有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/08/18 15:00
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128項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の経営成績、財政状態、キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)及び研究開発活動の概要は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 経営成績の概況
第22期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)とそれに伴う各国政府の「緊急事態宣言」発令等が影響し、世界的な経済活動の停滞と移動制限等により、景気は厳しい状況となっております。年度後半にかけては、世界的に新型コロナウイルスの感染が再度拡大し、国内外の経済を下振れさせるリスクが意識されております。
医薬品業界におきましては、患者の受診抑制、顧客への訪問自粛等で販売営業活動に支障が出たほか、移動制限等に伴う、国内出張の自粛、海外渡航の実質的禁止、臨床試験施設の閉鎖により、事業開発活動が遅滞する例が散見されました。このような業界の動向は、創薬研究事業を営む当社が行っているRS8001PMS / PMDD やRS8001自閉症に係る医師主導治験の進捗や販売(ライセンス)活動におきましても治験等の進捗が遅れるなど、少なからず影響を与えております。
このような環境下において、当社は、医療現場の課題を解決するための多様なモダリティ(医薬品、医療機器、人工知能(AI)ソリューション等)を、医師と共に医療現場で研究開発し、医療イノベーション創出に貢献し続けるべく事業活動を行っております。
当事業年度における事業収益は、RS9001ディスポーザブル極細内視鏡に係る契約一時金収入の受取りに加え、RS8001PMS/PMDD及びRS5614COVID-19に係るオプション料の受取りなどによる収益計上により、209,802千円(前事業年度は72,014千円)、営業損失は、当社主要パイプライン(RS8001PMS/PMDD、RS8001自閉症、RS5614COVID-19など)の開発費用を81,434千円計上したことなどにより、86,125千円(前事業年度は183,132千円の損失)、経常損失は、支払利息を7,504千円計上したことなどにより、90,728千円(前事業年度は183,802千円の損失)、当期純損失は100,054千円(前事業年度は184,095千円の損失)となりました。
なお、当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第23期第1四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
当第1四半期累計期間におけるわが国経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)とそれに伴う各国政府の「緊急事態宣言」発令等が影響し、世界的な経済活動の停滞と移動制限等により、景気は厳しい状況となっております。当第1四半期累計期間においても世界的に新型コロナウイルスの感染が再度拡大し、国内外の経済を下振れさせるリスクが意識されております。
医薬品業界におきましては、患者の受診抑制、顧客への訪問自粛等で販売営業活動に支障が出たほか、移動制限等に伴う、国内出張の自粛、海外渡航の実質的禁止、臨床試験施設の閉鎖により、事業開発活動が遅滞する例が散見されました。このような業界の動向は、創薬研究事業を営む当社が行っているRS8001PMS / PMDD やRS8001自閉症に係る医師主導治験の進捗や販売(ライセンス)活動におきましても治験等の進捗が遅れるなど、少なからず影響を与えております。
このような環境下において、当社は、医療現場の課題を解決するための多様なモダリティ(医薬品、医療機器、人工知能(AI)ソリューション等)を、医師と共に医療現場で研究開発し、医療イノベーション創出に貢献し続けるべく事業活動を行っております。
当第1四半期累計期間における事業収益は、RSAI02慢性透析システム支援における契約一時金を受領したこと及びRS9001ディスポーザブル極細内視鏡におけるマイルストーン収入を計上したことにより31,061千円、営業損失は、RS8001PMS/PMDDやRS5614COVID-19などの研究開発費を5,848千円計上したことなどにより29,937千円、経常損失は、支払利息及び株式交付費を2,881千円計上したことなどにより32,818千円、四半期純損失は32,890千円となりました。
なお、当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の概況
第22期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末の987,716千円と比べて54,928千円増加し、1,042,644千円となりました。これは主として、現金及び預金が44,675千円増加したこと等によるものです。
また、当事業年度末における固定資産は23,988千円となりました。
この結果、資産合計は前事業年度末の1,012,646千円と比べて53,985千円増加し、1,066,632千円となりました。
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末の11,059千円と比べて18,390千円増加し、29,449千円となりました。これは主として治験の実施に伴うCROへの未払金が22,059千円増加したこと等によるものです。
また、当事業年度末における固定負債は、前事業年度末の380,000千円と比べて95,650千円増加し、475,650千円となりました。これは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構からのCiCLE事業に伴う長期借入金が95,650千円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は前事業年度末の391,059千円と比べて114,039千円増加し、505,099千円となりました。
当事業年度末の純資産は、前事業年度末の621,587千円と比べて60,054千円減少し、561,533千円となりました。これは、新株の発行により純資産が40,000千円増加したものの、当期純損失100,054千円を計上したことによるものです。
第23期第1四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
当第1四半期会計期間末の流動資産は、前事業年度末の1,042,644千円と比べて190,936千円増加し、1,233,580千円となりました。これは主として、第三者割当による新株発行などにより、現金及び預金が177,672千円増加したことなどによるものです。
また、当第1四半期会計期間末の固定資産は、23,040千円となりました。
この結果、資産合計は、前事業年度末の1,066,632千円と比べて189,989千円増加し、1,256,621千円となりました。
当第1四半期会計期間末の流動負債は、前事業年度末の29,449千円と比べて17,120千円減少し、12,328千円となりました。これは主として、治験実施に伴うCRO費用に係る未払金を決済したことなどにより、未払金が17,202千円減少したことなどによるものです。
また、当第1四半期会計期間末の固定負債は475,650千円となり、前事業年度末と同額となりました。
この結果、負債合計は、前事業年度末の505,099千円と比べて17,120千円減少し、487,978千円となりました。
当第1四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末の561,533千円と比べて207,109千円増加し、768,642千円となりました。これは、第三者割当による新株発行により、資本金及び資本準備金がそれぞれ120,000千円増加したことなどによるものです。
③ キャッシュ・フローの概況
第22期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、644,944千円となりました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動に使用した資金は、前事業年度に比べ89,058千円減少し89,255千円(前事業年度は178,313千円の支出)となりました。これは主な減少要因として、税引前当期純損失が前事業年度に比べ84,045千円減少し99,757千円計上(前事業年度183,802千円)したこと及び当事業年度にて治験の実施に伴うCROへの未払金が増えたことにより未払金の増減額が17,744千円増加し22,058千円(前年同期は4,314千円)となった一方で、増加要因として利息の支払額が前事業年度に比べ6,209千円増加したことや当事業年度に特別退職金の支払額を9,000千円計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動に使用した資金は、前事業年度に比べ378,978千円減少し1,719千円(前事業年度の380,697千円の支出)となりました。これは主な減少要因として、前事業年度には国立研究開発法人日本医療研究開発機構への担保差し入れのための定期預金の預け入れにより380,697千円の支出がありましたが、当事業年度はリモートワークに備えPCを購入したこと等により有形固定資産の取得による支出を1,010千円計上したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動の結果得られた資金は、前事業年度に比べ244,350千円減少し135,650千円(前事業年度の380,000千円の収入)となりました。これは、前事業年度には株式会社七十七銀行からの長期借入れによる収入380,000千円がありましたが、当事業年度は国立研究開発法人日本医療研究開発機構からのCiCLE事業に伴う長期借入れによる収入95,650千円及び医薬品の研究開発に係る研究費等を調達することを目的として株式の発行による収入を40,000千円計上したことによるものです。

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は研究開発を主体としており生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は研究開発を主体としており受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当社の事業セグメントは医薬品等の開発・販売等事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。第22期事業年度及び第23期第1四半期累計期間における販売実績は、次のとおりであります。
第22期事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第23期第1四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年6月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
事業収益209,802291.331,061

(注)1.最近2事業年度及び第23期第1四半期累計期間における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先第21期事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第22期事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第23期第1四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年6月30日)
売上高(千円)割合(%)売上高(千円)割合(%)売上高(千円)割合(%)
あすか製薬株式会社50,00069.450,00023.8--
国立研究開発法人日本医療研究開発機構22,01430.6----
国立大学法人東北大学--27,27213.0--
Baxter Healthcare Corporation--107,53051.311,06135.6
ニプロ株式会社----20,00064.4

2.第21期事業年度の国立大学法人東北大学、Baxter Healthcare Corporation及びニプロ株式会社、第22期事業年度の国立研究開発法人日本医療研究開発機構及びニプロ株式会社、第23期第1四半期累計期間のあすか製薬株式会社、国立研究開発法人日本医療研究開発機構及び国立大学法人東北大学については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、これらについては、過去の実績や現在の状況等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。ただし、これらには見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、当社が財務諸表を作成するにあたり採用した重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状況
財政状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の概況」に記載のとおりであります。
b.経営成績
第22期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(事業収益)
当事業年度の事業収益は、209,802千円(前事業年度72,014千円)となりました。前事業年度からの増加の主な要因は前事業年度にはなかったRS9001ディスポーザブル極細内視鏡に係る契約一時金(132,530千円)が計上されたことに加え、RS8001PMS/PMDD及びRS5614COVID-19に係るオプション料の受取りなどによる収益計上によるものであります。
(事業原価、売上総利益)
当事業年度の事業原価は、29,977千円(前事業年度20,000千円)となりました。これは、RS9001ディスポーザブル極細内視鏡に係る契約一時金(132,530千円)に伴う他社へのレベニューシェアの支払い等により前事業年度よりも増加しております。
この結果、当事業年度の売上総利益は、179,825千円(前事業年度52,014千円)となりました。
(事業費用、営業損失)
当事業年度の事業費用は、265,950千円(前事業年度235,147千円)となりました。主な要因は自閉スペクトラム症第Ⅱ相医師主導治験等のため国立大学法人東北大学に共同研究費を拠出したこと等により研究開発費が前事業年度に比べ55,430千円の増加した一方、従業員数の減少により給料手当が16,670千円減少したことによるものであります。
この結果、当事業年度の営業損失は86,125千円(前事業年度183,132千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当事業年度の営業外収益は、2,901千円(前事業年度33千円)となりました。主な要因は契約一時金に係る為替差益1,100千円及びリモートワーク補助金収入を1,735千円計上したことによるものであります。
当事業年度の営業外費用は、7,504千円(前事業年度703千円)となりました。主な要因は長期借入金にともなう支払利息7,504千円を計上したことによるものであります。
この結果、当事業年度の経常損失は90,728千円(前事業年度183,802千円)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純損失)
当事業年度の特別利益はありません。
当事業年度の特別損失は、9,028千円(前事業年度は計上なし)となりました。主な要因は特別退職金9,000千円を計上したことによるものであります。
これらの結果を受け、当事業年度の当期純損失は、100,054千円(前事業年度184,095千円)となりました。
第23期第1四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
(事業収益)
当第1四半期累計期間の事業収益は、RSAI02慢性透析システム支援における契約一時金を受領したこと及び、RS9001ディスポーザブル極細内視鏡におけるマイルストーン収入を計上したことにより31,061千円となりました。
(事業原価、売上総利益)
当第1四半期累計期間の事業原価は、RS9001ディスポーザブル極細内視鏡におけるマイルストーン収入を計上したことに伴う他社へのレベニューシェアの支払いにより2,000千円となりました。
この結果、当第1四半期累計期間の売上総利益は、29,061千円となりました。
(事業費用、営業損失)
当第1四半期累計期間の事業費用は、RS8001PMS/PMDDやRS5614COVID-19などの研究開発費を5,848千円計上したことなどにより58,998千円となりました。
この結果、当第1四半期累計期間の営業損失は29,937千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当第1四半期累計期間の営業外収益はありません。
当第1四半期累計期間の営業外費用は、長期借入金380,000千円に対する支払利息1,871千円及び2021年4月6日を払込期日とする第三者割当増資による株式交付費1,010千円により2,881千円となりました。
この結果、当第1四半期累計期間の経常損失は32,818千円となりました。
(特別利益、特別損失、四半期純損失)
当第1四半期累計期間の特別利益及び特別損失はありません。
これらの結果を受け、当第1四半期累計期間の四半期純損失は32,890千円となりました。
c.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの概況」に記載のとおりであります。
d.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、創薬等のコンセプトやシーズの研究費及びパイプラインの製品化に向けた開発費並びに係る販売費及び一般管理費等の事業用費用について資金需要を有しております。当社は、主に公的機関の研究開発助成金や第三者割当増資により調達を行った手許資金により事業用費用に充当してまいりましたが、現下では、金融機関の当座貸越枠を確保するなどしており流動性に支障はないものと考えております。中長期眼では、次世代の医療ソリューション開発を掲げ一層の事業拡大や係る投資を想定しており、新規上場に伴う第三者割当増資などによる財務基盤の増強が必要であると認識しております。
なお、現状の現金水準については、上記当座貸越枠も確保していることから、当面の事業には問題のない水準であります。
e.経営成績等の状況に関する認識
経営成績に重要な影響を及ぼす要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。