有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/05/21 15:00
【資料】
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【項目】
168項目

事業内容

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社HCSホールディングス)、連結子会社6社(注)及び関連会社1社により構成されており、情報サービス事業、ERP事業、デジタルマーケティング事業を主たる業務としております。
純粋持株会社である当社は、グループ経営戦略の策定、コーポレート・ガバナンスの構築、経営資源のグループ内最適配分などを行っております。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。また、当該事業は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(注)HCS Vietnam Co., Ltd.については、2020年12月末をもってSystemGear Vietnam Co.,Ltd.に資産譲渡・契約
承継を行い、2021年7月より会社の清算手続きに入る予定です。
(1) 情報サービス事業
①システムインテグレーションサービス
製造、運輸、公共、金融等の幅広い分野において、大手エンドユーザ系情報子会社や大手システムインテグレータ等の開発案件に主に2次請けとして参画しており、常駐型を中心に、主に業務ソフトウェアの設計・開発・保守及び運用サービスを提供しております。
業務ソフトウェア開発においては、システム機能や入出力データの概要を決定する「基本設計」、システムの内部処理を設計する「詳細設計」、プログラムを作成する「製造・単体テスト」、各プログラムの連携を確認する「結合テスト」、システム全体機能や性能を確認する「総合テスト(システムテスト)」を行っております。また、システム稼働後は、安定稼働をさせるための「保守・システム運用」を行っております。
当社グループでは、設備投資規模が大きい電力・航空・鉄鋼業のエンドユーザ系情報子会社を主要顧客としており、長年に亘る顧客企業との信頼構築や、これまでの経験で築き上げてきた業務知識を基に、継続的な取引をしております。
当該サービスに携わる主な関係会社…㈱日比谷コンピュータシステム、㈱アイシス
②マスターファイルソリューションサービス
当社グループの前身となるリッカー株式会社の電算センターにて、顧客管理を目的に住所マスターが開発され、1970年に同センターが子会社化される際に事業譲渡を受けた後、1972年より外販を開始いたしました。以来、当社グループでは、全国住所マスターである国土行政区画コードマスター及び関連製品・サービス等を提供しております。
当社グループの住所マスターは、日本国内の各地区に9または12桁のコード(住所コード)を割り当て、各住所コードに地名や番地情報を付与したデータ集であります。当社は収集した住所変更情報を、該当する住所コードに付与された地名や番地に反映し、地名や番地を最新化した住所マスターを毎月お届けしております。
住所は市町村の統廃合や区画整理などによって同じ場所でも地名や番地が変わりますが、自社の顧客管理システムに住所マスターを導入し、各顧客に該当する住所コードを割り当てておけば、以降は当社グループから届けられる最新の住所マスターに入れ替えるだけで、顧客住所の地名や番地を常に最新にメンテナンスしておくことができます。
0201010_001.png当該サービスに携わる主な関係会社…㈱オートマティゴ
(2) ERP事業
①SAP導入支援・開発サービス
当社グループは、SAPジャパン株式会社(注1)よりサービスパートナー認定を取得しております。大手コンサルティングファームや大手システムインテグレータ等からのSAP導入・保守案件に、主に2次請けとして参画しており、常駐型を中心に、独SAP社のERPソフトウェア(SAP ERP、S/4 HANA等)導入支援、カスタマイズ、アドオン開発(注2)、保守及び運用サービスを提供しております。
ERPソフトウェアとは、調達・購買、製造・生産、物流・在庫管理、販売・受発注管理、人事・給与、財務・会計等の業務データを相互に参照・連携できるように各業務機能を共通のシステム基盤のもとに統合したソフトウェアです。ERPソフトウェアを導入することにより、部門間の業務連携が容易になり、調達・購買・生産・在庫・販売・請求・入金といった業務の流れを迅速化することができます。また、各部門の状況をリアルタイムに把握しやすくなるため、部門最適化による非効率を排して全体最適化を促したり、経営層の意思決定の精度向上などに資することが期待できます。ERPソフトウェアは1990年代半ばから国内で使われ始め、2000年代に入って国内での本格的な普及が始まりましたが、当社グループではこれらの需要に対応すべく1999年から本サービスを提供しております。
本サービスの主な内容は以下の通りです。
a.SAP導入支援
SAP導入プロジェクトにおけるコンサルタント業務(要件定義やFit/Gap分析(注3)、プロトタイプ構築・検証、業務フロー作成、テストシナリオ作成、テスト実施、ユーザー教育から本稼働サポートまで)や、SAP保守業務(ユーザー問合せ対応、調査、システム改修提案、実装からテストまで)を支援しております。
b.ERP開発支援
SAPの導入・保守プロジェクトにおける周辺機能のアドオン開発や、アドオン部分のパフォーマンス調査・改善などテクニカル領域での開発支援を行っております。また、SAP周辺のWeb系開発等も行っております。
c.インフラ構築支援
SAPの導入・保守プロジェクトにおけるシステム環境の構築・運用業務の他、ITインフラの維持・運用管理・構築に関わるさまざまな業務を支援しております。
当該サービスに携わる主な関係会社…㈱日比谷リソースプランニング、HCS Vietnam Co., Ltd.
②リソースプランニングサポートサービス(RPSサービス)
a.リモート保守・運用サービス
SAPシステム及び運用管理ツール等の保守・運用及びヘルプデスク業務について、当社グループのサポートセンター(RPSセンター)からリモートによる支援サービスを提供しております。お客様はシステム運用のために個別に技術者を抱えることなく、適宜必要なだけのリソースのみを利用する事でコストダウンを図ることができます。
また、スポットでの構築・開発支援やユーザ業務支援なども併せて対応し、お客様リソースの効率的な管理・最適化に向けて幅広く支援しております。
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b.教育支援サービス
当社グループのパートナー企業やSAP導入を検討するユーザー企業向けに、プログラミングに関する実践的なアドバイスや、QAに対するサポート等、教育に関する支援サービスを提供しております。
当該サービスに携わる主な関係会社…㈱日比谷リソースプランニング
(3) デジタルマーケティング事業
①マーケティングソリューションサービス
インターネットの普及により、情報流通量は飛躍的に増加しており、膨大な情報の中から自社の商品・サービスに関心を持つユーザー層を見つけ、最適な情報を提供することが、マーケティング上の大きな課題になっております。インターネットユーザーの多くは、Googleに代表される検索エンジンを利用して情報を探しておりますが、当社グループでは、これらのユーザーをお客様のWebサイトに効率良く集客し、商品購入や問い合わせ、会員登録等の成果に導くために、インターネット広告に関する広告プラン策定及び広告運用(主にGoogle、Twitter等へのディスプレイ広告掲載)等のサービスを提供しております。
当社グループが提供するサービスでは、お客様から提示される広告の目的と予算に対して、広告プラン(広告効果の高いターゲット層の選定等)を策定し、広告配信の仕組みを持つ広告プラットフォームを通じて、各広告媒体(ニュースサイト等)に広告を配信しております。また広告配信後には、インターネット閲覧者(厳密にはWebブラウザー(注4))が、お客様のWebサイトにどの広告から来訪し、どのページやコンテンツを閲覧した後、Webサイト上での商品購入や問い合わせ等のコンバージョン(注5)に至っているか(または至らなかったか)等を分析し、分析結果を基にターゲットユーザー層、お客様Webサイト設計、広告素材、広告配信先、入札額等の広告プランの見直しを行ないお客様に提案しております。このように当サービスでは、データドリブンマーケティングを導入し、データ分析に基づいたPDCAサイクル(Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Action(改善))を繰り返すことにより、広告効果の向上を図っております。
なお、当社グループは、インターネット広告に関する広告プラン策定及び広告運用を主な業務範囲としておりますが、広告効果の分析や広告配信の指定は、広告プラットフォームを通じて行なっております。従いまして、当社グループが個別の閲覧履歴データを取得することはなく、個人を特定する情報を得ることもございません。
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当該サービスに携わる主な関係会社…㈱ビジー・ビー、㈱ラバブルマーケティンググループ(関連会社)
②パッケージソリューションサービス
点検・検査報告書作成アプリケーションである点検エースの開発・販売をしております。本製品は紙の報告書をタブレットPCに置き換えるために開発されたソフトウェアであり、紙媒体の利用が多かった検査報告書の作成業務を電子化することで、作業の効率化を実現する製品であります。また、本製品はExcelアドインソフト(注6)であるため、Excelで作成された報告書フォーマットをそのまま利用することが可能であります。その他、本製品から取得したデータを統合・可視化することで、今まで見えなかった気づきの発見によるお客様ビジネスの改善等に活用することができます。
当該サービスに携わる主な関係会社…㈱ビジー・ビー
[用語説明]
(注)1.SAPジャパン株式会社
ERPソフトウェア等で知られるソフトウェアベンダーである独SAP社の日本法人であります。
2.アドオン開発
ソフトウェアの機能を拡張するための開発のことを指します。
3.Fit/Gap分析
お客様の業務とソフトウェアの機能との適合部分(Fit)と乖離部分(Gap)を調査し、アドオン開発が必要な機能の洗い出しを実施することを指します。
4.Webブラウザー
Webページを閲覧するためのアプリケーションの総称で、主な種類として、Internet Explorer、Microsoft Edge、Google Chrome、Firefox、Safari等があります。広告プラットフォームでは、各端末(PC・スマートフォン等)で使用されるWebブラウザーを個別ユーザーとして認識し、各Webブラウザユーザーの閲覧履歴データが収集されております。
5.コンバージョン
商品購入、問い合わせ、資料請求、会員登録等、目標とされる成果が達成されることを意味します。
6.Excelアドインソフト
ExcelとはMicrosoft社が提供する表計算ソフトであります。また、アドインとは一般的に『プログラムに拡張した機能を追加装備させる』という意味のことを指します。したがって、ExcelアドインソフトとはExcelに追加装備するソフトウェアのことを指します。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
0201010_004.png無印 連結子会社 ※ 関連会社で持分法適用会社