有価証券報告書-第27期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/23 15:37
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117項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の経営成績、財政状態、キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)及び研究開発活動の概要は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
①経営成績の状況
当社は、医薬品、医療機器、人工知能(AI)を活用したプログラム医療機器という多様なモダリティの研究開発を進めています。当事業年度においては、将来の高い収益を目指す『がん・抗加齢領域の医薬品開発』と、早期の収益化を目指す『医療機器・プログラム医療機器開発』の双方のポートフォリオにおいて、以下の通り臨床試験の完了や新規提携などの進展がありました。医薬品領域では、「がん」分野での開発を重点領域として実施してきましたが、国際的な規模での事業成長が期待される「抗加齢・長寿分野」での研究並びに事業にも注力しています。「がん」に対しては、国内で複数のがん種に対する治験を実施中です(慢性骨髄性白血病第Ⅲ相試験、悪性黒色腫第Ⅲ相試験、血管肉腫第Ⅱ相試験、肺がん第Ⅱ相試験)。まずは、日本で希少がん(悪性黒色腫、血管肉腫、慢性骨髄性白血病)に対する薬事承認を取得することにより、本医薬品の上市と臨床応用を目指します。悪性黒色腫の第Ⅲ相試験は既に日本で開始しているため、薬事承認に向けての国外でのブリッジング試験を複数の国の規制当局と協議中です。血管肉腫に関しては、日本で実施中の第Ⅱ相試験で既存治療に比べて極めて良い結果が得られたので、薬事承認に向けて速やかな第Ⅲ相試験を実施する予定です。並行して、肺がん、膵臓がんなどがん種の適応を拡大し、将来の大きな市場を確保するための第Ⅱ相試験を実施しています。さらに、近年、これまでの古典的な老化治療(食事療法、運動療法、睡眠療法、サプリメントなど)とは異なる新たな老化に対する治療アプローチやモダリティ(幹細胞治療、エクソソーム治療、エピジェネティック・リプログラミング、セノリティクス)が提案されており、臨床試験も展開されつつあります。「老化」への治療法開発という挑戦は、社会構造の基盤となるヘルスケアのイノベーションをもたらし、重要なプラットフォーム事業としても捉えられているために、高額な資金も投資されている分野です。当社のPAI-1阻害薬RS5614は、複数経路にまたがり統合的に介入することで、崩れた生体全体の機能を改善できる医薬品候補です。老化環境の改善、老化細胞の除去及び生物学的年齢の若返りを通じて、種々の加齢疾患を予防・治療できる可能性を有しており、セノリティクス医薬品としては適したプロファイルとモダリティを備えています。
RS5614のセノリティクス医薬品としての可能性を検討する重要な臨床試験を、XPRIZE Healthspanセミファイナル試験として実施しました。RS5614を4ヶ月投与することにより、エピゲノム(遺伝子修飾)あるいは遺伝子レベルでの改善が認められました。特筆すべきは、生物学的年齢の2~3歳の若齢化です。タンパクレベルでも、免疫機能、骨・筋肉機能、代謝機能、並びに認知機能の改善など、抗加齢作用に関わる複数のタンパクの改善が認められました。細胞レベルでも、免疫細胞、造血幹細胞の機能回復や若齢化が認められ、さらに全身での酸化ストレスの軽減も確認されました。比較的健康な高齢者に対してもRS5614は安全に経口で投与できることが確認されたのみならず、4ヶ月間の短期間の投与にも関わらず、免疫、代謝、骨・筋肉、認知・神経生理、抗酸化、造血幹細胞など、広く各種臓器に対して抗老化作用が確認されました。これらの分子、細胞レベルでの変化が、各種臓器の抗老化作用に繋がり、最終的に健康寿命の延伸につながるかどうか、大変興味深いところです。世界的な高齢化は、先進国と新興国の両方において深刻な社会問題となっています。長寿医療は、富裕層だけでなく、多くの人々にとって必要な医療でなくてはならず、内服薬であるRS5614は、幹細胞治療、エクソソーム治療、エピジェネティック・リプログラミング遺伝子治療、他のモダリティによるセノリティクス医薬品に対しても優位性は高いと考えます。
当事業年度における研究開発活動の実績(総括)を以下に記載します。(専門用語等は(4)研究開発活動の文末にて補足説明をしておりますので、そちらをご参照ください)。
a. 医薬品
当社PAI-1阻害薬RS5614の開発経緯やがんや抗加齢・長寿領域の開発に関しては、科学誌『Nature』の取材記事も参照ください(2023年9月7日、2025年12月1日、2026年2月26日開示)。
(がん)
PAI-1阻害薬RS5614は、免疫系を活性化し、がん細胞や老化細胞の除去を促進させるなどの作用を示します。現在、国内で複数のがん種に対する治験を実施中です(慢性骨髄性白血病第Ⅲ相試験、悪性黒色腫第Ⅲ相試験、血管肉腫第Ⅱ相試験、肺がん第Ⅱ相試験、膵臓がん第Ⅱ相試験)。まずは、国内外で早期承認のための希少がん(悪性黒色腫、血管肉腫、慢性骨髄性白血病)を対象とした第Ⅲ相試験を実施し、薬事承認を取得することにより、本医薬品の上市と臨床応用を目指します。悪性黒色腫の第Ⅲ相試験は既に日本で開始しており(2025年2月18日適時開示)、薬事承認に向けた国外でのブリッジング試験については複数の国の規制当局と協議中です(2025年12月15日適時開示)。血管肉腫に関しては、日本で実施中の第Ⅱ相試験が終了し(2025年12月12日適時開示)、既存治療に比べて極めて良い結果が得られたことから(2026年2月10日適時開示)、薬事承認に向けた第Ⅲ相試験を速やかに実施する予定です。並行して、大きな市場を有する肺がん、膵臓がんなどへ適応を拡大し、第Ⅱ相試験を実施しています(2026年4月24日、2026年5月12日適時開示)。
□ 慢性骨髄性白血病(CML): AMED「革新的がん医療実用化研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受け(2022年3月22日適時開示)、第Ⅲ相試験を開始しました(2022年8月3日適時開示)。東北大学、東海大学、秋田大学など12の大学・医療機関と共同で、CML患者を対象にチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)とRS5614の併用効果を検証するプラセボ対照二重盲検試験です。TKI治療期間が3年以上6年未満の慢性期CML患者60例を対象に、TKI単独投与群よりも治験薬RS5614の併用群において、無治療寛解維持の指標である2年間以上のDMR維持率が有意に上昇することを検証しています。2023年12月末で症例登録を完了し、最終的に解析に必要な症例数を上回る57例が登録されました。2024年12月に実施されたAMEDの最終年度評価で、第Ⅲ相試験の目標症例数の登録が完了し試験が順調に進んでいることが確認されたため、助成期間の延長が承認されました(2024年12月3日適時開示)。その後も試験は予定通り順調に経過しており、2026年3月期さらに2027年3月期にもAMEDの助成を受けることが決定しました(2025年5月7日、2026年2月12日適時開示)。
□ 悪性黒色腫(メラノーマ):悪性黒色腫治療薬については、前期に厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けており(2024年9月2日適時開示)、薬価算定における市場性加算が適用され、承認後の再審査期間が延長されます。これにより本治療薬事業の独占期間が長くなります。当期はこれを踏まえた開発をさらに推進しました
現在、根治切除不能悪性黒色腫患者124例を対象とした第Ⅲ相試験を国内18施設で実施しており、順調に患者登録が進んでいます。また、台湾での薬事承認を視野に台北医学大学と提携しました(2025年12月15日適時開示)。台北医学大学が主体となって、台湾の規制当局(TFDA)と第Ⅲ相試験の協議を進めています。
□ 血管肉腫治療薬:皮膚血管肉腫治療薬については、国内で実施していた第Ⅱ相試験の全登録患者への投与を完了しました。速報結果では、既存の国内臨床試験を凌駕する無増悪生存期間及び全生存期間が示され、高い病勢制御率と良好な忍容性が確認されました。現在、本試験の評価及びデータ解析を進めており、最終的な治験総括報告書は2026年6月頃を予定しています。
□ 非小細胞肺がん治療薬:当期において、広島大学など6医療機関で実施していたニボルマブとRS5614の併用療法に関する前期第Ⅱ相試験の36症例の登録を完了し、有効性が確認された患者の希望による治験期間の延長を経て、2026年3月に試験を終了しました。速報結果として、3次治療として治験を受けた患者において奏効率18.2%、6ヶ月無増悪生存割合27.5%と、既存のニボルマブ単剤療法を約10%上回る高い有効性が示されました。また、重篤な副作用の発現率も低く、良好な安全性が確認されています。最終的な治験総括報告書は2026年8月頃を予定しています。この結果を受け、2026年4月からは早期治療における更なる有効性を目指し、局所進行非小細胞肺がん患者27例を対象とした後期第Ⅱ相試験(化学放射線療法及びデュルバルマブに対するRS5614併用の有効性・安全性の検討)を広島大学病院など12医療機関で新たに開始しました(2025年11月26日、2026年4月24日適時開示)。本試験はAMEDの令和8年度「臨床研究・治験推進研究事業」に採択されましたので、当初想定していた本試験費用の支出が少なくなり、2027年3月期から2029年3月期までの収益性が改善する見込みです(2026年3月9日適時開示)。
□ 膵臓がん治療薬:膵がんは悪性腫瘍における疾患別死亡数の第3位でありながら、早期発見が極めて困難な悪性疾患です。診断時に切除可能な症例は15-20%に過ぎず、46.3%が遠隔転移陽性と診断されます。そこで、「遠隔転移を有する切除不能膵がん又は再発膵がんに対するゲムシタビン及びナブパクリタキセル療法とRS5614併用の安全性・有効性を検討する第Ⅱ相試験」を東北大学病院など3医療機関で医師主導治験を開始しました(2026年5月12日適時開示)。遠隔転移を有する切除不能膵がん又は再発膵がん患者50名を対象に、主要評価項目を奏効率として実施しています。
(呼吸器疾患)
□ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う肺傷害:2021年6月からAMED「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けて、後期第Ⅱ相試験を開始しました。2022年10月に患者登録を完了し、治験総括報告書をまとめました(2023年4月17日適時開示)。本後期第Ⅱ相試験はオミクロン株の変異等により対象となる新型コロナウイルス肺炎患者(中等症、入院患者)数が減少し、目標より少ない症例数で治験を完了しました。早期治療におけるRS5614の有効性を示唆する結果を得られました(2023年4月17日適時開示)。
□ 全身性強皮症に伴う間質性肺疾患治療薬:全身性強皮症(systemic sclerosis)は、皮膚と内臓諸臓器の血管障害と線維化を特徴とする全身性の自己免疫疾患(指定難病51)で、間質性肺疾患は死因の35%を占めます。AMEDの令和5年度「難治性疾患実用化研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けて(2023年3月15日適時開示)、東北大学、東京大学、大阪大学など12医療機関と「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対するPAI-1阻害薬RS5614の第Ⅱ相試験」を開始し(2023年10月19日適時開示)、全登録患者の投与(1年間)が予定通り完了し(2025年11月25日適時開示)、試験は終了しました(2026年4月10日適時開示)。結果(速報)、主要評価項目である48週時点の%FVCの変化量については、RS5614群においてプラセボ群に対する有意な上乗せ効果は認められませんでした。一方、皮膚硬化の指標であるmRSSについては、48週時点単独では明確な群間差を認めませんでしたが、治療経過全体を踏まえた追加解析において改善傾向が示唆されました。
(抗加齢・長寿関連)
□ ヒト臨床試験:2024年12月にXPRIZE財団が主催するXPRIZE Healthspan(https://www.xprize.org/competitions/healthspan)に東北大学など国内複数の研究機関と共同で応募しました。XPRIZE Healthspanは、健康寿命を10年以上延ばすことができた研究チームに対して、総額1億米ドルを支払うという国際的なコンペティションです。当社はTOP40(セミファイナリスト)に入賞し、賞金25万米ドルを獲得しました(2025年5月13日適時開示)。
XPRIZE Healthspanの公募要項によれば、セミファイナリスト(TOP40)は、最終的な4年間のファイナル臨床試験の実現可能性を支持するための短期間(4週~8週)、小規模(5~20人)の臨床試験をセミファイナル臨床試験として実施しなければいけません。そこで、加齢に伴い発症する疾患(高血圧症、2型糖尿病、慢性腎臓病、高脂血症)を有し、症状が安定している50歳以上75歳以下の20例を対象に、RS5614を16週間投与する非盲検試験をセミファイナル臨床試験として実施しました(2025年8月18日適時開示)。セミファイナル試験は、特定臨床研究として東北大学病院で開始し、20例の患者登録を完了しました(2025年10月1日適時開示)。速報結果では、RS5614を4ヶ月間投与することにより、生物学的年齢(エピジェネティック・クロック)が平均2~3歳若返り(Horvath法で3.4歳、PC-Horvath法で1.9歳の有意な若齢化)、老化関連microRNA(SA-miRNA)の有意な減少、免疫系の活性化(NK細胞数の正常化、樹状細胞数の増加)、造血幹細胞の機能回復(造血幹・前駆細胞数の有意な増加)、ならびに酸化ストレスマーカーの改善(AGEs/CML低下)など、広く各種臓器に対して抗加齢作用が確認されました(2026年5月14日適時開示)。比較的健康な高齢者に対してもRS5614は安全に経口で投与できることが確認されました。今回のセミファイナル試験結果とファイナル試験概要を取りまとめて、2026年4月中旬にXPRIZE Healthspan評価委員会に提出しました。2026年8月にファイナリスト(TOP10)として採択されれば、ファイナル試験は日本・米国・サウジアラビア・台湾との国際共同臨床試験として実施し、100~150名程度の高齢者を対象としたプラセボ対照盲検試験で免疫機能、筋肉機能、認知機能を評価する予定です。
また、以下の機関とXPRIZE Healthspanのファイナル試験を共同で実施する基本合意書を締結しています。
・ ノースウエスタン大学Potocsnak Longevity Institute(長寿研究所)(2025年11月10日適時開示)
・ 台北医学大学(2025年12月15日適時開示)
・ サウジアラビア・キング・アブドラ国際医療研究センター(King Abdullah International Medical Research Center(KAIMRC))(2026年2月9日適時開示)
□ 男性型脱毛症及び加齢性脱毛症外用薬:米国ノースウエスタン大学との共同研究により、PAI-1を過剰発現するマウスで著しい脱毛が生じ、PAI-1阻害薬RS5441を経口投与すると著明な発毛が認められることが分かりました。2016年10月に皮膚科疾患用途におけるRS5441の独占的権利をエイリオン社に許諾し、同社が男性型脱毛症及び加齢性脱毛症外用薬(ET-02)として開発を進めています。男性型脱毛症(加齢性脱毛症)治療に対する安全性と有効性を評価する第Ⅰ相臨床試験では、ET-02(RS5441)の安全性・忍容性が確認され、プラセボ群と比較して非軟毛(又は正常)の毛数が6倍に増加することが報告されました(2024年7月3日、2025年1月9日適時開示)。同社において、引き続き米国における第Ⅱ相臨床試験に向けた準備・検討が進められています。
□ 動物医薬品:RS5614の抗加齢・長寿に対する作用はヒトのみならず、イヌやネコを主とするコンパニオンアニマルなど動物医療にも有用と期待されることから、動物用医薬品の分野での研究を開始しました。まずは、イヌ及びネコにおける安全性確認試験を開始し(2025年11月19日適時開示)、終了しました(2026年2月4日適時開示)。今後、イヌ(関節炎、メラノーマなどの皮膚がん)やネコ(慢性腎臓病)に対する有効性を検討します。
□ 国際共同研究:
米国:当社はノースウエスタン大学Potocsnak Longevity Institute(長寿研究所)の日本の研究室を、東北大学内の当社オープンイノベーション拠点である東北大学レナサイエンスオープンイノベーションラボ(TREx)内に設立しました(2025年1月22日適時開示)。さらに、東北大学とノースウエスタン大学は、がんや長寿の研究や臨床試験に関する包括的な基本合意書を締結しており(2025年11月10日適時開示)、その一環としてXPRIZE Healthspanの当社チームに参加し、XPRIZE Healthspanのファイナル試験を共同で実施する予定です。
サウジアラビア:当社はサウジアラビア最大の研究・医療機関である「キング・アブドラ国際医療研究センター(KAIMRC)」と基本合意書を締結し(2025年10月6日適時開示)、XPRIZE Healthspanのファイナル試験を共同で実施する予定です(2026年2月9日適時開示)。
台湾:台北医学大学と、国内で実施している悪性黒色腫の第Ⅲ相試験について、台湾での薬事承認を視野にブリッジングスタディを実施するための契約を締結しました(2025年12月15日適時開示)。
現在、ノースウエスタン大学、KAIMRC、台北医学大学が、それぞれの国の薬事規制当局(Food and Drug Administration (FDA), Saudi Food and Drug Authority (SFDA), Taiwan Food and Drug Administration (TFDA))と臨床試験に向けた協議を進めています。
b. 医療機器
□ ディスポーザブル極細内視鏡:この極細内視鏡は、腹腔内を可視化するためのファイバースコープ部分と操作性を容易にするためのガイドカテーテル部分から構成されています。ファイバースコープ部分はPMDAへの承認申請(2022年9月14日適時開示)を経て、厚生労働省から薬事承認を受けています(2022年12月26日適時開示)。
株式会社ハイレックスコーポレーション及びその子会社である株式会社ハイレックスメディカルとガイドカテーテル作成を含む医療機器開発の共同研究契約を締結し(2022年9月1日適時開示)、その後ライセンス契約を締結しました(2024年5月20日適時開示)。ガイドカテーテルの開発及び製造の目処がつき、多施設共同臨床試験でも有害事象は認められず、安定期腹膜透析患者の臨床評価を補完する有意義な非侵襲的検査法であることが確認されました(2024年6月24日、2026年3月4日適時開示)。ガイドカテーテルとファイバースコープを合わせて2026年内に薬事申請する予定です。
c. 人工知能(AI)を活用したプログラム医療機器
疾患の診断や治療を支援する人工知能(AI)の開発に取り組んでおり、呼吸機能検査診断、維持血液透析医療支援、糖尿病治療支援、嚥下機能低下診断のためのプログラム医療機器(SaMD)を開発しています。当社のAIプログラム医療機器の開発については、科学誌『Nature』の取材記事も参照ください(2024年3月18日開示)。
□ 呼吸機能検査診断:京都大学、チェスト株式会社、NECソリューションイノベータ株式会社(NES)と共同で開発しています。2023年3月に開発段階の研究を終了し、チェスト株式会社で事業化への開発が進められています。チェスト株式会社から、事業化段階への移行に関するマイルストーン(2023年6月14日適時開示)、及び対象地域拡大(国際展開)に係るオプション権行使に伴う一時金も受領しています(2025年2月12日適時開示)。
□ 維持血液透析医療支援:聖路加国際大学、東北大学、ニプロ株式会社、日本電気株式会社(NEC)、NESと共同で開発しています。AMED「医療機器開発推進研究事業(代表機関:東北大学、当社は協力機関)」に採択されました(2023年2月27日適時開示)。薬事承認申請のための臨床性能試験を実施し(2024年10月21日適時開示)、目標症例数である150症例の登録を完了しました(2025年4月9日適時開示)。解析の結果、主要評価項目の目標正解率80%を10%上回る正解率90.0%を達成し、専門医に対するAI予測の非劣性(同等性)が実証されました(2025年10月20日適時開示)。また、実用化加速のためAMEDから研究費(調整費)143,000千円の追加配賦を受けました(2025年9月10日適時開示)。実用化に向けて、東レ・メディカル株式会社(2023年12月8日適時開示)、ニプロ株式会社(2024年3月14日適時開示)と共同開発契約を締結しています。さらに薬事承認・事業化を加速するため、ニプロ株式会社との共同開発契約変更に関する覚書を締結しました(2025年10月30日適時開示)。2022年10月に基本となる知的財産権を出願し、2023年5月に国際出願、2024年1月には新たな知財を追加出願しました。
□ 糖尿病治療支援:東北大学、NEC、NESと共同で開発しており、AMED「医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)(当社が代表機関)」に採択されています(2022年4月20日適時開示)。薬事承認のための臨床性能試験を実施し(2024年8月19日適時開示)、目標症例数である130症例の登録を完了しました。解析の結果、最終的な正解率(平均)は85.46%と目標正解率80%を5%上回りました。専門医に対するAI予測の非劣性(同等性)が実証され、総括報告書をまとめています(2025年3月6日適時開示)。また、2022年6月に基本となる知的財産権を出願し、2023年4月に国際出願を行いました。また、本AIを含む糖尿病関連のAI研究において、東北大学とユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のマッチングファンドに採択され、国際共同研究を推進しています(2026年3月3日適時開示)。
□ 嚥下機能低下診断:東北大学、NECと共同で音声から嚥下機能の低下を診断するプログラム医療機器を開発しています。健常者と嚥下機能低下患者の音声を区別できるAIの開発はすでに完了しており、2023年3月に基本となる知的財産権を出願しました。さらに、2023年12月にはPMDA開発前相談を実施しました。
□ その他のプログラム医療機器:乳がん病理診断、心臓植込み型電気デバイス患者における不整脈・心不全発症予測、人工心臓患者における血栓発生予測などの新たなAIを活用したプログラム医療機器を開発しています。
□ その他の関連事項:台北医学大学(TMU)の完全子会社であるTMU-Biotech社と、台湾でのプログラム医療機器の研究開発・実用化を目的に共同開発契約を締結しました(2024年8月30日適時開示)。台北医学大学は6つの病院を擁しており、豊富な医療データを活用したSaMDの研究開発が実施可能です。キング・アブドラ国際医療研究センター(KAIMRC)とも、プログラム医療機器の開発・事業化に向けた基本合意書を締結しています(2025年10月6日適時開示)。2024年度から国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)(代表機関:東北大学)に参画し、災害時においても安全安心な医療を提供するためのプログラム医療機器のデジタルツインモデル(リアル空間にある情報をインターネット技術などで集め、送信されたデータを元にサイバー(仮想)空間でリアル空間を再現する技術)の開発を進め、2025年3月に本事業を終了しました(2024年3月7日適時開示)。
(事業収益に関する実績)
東レ・メディカル株式会社と人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器の開発に関する共同開発契約を締結しており、共同研究の対価としてマイルストーン収入を計上しました。また、ニプロ株式会社と慢性透析患者の透析治療時における除水量の最適値を予測する人工知能(AI)アルゴリズムを活用した製品に関する共同開発契約を締結しており、共同研究の対価として契約一時金を計上しました。また、共同開発契約を延長したことに伴う契約一時金を計上しました。
なお、当社ではCML及び全身性強皮症に伴う間質性肺疾患、核酸医薬品の開発プロジェクトがAMED事業に採択されており、研究開発業務を受託し、受託業務の対価を受託研究収入として計上しています。
以上の結果、当事業年度における事業収益は、人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器の開発に係る東レ・メディカル株式会社からのマイルストーン収入の計上及び慢性透析患者の透析治療時における除水量の最適値を予測する人工知能(AI)アルゴリズムを活用した製品に係るニプロ株式会社からの契約一時金並びにAMED事業に係る受託研究収入の計上により68,554千円(前事業年度は事業収益132,693千円)となりました。また、営業損失は、CML治療薬や悪性黒色腫治療薬、非小細胞肺がん治療薬、皮膚血管肉腫治療薬、膵臓がん治療薬、抗加齢作用を評価する臨床研究等に係る研究開発費201,663千円を含む事業費用421,093千円を計上したことにより356,885千円(前事業年度は営業損失178,827千円)、経常損失は、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所及び自治体からの助成金収入27,009千円、世界的な長寿医療コンペティションXPRIZE Healthspanで TOP40(セミファイナリスト)に入賞したことによるコンテスト賞金収入36,975千円、未収入金の為替換算に伴う為替差損1,326千円、第三者割当にかかる資金調達を実施したことによる株式交付費用9,606千円を計上したことなどにより300,272千円(前事業年度は経常損失178,987千円)、当期純損失は、法人税、住民税及び事業税1,004千円を計上したことにより301,276千円(前事業年度は当期純利益113,427千円)となりました。
なお、当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末の1,871,252千円と比べて1,631,900千円増加し、3,503,153千円となりました。これは主として第三者割当にかかる資金調達を実施したことにより、現金及び預金が1,602,888千円増加したことなどによるものです。
また、当事業年度末の固定資産は、前事業年度末と同額の110千円となりました。
この結果、資産合計は、前事業年度末の1,871,362千円と比べて1,631,900千円増加し、3,503,263千円となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末の151,210千円と比べて29,375千円増加し、180,585千円となりました。これは主として、取引先への未払金が31,222千円増加したことなどによるものです。
この結果、負債合計は、前事業年度末の151,210千円と比べて29,375千円増加し、180,585千円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末の1,720,151千円と比べて1,602,525千円増加し、3,322,677千円となりました。これは主として、第三者割当にかかる資金調達を実施したことにより資本金と資本準備金がそれぞれ945,614千円増加したことなどによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末の1,799,816千円に比べ1,602,888千円増加し、3,402,705千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と主な変動要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動資金の支出額は291,307千円(前事業年度は176,342千円の支出)となりました。これは主として、税引前当期純損失300,272千円の計上などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動資金の収支はありません(前事業年度は382,147千円の収入)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動資金の収入額は1,894,196千円(前事業年度は52,182千円の支出)となりました。これは主として、株式の発行による収入1,881,622千円を計上したことなどによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は研究開発を主体としており生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は研究開発を主体としており受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当社の事業セグメントは医薬品等の開発・販売等事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
金額(千円)前年同期比(%)
事業収益68,55451.7

(注)1.最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当事業年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
事業収益(千円)割合(%)事業収益(千円)割合(%)
ニプロ株式会社30,00022.640,00058.35
東レ・メディカル株式会社20,00015.120,00029.17
国立大学法人大阪大学21,90016.5
国立研究開発法人
日本医療研究開発機構(AMED)
37,68028.4
Eirion
Therapeutics, Inc.
15,74911.9

2.当事業年度における国立大学法人大阪大学の事業収益及び当該事業収益の総事業収益に対する割合は、100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、これらについては、過去の実績や現在の状況等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。ただし、これらには見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状況
財政状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。
b.経営成績
(事業収益)
当事業年度の事業収益は、68,554千円(前事業年度132,693千円)となりました。前事業年度は、血液透析における目標除水量を予測する人工知能アルゴリズム開発に係るニプロ株式会社からの一時金の受領及び人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器の開発に係る東レ・メディカル株式会社からのマイルストーン収入の計上並びに皮膚疾患治療RS5441(経皮薬)の第Ⅰ相試験開始に伴うエイリオン社からのマイルストーン収入、さらにチェスト株式会社よりオプション権行使に伴う一時金の受領に加え、AMED事業に係る受託研究収入を計上した一方、当事業年度における事業収益は、人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器の開発に係る東レ・メディカル株式会社からのマイルストーン収入の計上及び慢性透析患者の透析治療時における除水量の最適値を予測する人工知能(AI)アルゴリズムを活用した製品に係るニプロ株式会社からの契約一時金並びにAMED事業に係る受託研究収入を計上したことによるものです。
(事業原価、売上総利益)
当事業年度の事業原価は、4,346千円(前事業年度3,747千円)となりました。前事業年度及び当事業年度いずれについても、人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器の開発に係る人件費等を計上したことによるものです。
この結果、当事業年度の売上総利益は、64,207千円(前事業年度128,946千円)となりました。
(事業費用、営業損失)
当事業年度の事業費用は、421,093千円(前事業年度307,774千円)となりました。主な要因は、研究開発費201,663千円を計上したことにより、前事業年度に比べて113,318千円増加したことなどによるものです。
この結果、当事業年度の営業損失は356,885千円(前事業年度178,827千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当事業年度の営業外収益は、67,545千円(前事業年度1,092千円)となりました。主な要因は、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所及び自治体からの助成金収入27,009千円、世界的な長寿医療コンペティションXPRIZE Healthspanで TOP40(セミファイナリスト)に入賞したことによるコンテスト賞金収入36,975千円を計上したことなどによるものです。
当事業年度の営業外費用は、10,932千円(前事業年度1,252千円)となりました。主な要因は、未収入金の為替換算に伴う為替差損1,326千円、第三者割当にかかる資金調達を実施したことによる株式交付費用9,606千円を計上したことなどによるものです。
この結果、当事業年度の経常損失は300,272千円(前事業年度178,987千円)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純利益)
当事業年度の当期純損失は、301,276千円(前事業年度は当期純利益113,427千円)となりました。主な要因は、法人税、住民税及び事業税1,004千円を計上したことによるものです。
c.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
d.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、創薬等のコンセプトやシーズの研究費及びパイプラインの製品化に向けた開発費並びに係る販売費及び一般管理費等の事業用費用について資金需要を有しております。当社は、主に公的機関の研究開発助成金や第三者割当増資により調達を行った手許資金により事業用費用に充当して参りましたが、現下では、金融機関の当座貸越枠を確保するなどしており流動性に支障はないものと考えております。中長期では、次世代の医療ソリューション開発を掲げ一層の事業拡大や係る投資を想定しており、当事業年度においては第三者割当増資の実施により財務基盤の増強を図りました。
なお、現状の現金水準については、2021年9月の株式上場による資金調達や2025年11月から2026年3月にかけての第三者割当にかかる資金調達、上記当座貸越枠も確保していることから、2年分の研究開発費は十分維持しております。
e.経営成績等の状況に関する認識
経営成績に重要な影響を及ぼす要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

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