有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/11/22 15:00
【資料】
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【項目】
158項目
当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
第19期連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、4月に緊急事態宣言が発令されるなど、経済活動が著しく停滞する極めて厳しい環境で推移しました。5月に緊急事態宣言は解除され、社会経済活動の再開が段階的に進められたものの、12月には最大規模の新規感染者を記録するなど、国内外の感染症拡大は収束の兆しすら見えない不透明な状況が続いております。そうした中で、米中関係や日韓関係の悪化に加え、米国大統領選も禍根を残す結果となるなど、我が国を取り巻く経済情勢は未曾有の危機に直面している状況が続いております。
このような経済情勢において、感染症防止対策や三密回避、職場や店舗など人が多く集まる施設における検温やマスク着用の日常化等、新しい社会生活環境を構築する動きが活発化してきております。
これらの新しい生活環境に加え、企業が事業を継続しながらも従業員やその家族の健康を守るという期待が高まるとともに、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の追求が急務となっている中、当社グループは「安心・安全な働く環境」を創出していくテクノロジーやサービスの提供を積極的に展開してきました。2020年9月には、AI機能を活用しマスク着用のまま顔認証を行い、入退室管理や測温管理、混雑状況の可視化等をクラウド上で一元管理できる新商品「SECURE AI Office Base」の提供を開始しました。これは「非接触」による本人認証が可能となり、拠点やエリア・時間ごとのアクセス情報に関する柔軟な設定も可能で、同時に勤怠データも記録できる新しい時代に向けたソリューションとなっております。
このような取組みを通じて、ますます多様化する「安心・安全な環境づくり」をお客様のニーズに調和させるサービスを提供してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は2,790,181千円、売上総利益率は39.5%、営業利益は35,591千円、経常利益は27,637千円、親会社株主に帰属する当期純利益は33,032千円となりました。
なお、当社グループはセキュリティソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。また、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
第20期第3四半期連結累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年9月30日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続き、緊急事態宣言下において東京オリンピック・パラリンピックが無観客開催となるなど、不安と期待が交錯する微妙な空気感の中で、景気の先行きが見通せない状況が継続しました。一方、足元では新規感染者も減少し、ワクチン接種率の向上や海外経済の回復等により、社会経済活動の正常化への期待も高まりつつあります。
このような状況のもと、当社グループでは、コロナ禍における新しい生活様式の中でも「安心・安全に働く環境」を創出するため、最先端のAI(画像認識)技術とセキュリティ専門企業としての長年の実績・ノウハウを駆使し、最適なソリューションの提供に努めて参りました。
また新型コロナウイルス蔓延の影響により、引き続き遠隔監視ニーズは高く、監視カメラの受注が伸びました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高は2,505,079千円、売上総利益率39.4%、営業利益は135,401千円、経常利益は130,683千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は108,222千円となりました。
なお、当社グループは「セキュリティソリューション事業」の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。
② 財政状態の状況
第19期連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は1,468,294千円となりました。この主な内訳は、現金および預金372,110千円、受取手形および売掛金379,658千円および商品400,129千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,013,057千円となりました。この主な内訳は、買掛金173,016千円、短期借入金200,000千円および長期借入金276,890千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は455,236千円となりました。この主な内訳は、資本金294,000千円、資本剰余金175,014千円および利益剰余金△14,158千円であります。
第20期第3四半期連結累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年9月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は1,585,814千円となり、前連結会計年度末に比べ117,520千円増加しました。これは主に、商品の増加116,026千円によるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は1,017,419千円となり、前連結会計年度末に比べ4,362千円増加しました。これは主に、短期借入金の減少100,000千円および買掛金の増加191,506千円によるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は568,394千円となり、前連結会計年度末に比べ113,158千円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益による利益剰余金の増加108,222千円によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第19期連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
当連結会計年度における現金および現金同等物(以下、「資金」という。)は、372,110千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、支出した資金は132,113千円となりました。これは主に、新型コロナウイルスの蔓延により遠隔監視ニーズの増加から監視カメラに対する需要が高まり監視カメラシステムの受注が伸びたことから税金等調整前当期純利益が25,203千円の一方で、世界的な半導体不足により販売機会損失を無くすため商品の確保をしたため、たな卸資産の増加138,258千円、「SECURE AI STORE LAB」のオープンに係る新規設備投資等による減価償却費38,989千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は83,268千円となりました。これは、「SECURE AI STORE LAB」のオープンに係る新規設備投資等の有形固定資産の取得による支出26,124千円、自社開発した新商品「SECURE AI Office Base」開発等の無形固定資産の取得による支出44,123千円および敷金保証金の差入による支出13,019千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は90,585千円となりました。これは主に、長期借入れによる収入により300,000千円増加したものの、長期借入金の返済による支出により210,523千円減少したこと等によるものであります。
④ 生産、受注および販売の実績
a 生産実績
当社グループが営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b 受注実績
当社グループが営む事業は、受注から納品までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c 販売実績
第19期連結会計年度および第20期第3四半期連結累計期間における販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはセキュリティソリューション事業の単一セグメントであるため、当社が提供するサービス区分別に記載しております。また、第19期連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
サービス区分第19期連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
第20期第3四半期
連結累計期間
(自 2021年1月1日
至 2021年9月30日)
販売高(千円)前期比(%)販売高(千円)
SECURE AC
入退室管理システム
845,201699,225
SECURE VS
監視カメラシステム
1,885,8431,734,415
SECURE Analytics
画像解析サービス/その他
59,13671,439
合計2,790,1812,505,079

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合
相手先第19期連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
第20期第3四半期
連結累計期間
(自 2021年1月1日
至 2021年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
綜合警備保障株式会社559,29320.0588,99923.5
株式会社JVCケンウッド・公共産業システム437,29315.7453,69818.1
CBC株式会社350,19712.6388,96915.5

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えうるような見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、判断時には予期しえなかった事象等の発生により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。会計上の見積りの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」および「第5経理の状況 2財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載の通りであります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 経営成績等の分析
当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
第19期連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
(売上高)
売上高は2,790,181千円となりました。新型コロナウイルスの蔓延により遠隔監視ニーズの増加から監視カメラに対する需要が高まり、監視カメラシステムは1,885,843千円計上しました。また入退室管理システムにおいては、コロナ渦においてオフィスを拡張する企業が少なくなったもの、分散移転・縮小移転が増加しました。移転の際に入退室管理システムを導入するニーズを販売パートナーとの情報交換から的確に捉え845,201千円計上致しました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は1,688,881千円となりました。監視カメラシステムの受注件数が増加したことにより、カメラやレコーダーの出荷台数が増加しました。
その結果、売上総利益は1,101,299千円となりました。
(販売費および一般管理費、営業利益)
販売費および一般管理費は1,065,708千円となりました。これは主に社員の増加や人材採用による人件費関連費用の増加、Security System Labの開設による地代家賃の増加等によるものです。
その結果、営業利益は35,591千円となりました。
(営業外損益・経常利益)
営業外収益は1,749千円となりました。これは主に還付金収入によるものであります。
営業外費用は9,703千円となりました。これは主に借入利息の支払いによるものであります。
その結果、経常利益は27,637千円となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度においては、特別利益は発生しておりません。一方で特別損失は2,433千円となりました。これはリースの解約による損失であります。
その結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は25,203千円となりました。
法人税等は11,881千円、法人税等調整額は△19,710千円計上しました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は33,032千円となりました。
第20期第3四半期連結累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年9月30日)
(売上高)
売上高は2,505,079千円となりました。東京オリンピック・パラリンピックの開催による影響を受ける中、引き続きコロナ禍における遠隔監視ニーズの増加から監視カメラシステムの需要が高まり、監視カメラシステムは1,734,415千円計上しました。また入退室管理システムでも大型・中型案件の受注があり、699,225千円計上しました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は1,516,859千円となりました。これは監視カメラシステムの受注件数が増加したことにより、カメラやレコーダーの出荷台数が増加しました。
その結果、売上総利益は988,219千円となりました。
(販売費および一般管理費、営業利益)
販売費および一般管理費は852,818千円となりました。これは主に社員の増加や人材採用による人件費関連費用の増加、上場関連費用の増加によるものです。
その結果、営業利益は135,401千円となりました。
(営業外損益・経常利益)
営業外収益は880千円となりました。これは主に為替差益によるものであります。
営業外費用は5,598千円となりました。これは主に借入利息の支払いによるものであります。
その結果、経常利益は130,683千円となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間においては、特別利益および特別損失は発生しておりません。
その結果、税金等調整前四半期純利益は130,683千円となりました。
法人税等は22,460千円となり、その結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は108,222千円となりました。
③ 財政状態の分析およびキャッシュ・フローの状況の分析
第19期連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要②財政状態の状況および③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
第20期第3四半期連結累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年9月30日)
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要②財政状態の状況」に記載の通りです。
④ 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動における運転資金需要のうち主なものは、販売用の在庫仕入、開発活動に係る人件費および研究開発費、販売費および一般管理費の営業費用であります。これらの資金につきましては、営業活動によって得られる資金でまかなうことを基本として、必要に応じて金融機関から調達を実施する方針であります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容
「1経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載の通り、当社グループは達成状況を判断するための経営上の指標として、非財務指標としてシステム単位での導入件数(※)を活用しています。当社グループの主たる収益源は、SECURE ACとSECURE VSのシステム案件に係る売上であり、システム単位での導入件数を増加させることで将来の収益拡大が見込まれます。
当該指標について、導入件数はSECURE ACにいては2018年12月期は577件、2019年12月期は721件、2020年12月期は907件、SECURE VSについては2018年12月期は721件、2019年12月期は896件、2020年12月期は2,035件となっております。2020年12月期においては、コロナ禍において在宅勤務やサテライトオフィスが恒常化してきたことにより、自宅や遠隔地からでもオフィス内部や倉庫・工場等を監視カメラでモニタリングしたいというニーズが増加し、SECURE VSの件数が大幅に増加しました。今後も、AI実装サービスの拡充や、パートナー企業との新サービスの共同開発等を通してシステム導入件数を増大させることで収益拡大に取組んでまいります。
※導入件数とは、SECURE ACは20万円以上、SECURE VSは10万以上のシステム案件としており、不具合対応やOEM等のプロジェクトは対象外としております。