)
当第3四半期累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染再拡大の影響により4月には東京、大阪、京都、兵庫を対象として3度目となる緊急事態宣言が発出されるなど、社会・経済活動への影響が長期化する中、企業業績や個人消費は低迷し、景気の先行きは極めて不透明な状況が続いております。
当社が属するオーダースーツ業界におきましても、新型コロナウイルス感染再拡大による消費マインドの悪化や大企業を中心とした出社制限や在宅勤務の広がりなど、働き方の変化によるスーツ需要の落ち込み等の影響は大きく、厳しい事業環境が続いております。
このような状況の下、当社におきましては、「Enjoy Order すべてのお客様にオーダーメイドを楽しんでいただく」のコンセプトのもと、新規出店やGSオンラインオーダーサービスでの積極的な営業施策等を推進してまいりました。
まず、当第3四半期累計期間における新規出店といたしましては、9月の「GINZA Global Style COMFORT 表参道店」、11月の「GINZA Global Style COMFORT 札幌パルコ店」に続き、12月には東北地域初出店となる「GINZA Global Style COMFORT クラックス仙台店」を出店いたしました。また、4月には大名古屋ビルヂング店を増床いたしました。これら店舗の出店等は同エリアでの新規顧客獲得に大きく寄与しております。
上記新規出店を含め、当第3四半期会計期間末の店舗数は28店舗となりました。
また、GSオンラインオーダーサービスでの営業施策といたしましては、当サービスでの限定フェアの開催や積極的なWEB広告施策を推進しております。今後も当サービスの更なる充実のため、サービス対応人員の増員や対応商品の拡充に取り組んでまいります。
以上のような取り組みの結果、売上高につきましては、6,427百万円となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、新規出店に伴う諸経費及び人件費、広告宣伝費等が増加したものの、新型コロナウイルス感染症の影響による経費減少を受け、3,100百万円となりました。
利益面につきましては、営業利益227百万円、経常利益237百万円、四半期純利益152百万円となりました。なお、当社はオーダースーツの販売店舗を運営する事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
第73期事業年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により713百万円減少、投資活動で155百万円減少し、財務活動により1,270百万円増加いたしました。その結果、前事業年度末に比べ401百万円増加し、当事業年度末の資金残高は1,421百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は713百万円となりました。これは、主に税引前当期純利益245百万円、減価償却費182百万円、売上債権の減少額108百万円等があったものの、たな卸資産の増加額427百万円、仕入債務の減少額555百万円、前受金の減少額283百万円等の要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は155百万円となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出181百万円、敷金の差入による支出96百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,270百万円となりました。これは、主に短期借入金の純増加額850百万円及び長期借入れによる収入782百万円等の要因によるものでありますが、長期借入金の返済による支出147百万円等の減少要因により一部相殺されております。
(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、安定した収益と成長性を確保するために必要な運転資金について、自己資金及び金融機関からの借入金を充当しております。
また、資金需要の主なものは、生地の仕入、外注工賃の他、人件費、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であり、設備投資にかかる資金需要の主なものは、新規出店に伴う有形固定資産の取得等であります。
(5)生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b 受注実績
当事業年度の事業部門別の受注実績は、次のとおりであります。
事業部門の名称当事業年度
(自 2019年8月1日
至 2020年7月31日)
第74期第3四半期累計期間
(自 2020年8月1日
至 2021年4月30日)
受注高
(百万円)
前年同期比(%)受注残高
(百万円)
前年同期比(%)受注高
(百万円)
受注残高
(百万円)
GS営業部8,10091.043761.46,246672
TANGOYA営業部44691.52474.031029
その他------
合計8,54691.046262.06,557702

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.業務システム本部は受注後、即出荷となるため、記載を省略しております。
c 販売実績
当事業年度の事業部門別の販売実績は、次のとおりであります。
事業部門の名称当事業年度
(自 2019年8月1日
至 2020年7月31日)
第74期第3四半期累計期間
(自 2020年8月1日
至 2021年4月30日)
金額(百万円)前年同期比(%)金額(百万円)
GS営業部(百万円)8,35294.86,028
TANGOYA営業部(百万円)46096.6313
その他(百万円)20547.685
合計9,01792.86,427

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
・繰延税金資産の回収可能性
当社は、繰延税金資産の回収可能性の評価について、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)」に従い将来の課税所得を見積り、回収可能と認められない金額について評価性引当額を計上しております。当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
・減損損失にかかる将来キャッシュ・フロー
当社は、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされる固定資産について、店舗を最小単位としてグルーピングし、その営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなる場合等の事象が発生した場合には、減損の兆候があると判断し、資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の認識及び測定に当たっては、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や経営環境等の前提条件の変化により、追加の減損処理又は新たな減損処理が必要となる可能性があります。
・資産除去債務の計上基準
当社は、店舗は主に賃貸借物件を利用することとしており、店舗閉鎖時には当社が原状回復義務を負いますので、閉鎖に伴い発生が見込まれる原状回復費用の支出見込み額を過去の実績を基礎として算定し、これを現在価値に割り引いた金額を資産除去債務として計上しております。
従いまして、過去の実績と実際の原状回復費用等に差異がある場合、退去時に追加の費用負担若しくは資産除去債務の戻入が発生する可能性があります。
また、原状回復費用の支出見込み額に重要な見積りの変更が生じた場合には、有形固定資産の帳簿価額が増減し、将来の減価償却費に影響を与えることになります。
・ポイント引当金
「GSアプリ倶楽部」・「GS倶楽部」制度等のポイント制度における将来のポイント使用による売上値引に備えるため、未使用のポイント残高に対して、過去の使用実績から将来使用されると見込まれる金額を見積り適正な引当金を計上しております。
また、過去の使用実績に重要な変更が生じた場合には、計上する引当金が増減し、売上高に影響を及ぼす可能性があります。
・棚卸資産の評価基準
当社の棚卸資産の評価方法は、個別法による原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)でありますが、収益性の低下及び長期滞留化した棚卸資産に対して、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき、当社で定めた基準により評価減を計上しております。そのため、将来の市場状況や販売価格の下落等により、追加の評価減が必要となる可能性があります。