訂正有価証券報告書-第26期(2024/04/01-2025/03/31)

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2025/09/03 15:30
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118項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の経営成績、財政状態、キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)及び研究開発活動の概要は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
① 経営成績の概要
当社は、医療現場の課題を解決するために、多様なモダリティ(医薬品、医療機器、AIを活用したプログラム医療機器)を医師/研究者とともに医療現場で研究開発しています。医薬品事業は、研究開発費や研究開発期間が比較的大きく事業リスクが高い分野ですが、上市後には極めて高い収益が期待できる事業です。一方、医療機器やプログラム医療機器のパイプラインの事業収益は医薬品と比べると小さいですが、研究開発費や研究開発期間のリスクは小さく、早期に当社収益につながります。当社は、これら2つの事業ポートフォリオを、同時に複数のパイプラインを進めることにより、リスクを分散しながら早期の黒字化と将来の収益の拡大を目指します。
これまでの製薬企業や創薬ベンチャーの多くはパイプラインのバリューチェーン(開発の全ての工程の積み上げ)を自社で全て構築し、事業価値を高めることに注力してきました。大手製薬企業は潤沢な資金を背景に、多くのパイプラインのバリューチェーンを自社独自で形成するという既存の枠組みでの開発ができますが、ベンチャーのように資金が潤沢でない場合は、なかなか難しいのが現状です。当社は、公的資金や外部機関(研究機関、医療機関)のリソースを活用して開発コストを抑えるなど、効率の高い開発を実践してきました。外部機関とのアライアンスをもとに多くのバリューチェーン構築を考えており、既存ベンチャーとは戦略、研究開発、人的資源管理などが異なります。少ない人的リソースや経費で多くのパイプラインを広げ、モダリティを展開し、成果も出つつあります。自己資源や社内環境のみにこだわるのではなく、むしろ外部リソースや外部環境の積極的活用に注力し、効率的にイノベーションを創出する枠組みを構築していきたいと考えています。当社は、大学や様々な異業種企業との連携や協業を基にオープンイノベーションを推進し、効率的な開発を実施しています。
当事業年度における総括を以下に記載します。
□ 慢性骨髄性白血病(CML): 2022年3月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「革新的がん医療実用化研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けて第Ⅲ相試験(医師主導治験)を開始しました。2023年12月末で症例登録を終了し、最終的に解析に必要な症例数を上回る57例が登録されました。2024年12月に実施されたAMED「革新的がん医療実用化研究事業」の最終年度評価の結果、第Ⅲ相試験の目標症例数の登録が終了し、2年の延長期間内に試験を完了する目処が立っているとの理由から、さらに助成期間の2年間延長が承認されました(2024年12月3日適時開示)。
□ 悪性黒色腫(メラノーマ):PAI-1阻害薬RS5614において、厚生労働省より悪性黒色腫に対する希少疾患用医薬品の指定を受けました(2024年9月2日適時開示)。RS5614の悪性黒色腫の第Ⅲ相医師主導治験の実施に対して東北大学病院における治験審査委員会(IRB)にて承認されました(2025年1月6日適時開示)。治験計画届を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、最初の被験者への投与が東北大学病院で実施され第Ⅲ相試験(医師主導治験)を開始しました(2025年2月18日適時開示)。
□ 全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD):2023年3月にAMED「難治性疾患実用化研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けて、2023年10月から第Ⅱ相試験(医師主導治験)を開始しました。PAI-1阻害薬RS5614の第Ⅱ相医師主導治験における目標症例数を登録達成しました(2024年12月26日適時開示)。
□ 抗加齢・長寿研究:ノースウエスタン大学Potocsnak Longevity Institute(長寿研究所)の日本の研究室を、東北大学内のオープンイノベーション拠点である東北大学レナサイエンスオープンイノベーションラボ(TREx)内に設立し、共同で長寿研究を実施することを合意しました(2025年1月22日適時開示)。さらに、XPRIZE財団によるコンテスト(XPRIZE HEALTHSPAN)に東北大学など国内複数の研究機関と共同で応募しました(2025年1月10日適時開示)。XPRIZE HEALTHSPANは、健康寿命を延ばすことができた研究チームに対して、総額1億米ドルを支払うという世界的なコンペティションです。このコンペティションは、XPRIZE財団が主催し、人間の老化や長寿に対する治療アプローチに革命を起こし、健康寿命を積極的に10年以上延伸するという挑戦的な課題に取り組むことを目的とします。当社はTOP40(セミファイナリスト)に入賞し、賞金25万米ドルを獲得することになりました(2025年5月13日適時開示)。
□ 核酸医薬:大阪大学発バイオベンチャーであるルクサナバイオテク株式会社との間で、新たな医薬品モダリティであるバイオ医薬品に関する共同研究契約を締結し(2024年6月24日適時開示)、低分子医薬品に加えて核酸医薬の事業開発に着手し、AMEDの令和6年度「スマートバイオ創薬等研究支援事業」に申請していた「革新的核酸医薬技術を基盤とした神経・筋難病治療薬の開発」が採択され(2024年9月10日適時開示)、非臨床試験を実施しています。
□ 男性型脱毛症及び加齢性脱毛症外用薬:米国Eirion Therapeutics, Inc.社における男性型脱毛症及び加齢性脱毛症外用薬ET-02(RS5441)の第Ⅰ相臨床試験を開始し(2024年7月3日適時開示)、第Ⅰ相臨床試験の安全性と有効性の結果(速報)が同社から報告されました(POC取得:2025年1月9日適時開示)。
□ 糖尿病治療支援プログラム医療機器:糖尿病患者のインスリン投与量を予測する人工知能(AI)を活用したプログラム医療機器の薬事承認を目指して検証的臨床性能試験を実施し(2024年8月19日適時開示)、専門医に対するAI予測の非劣性(同等)が証明され(POC取得:2025年1月16日適時開示)、総括報告書を纏めました(2025年3月6日適時開示)。
□ 呼吸機能検査診断プログラム医療機器:本プログラム医療機器導出先のチェスト株式会社が対象地域拡大(国際展開)に係るオプション権を行使することに伴い、一時金を受領しました(2025年2月12日適時開示)。
□ 維持血液透析医療支援プログラム医療機器:維持血液透析を支援する人工知能(AI)を活用したプログラム医療機器の薬事承認のための臨床性能試験を開始しました(2024年10月21日適時開示)。現在、解析に必要な症例数である150症例の登録を完了しました(2025年4月9日適時開示)。
□ ディスポーザブル極細内視鏡:米国Baxter Healthcare Corporation(バクスター社)とディスポーザブル極細内視鏡に関するライセンス契約を解約し、新たに株式会社ハイレックスメディカルとのライセンス契約を締結し(2024年5月20日適時開示)、ディスポーザブル極細内視鏡を用いた多施設臨床研究(60症例)を開始しました(2024年6月24日適時開示)。
□ 国際共同研究:プログラム医療機器の事業拡大を視野に、台湾の台北医学大学(Taipei Medical University、TMU)の子会社TMU-Biotech社(台湾)とプログラム医療機器における共同開発契約を締結し(2024年8月30日適時開示)、PAI-1阻害薬RS5614の臨床開発及び事業化について共同開発契約を締結しました(2024年11月5日適時開示)。また、長寿研究のためにノースウエスタン大学Potocsnak Longevity Institute(長寿研究所)の日本の研究室を、東北大学内のオープンイノベーション拠点である東北大学レナサイエンスオープンイノベーションラボ(TREx)内に設立することに合意しました(2025年1月22日適時開示)。
(研究開発活動の実績)
a. 医薬品
PAI-1阻害薬RS5614はがん領域及び呼吸器疾患領域での臨床開発に注力しています。
(がん)
- 慢性骨髄性白血病(第Ⅲ相):2022年3月にAMED「革新的がん医療実用化研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けて第Ⅲ相試験(医師主導治験)を開始しました。2023年12月末で症例登録を終了し、最終的に解析に必要な症例数を上回る57例が登録されました。2024年12月に実施されたAMED「革新的がん医療実用化研究事業」の最終年度評価の結果、第Ⅲ相試験の目標症例数の登録が終了し、2年の延長期間内に試験を完了する目処が立っているとの理由から、さらに助成期間の2年間延長が承認されました。これにより、2026年3月期及び2027年3月期に見込んでいた費用計上がなくなり収益性が改善する見込みです。
- 悪性黒色腫(第Ⅲ相):2021年5月にAMED「橋渡し研究プログラムシーズC(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」に採択され、同年7月に第Ⅱ相試験(医師主導治験)を開始しました。2023年3月末時点で目標症例数40例全例の患者登録が完了しました。外科的切除が難しく、免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブが無効な悪性黒色腫患者に対して、ニボルマブとPAI-1阻害薬RS5614を8週間併用することにより、既承認の治療であるニボルマブとイピリムマブ併用以上の奏効率が得られました。また、実臨床で問題となっているニボルマブとイピリムマブ併用による重篤な副作用は、ニボルマブとRS5614の併用では見られず、安全性が確認されました。2023年12月に実施したPMDA対面助言により第Ⅲ相試験の臨床プロトコールを確定し、2024年8月には、厚生労働省より悪性黒色腫に対する希少疾患用医薬品の指定を受けました。今回、希少疾患用医薬品指定を受けたことにより、悪性黒色腫治療薬RS5614の薬価算定における市場性加算が加わり、さらに承認後の再審査期間が延長されて本治療薬事業の独占期間が長くなります。また、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所を通じての助成金交付などの優遇措置を受けられる可能性があります。12月には東北大学病院治験審査委員会において、第Ⅲ相試験実施の承認も得られました。PMDAに治験計画届を提出し、2025年2月には最初の被験者への投与が東北大学病院で実施され、第Ⅲ相試験(医師主導治験)が開始されました。
- その他のがん:上記2つの疾患での治験が順調に進んでいることから、新たながん領域の適応症で臨床開発を決定し実施しています。具体的には、2022年10月に広島大学と非小細胞肺がんに関する共同研究契約を締結しました。その後研究段階が非臨床試験から臨床試験(医師主導治験)に移行したため、2023年4月には「広島大学レナサイエンスオープンイノベーションラボ(HiREx)」を開設し、2023年9月から非小細胞肺がんの前期第Ⅱ相試験、2023年10月から皮膚血管肉腫の第Ⅱ相試験(いずれも医師主導治験)を開始しました。2024年11月にTMU-Biotech社と台湾及び日本でのPAI-1阻害薬RS5614の臨床開発及び事業化について共同開発契約を締結しました。また、当社のがん治療薬の取材記事が、2023年9月に科学誌『Nature』に掲載されました。
(呼吸器疾患)
- COVID-19に伴う肺傷害(後期第Ⅱ相終了):2021年6月からAMED「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けて後期第Ⅱ相試験(医師主導治験)を開始しました。2022年10月に患者登録を完了し、2023年4月に治験総括報告書が纏められました。本後期第Ⅱ相試験はオミクロン株の変異等により対象となる新型コロナウイルス肺炎患者(中等症、入院患者)数が減少し、目標より少ない症例数で治験を終了しましたが、特に早期治療におけるRS5614の有効性を示唆する結果を得ることができました。前期及び後期第Ⅱ相医師主導治験の成績は、2024年1月に科学誌『Scientific Reports』に掲載されました。
- 全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD、第Ⅱ相):2023年3月にAMED「難治性疾患実用化研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けて、2023年10月から第Ⅱ相試験(医師主導治験)を開始しました。2024年12月には、本治験の解析に必要な目標症例数50例を達成しております。
(抗加齢・長寿研究)
- 当社はこれまでノースウエスタン大学や東北大学と共同研究を行い、老化にPAI-1が関与する一連の科学的事実を細胞、マウス、ヒト(疫学調査)などから明らかにしました。2025年1月にノースウエスタン大学Potocsnak Longevity Institute(長寿研究所)の日本の研究室(TREx-Longevity Lab)を、東北大学内のオープンイノベーション拠点である東北大学レナサイエンスオープンイノベーションラボ(TREx)内に設立することを、同研究所のDouglas E. Vaughan所長と合意しました。TREx-Longevity Labでは、ヒトの生物学的年齢の測定、臓器(免疫系、新血管系、神経系、代謝系、筋骨格系)の老化指標解析、老化バイオマーカー探索(エピゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム)に取り組み、さらに当社が有する老化を制御する医薬品の臨床試験実施にも取り組む予定です。また、当社は米国のXPRIZE財団による「高齢者の免疫、認知や筋肉の機能を10年若返らせたら賞金総額1億ドル」のコンテスト(XPRIZE HEALTHSPAN)に応募し、2025年5月にTOP40(セミファイナリスト)に入賞し、賞金25万米ドルを獲得しました。TOP40のチームの1年間の研究成果を元に、2026年後半にTOP10(ファイナリスト)が選定されます。当社は、長年取り組んできたPAI-1阻害薬RS5614の抗加齢・長寿作用に基づき、「老化細胞を除去し、がん化を促進する事なく老化関連疾患を抑制する新たな新規低分子医薬品」のコンセプト(Senolytic drug)を提唱し、東北大学、ノースウェスタン大学、東海大学、広島大学、東京科学大学など国内外の研究機関及び医療機関との共同でこのコンペティションに取り組みます。
b. 医療機器
- ディスポーザブル極細内視鏡(薬事承認済):2022年8月にはファイバースコープがPMDAに承認申請され、同年12月に厚生労働省から薬事承認されました。2022年9月に株式会社ハイレックスコーポレーション及びその子会社である株式会社ハイレックスメディカルと付属品であるガイドカテーテル作成を含めた医療機器開発に関する共同研究契約を締結しました。2024年5月、株式会社ハイレックスメディカルとライセンス契約を締結し、ガイドカテーテルとファイバースコープを合わせて2025年度に薬事申請する予定です。
c. AIを活用したプログラム医療機器
特に、呼吸機能検査診断、維持血液透析医療支援、糖尿病治療支援、嚥下機能低下診断の領域におけるプログラム医療機器(SaMD)開発に注力しています。2024年8月にTMU-Biotech社と台湾及び日本でのSaMD実用化を目指した共同開発契約を締結しました。TMU-Biotech社は、台北医学大学(TMU)(https://eng.tmu.edu.tw)で研究開発される医療シーズの事業化を目的としたTMU100%の子会社です。この共同研究開発契約により、当社とTMU-Biotech社が協力して、日本と台湾の両方でAIを活用するSaMDのパイプラインの事業化を図るものです。TMUは1960年に設立された私立医科大学で、台湾でトップクラスにランクされ、キャンパス内には6つの病院を擁し、ベッド数は3,000床に至り、それら膨大な医療データ、さらにデータサイエンティストなどの研究者により、様々なSaMDの研究開発が実施されています。当社とTMU-Biotech社は、日本と台湾での事業化を目指し、AIを活用した革新的なSaMDの研究開発で協力し、両国での規制承認のための臨床性能試験を実施します。
2024年度から国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)(代表機関:東北大学)に参画し、災害時においても安全安心な医療を提供するためのAIを活用した医療ソリューションに基づくデジタルツインモデルの開発を進め、2025年3月に本プログラムを終了しました。なお、当社のAIを活用したプログラム医療機器に関する取材記事が、2024年3月に科学誌『Nature』の取材記事として掲載されました。
- 呼吸機能検査診断SaMD(開発研究終了):京都大学、チェスト株式会社、NECソリューションイノベータ株式会社(NES)と共同開発を実施しています。2023年3月に開発段階の研究を完了し、同年6月にはチェスト株式会社より事業化段階への移行に関するマイルストーンを受領しました。2025年2月には、導出先のチェスト株式会社から対象地域拡大(国際展開)に係るオプション権行使に伴う一時金を受領しました。
- 維持血液透析医療支援SaMD(臨床性能試験実施中):聖路加国際大学、東北大学、ニプロ株式会社、日本電気株式会社(NEC)、NESと共同開発を実施しています。2023年2月にはAMED「医療機器開発推進研究事業(代表機関:東北大学、当社は協力機関)」に採択されました。2023年4月にPMDA開発前相談を実施し、2024年1月にはPMDAプロトコール相談を完了しました。2024年10月から薬事承認申請のための臨床性能試験を実施し、目標症例数である150症例の登録を達成しました。さらに、血液透析における除水量や血流量の調整を制御する血液透析装置搭載型AIの開発に着手し、2023年12月に東レ・メディカル株式会社、2024年3月にニプロ株式会社と共同開発契約を締結しました。2022年10月に基本となる知的財産権を出願し、2023年5月に国際出願を行いました。また、2024年1月には新たな知財を追加出願しました。
- 糖尿病治療支援SaMD(臨床性能試験終了):東北大学、NEC、NESと共同開発を実施しており、2022年4月にAMED「医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)(当社が代表機関)」に採択されています。2024年2月にPMDAプロトコール相談を実施し、臨床性能試験のプロトコールが確定しました。2024年8月から薬事承認のための臨床性能試験を実施し、目標症例数である130症例のデータを取得しました。解析の結果、得られた正解率(平均)は85.46%であり、当初設定していた主要評価項目の目標正解率80%を5%上回る結果であり、専門医に対するAI予測の非劣性(同等)が実証され、2025年3月に総括報告書を纏めました。また、2022年6月に基本となる知的財産権を出願し、2023年4月には国際出願を行いました。
- 嚥下機能低下診断SaMD(開発研究):東北大学、NECと共同開発を実施しており、音声から嚥下機能の低下を診断するプログラム医療機器を開発しています。既に、健常者と嚥下機能低下患者の音声を区別できるAIを開発し、2023年3月に基本となる知的財産権を出願しました。さらに、2023年12月にはPMDA開発前相談を実施しました。
- その他SaMD:乳がん病理診断、心臓植込み型電気デバイス患者における不整脈・心不全発症予測、人工心臓患者における血栓発生予測などの新たなAIを活用したプログラム医療機器研究を開始しました。人工心臓患者における血栓発生予測では株式会社ハイレックスコーポレーション及びその子会社である株式会社ハイレックスメディカルと共同研究を開始しました。
(事業収益に関する実績)
ニプロ株式会社と血液透析における目標除水量を予測する人工知能アルゴリズム開発に関する共同契約を締結しており、契約一時金を受領しました。
東レ・メディカル株式会社と人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器の開発に関する共同開発契約を締結しており、共同研究の対価として2024年6月と12月にマイルストーン収入を計上しました。
エイリオン社と皮膚疾患治療RS5441(経皮薬、経口薬)の独占的実施権を許諾するライセンス契約を2016年10月31日に締結しており、エイリオン社の米国での第Ⅰ相試験開始(経皮薬)に伴い、契約に基づくマイルストーンをエイリオン社から受領しました。
導出先のチェスト株式会社から対象地域拡大(国際展開)に係るオプション権行使に伴う一時金を受領しました。
また、当社ではCML、SSc-ILD、糖尿病治療支援SaMDのプロジェクトはAMED事業に採択されており、研究開発業務を受託し、受託業務の対価を受託研究収入として計上しています。
以上の結果、当事業年度における事業収益は、血液透析における目標除水量を予測する人工知能アルゴリズム開発に係るニプロ株式会社からの一時金の受領及び人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器の開発に係る東レ・メディカル株式会社からのマイルストーン収入の計上並びに皮膚疾患治療RS5441(経皮薬)の第Ⅰ相試験開始に伴うエイリオン社からのマイルストーン収入、さらにチェスト株式会社よりオプション権行使に伴う一時金の受領に加え、AMED事業に係る受託研究収入の計上により132,693千円(前事業年度は事業収益194,165千円)となりました。また、営業損失は、慢性骨髄性白血病(CML)治療薬や悪性黒色腫治療薬、非小細胞肺がん治療薬及び皮膚血管肉腫治療薬等に係る研究開発費132,869千円を含む事業費用307,774千円を計上したことにより178,827千円(前事業年度は営業損失252,335千円)、経常損失は、売上債権の為替換算に伴う為替差損1,228千円を計上したことなどにより178,987千円(前事業年度は経常損失251,875千円)、当期純利益は、バクスター社とのディスポーザブル極細内視鏡におけるライセンス契約の解約に伴う解約金収入20,000千円及びAMEDの医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の債務減額に伴う債務免除益303,918千円を特別利益に計上し、また、減損損失1,166千円を特別損失に計上、法人税、住民税及び事業税30,336千円を計上したことにより113,427千円(前事業年度は当期純損失258,335千円)となりました。
なお、当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の概況
(資産)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末の2,086,473千円と比べて215,221千円減少し、1,871,252千円となりました。これは主として研究開発費や人件費などの支払いにより、現金及び預金が227,074千円減少したことなどによるものです。
また、当事業年度末の固定資産は、前事業年度末の2,360千円と比べて2,250千円減少し、110千円となりました。これは主として差入保証金の回収によるものです。
この結果、資産合計は、前事業年度末の2,088,833千円と比べて217,471千円減少し、1,871,362千円となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末の126,008千円と比べて25,201千円増加し、151,210千円となりました。これは主として、未払法人税等が31,302千円増加したことなどによるものです。
また、当事業年度末の固定負債は、前事業年度末の356,100千円と比べて356,100千円減少し、-千円となりました。これは、AMED採択プロジェクトであるPMS/PMDD治療薬の開発に関する長期借入金の一部を支払ったこと及び残額を債務免除されたことによるものです。
この結果、負債合計は、前事業年度末の482,109千円と比べて330,898千円減少し、151,210千円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末の1,606,724千円と比べて113,427千円増加し、1,720,151千円となりました。これは当期純利益113,427千円を計上したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの概況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末の1,646,193千円に比べ153,622千円増加し、1,799,816千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と主な変動要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動資金の支出額は176,342千円(前事業年度は230,519千円の支出)となりました。これは主として、債務免除益303,918千円の計上などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動資金の収入額は382,147千円(前事業年度は1,567千円の支出)となりました。これは、定期預金の払戻しによる収入380,697千円を計上したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動資金の支出額は52,182千円(前事業年度は46,500千円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出61,658千円を計上したことなどによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は研究開発を主体としており生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は研究開発を主体としており受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当社の事業セグメントは医薬品等の開発・販売等事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
金額(千円)前年同期比(%)
事業収益※1 132,69368.3

(注)1.最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
当事業年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
事業収益(千円)割合(%)事業収益(千円)割合(%)
国立研究開発法人
日本医療研究開発機構(AMED)
47,66624.537,68028.4
ニプロ株式会社--30,00022.6
国立大学法人大阪大学--21,90016.5
東レ・メディカル株式会社--20,00015.1
Eirion
Therapeutics, Inc.
83,49943.015,74911.9
国立大学法人東北大学39,00020.1--

2.前事業年度における東レ・メディカル株式会社及び当事業年度における国立大学法人東北大学の事業収益及び当該事業収益の総事業収益に対する割合は、100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、これらについては、過去の実績や現在の状況等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。ただし、これらには見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、当社が財務諸表を作成するに当たり採用した重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状況
財政状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の概況」に記載のとおりです。
b.経営成績
(事業収益)
当事業年度の事業収益は、132,693千円(前事業年度194,165千円)となりました。前事業年度は、皮膚疾患治療薬(RS5441)及び呼吸機能検査診断プログラム医療機器及び人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器に係る一時金の受領に加え、AMED事業に係る受託研究収入を計上した一方、当事業年度における事業収益は、血液透析における目標除水量を予測する人工知能アルゴリズム開発に係るニプロ株式会社からの一時金の受領及び人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器の開発に係る東レ・メディカル株式会社からのマイルストーン収入の計上並びに皮膚疾患治療RS5441(経皮薬)の第Ⅰ相試験開始に伴うエイリオン社からのマイルストーン収入、さらにチェスト株式会社よりオプション権行使に伴う一時金の受領に加え、AMED事業に係る受託研究収入を計上したことによるものです。
(事業原価、売上総利益)
当事業年度の事業原価は、3,747千円(前事業年度28,521千円)となりました。前事業年度は、悪性黒色腫における治験薬の製造にかかる費用を計上した一方、当事業年度は、人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器の開発に係る人件費等を計上したことによるものです。
この結果、当事業年度の売上総利益は、128,946千円(前事業年度165,643千円)となりました。
(事業費用、営業損失)
当事業年度の事業費用は、307,774千円(前事業年度417,979千円)となりました。主な要因は、公的資金を活用した効率的な研究開発を実施した結果、研究開発費が前事業年度に比べて103,461千円減少したことなどのコスト削減の効果によるものです。
この結果、当事業年度の営業損失は178,827千円(前事業年度252,335千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当事業年度の営業外収益は、1,092千円(前事業年度460千円)となりました。主な要因は、受取利息924千円や助成金収入160千円を計上したことなどによるものです。
当事業年度の営業外費用は、1,252千円(前事業年度未発生)となりました。主な要因は、売上債権の為替換算に伴う為替差損1,228千円を計上したことなどによるものです。
この結果、当事業年度の経常損失は178,987千円(前事業年度251,875千円)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純利益)
当事業年度は特別利益として323,918千円を計上しております。主な要因は、バクスター社とのディスポーザブル極細内視鏡におけるライセンス契約の解約に伴う解約金収入20,000千円及びAMEDの医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の債務減額に伴う債務免除益303,918千円を計上したことによるものです。また、特別損失として減損損失1,166千円を計上しております。これらの結果を受け、当事業年度の当期純利益は、113,427千円(前事業年度は当期純損失258,335千円)となりました。
c.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの概況」に記載のとおりです。
d.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、創薬等のコンセプトやシーズの研究費及びパイプラインの製品化に向けた開発費並びに係る販売費及び一般管理費等の事業用費用について資金需要を有しております。当社は、主に公的機関の研究開発助成金や第三者割当増資により調達を行った手許資金により事業用費用に充当して参りましたが、現下では、金融機関の当座貸越枠を確保するなどしており流動性に支障はないものと考えております。中長期眼では、次世代の医療ソリューション開発を掲げ一層の事業拡大や係る投資を想定しており、第三者割当増資などによる財務基盤の増強が必要であると認識しております。
なお、現状の現金水準については、2021年9月の株式上場による資金調達や上記当座貸越枠も確保していることから、2年分の研究開発費は十分維持しております。
e.経営成績等の状況に関する認識
経営成績に重要な影響を及ぼす要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

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